少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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今回少し長めです、これも星と霊長が悪いんだっ。

どうぞ。


58話・歌姫の聖杯

 前の戦い。結果的に対処は成功するが、ギアが対消滅の反動でクリスとマリアのは調整に入り、キャロルとエルフナインは仕事部屋で付きっ切りなった。栄養価の高いスープなどを用意しておくことにした。

 

 装者組も英霊連合はいないため、仮想ノイズでのトレーニングに入る。

 

 軽い食べ物を用意してながら、モニターでトレーニングの様子を見る。いまは翼と調がユニゾン特訓をしているが、

 

「緒川さんか」

 

 一般人の動きでは無く、アサシン系統の忍者が画面で調と戦っていた。

 

「………一般人ってなんだろう」

 

 調が無数の丸鋸を放つが、空蝉の術で躱された。だが命中したことを考えて、やりすぎの為に、トレーニングが止まった。

 

 その時、調の顔色が悪い。

 

(調のユニゾンだけ、切歌以外まともに機能してない、か)

 

 そう思いながら、別の場所に装者が移動することになった。

 

 レイライン関係、敵の思惑を調べるために移動する。

 

 

 

「兎が多いな」

「デスデースっ♪」

 

 神社は狛犬の代わりに、兎が多い。神社に来て、周りを見て回る。

 

 ここに来る前の道中のことを思いだす。

 

「神、いずる門の伝承ね」

 

 バイクに乗りながら、装者全員で移動する。パヴァリア光明結社は大掛かりな錬金術を使用する可能性があり、それは神関係。

 

 キャロルもレイライン、竜脈を使った錬金術の可能性から、無関係と切り捨てられないと、こうして出向く。

 

 そうしているとここの神主さんか、老人が現れ、中へと案内される。

 

「いやいや、皆さんを見ていると、事故で死んでしまった娘夫婦の孫を思い出しますな」

「いや、うちら上から下までバラけてるぞっ」

 

 クリスはそう言いながら、とりあえず中に入り、話を聞く。

 

 ここを初め、他の神社。関係する場所を繋げると、オリオン座のように星座がレイラインでできあがり、それが神出門というものらしい。

 

 敵の目的は神の力を得ることであり、あまり無視できない。キャロルもレイラインを用いて錬金術を行おうとしていた。

 

 門よりいずる、神の力と伝承、古文書なり、色々見せてもらう。

 

 

 

「でだ、神社に泊まることになりました」

 

 女の子八人+男一人で泊まるのだが、

 

「それでは、ここを好きに使ってくださいね」

 

 そう笑顔で言う神主さんに何も言えず、大部屋に布団が九人分引かれていて、全員が顔を背け、どうするか悩む。

 

「どうする」

「いまさらアスカだけ男だって言えないわよっ」

「ならアスカもここで寝るしかないな」

「お、男の子と一緒に寝るの奏っ!?」

 

 マリアが真っ赤になりながらそう言いながら、とりあえず本人は静かに心を無にしている。

 

「とりあえず、アスカの隣は私で」

「響、そこは翼にしたいんだがあたしは」

「なんでなの奏ッ!?」

「仕方ないですね、私が隣に」

「セレナっ、そんなの私が許さないわよ!!」

「なら私が隣に寝るデス」

「切ちゃんの隣は私だよ」

「………オレは男のはずだ」

 

 結局端っこになり、奏が隣に寝ることになる。

 

 

 

(ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ)

「すー………」

 

 なぜか切歌が隣にいて、抱き着いている。色々見えて、そして抱き着いているため、触れているし感触がある。

 

(この子はッ、いやこの装者どもぉぉぉぉぉおおお)

 

 調と翼はいないが、響もはだけているが、クリスが………

 

(殺されるッ、見たぞ物凄くッ。なに!? もしかして全員付けてないッ!!? 着物の寝間着だからっておいぃぃぃ。助けて、とりあえず抜け出て、外に出る)

 

 その時、クリスや響を思いっきり見た。

 

 奏も爆睡していて、マリアは古文書の和紙を鷲掴みにしている。

 

(うまいことやれと誰が言ったこの子はッ)

 

 このままとはいかず、外すと今度は自分を捕獲して技をかけて来る。

 

「んんっ」

(マリアぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、色々、色々触れてっ。だめだってぇぇぇぇぇ)

 

 抜け出した時、着物がはだけて見てしまう。静かに出て、戸を閉じ、その場に縮こまる。

 

「………俺殺されるかもしれない」

 

 翼と調がいないが、報告か何かだろう。自分はとりあえず、

 

「着替えてコンビニで時間潰そう」

 

 そして近くのコンビニを検索して、夜の街に出る。

 

 

 

 それがこんな事態になった。

 

「ヒポグリフッ」

 

 ギアを纏い、高速道路を利用する錬金術師、プレラーティと呼ばれていた者と対峙する。

 

 けん玉のようなもので走行する様子に、何でもありすぎると思いながら、ヒポグリフで低く飛行しながら、迫る。

 

「シンフォギアっ、お早い登場なワケダっ」

 

 忌々しくそう言いながら、紅い槍を取り出し、静かに手綱を伸ばし、取り出す。

 

 それは戦車、チャリオット。

 

「それは」

 

「英雄の中にはチャリオットに乗り、戦場を駆ける者がいる。オレの愛馬はヒポグリフっ、久しぶりだ、暴れるぞ!!」

 

 ぶつかり合いながら、炎を避けつつ、車に迫る攻撃は弓で消し飛ばす。

 

「貴様は何者だっ、そんなの錬金術ですら無いワケダ!!」

 

「ただの戦士、守る力があれば、オレは、オレは」

 

 拳銃を取り出し、乱射する中、バイク音とローラーの音が鳴り響く。

 

「援軍なワケダっ、消えろォォォォォォォ」

 

 攻撃を避けながら、二人も何か話しながら、錬金術師の様子に、何か引っかかる。

 

「テメェら、神の力ってもんで月の遺跡を掌握する気みたいだが、これはいったい。いまは静かに行動するのが定石だろ!!?」

 

「それを貴様に説明するいわれはないワケダっ」

 

「このまま放って住宅地に入れるわけにはいかないッ、討たせてもらう」

 

「やってみるワケダ!!!」

 

 トンネルに入った瞬間、炎が巻き起こし、それをアイアスでガードする。後ろを見ると、イグナイトモジュールが発動して、二人が加速する。

 

 バイクとローラーで二人が隣に来た。

 

「アスカ、援護を頼むッ」

「任せてアスカッ」

「応ッ」

 

 その時、二人のギアが僅かに光が強くなる。

 

 手に持つ弓矢や装備が共鳴したように見えたが、その前に、

 

「よそ見は禁止なワケダッ」

 

 水が洪水のように押し寄せるが、無数の剣を取り出して、

 

「頼むぜ」

 

「ああ」

「任せて」

 

 剣を駆け、二人を前に出す。

 

 僅かに身体が揺れた気がした。

 

 

 

 ――花の魔術師

 

 

「で、彼女?も回収っと」

 

「あーた、私達を生かして、なにする気なの」

「で、生きていたワケダ」

 

 不満そうなプレラーティは、花の空間で閉じ込められたカリオストロを睨みながら、辺りを見渡す。

 

「脱出は?」

「試みたけど、一切合切だめなのよぉ~もともと死んだふりするつもりでもあったけど、その前にそいつに捕まった」

「………詐欺師が」

「仲間の為なら、なんだってやるわよ」

 

「君らって、仲間の為に自分の命賭けるんだね。まあ、だから最悪の時、動かせそうだけど」

 

 そう微笑む私は、一定の距離を取る。空間の感覚を狂わせ、近くにいて遠くにいる。攻撃は届かないし、何もできない。

 

 二人の錬金術師は睨んでくる。

 

「あーた、あーしより胡散臭いわね」

「あの男と同類なワケダ」

 

「ひっどいな~………私はただ一つ、グランド・オーダーに、しかるべき者として応えるだけだ。悪いも良いも関係なくね」

 

 そう言いながら、静かに、魔術陣を作り出す。

 

「!」

「レイライン、いや、基本は錬金術じゃない」

 

「ああそうさ、これは魔術。魔術経路を利用したものさ」

 

 それはいくつかと強く結びついて、一つの核に、六ケ所の六角形の陣を作れるような形であり、これはこの世界のフォニックゲインと言う波長にも見える。

 

 というか、そうしている。

 

「苦労したんだ、この世界の聖遺物と波長を合わせるため………っと」

 

 黒い闇から、死と共に現れたのは、同じ位を押し付けられた彼を感じ取る。

 

 彼からも空間の距離を狂わせているのだが、意味が無い。

 

 だけど、彼に斬られる気は無いけどね。

 

「汝、何が目的だ」

 

「知っているはずだ、私は星と霊長からのオーダーで、理想の聖杯を生み出すように動いている。ほんっと、いい加減にしてほしいね」

 

 そう言うが、一粒の剣が放たれた。

 

 黄金の、名の無き宝具。それは、

 

「これは、英雄王」

 

「ふん、花の魔術師。貴様、何を企てている?」

 

 黄金の鎧を着こむ、英雄の王は静かに笑い、それだけですまない。

 

「………アサシン、いくらなんでもこれはいかがなものだろうか?」

 

「悪いが、骸と化し、すでに人の身では無い身。それ故にこそ、盟約は守らなければならぬッ」

 

 おっと、いまだに彼にちょっかいかけていることが、彼の逆鱗に触れているようだ。

 

 だからって、

 

「天文台の魔術師と契約した英霊を、こうも招き入れるなんて」

 

「それもまた、彼の魔術師の意向よ」

 

 古きファラオが太陽の威光を放ちながら現れ、そして、

 

「がっははははっ、あの若造もやはりと言うことよっ」

 

 征服王と呼ばれし男が豪快に笑い、褐色の男は双剣を構えながら現れ、太陽と共に、施しの英雄も静かに槍を構える。

 

「すでに召喚された我らなら、如何に星と霊長であろうと、使えないよのう?」

 

「ああ。まったくもう、こうもおっかない人達を寄こすなんて………少しばかり予想外さ」

 

 その瞬間、紅い槍が自分の心の臓を捕らえ、放たれる。

 

 だがそれは花びらに張り、薔薇と成り散る。

 

「チッ、魔術か」

 

「影の女王、それに」

 

 旗がついた槍をなびかせる、裁定者たる聖女が見据えて来る。

 

「ほんと、全員が全員、本気かい?」

 

「くっくっくっ、まあ、(オレ)にとってはどうでもいいが………我が宝物庫に理想の聖杯と言う物を置くのも悪くない」

 

「英雄王っ」

 

「しかるべき物をしかるべき者が得て何が悪い? だがいまはその話より、この男を殺すのが先だろう」

 

「………ああ」

 

 死の気配を放つ彼は、私の世界を死で満たす。

 

「やめてほしいねアサシン。私は星と霊長の名のもとで動いているんだ。そもそも乗る気なんてこれっぽっちも無いよ」

 

 そう微笑みながら、

 

 

 

「だいたい、ただの人として生きていた彼を殺すと言うオーダー事態、本当にどうかって思うよ私も。うん」

 

 

 

 私の言葉に、全員が驚き、征服王が聞く。

 

「貴殿、いまさらなにを言っておる? 余達は理想の聖杯の恩恵をかすめ取ろうとする貴殿らを止めに来たのだぞ?」

 

「えっ? それはそれは。ずいぶん遅い対応だよ(・・・・・・・・・・)

 

 それに全員が驚き、太陽のファラオは勘付き、嫌な笑みを浮かべた。

 

「まさか、そもそも龍崎アスカが生まれ出たのは」

 

「そ。たかが聖杯の一つ二つ、それくらいで抑止から大事な魂が取られると思う?」

 

「こりゃ、参った参った」

 

 征服王は静かに、そして、血管が浮き出るほど怒りをこみあげて問う。

 

「貴様ら、初っから平行世界の娘っ子の純情を利用して、理想の抑止をこの世に生み出させたなっ。ご丁寧にその前の人間は、タイミングが合うように調整して殺した。違うか花の魔術師ッ」

 

「ああうん? まさかと思うけれど、ただの携帯電話を通じて聖杯とアクセスできるとか、本当にできると思う? 私がアクセスするパスを作ったんだ」

 

 それには何名かの英霊か怒り狂いそうなほど、こちらを見る。

 

 彼もまた、

 

「ならばなぜ初め、龍崎アスカの首を取れと命じたッ!? よもや」

 

「どうやらそのようだぞ、暗殺教団の始祖よ。星も霊長も、より強固な聖杯を作るために、あえて貴様らをけしかけたのだろう。成長、聖杯との繋がりを強くするために」

 

 英雄王様の言葉に、死の殺気が一層強まり、他の英霊からも殺気を感じる。

 

「マーリンっ、まさか理想の聖杯と言うものを手にすると言う抑止のオーダーの為に、貴様はただの人を殺したのかっ!?」

 

「ああそうだ、『ただ』の人間さ。いてもいなくても、いいじゃないか?」

 

 そう、彼は別に大成も何もしないだろう。淡々と生き、淡々と死ぬ。

 

「ま、それを私や抑止力が決めるのはどうかと思うけどね」

 

 私が言うのもなんだけど。

 

「君も知ってるはずだよ、古き王よ。理想の聖杯がどのようなものか」

 

「確かにな、だがそれ故に解せんなッ。あのような物、ウルクを初め、すでに世に出た聖杯に比べれば使いにくいはずだ」

 

「どういうことだ英雄王」

 

「言葉通りだ贋作者(フェイカー)っ。あれは(オレ)のエアと同じ、あまりの威光により、最大は使用できぬ物。使用すれば抑止どもがしゃしゃり出る」

 

 そう、それが理想の聖杯。

 

「りそうのせいはい?」

「話が読めないワケダ」

 

 錬金術師の二人が困惑するから、仕方ないので、説明する。

 

「ここで分からない人がいるだろう。理想の抑止力、龍崎アスカが使う力。それは理想と言う概念を形にして振るうこと」

 

「そうだ、だからこそ龍崎アスカは、この世の聖剣、魔剣、魔槍、弓矢、盾も何もかも、全て利用し、いくつもの同じ物を持つ」

 

「ああ、だけどおかしいよね? 都合良すぎる(・・・・・・)

 

 それにはアサシンが前に出ながら、

 

「理想の抑止力、それは平行の世界で戦った、英霊になれなかった英霊の血と、彼らを慕う者達の涙を救う聖杯より生まれた物。では無かったか?」

 

「それ嘘」

 

 死が放たれたため、少し焦って避けた。ああ分身が散ったよ。

 

「ではなんだ?」

 

 姿を見せると斬られるなこれ。

 

『簡単さ、理想と言う概念全てが彼の力なんだよ』

 

 声だけ響かせ、全員が首をかしげながら、英雄王ギルガメッシュは静かに、

 

(オレ)の知る理想の聖杯は、人が己が届かぬ願望を抱き、意味も無い戯言を口にする不愉快な物だったはずだ。他人に全てを押し付け、己は願望しか言わぬ。弱者ですら無い雑種ども、夢物語を糧にする幻霊の力」

 

『ああ、そうだとも………』

 

 私は、

 

 

 

『だからこそ永劫に在り続ける』

 

 

 

 それに全員が驚き、ギルガメッシュ様は少し考え込み、ハッとなる。

 

「いや、まさか………そのような、いや、だからこそッ、故に欲するか世界よッ!!」

 

「どういうことだ英雄王ッ」

 

「理想の抑止力は、その辺りに息をする雑種どもが、勝手に作り上げ、勝手に崇め、勝手にねつ造し、己の都合に合わせた願望を力として存在する幻霊。それを殺すとしたら、それは」

 

「………私と同じ、死の概念が無いのかッ」

 

『ああそうだよ、影の国の女王スカサハ。幻霊グランド・セイバーこと、理想の幻霊は死なない。死ねないが正しいかな? だって理想なんだ。人が、世界が、生命がいる限り、理想はけして消えない。故に死ねない、ずっと在り続ける』

 

 それを聞き、守護者は剣を構えながら、周りを見渡す。

 

「ならば、その幻霊が使う力は」

 

『この世と言う概念がある限り、永遠に底が無い神秘の塊。永久機関さ』

 

 星が創り出した、神が創り出した。なんて優しいものではない。

 

『神も星ですら作れない、完全なる永久機関。永遠に神々達ですら扱えない純度の魔力を生み出し続け、保管するのが保管庫であり、理想の聖杯の正体さ』

 

「神々ですら扱えないだとッ」

 

「馬鹿なッ、神ですら手に余る物を、幻霊が扱っていると、いや、いまは人の身である龍崎アスカが利用していることなぞできるはずがない!!」

 

 その叫びに、そうなんだけどねと言いたいけど、

 

『いや、だって彼は』

 

 

 

 ―――理想の聖杯の中身なんだもん―――

 

 

 

「………ああ」

 

「なるほど、確かに暴走も何もないな」

 

 冷や汗を流しながら、つまるところはこうだ。

 

『理想の抑止力は、理想と言う概念を魔力に変換する一種のシステムさ。その結果、世界と言う『全』と言う意思がある限り、永劫に『一』として、永劫に戦い、永劫に終われないモノのことを言うんだ』

 

「本人が聞いたら、またややこしいと愚痴りそうだ」

 

 そう守護者が言う中、騎士王が呟く。

 

「永劫の全なる一として、永劫に世界の都合を、運命を調整する永久機関。神々の物語、英雄譚、世界史、人類史。全ての物語の調整者。狂っているとしか思えないシステムです」

 

「ああ、カウンター・ガーディアンと言う私の立ち位置ですら生易しく感じる。記憶のリセットがあるが、それがあろうが無かろうが、抑止は世界を抑制する為に永遠に使い続けるものだろうな」

 

 忌々しく言う中、聖女は叫ぶ。

 

「なら星と霊長の目的は何ですかッ。別段、そのままにしていても問題なく、それは機能しているシステムです。貴方は彼らに、何をオーダーされたのですか!?」

 

『グランド・セイバーの創造、それが彼らのオーダーだよ』

 

『んーーーーーーいい感じに筆が躍りますぞっ、花の魔術師殿っ』

 

 おっと、共犯者の彼の声まで拾っちゃった。

 

「その声は、シェイクスピアッ!?」

 

『数多ある全の為にある一である、幻霊理想。彼はいま独立した一に成るために動き出すッ。血の歌姫の戦慄によって!!』

 

「血の歌姫? 聖遺物を纏う、少女達か」

 

『ああそうだよ』

 

 彼と共に姿を現す、彼はいま書き上げている。

 

「なにか書いてるワケダ」

「あれって」

 

「君達錬金術師と歌姫達の物語ッ、それに割り込みしは、けして人類悪の前では、別の登場人物として現れる幻霊理想!! だがしかし、それで世界を救えるか星と霊長は考えるのですよ?」

 

 彼はオーバーに手振りで、まるで司会者のように叫び続けた。

 

「そう、もっと安全策が欲しい、この力、永久機関の幻霊を使い続けるにはどうすればいいか!? そうともッ、違う世界を犠牲に、英霊理想の幻霊を生み出せばいいッ」

 

 その言葉に、合点が言ったと言う顔に成る。

 

「あ、貴方達は………彼を理想の聖杯に換えて、それを英霊の座に登録しておく気なんですか………魂の無い、力だけ吐き出す聖杯を」

 

「そうだよ、やれやれだ。つまるところ」

 

 本来の世界では人類悪などが出る場合、すでに登場人物としている為、召喚されない冠位剣士。

 

 それは世界と言う全があれば、永遠に戦い、永遠に力を使用できる永久機関を持つ一。

 

 それをもう一つ用意できないか?

 

 ならば異世界に器を生み落とさせ、聖杯に換え、我々が管理する。

 

 彼が別の登場人物として居ようと、別の世界で作られた肉体なら問題ない。

 

 魂は登場人物で、聖杯は別の世界でできた肉体で使用。聖杯はシンフォギア世界でできた、龍崎アスカと言う人間でできている。魂は要らない。

 

 ただ蛇口として機能すれば、龍崎アスカで無くてもいい。

 

「肉体も結局、正史世界じゃただの人として処理される。平行世界では聖杯の中身に変換しなければいけない。だけど龍崎アスカはどちらでもないんだ、だから」

 

「だからと言って、好きに使っていいとでも!? ただ器として、人格が壊れながら聖杯の力を吐き出すだけに生まれたと言うのですかっ」

 

 そう、いま作ろうと言うモノは、そういう聖杯なんだよね。

 

「そうだよね~私もそう思うよ? けど、オーダーだからさ、仕方ないし、第一ね」

 

 静かに私はきっと変わらず微笑みながら、

 

 

 

「だって彼、私達の世界の人間じゃないじゃん? 最後がどうなろうと、無関係じゃないか」

 

 

 

 それが星と霊長が私に定めたオーダーだ。

 

 それに同じ冠位暗殺者である、彼が斬りかかる。

 

「やっぱ無理」

 

 そう言った途端、無数の花びらが舞い上がり、逃げ出す。

 

「貴様ァァァァァァァァァァァァァァァ、この我に、彼の者に、偽りの保証を言い渡させたのかッ。首を出せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ、マァァァリイィィィィィン」

 

『怖い怖い。彼はいまのところ、聖杯化にだいぶ近づいてる。だって、もう四人の聖遺物によって、器が完成しつつある』

 

 自分から流れ出る聖杯の中身。それが歌姫達を使い、この世界への入り口として機能している。

 

『いま絶刀・天羽々斬、魔弓・イチイバル、銀腕・アガート・ラーム、塵鋸・シュルシャガナが、彼から聖杯の力を引き出してるんだよ。このままじゃ、彼………』

 

 この時、私はどんな顔してるんだろうね。

 

『聖杯の中身として、永遠に力を吐き出しながら戦う、物に成り果てるんだよ』

 

 ガンッと言う扉が無理矢理閉じる音が鳴り響く。

 

「助かったよ、君らがいたから、変な空間じゃないって思ったみたいだ彼ら」

 

 そう言い、錬金術師たちを開放する。もう興味ないからね。

 

「あーたまさか」

「私達は囮だったワケダ」

「ああ、おかげで厄介な者達は閉じ込められた。さあ」

 

 彼はどんな最期を遂げるんだろうね?

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 

「調?」

「あっ、ごめんアスカ」

「どうしたんだよ」

 

 少しボーとしていた調。調神社の石碑を見ていたようだが、

 

「ああ、つきって読んで調神社ってのが珍しいのか?」

「うん………少し」

 

 もらったお守りを見ながら、バイクに乗る準備をしている。

 

「なら全部終わったら、連れて来てやるよ。なんか引っかかるんだろ」

「うん………えっと、いいかな?」

「いいよいいよ、問題ないって」

 

 そう言いながら、ぼりぼりと頬の傷をかく。それに少しだけ頬を赤くして見る調。

 

「まだ治らないの?」

「ああ。てか傷が最近治らないんだ」

「そうなの?」

「別に血が流れ出てるってことは無いけどさ」

 

 そう言えばホント治りが悪い。

 

 そう思いながら、ヘルメットをかぶる。

 

「ま、気にするな。どんなに血が流れ出てても」

 

 

 

 その時、調の顔が、真っ青になっていた。

 

 

 

「オレは必ず、死んでも守り続けるさ」

 

 

 

 いつものように言った。はずだ。

 

「あす、か? なんか変だよ?」

「変? なに言ってるんだよ、いつもと変わらないだろ?」

「なんて言うか、冷たいとかそう言うんじゃなくって」

 

 それに服を掴みながら、

 

「本当に死んでも戦い続けそうで、怖い」

「あのな、んな」

 

「調ーーー早くするデーースーよーーーー」

 

「ほら呼んでる」

「う、うん………ごめんね、それじゃ」

 

 顔を青ざめながら、ちらちらこちらを振り返る調。なんなんだか………

 

「ったく、なに考えてる」

 

 んなこと………

 

 

 

(アタリマエだ、オれハ、死ニ続ケても、永劫にたたカう)

 

 頭の片隅で、何かがずっと液体が流れる音が聞こえる。

 

 なんだろう? オレは最近、何か忘れちゃいけないこと………

 

 まあいいか……




全てが終わり、また神社で寝泊まりする。

調(アスカのにおい………におい、アスカ。アスカッ)覆いかぶさりながら顔を埋める

切歌「むぎゅ~デスゥ………」アスカに抱き着く

奏「ぐ~」アスカに抱き着く

アスカ「んん………はな、して………マリア………やめ」悪夢にうなされる

マリア「そう、あなたは変な夢は私が出るのね」ハイライトが消える

クリス「………」はだけた寝間着を静かに見て、アスカを見る

翼「どうやら、これの出番が………」紙を取り出す

セレナ「私の、抱き着く場所が無い………」目からハイライトが消えるが、アスカを見る

響「もう食べられないよアスニャ~………」寝てる

お読みいただき、ありがとうございます。

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