そして女装ネタが無くなり始めてきた。
色々正念場です。どうぞ。
それはスカイタワーを襲う、ノイズの群れであり、急いで飛び出そうとするが、司令官から待ったがかかる。
『あれは陽動だ、君にはヒポグリフのみ現場に向かわせてくれ。君自身はここ、リディアン音楽院で待機して欲しい』
「リディアンって………本部が襲われるんですか? そんなこと」
『いまは詳しく言えない、頼む』
そう言われ、ヒポグリフだけを飛ばし、リディアンで待機していたら………
「はあぁぁぁぁ」
生徒達に襲いかかろうとするノイズを断ち切り、急いで守る。軍事に属する人達もいる中でも、早く動き、早く倒さなければいけない。
いまもまた、三人組の生徒の避難誘導する人を守ったばかり、
「ここで最後か、君達、他に誰か奧にいない?」
「! 友達が一人、他にいないか見に」
「分かった、悪いけど貴方はこの子達を安全な場所に、オレがその子共々、奧の確認します」
「わ、分かりました」
そう言って、奥に進むが、この先は、本部へ直轄するエレベーターがある。もし誰もいないなら、本部を見るべきか。
そして銃声が聞こえ、床を滑るように移動すると、
「未来っ」
「アスカ!?」
「アスカさんっ」
「緒川さん伏せてっ」
身体を捻り、スカートで斬り潰し、共にエレベーターに乗る。もう建物内に人はいないと、彼女達に聞いた。
「緒川さん、未来」
「助かりましたアスカさん」
緒川さんが拳銃片手に、いまだ状況が分からない。
「現状は、オレはまだ、スカイタワーが陽動としか」
それを聞きながら、拳銃をリロードしながら、静かに、
「我々二課が独自に調べた結果、米国はある科学者と繋がりがあり、その人は二課に属する学者です」
「………二課の学者って」
その時、了子さんしか思いつかない。それに静かに頷きながら、続ける。
「彼女の目的はカ・ディンギルなる塔の建設です。そして、塔はどこに隠されていたというと………」
「了子さんはここの建設に関わってた………まさか」
それに頷きながら、エレベーターの外を見る。
ここはスカイタワーが三つほど収まるほど深い。つまりここでどでかい塔を作っていたらしい。
「ともかく、早くここ」
「!?」
エレベーターが到着する前に、剣を取りだし、それを防いだ。
鎖のような鞭、それが緒川さんに放たれ、それを防ぎ、すぐに二人してエレベーターを未来と共に降りた。
「は~いっ♪ アスカちゃん♪♪」
そこにはネフシュタンの鎧を纏った、櫻井了子がいた。
「………了子さん、あんたが、フィーネ?」
「ああそうよ、龍崎アスカ」
「クリスの命を狙ってた、いままでのこと全部? マジか」
「だめよアスカちゃん、そんな言葉遣い。せっかくの可愛い顔が台無しよ?」
「ふざ」
その手から銃のように無数のノイズを放ち、二人に襲いかかる。それを無理飛ばしたり、剣で斬りつけたりするが、それを余裕を持ちながら見る。
「貴方の戦法はこの二年間でよく分かった。自立型のヒポグリフ、魔防の本、魔曲を奏でる角笛、触れた空間の重力操作する槍。一番驚いたのは剣術だけど、どれもこれも、大きく立ち回り戦う。ここで華麗に舞えるかしら?」
狭い通路の中、すでにヒポグリフは響達の下であり、いま現在響達を運んでいるだろう。
槍は出せない、大きすぎて邪魔。魔笛もまた、至近距離での戦闘に向かない。
魔本は無理だ、それ以上の攻撃が向こうにある。最後の剣術は、
「後ろの二人を見捨てれば、私に一太刀浴びせさせられるぞ?」
変に動けば、二人がノイズに触れてしまう。できないと知りつつ、そう微笑む。
鎖が振るわれ、必要に二人を狙う。それを弾いたりするが、ノイズが同じように迫る。こちらの体力切れを狙っているか分からないが、明らかに遊ばれていた。
「悪いが、遊んでいる暇は………無いっ」
「そうか、なら!!」
瞬間、振るわれていた鎖がうなり、腕に巻き付いて片腕が持ち上げられたが、
「!」
マントとスカートを伸ばし、ノイズを切り伏せた。ノイズは倒せたのならと、片腕で槍を取りだし、投擲ぐらいと思った矢先、未来に鎖の刃先が投げられた。
「チッ」
それに手を伸ばせば、腕を貫かれ、
「ハッ」
その時、天井に鎖が絡まり、両腕を吊された。片腕は貫かれ、両足は瞬時に出てきたノイズが拘束する。
「アスカ!?」
「!」
緒川さんが躊躇いもなく、フィーネに弾丸を放つが、装甲ではない肌であろうと、傷が治った。
「ネフシュタンの鎧は自己修復があってな、おかげでこの通り。ソロモンの杖があればノイズも取り出せられる」
「どうして………」
もう一つの完全聖遺物を見せながら、彼女は近づき、猟奇的に微笑み、そっと手を置いた。
「ひゃう!?」
「戦場でそんな悲鳴を出すな」
そう言いながら尻を撫でないで欲しい。だが気にせず、彼女は欲しかったおもちゃでも手に入れたように、こちらを見る。
「融合型聖遺物、いや、この場合二人と言うべきか?」
「! まさか」
「ああ、立花響も手に入れるさ。この身体、完全聖遺物の制御も、彼女と君のデータがもとだ」
そう言われながら、肌など至る所触られる。いつもよりも酷い。
「最初は聖遺物のみの融合である君が有効的にデータを取れていたが、それと比較すれば立花響のデータはより貴重度が増した。異なる聖遺物同士の融合、人間と聖遺物の融合。それらの架け橋になる、君らはある意味において、アダムとイブだろうか? イブとイブと言わなくもないが」
そう言われながら、一通り触った後、満足げにする。
「あ………アダムと………イブって………」
何故か不自然に、身体から力が無くなっていく。その様子を見ながら、
「歴史の分岐点、君らはそのような偉業を成す人物だ。当然、手元に置いておくさ。二人とも可愛がってやるから安心しろ。とくに、な………」
いつもより酷く触ってくる、そう思い、身体を動かすが、思うように力が入らない。その様子にもうっとりと見ている。
どんどん意識も飛びかける。アームドギア、せめて魔本でも出せればいいのだが、このままでは無理だ。
「アスカっ」
「………楽しんでもいられないか」
そう言い、二人を見た。まずいと、ギアに力を入れようとしたとき、上から気配を感じた。
天井が崩れ、それと共に拘束がゆるんだ瞬間、最後の力で左右のノイズを、スカートの刃を伸ばして倒し、その場に倒れる。そしてあの人が前に出てきた。
「貴様は………」
「よお了子」
「私をまだ、その名で呼ぶか」
風鳴弦十郎、彼が現れ、未来がこちらに近づく。
「にゃ、にゃんで………」
「アスカ!?」
緒川さんはすぐ触られていた場所見ると、何かの穴を見つける。これはと睨むと、ニヤリとしながら、注射針を投げ捨てた。
「おいおい、いくらなんでもやりすぎだぜ?」
「それくらい大目に見て欲しいものだ、私はたびたび、目の前でそれを我慢していたのだからな」
そう言って、身体が麻痺り、未来がオレを運ぶ。
「正直、女を殴るのは趣味じゃないが、これ以上は見過ごせないな」
「全く、それは私の所有物にするんだ。見逃して欲しいものだ」
そして語る、元々米国を追っていた情報部は、いつしか了子である彼女が繋がっていて、なにかしら動きがあると感づいていた。
だから後は証拠と、陽動に陽動をぶつけた。保険として自分をここに置いて、
「相変わらず食えない男だ」
「それじゃ、大人しく話を聞かせてもらうぞ」
そして地面を蹴る。粉々に砕けると共に、それに鞭のような鎖が振るわれたが、それを避け、僅かにあるでっぱりを掴み、天井にぶら下がるなど、人間業ではない。
完全聖遺物であるネフシュタンの鎧と融合している。そんな話をしていたフィーネに対して、司令は互角にやりあっていた。
苛立ち、大きなそぶりで攻撃するが、それも防がれ、拳をたたき込む。
人の動きじゃない。
「知らいでか!! 男の鍛錬なぞ飯食って映画見て寝る!! それだけだ!!!」
ふざけてるような動きの中、未来に支えられた状態、未来に寄りかかりながら、震える手を広げて、魔本を取り出す。これが薬なら、魔本が取り出してくれる。
取り出された魔本が、ギアや身体の動きを阻害する毒素を吸い取り始める中、こればかり本物の魔本より応用が利いて助かる。
「さて、話を聞かせてもらおうか」
「くっ………くそがぁぁぁぁぁぁぁ」
また鞭を放ち、それを避け、また一撃を放つ。その瞬間、
「やめてっ、弦十郎くんっ!!」
その一言で動きが一瞬、一瞬止まった。
その瞬間、鎖が司令官を貫く、
はずだった。
「!!! ちっ、アストルフォの魔本か!?」
本のページが刺さるであろう場所を防いだ。だが鎖を使い吹き飛ばすと共に、司令官から何かをかすめ取る。
「しまっ、アビスへのカードキーが!?」
「後の楽しみのために、体の自由だけ奪う薬を使ったのがいけなかったか………まあいい。後で回収するとしよう」
ノイズを大量に取り出す中、そして奧へと進む。司令の叫びを無視して、魔本のページで壁を作り、なんとか防ぐ。
「俺としたことが………」
「………」
その間に身体の様子を見る。微かに動くし、麻痺が消えたように思う。これなら戦える。
「これなら………」
瞬間、槍を投擲し、ページの壁に集まっていたノイズを吹き飛ばす。その後はデュランダルが保管された場所見る。
「待てアスカっ、このまま行っても、お前が捕まるだけだ!!」
「だけど、響達が来るまでの時間は稼げます」
「!? それは………」
「行かせてください、無論、倒してもいいでしょ? あの人、了子さんから話を聞くために」
そう言われ、どうするか考えるが、歯を食いしばり、背を向けた。
「響くん達が駆けつけるまでの時間稼ぎだけだッ、他は諦めろ!!」
「はい、未来を頼みますっ」
そして未来の叫び声を無視して、奥の部屋へと走る。
デュランダルが安置されている部屋の前、狭い通路へとたどり着く、ここでも武器が一通り使いにくい。
「ふむ、考えていたよりも早く治癒したか。まあいい、楽しみが舞い込んだと思えばいいか」
「………了子さん」
「お前もそう言うか? 龍崎アスカ」
そんなこと言うならセクハラやめて欲しい。
「正直そう言えない。あんたはクリスを傷付けたし、傷付けちゃいけない、二課の人達を傷付けた。だけど、それでもだ」
正直気持ちの整理なぞできてない。だけどいまはやらないといけない、槍と剣を構える。歌はいつでも紡げる。
「融合聖遺物、聖遺物の寄せ集めでありながら、聖遺物単体と同一の一品。お前と立花響の特性は、まさに歴史のパラダイムシフトに属する。だが一つだけ気になる」
「?」
「お前は何者だ? なぜあのような剣筋を持つ? ただの人間ではないのは明らかだ、あれは長年、ただひたすら剣を振るった剣士の剣筋だ」
その言葉に、僅かに笑う。
「前世持ちの人間って言ったら信じる? オレは前世で問題児、剣を無駄振り続けた子供だよ」
そう、いつもいつも暇な時間、無意味に近いほど剣を振るっていたんだ。その感覚も無くしていない。しかもノイズとの戦いのこともあり、経験は鍛えたんだ。
それに眉を動かし、口元をつり上げた。
「どうやら、お前は生かしたままその細胞一つ一つ可愛がらなければいけないようだ」
「やめてよセクハラ………」
そんなやりとりは二課でもしてた。
そして剣と鎖がぶつかり合う。
鎖やノイズを槍で粉々にしながら、それでも再生し、すぐに攻撃に回る鎖。
だが、それに食いつくのは、ただの付属の剣だった。
「~~~~~♪♪♪!!!」
槍を振るう中、いつしか槍を捨て、叫ぶように歌を歌う。
叫びの中、ついに顔を歪め始め、攻撃が激化し出す。
「もういいっ、消えろ!!!」
「ここで止めるッ、響達のためにも、ここで止める!!」
剣を振るいながら、一気に近づく。
それに驚き、その剣を振り下ろす。
「オレには司令官のような手は通じないッ、あとで文句は聞く!!」
その一降り、たった一筋の一閃。
背後から鎖が迫るが、それより早く斬りつけ、その後動く自信はあった。なによりここで攻撃を逃せば、次はない。
そう思い、渾身の一撃を放つ。
「………」
歪んだ笑みで砕かれた………
――フィーネ
「危ないところだった」
防壁を消して、それを見る。背中から無数の鎖に貫かれ、カランと手から砕けた剣が落ち、貫いたまま愛おしそうに近づく。
「しまった、殺してしまったか?」
身体をあちこち触れながら、即死かどうか確認する。やはり殺した。
「全く、お前の聖遺物は魔本による防衛のうえ、主体は槍とヒポグリフによる戦闘スタイルだと言うのに………まあ、お前が剣の装者なら、いまの一撃が届いていたよ龍崎アスカ」
ただ運が悪かった。もし立花響のように身体事態が聖遺物と適合していた。
風鳴翼のように、剣の装者。雪音クリスのように、自分の性格など知っていたら分からない。
なにより自分が防護壁を作れることも知らなかった。
はっきり言う、龍崎アスカに、決定打になる獲物が、
「付属品の剣のみ、それがお前の敗因だ」
何度も完全聖異物であるネフシュタンの鎧を斬り壊した剣が、最後に壊れていなければ、自分の負けだった。
砕けた剣を見下ろす。これは最初から防壁を使っていたらそれを砕いていただろう。技でそれが出来るのは先の魅力的な言葉が関わるだろう。本当に惜しいことをしたと思いながら、ふんと翻る。
もしそれに気づかれていたら分からなかった戦い。だがもう遅い。
「前世持ちか、はぁもったいない。だがいいか、身体があれば問題ない」
後で死体は回収するため、通路の隅に置く。後々の楽しみだ。後はデュランダルの装置をいじりるため、静かに出ていった………
――???
親が死んだ。じっちゃんだけになった。さすがに涙が出た。
悲しいから、何かしたいから、剣を振った。じっちゃんは止めず、静かに見ていた。
いつからか、何もしない時間は剣を振るう日々が過ぎる。ゲームをしたり、勉学に励んだり、自分は自分なりに普通の学生。のはずだ。
だけどじっちゃんから、
「お前の心はあの日から止まっている、お前は何かしてない時の記憶はあるか?」
それに何も言い返せなかった。そうだ、自分は何かしてない時、何も感じていないし、考えてもいない。
無だ。それこそ本当に、何かしてようが無そのものだ。
できることは全部している。真っ白な日々を過ごさないようにしていた。
怖い、怖いんだ。どうしても、思い出す。あの人達、幸せが、過去が、押しつぶしにかかる。
怖いから考えたくないんだ。そう言われても、嫌だ、過去が、現実が、怖いんだ。
だが、それでも失敗はある。ある日、お前は人の心が分からない、機械人間だと言われた。
ただできることだけして、したいことだけする。
ああ、その通り。機械のように、流れるように、ただ生きているだけだ。やりたいことはやっている。だけど、それはみんなと何か違うのは、分かり切っている。
じっちゃんが老人ホームに住むようになって、家の中で何しているか分からない。ゲームはしている、勉強、家事はしている。それたけ………
ああそうだ………
やりたいとか、したいとか言いながら、怖いから逃げてるだけじゃないか………
あは………
アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハはははははははははははハハハハはははははははははは………
………
アァァぁぁあァァァァァァァァァァaaaaaaa!??!?!?!
――立花響
フィーネさんこと、了子さんは、月を壊すために、カ・ディンギルを使うらしい。それで起きる混乱は、ノイズや聖遺物で自分が管理する。
そう言いながら、カ・ディンギルにエネルギーが貯まる。そんな時、クリスちゃんが前に出た。
その時、
『アアァァアアあああぁぁアアァあああ!?!?!?!!!!』
何かの叫びと共に、エネルギーが吸われていった。
狙いが逸れて、砕かれる月は欠片で消滅はしていない。だけど、それよりも、
「!? バカな!? どういうことだ!!?」
了子さんも驚いている。みんなが集まってきて、
「どうやら、事態が好転したようだな」
「だと良いんだが」
「………いまの、こえ………」
その時、何かが飛翔した。
それは翼を広げ、顔を見せた。
「「「アスカっ」」」
それは途中まで私達をヒポグリフで運んでくれていたアスカだった。だけど、
「えっ………」
血を流していた。
全身から血を流して、その様子に驚いて、頭が真っ白になる。
『あっ………アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁアアァァァァアァアア!?!?!?!!?!?!?!?!?!??!!!!!!??!??』
そして叫ぶと共に、黒い翼が広がり、血のような紅い眼光で黒く染まった。
角みたいなものを生えて、雷を纏って、心臓の部分が紅く輝く宝石が埋め込まれていて………
その手に剣のような巨大な剣が握られて、髪から尻尾のようなものが伸びていた。
「バカな、死んだはず………心臓は止まっていたぞ!?」
その言葉に、私は凍り付く。
アスカが、死んだ?
「うそ………」
だっていま、目の前に現れた。いまアスカは目の前に、
『全員そこから逃げろォォォォォォォォォォォォ!!!』
そう師匠が叫んだ。翼さんが私を捕まえて横に飛ぶ。
そして、アスカが、叫んだ。
『壊セ、滅ボセ、破壊セヨ!!
そう叫んで、辺り一面をなぎ払った。
――風鳴翼
「こ、これは………」
カ・ディンギルを破壊し、だがそれ以上に何かを秘めた力を持つ、血を吐き出しながら、その場でうなるアスカ。
建物の多くがその一撃で破壊され更地になり、彼はいつもの彼と違うなにかのようだった。
その姿は、まるで竜のような姿。
「あっ、はは………あっはははははは」
櫻井女史はその様子に狂ったように笑いながら、その顔を歪めた。
「バルムンク!! そう言うことかっ、くそがッ。このタイミングで新たな聖遺物に覚醒したか龍崎アスカ!!?」
その言葉に、私達が立ち上がりながら構え、だがと何か考え込む櫻井女史。
「もしかすれば、あるいは、そうかっ!!」
二つの鎖をアスカに放つと、黒い闇に飲また。それに微笑み、静かに鎖から電流が流れる。
僅かにうめくが、すぐに落ち着き、アスカは地面に降りた。
「ははっ………はっはははははは、カ・ディンギルのために、苦労していたが!! まさか二年の装者だけで、私の悲願が叶えられる可能性が出るとはっ」
「なに言ってるんだテメェはよっ!!」
その瞬間、櫻井女史に雪音がイチイバルを放つが、その弾丸を、アスカが全てたたき落とした。
「なっ………」
「ふむ、ちゃんと制御できたか、
「ファフニール?」
「ジークフリートに出てくる、悪竜の名だ。龍崎アスカはいま、その悪竜そのものになった、しかも、本来自分を殺す英雄の剣を持って」
紅い心臓から、紅い神経が伸び、目や口から紅い液体を流す。
その痛々しさに、立花は狼狽していた。
「死の淵に、まさか悪竜と化してでも私を止めようとしたか!? だが、私は二年間、龍崎アスカのフォニックゲイン並び、各方面のデータを取っていた。理性が無くなり、獣と化したこいつなぞ操ることなぞ動作ないっ。デュランダル!!!」
その言葉に、デュランダルが現れ、それをアスカが手に取り、二刀流のように握り、こちらを、睨んでいた。
「さあ、デュランダルと竜殺しの魔剣っ。龍崎アスカ、それだけで月を破壊する主砲は完成するッ!!」
アスカは言われるがまま、二つの剣を天へと掲げる。それと共鳴するように巨大なエネルギーが集まる。黒と紅、二つの光。そして歌声。
「ぜっ………しょう………」
だけど歌声ではなく、様々な音が無理矢理奏でられ、一つにされた雑音に近い音が、世界に轟いている。それはまさに、竜の咆哮のように………
「ああそうだ!! 龍崎アスカが扱う大量の聖遺物に、完全聖遺物デュランダルの絶唱による砲撃ッ、これならば月は安易に破壊できる。ああ、なぜ私はもっと早く、これに気づかなかった………龍崎アスカを手中に収めるだけで、月を破壊できたっ」
陶酔しきった顔でそう言う中、大気が震え、空が紅く染まる。
それはまさに、月の破壊を歌う。悪竜の歌。
だが、そんなこと、
「そんなこと人のみでできるはずがないッ」
ただ一つの聖遺物での絶唱で、人によっては死に至る。それが完全聖遺物であり、また複数と言うことは、
「だな、龍崎アスカは壊れるだろう」
私の言葉に否定もせず、即座に答えた。それに私達は戦慄する。だが、
「だがどうした? いまこいつは立花響の応用で、ネフシュタンの鎧ともリンクしている。それならば死にはするが、肉体は保てる。動く人形になるだろう。そうだ、むしろその方がいいだろう。こいつには新世界のアダムかイブにでもなってもらおう。悪竜の子なら、ぴったりだ」
その言葉に、私達の意志は固まる。
「フィィィィネェェェェェ」
「櫻井女史っ、私達は貴方を絶対に止め、アスカを取り戻すッ」
「そんなこと、絶対にさせないッ」
「来いッ、いまより相手にするのは、その名を轟かす、悪竜だッ!!!」
咆哮だけ轟かせ、雷を纏い、二本の剣を持ったアスカが、私達に向かってくる………
アスカくんは悪竜へと変貌しました。
Fate/シリーズの力なら、カ・ディンギルの変わりくらい楽勝だろう。
次回、悪竜アスカ対シンフォギア装者。
それでは、お読みいただきありがとうございます。