少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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最終回です。五期が始まるまで、アスカの物語は終わりを告げます。

と言う訳で、続く感を出します。どうぞ。


最終回・彼女達の明日

 それは、理想の終わりだった………

 

「旦那様、わたくし、ついにやり遂げました………」

 

 抑止力を初め、数多くの存在でも、アクセスできない領域にある保存庫と言われる。存在しない歴史や情報、そしてそれで生まれた力を保存する場所。

 

 ここは理想と言う幻想で生み出された、本物にして偽物、偽物にして本物と言う矛盾が共にある空間。

 

 神々ですら関わることができない。はずだった………

 

「………清姫?」

 

 その主である、生命が描いた理想と言う概念が姿形を取る幻霊。理想の抑止力、グランド・セイバーは困惑していた。

 

 目の前の、美しき白銀の髪をなびかせる白竜でありながら、そうでない少女は微笑む。

 

「はい♪ 貴方の妻です♪♪」

 

 彼は逃げ出した。自分が捕まれば、全ての自分が捕まるから。

 

 彼女は追いかけた。全ての愛しき人を捕まえるために………

 

 

 

 何か光が差し込む中、彼は起き上がる。

 

「んぅ~」

 

 背伸びをし、ベットから出ようとすると、ガシャリと言う金属音が響く。

 

「えっ」

「起きたわね」

「ま、マリア………」

 

 

 

「マリア、やめ………いやぁぁ………」

「起こすか」

 

 キャロルは兄に降りかかり、夢の中から助け出す。

 

 

 

 ――月詠調

 

 

「やっと傷が癒えた」

「そうなの」

 

 私は頬の印が消えているので、内心残念です。

 

 ですけど今日はアスカが私を調神社へ連れて行ってくれます。バイクの後ろに乗り、なるべく彼に抱き着き、彼を感じる。

 

 私達を守るその背中は、見た目と違ってやっぱり大きく、それを感じると、私の中で時々妙な衝動に駆られそうだ。

 

 いまは情報だけ集めるだけにとどめないといけない、がまんがまん………

 

 けど………

 

(アスカのこと、やっぱり好きなんだ………)

 

 独占したい、ごめん切ちゃん、セレナ。これだけは譲れないの。

 

 いずれアスカを手に入れる。手段は選んでいる暇は無い、選んでいたら行き遅れる。

 

(今度は逃がさない………)

(調が強く抱き着いてくるが、なぜさっきから冷や汗が止まらない?)

 

 

 

 ――暁切歌

 

 

「デ~ス~」

 

 いまから私は、アスカと二人っきりでデートデス。

 

 調とお出かけしてからデスが、それはいいデス。

 

「遊園地デートデスっ♪」

 

 って、

 

「デート………お、男の人とデート」

 

 アスカはやっぱり、大好き。心の中が温かくなる。

 

 好きという思いがあふれて来る。好きなんだ、調にも渡せない。

 

「アスカ………大好きデス」

 

 アスカのデートは自分を心配して、自分から言い出したデート。

 

 楽しみでドキドキするデス。

 

「アスカ………」

 

 

 

 ――雪音クリス

 

 

「うっらあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「く、クリスさん?」

 

 この野郎、ついに後輩二人に手ェ出しやがった。

 

 休みの日にデートだと? 後輩二人が頬緩んでたし、この野郎。

 

「またか、またなのか」

「な、なにが? てか、この体制はまずい、見えるってクリス」

 

 顔を背け、あたしが馬乗りでこいつに乗りかかる体制。スカートの中が見えるのだろうか。

 

 ………

 

 このまま………素直になればいいのか?

 

「なに考えてるんだッ」

「いだいっ!」

 

 また殴ってしまう。殴られて泣くこいつを見るのは悪いと思うが、こいつが悪い。

 

 気づけよっ、気付いてほしいのに気づかないんだ。

 

 あの日からずっといるのに、なんで気づかない。

 

 イライラしながら最終的に、私は二人となにしていたか洗いざらい聞き出しておく。

 

 もしかしたら、最後には私は、なにするか分からないからな………

 

 

 

 ――マリア・カデンツァヴナ・イヴ

 

 

「ううっ………もういやなの」

「酔ってるのマリア」

「酔ってにゃいわよっ、このていど」

 

 そうよ、私は酔って無いわッ。

 

「例えファンの人からお姉さまと言われて罵ってとか言う手紙とか、裏で百合姫とか言われたりして………どーせ男の人と付き合ってないわよっ。初恋も何もしてないわ、良い人が側に………うわ~~~んっ」

「ま、マリア………」

 

 そして私は、アスカを見る。

 

 ………

 

 確かに、このまま成長すればあの姿に成長するわね。

 

「アニュカアァァァァァァア」

「!?」

 

 押し倒した、押し倒したッ。

 

「ううっ、そうよ。もうアスカしかいないもんっ、ご飯おいしいし、私のコト、ちゃんと見てくれるし………」

「マリア?」

「アスカ、アスカはいや? ねえ」

「いや、そのね。オレはそう言うのは」

「ううっ」

 

 そうよね、無理矢理や、いないからとか、そんな理由は無いわよね。

 

 だけど………

 

「私はそれでもいいのアスにゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」

「!」

 

 上着を脱ぎ、彼に覆いかぶさる。

 

 服の中にも手を入れてにゃるぅぅぅぅぅ。

 

「アスカしかいないの、女の子で、私のこと見てくれるの。アスカしかぁぁあ」

 

 そう叫んでいると、もうわけがわからない。このまま行こううん。

 

「お願い………あなただけは私のこと、お姉さんでもなくでもないまま、私を見て………」

 

 

 

 そして私は倒れ込んだ………

 

 

 

「………寝た………酔いが一気に。助かった」

 

 

 

 ――セレナ・カデンツァヴナ・イヴ

 

 

 ついに姉が暴走した。乙女の情報で知った。ついにやってしまった我が姉。

 

「アスカさん、来ちゃいました」

 

 我が姉ながら、焦るあまり暴走して、結局何も無かったが、何度突撃するか悩んだ。

 

「セレナ、お塩は」

「はい」

 

 お昼前でなに食べるか、一人で料理は面倒。そう呟いていたから、おすそ分けを少し持って尋ね、共にお昼を作る。

 

 いまはこのままでいい、身体は13歳でそろそろ14。私は焦ったところで仕方ない。

 

 私は料理や家事の腕前を上げよう。

 

「うんおいしいよセレナ」

「そうですか、嬉しいです」

 

 いまは少しずつ好感度上げなきゃ………

 

「あっ、食器は私が片付けますね」

「ん、ありがとう。ふう」

 

 今のうちに情報を取るために設置もしないと。

 

 私は必ず勝つ。姉さん、安心して。行き遅れても姉さんは姉さんだから。

 

 最大の敵はお隣と調。頑張ろう。

 

 後はあの人が暴走しないように、目を光らせないと………

 

 この人は、誰にも渡しません。

 

「セレナ? 少し近くない?」

「あっ、すいません」

 

 こうして少しずつ、そして確実に………ふふっ。

 

 

 

 ――天羽奏

 

 

「翼、頑張ってるな」

 

 真剣でろうそくの火を斬る翼。彼奴の覚悟が見える。

 

「ああ奏、久しぶりに覚悟を決めたよ」

「そうか………あたしもそろそろ本気を出すか」

「頑張るよ、そう」

 

 静かに、

 

「アスカに名を書かせる………」

「………ああ」

 

 少し前に使っていたホテルの部屋がえらいことになっていて、覚悟を決めたのだ。

 

「もうそのまま押し倒すッ」

「あ~できるならしてみせろ~」

「ああっ」

 

 半泣きの翼が出ていく。

 

 しばらくして後を付けて、様子を見る。

 

 やっぱ翼は可愛いし、アスカも可愛いな♪

 

 

 

 ――エルフナイン

 

 

「それでアスカさんは」

「翼は緒川が回収したから無事だ、だが、そろそろ考えないとな」

「はひっ、そうですね」

 

 それは、僕達の大切な家族のためにもしなければいけないこと。

 

 そう………

 

「お兄ちゃんが間違いを起こさないようしないとですね………」

「ああ………なにされてもいいように、今日にでも手術してでも治させないとな」

 

 もうお兄ちゃんは病気なんです。きっと、だからいつか響さん達の誰かに襲われます。

 

 そうならないように、なっても責任を取るようなことにならないようにしないとです。

 

「問題はその後です、お兄ちゃんは奥さんや家庭が作れなくなります」

「まあそれは問題ない、錬金術がある」

「ああそうですね」

 

 そうでした、キャロルの言う通りです。

 

 僕達には錬金術があります。これで問題解決です。

 

 もしも、今度問題を起こしたら………

 

「やるぞエルフナイン」

「はひ」

 

 静かに覚悟を決めて、後は準備しておきます………

 

 

 

 ――小日向未来

 

 

「アスカ、また色々無茶したね。まったく………」

 

 虚ろな目で私に髪を梳かされているアスカ。いまは可愛いロリータファッション。

 

 また響を置いて無茶したのでおしおき中です。

 

 だけど最近は筋肉がついてきて、着せられなくなってきた。

 

「………」

「ん、未来?」

「アスカって男の人なんだね」

「泣くよ」

 

 そう言うアスカ。うん、やっぱり可愛い。

 

 けど、やっぱり男の子の幼なじみなんだよね………

 

「アスカ」

 

 座っているアスカに、私は後ろから話しかけた。

 

「なん」

 

 その口をふさぐ。目を開けたらアスカが驚いている顔があった。

 

 いまさらだよね。響も大事だし、アスカも大事。

 

「私、響以外許す気無いからね」

「………ぇ」

「いまのも内緒ね」

 

 そのまま続きをする間、アスカは放心している。

 

 ともかく、私は私、二人の大事な幼なじみ。

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 

「………はあ」

 

 キャロルもエルフナインも仕事で、ベランダで月を見ながら、静かに麦茶を飲む。

 

 未来が妙なことを言ったし、みんな変だ。

 

 もしかすれば、オレが生き急いでいるせいでみんなもそうなのだろうか?

 

「………」

 

 目を閉じると、色々な人々、記憶、関係が垣間見える。

 

 時には目の前の人の恋人、愛する人、家族。

 

 または部下など、様々な俺の記憶。それを知れば知るほど、龍崎アスカと言う存在が真っ白に消えていく気がする。

 

 この感覚は知っている。前の俺、一人、ただ淡々と何も思わず、周りに合わせるだけの人生の、なにも無い人生。

 

 最後の一瞬でしか色が無いとも言える人生だと、はっきり言える。

 

「………マーリン、テメェは一応、耐性ができている人選を選んで殺したな」

 

 下されたグランド・オーダーを引き延ばすことはできる。だが拒否はできない。

 

 冠位である我らグランドは、抑止の指令を完全無視はできない存在。

 

 正直に言えば、聖杯になってもいいと思っている。

 

 だって、俺は常日頃思うのだ。なぜそこに俺はいないのか。

 

 何故別の俺をそこに置く? その俺はただの人間だ。

 

 決めたのは俺だ、だけどなぜ大切な者を秤にかけ続けなければいけない。

 

 地獄を見た。

 

 地獄を見続けている。

 

 救われた俺や、大切な人達に囲まれる俺がいる。だがもう一つの一面、俺は全てを失う。

 

 繰り返す。

 

 助けてくれ。

 

 これが現実に砕け散る理想であり、現実を乗り越える理想。そう言うモノ。

 

「………」

 

 また味わうぐらいなら、オレは俺の為に自我を壊し、保存庫の一人にならず、壊れたただ魔力を吐き出す人形になった方が救われる。

 

 辛い。

 

 大事なものを裏切り、救えず、守れず、傷つける。

 

 助けてくれ。

 

 俺達理想を助けてくれるのは、いつだって人間なんだ。

 

 だが壊すのも、また………

 

「………寝よ」

 

 そう言い、布団に入る。

 

 正しい選択は、なんだ………

 

 

 

 ――???

 

 

 ピンポーンと鳴り響くインターホン。

 

 今日は休み、休日の中で静かに過ごしていたアスカ。誰だろうと思い、扉を開けた。

 

「はいはいどな」

 

 瞬間、抱き着かれ、唇を奪われる。

 

 いきなりのことで思考は停止し、鼻孔をくすぐる良い香り。

 

 自分よりも小さく、柔らかい、軽い身体。

 

 そして視界に広がる。

 

「アスカ………」

 

 上目遣いで目をうるうるとさせた………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アストルフォがそこにいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!」」

 

 音楽を聴いていたのか、イヤホンを付けていた調とセレナが立ち上がり、女だけの集まりの中で周りを見る。

 

「みんなアスカの下に急ぐよっ」

「ど、どうしたデス調?」

「急がないと大変なんです姉さん!!」

「せ、セレナ?」

 

 急いで装者全員がアスカ家へ急ぐ。

 

 

 

「んうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

「ん♪ はぁはぁ………アスカ♪♪」

 

 唇を奪われ、押し倒されたアスカ。お互い全力で抵抗し、腕を抑えられたアスカは、唇を舐め、頬を赤く染めたアストルフォを見る。

 

「アスカ、来やすくなったから、来ちゃった♪」

「襲いに来たの間違いだろッ、やめろぉぉぉアストルフォ!」

 

 息が荒く、顔を胸に埋めるアストルフォ。無理矢理引き離そうとするアスカ。

 

「アスカ、好きだよ………ボク、君のことが大好き。前の君も、いまの君も。アスカ」

「オレは友人としか見てないんだよっ、結婚するなりなんなりするのなら、女の子がいいんだよっ!!」

「いいじゃないかっ、そんな女の子いないじゃないか!!」

 

 それに何も言えなくなる。

 

 そしてまた顔を近づけて来た。

 

「やめ、やめてくれアストルフォ」

「アスカ好き………」

 

 ドカッと言う音が鳴り響くと、静かに崩れるアストルフォ。

 

「た、助かっ………」

 

 助けてくれたのが、

 

「ジャ、ンヌ」

「アスカさん」

 

 真剣な顔、静かに片手でアストルフォを掴み、追い出したと共に、玄関の鍵を閉める。

 

「大丈夫、大丈夫ですよアスカさん」

「な、なに、なにが………」

 

 しりもちついたまま、静かにジャンヌから距離を取るが、ジャンヌはすぐに覆いかぶさり、その顔が近くにあり、胸が身体を押しつぶす。

 

「痛いのは私ですので」

「ジャンヌさんっ」

「マシュさんに渡すしかないんですっ、まだフリーならいいですよねっ」

 

 そう言って今度はジャンヌと、扉がガンガン叩かれ、声が響く。

 

『アスカァァァァァァァァァァァア』

 

「クリスっ、たすぶっ」

 

 そのままジャンヌに押し倒され、クリスはそれと共に扉を蹴り破る。

 

 しばらく味わってから、ジャンヌは殺気に気付いて、その場から離れ、アスカは取り出した剣で防ぐ。

 

「………アスカ、無事?」

「し、調? なんでカッターなんて持ってるの?」

「買ったの」

 

 そして全員がジャンヌを見ると、こほんと少し口元をぬぐいながら、

 

「わ、私も女です。好きな人の来世ですから………」

「………」

 

 

 

 空気が苦しくなる。

 

 

 

「てか、なんでそれで抵抗しなかった」

 

 クリスが静かにアスカが持つ剣を見る。アスカは震えながら、

 

「き、傷つけられるかっ。どんなことされようと、それだけはできないっ」

「アスカさん………」

 

「アスカ………」

 

 アストルフォも頬を赤く染め、静かにセレナがスタンガンを構える。

 

 そして、

 

「だめ………」

 

 響がすぐに近づき、飛び込むようにアスカに抱き着こうとする。

 

「アスカは渡さないっ」

 

 そう言って抱き着こうとした拍子に、

 

「あっ」

「!」

 

 足を滑らし、少し体制が崩れる響。それを支えようと、反射的に動くアスカ。

 

 ゴンッと言う音と共に、空気が凍り付く。

 

 唇を抑えるアスカと響。

 

 その瞬間、

 

「デッスぅぅぅぅぅぅぅう、それは卑怯デスぅぅぅぅぅぅぅう」

「アスカッ」

「アスカさんっ」

 

 こうして騒ぎが起き、アスカはいやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁと悲鳴を上げる。

 

 のちに許しを得る為に女装する羽目になるが、だが、

 

「オレらしいのだろうなこれが………」

 

 そう泣く泣く言いながら、みんなの機嫌がよくなるのを待つ………

 

 

 

 ――???

 

 

「私、アスカとキスしたんだ………」

 

 嫌では無く、胸がどきどき鼓動する。

 

 そうか私は………

 

 少女の自覚が始まり、この先の物語はどうなるか誰にもわからない………




五期やるとしたら、アスカくん終わるな。

逃げろ理想の抑止、君が捕まれば君の生まれ変わりたちはきよひーに捕まる。

清姫、正妻の座を手に取る為、大元へと嫁ぐ。

捕まれば過去、現在、未来の生まれ変わりは全て清姫の旦那様。

アスカくんの未来はどこに。

アスカ「こんな終わり方か………四期も続くで終わったから、いいけど………」(白目

それでは、

アスカ「お読みいただき、ありがとうございました」

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