少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

88 / 92
60話・グランド・セイバー

 身体が痛くない。痛みは無い、なら行ける。

 

 切歌を、響を守らなければいけない。

 

 だから寄こせッ、力を、その叡智を、かわりに全てをくれてやるッ。

 

 我が身は無限なる夢幻の担い手なり!!

 

 

 

 ――???

 

 

【Aaaaaaaaaaa――――――】

 

 無数の剣を取り出し、アダムへと迫る。

 

「そんな怪我で、なにができるッ!?」

 

 ハットを投げ、それは術か何かを纏い回転するが、気にせず、

 

【祖なる名はグラムッ】

 

 そう言い投げつけた剣は帽子を切り裂き、アダムへと迫る。

 

 その刃の異常さに気づき、防御では無く、全力の回避をするアダム。

 

「いまのは」

 

『アダムッ、アダムをいじめるな!!』

 

 また光が集まり、爆炎となる攻撃を見、静かに放たれたそれを飲み込む炎を掴む。

 

「なにッ!?」

 

【レーヴァテイン】

 

 炎の剣を取り出し、静かに斬りかかる。身体を動かすたび、鮮血が舞う中、全く気にも留めないどころか、様子がおかしい。

 

「アスカぁぁぁぁぁぁぁぁあッ」

 

【響ッ!?】

 

 アダムへ拳を振るい、二人の間に入り、サンジェルマンが戦いだす。

 

「アスカどうしたのッ、その傷普通じゃないよッ」

 

【傷? 傷なんてどうでもいいッ】

 

「アスカ………」

 

 響の耳には何かが軋み、何かが切れ、何かか繋がる音が聞こえる。

 

 アスカの全身に神経のように何か光が浮き出ている。それは響達では分からないが、唯一知ることができた者がいた。

 

「魔力回路………」

 

 セレナが愕然とそれを見て呟き、奏はそれに振り返る。ギアが解けた切歌がいるため、前に出れないうえ、イガリマの絶唱をしかけたためか、気を失っている。

 

「まりょくかいろ………向こうの技術か!?」

「はい、だけどそこまでしか」

「ともかくあたしは切歌を連れていく、セレナは周辺避難が終わるまで盾での防衛。響ッ、アスカのバカを頼むぞ!!」

 

 そう叫ばれ、アスカは鮮血を流しながら、火の剣を持ち、響を見る。

 

 けして瞬きせず、目は紅く染まり、全身からどこからか血が流れる。それら全て、感電でもしているのか、光を放ち、力を秘めていた。

 

「アスカ、その姿はダメッ。イグナイトよりも酷いよ」

【気にするな、いまは頭はスッキリしている。だから………】

 

 

 

 邪魔だ………

 

 

 

 地面から、空間から、無数の武器が乱雑に吹きだし、肉体からも流れ出るように刃物が流れ出て来る。

 

 ペンダントは切歌の元にあるはずのイガリマらしい鎌も砕け変化し、それを持って飛ぶ。

 

「アスカッ」

 

「立花響っ」

 

 サンジェルマンの叫びに、響は静かに拳を握る。

 

「だとしてもッ、アスカだけ戦わせる気は、無いッ」

 

 

 

 無数の武器を巧みに扱い、攻撃を避けながら、首を大きくかしげる。

 

【テメェ、まさか】

 

「チッ、なんなんだ………なんなんだお前はアァァァァァァ」

 

 その時、二人の攻撃に気づき、大きく飛びのく。その様子を見ながら、足元の槍を踏み、手元に持ち、鎌を捨てる。

 

 二人の連携、それを見ながら、あっははと苦笑した。

 

【敵と仲良く連携って………響らしいなぁははっははははハハハはハ】

 

 そして響の拳を受け取るている間に斬られ、その切口を見せるアダム。

 

 それを見ながら、やはりと笑う。

 

「錬金術師を統べるパヴァリア光明結社の局長が、まさかの」

「人形………」

 

 その傷口は人、生き物では無い。それを見ながら、

 

【どーりで対人宝具が反応が薄いと思った】

 

「人形………人形だとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 その錆に、光の柱にいた人形も叫び、そして光が辺りを包む。

 

 二人の前に現れると共に、各武器の一部が反応し出す。

 

「神の力か」

 

 

 

 光が収まると、巨大な力を秘めた存在へと変わる人形。

 

 その核の側へと飛ぶアダム。

 

「神力顕現。持ち帰るだけのつもりだったんだけどね今日の所は」

『ごめんなさい………あたち、アダムが酷い事されてたからつい………』

「仕方ないよ、済んだことは………だけど折角だから」

 

 その瞬間、防衛の武器をいくつか呼び起こす。

 

「知らしめようかッ、完成した神の力ッ。ディバインウェポンの恐怖を!!」

 

 光の光弾が放たれるが、それに聖剣を無数呼び出し、全て同時に振り下ろす。

 

 激突するエネルギーは爆音と成り、それに舌打ちしながら、空へとエネルギーを吹き飛ばす。

 

 それと共に大量の血が流れ、傷が広がり塞がる。

 

 その様子に風圧に耐える二人は見ていた。

 

(傷が生きているように脈動する………身体がレイラインのように、血流と共に流れている!?)

 

 錬金術師であるサンジェルマンがアスカの異変を観察し、空に浮かぶ刀剣の異常さにも戦慄していた。全てが完全聖遺物レベルの、異常エネルギーの塊だ。

 

「アスカあぁぁぁぁぁぁ」

 

 爆風全てが収まり、静かに睨む二人。

 

【オレもたいがいだが、テメェ、なんだ?】

 

「僕の方こそ聞きたいが、まぁいいだろう………僕は作られたのさ、彼らの代行者として」

 

 ここで代行者に上げられそうなのは、この世界の神として認識されるもんかと考え込む。

 

 アダムは静かに、話を続ける。

 

「だけど廃棄されたのさ、試作品のまま。完全過ぎると言う理不尽極まる理由を付けられてッ!! 有り得ない………完全が不完全に劣るなぞ」

 

 よく分からない事情がありそうだなと、もうすでに話の半分も眼中にはない。

 

「そんな歪みは正してやる、完全が不完全を統べることでね!!」

 

 

 

 光が地上に放たれかけたとき、

 

【どーでもいいから消えろ人形】

 

 地面から回転しながら現れるのは、知っている者からすればゾッとする光景。

 

 回転する円筒は天、地、冥界を表し、合わせて宇宙を体現する宝具。

 

 本来一人の王のみに振るう事を許された天地を切り裂いた逸話を持つ、世界に一つしか無いはずの神秘。

 

 幻想の無限にて、大量に取り出された。

 

【天地を裂け、乖離剣エア】

 

 爆音を響かせ、紅と黒の渦を生み出す。轟くその数は、千個。

 

【これくらいあればうるさくないか………吠えろ】

 

 もはや名も無く、天地裂いた偉業が世界を包み込む。

 

 

 

「いや待て………これは」

「あーあ、だからやめておけばいいのにね」

 

 マーリンは呆れながら、作者英霊達はその光景に冷や汗を流す。

 

「こればかりはさすがに、どういうことですかな?」

「これが彼、理想の力だよ」

 

 マーリンが気を付けて離れた位置でその光景を見ているが、彼もまたゾッとしている。

 

「彼はね、終わらす力と始める力を持つだけじゃなく、世界と言う概念がある限り、永久的に動く魔力を所持している。それが理想の聖杯なんだ」

「世界ですと? つまりグランド・セイバーは」

「そうだよ、敵も味方も、世界そのものがある限り、不滅であり永劫に有り続ける。彼を倒すには、真なる無でしか、彼を倒すことはできない」

 

 だって誰もが理想を抱き、それを持って戦う。知能ある生命体、無機物すらも。故に心が、形が有る限り、それは消えない。

 

 幻想とも言える神秘では、彼には絶対に勝てない。彼はその上を必ず行く、幻想で形作られた、またはそれが抱く幻想で作られた偽物なんだから。

 

「なるほど、だからこそグランド・セイバーは別の形でしか人の世に関われないと」

「そう言うことだよ。なのに星も霊長も、他世界だからって、彼にちょっかいかけると言う選択を選んだ。結果、龍崎アスカもとい、理想の聖杯は暴走している」

 

 制御なぞしていない。いやしている。

 

 どっちでもあり、ないのだ。矛盾もまた彼が司る意味と概念だ。

 

「正直に言えば、彼は理想なんだ。簡単に壊れるけどね、数が莫大なんだ」

「魔力のストックも、世界全ての理想と接続していると言うところですかな?」

「そうだよシェイクスピア。敵の魔力も、その辺に生きる生き物の魔力も、理想と言う概念を持つ者がこの世にいる限り、彼は死んでもすぐに蘇る。終わりを迎えて始まり、始まりと共に終わる。矛盾する概念だから彼は幻霊なんだ」

 

 

 

「なるほどね~これってテメェらの仕業か」

 

 

 

 その言葉に、マーリンはまずいとすぐに杖を構えると、回転する光の槍が振り下ろされ、殺されかけた。

 

「お前らは、お前らはッ。何度彼奴の人生を自分勝手に動かせば気が済むッ!?」

 

 天羽奏は激怒しながら、マーリンを睨む。それには何も言えない。

 

「言えッ、アスカはどうすれば元に戻るッ!?」

「それはごめん………理想の聖杯に完全アクセスと言うより、融合状態なんだ彼。いま無限に夢幻の記録を取り込んで、エネルギーも使用中。このまま時が経てば肉体と精神は壊れる」

「それは死ぬってことだなッ」

「ちなみに私はその肉体を保存して回収して、英霊の座に置くのが目的………そうすれば一部とはいえ、理想の聖杯を自由に世界に配置できることができる。魂は別にしてね」

 

「ん、ここの様子、カメラに映っているな」

「これは………まずいですな」

 

 作者英霊はもう気にせず、マーリンは現在、全ての装者に全て知られてしまう。

 

 それにあーあと花の魔術師は、せっかく厄介なサーヴァントは疑似アヴァロン空間に閉じ込めたのに、これでは意味が無い。

 

 ともかく、

 

「とりあえず私は、フォニックゲインを利用した聖遺物六の数にて陣を作り、聖杯の入り口を作り上げた」

「六だとッ!!? 翼達のギアにいつの間に」

「愚者の石だよ、血の接続で三つの関わりができた後、僅かでも血が付いた指で触れた愚者の石。それを他の三つにも加工したろ? おかげで全員の聖遺物と聖杯を繋げる事ができたんだ」

 

 それを聞いたエルフナインは愕然、キャロルは舌打ちする。そんな事は気にも留めず、天地裂く魔力の叫びが止まり、静かに、

 

「あれこそが如何なる事があろうと滅びることが無い、理想と言う幻霊の力。グランド・セイバーはまだ序の口さ」

 

 一の個が抱く幻想から神秘の武器を取り出し、無限の数振るう存在。その魔力も無限だが、肉体は持つか分からない。

 

 魂が定着せず壊れる。その肉体は聖杯の中身を取り出す入口になるだろう。

 

「いまのところ計画通りなんだよな~これ」

「殺すぞ」

「私を殺したところで終わらないさ………ほんと、やんなっちゃうよ」

 

 心無い言葉だった。だがそれでも悲しいとは思う。

 

 今回ばかり奏はこれが不気味と思い、そして爆心地を見る。

 

 

 

『アダム………大丈夫?』

 

 無数の平行世界。ダメージの無効化を発現させながら、アダムは驚愕しながらそれを見る。

 

 それを放ったそれは、二人の女性より前に出ながら、使い捨てのように天地裂く剣を見る。

 

【粉々か。取り出したはいいが、やはり壊れる】

 

「貴様………なんなんだ、何者だ貴様ッ!! ティキの、神の力を超えるだと!? あり得ない、有ってたまるかッ、不完全な者の分際で」

 

【………クッハ】

 

 口元を吊り上げ、血を流しながら笑う。

 

 響は愕然となりながら、アスカでは無いアスカを見る。

 

【不完全? 完全風情が理想に敵うはずないだろう】

 

「なに!?」

 

【完全が故に不完全だと言う事にも気づかない人形風情が、たかが力を得ただけで支配するなぞ。神程度が理想の前に立ちふさがるなッ、大人しく壊れろガラクタ】

 

 その言葉にアダムが炎をまき散らすが、それに炎を無力化する為、炎の逸話を持つ幻想を取り出し、全てを使い捨てる。

 

「アスカ?」

 

 響がサンジェルマンと共にいて、その様子を見て叫ぶ。だが答えない。

 

【我は幻想、理想、不完全な形が無い担い手だ。世界有る限り有り、終わり始まり、始まり終わる矛盾。理想の聖杯足る我が力、まだ欲するか】

 

「!?」

 

 それは、まるでいまここにいるのはアスカでは無いような言い方であり、それにこたえるように、神経が切れるような音が響き、血流がより流れ出て、身体を巡る光がより発光する。

 

【良いだろう、理想に溺れろ人間………】

 

 無数の刀剣が、折れた物が現れた瞬間、それが己を貫く。

 

「アスカ!?」

「何をバカなっ」

 

 二人が驚くが、光が刀剣を取り込み、血流や真剣が刀剣と一体化する。

 

【………幻想投影(トレース・オン)

 

 ―――幻想内容、神殺し。リストアップ―――

 

 ―――ミストルティン、十束剣、ロンギヌスの槍が概念として有り―――

 

 ―――刀剣には天羽々斬、神度剣、布都御魂剣、天之尾羽張剣―――

 

 ―――保存庫より、閲覧解放、数―――

 

 ―――千―――

 

【神殺しの草原】

 

 エネルギー波の所為で広くなった場所、一面刀剣を初めとした、神殺しの概念を持つ武器が取り出された。

 

「なっ!?」

 

【ロンの槍の閲覧で、ガングニールもリストアップされていた。なるほど、あの日黄金錬成での攻撃は、装者では無く、神殺しのリストを知られることを危惧しての行為か人形】

 

「くっ」

 

【まあ、響を前に出させる気は………無イッ】

 

 無数の刀剣を持ち、ティキに迫る中、呼び寄せたチャリオットに乗り接近する。

 

 それに腕を引き抜き、剣のように斬りかかるが、それをサンジェルマンが立ちふさがった。

 

「貴様ッ、邪魔をするなッ!!」

「いま動かずッ、いつ動くッ!?」

 

 その叫びの中、響も立ち上がり、ティキへ拳を握りしめ、接近する。

 

 二人の攻撃を受けたティキ、一度は無力化の現象を引き起こすが、傷は癒えず、悲鳴を上げた。

 

【更なる幻想の閲覧を開始、原初のルーン並び、英霊より閲覧。ゲイ・ボルグ並び、捕縛の神殺しを顕現】

 

 無数の鎖がティキを捕まえ、紅い槍を取り出し、それを投げ、貫く。

 

『イッヤァァァァァ、アタシを縛っていいのはアダムだけなのぉぉぉぉぉぉぉ』

 

【知るか、神殺しに怪物の力を顕現ッ】

 

 巨大な剣を取り出し、響はそれを見て拳を構える。

 

「くっ、止まれ神殺しィィィィィィィィィ」

 

 だが二人の攻撃が止まらないことを知り、その両腕を広げた。

 

「ハグだよティキッ、神の力を手放して!!」

 

 その時、本体であるティキと言う人形が離れ、アダムの元に行こうとするが、

 

【逃がさんッ】

 

 刀剣が巨大な肉体を切り刻み、響の拳がティキを砕く。

 

「やったかッ!?」

 

 サンジェルマンはそう叫び、響は地面に下り、すぐにアスカを見て側に駆け寄る。

 

「アスカッ!!」

 

【―――】

 

 ぶつぶつと何かを呟きながら、だがそれでも側により、そして抱きしめる。

 

「アスカ、アスカッ。アスカアスカアスカアスカアスカッ」

 

【―――………】

 

「お願い、アスカッ。私の、私の知ってるアスカはアスカだけなんだよ!! 聖杯とかわかんないこと言わないで!!」

 

【………】

 

「アスカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 その瞬間、力が消え、貫いていた刀剣も消え、血の流れは止まる。

 

「アスカっ!?」

「ふうよかった、まだ自我があったのか」

 

 マーリンと奏がその場に現れ、その言葉に響はアスカの顔を覗き込む。

 

「アスカぁ?」

「………悪い、少し頭ぶっ飛んでた………」

 

 その言葉にアスカの名前を呼び、抱きしめる響。それを抱きしめ返す。

 

「マーリン、聖杯とリンクして分かった。テメェ覚えてろよ」

「………それでいいならいいよ」

 

 そう微笑む中、

 

『アダムーーーー』

 

 その言葉に全員が武器を構え、それを見る。

 

 上半身だけのティキがアダムへ両腕広げていた。

 

『アダム好き好き大好きっ、アタチ達も愛し合おうっ、ハグハグしよーーーーー抱きしめて、ドキドキしたいのアダムーーーー』

 

 そう言う中でアダムは、

 

「恋愛脳め、いちいち癪に障る………だが間一髪間に合った」

 

 そう言ってティキを蹴り飛ばし、己の引きちぎった腕を掲げた。

 

「人形に神の力をッ、この時こそ僕は至る!! 新たな雛型へと!!!」

 

 粒子のように待っている神の力を見て、まずいと、

 

「マーリン仕置き嫌ならエネルギーを別に移せッ」

 

「無茶言うなッ、いくらなんでも私はただの魔術師だよ!?」

 

「ならッ」

 

 響達から離れ、二人はすぐに動く。一人は慣れない魔術で、一人は先ほどまで深淵にまで使っていた己の魂の力を取り出す。

 

 だが、

 

「!? なぜだ………どういうことだ」

 

 アダムに一向に宿る気配は無く、二人も怪訝な顔のまま攻撃を放つ。

 

 舌打ちしてその場から飛び避け、二人は粒子を見ると、すぐに別の場所へ。

 

「へ?」

 

 それは響のもとに集まり、そして、

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

「なっ、響ッ」

 

 駆け寄ろうとするが、光が輝き、アスカを吹き飛ばす。

 

 ほぼギアが消し飛び、上半身が裸になりつつも、剣を取り出し、着地した。

 

「アスカッ、響ッ。おい!!」

 

「待ってくれ………こればかり、私も見ていないッ」

 

 奏が睨みながらマーリンを見たが、マーリンも有り得ないものをいま見たような顔で驚き、その光景を見た。

 

「有り得ない、そんな」

 

「宿せないはずだ………穢れなき魂でなければ、神の力なぞ!!」

 

 アダムがそう叫び、光が響を連れ、繭のようなものを作り出した。

 

「生まれながらに原罪を背負った人類に、宿るはずなぞ………」

 

 その時、マーリンとアスカはお互いを見た。

 

「おいマーリン………響そう言えば、聖杯の水からオレと共に這い出た気があるんだが」

 

「奇遇だね、私もそう言えば聖杯云々もあるけど、彼女に神の力が付与される可能性があることに覚えがあるんだけど」

 

「あーオレも………」

 

 色々ありすぎて、もうどうすればいいか。

 

 

 

 なぞ、

 

 

 

「一つしかねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 繭化する神の力へ、全ての力を纏いながら、飛び上がる。

 

「マーリンッ、許してやるからよけいなことすんなと言っておけッ!!!」

 

「なっ!?」

 

 光に飲み込まれる二人を見ながら、マーリンは苦笑する。

 

「私を信じる? 君って奴は………」

 

 そう呟きながら、繭を見つめ、静かに見守った………




作家たちは危険だから近づかず、遠巻きに見てました。

シェイクスピア「もはや我々は」

アンゼルセン「出番が無いな」

お読みいただき、ありがとうございます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。