つまり鯖は全員います。
藤丸立香はもう普通の世界に戻れない。
マシュと幸せになって欲しい、孫の顔をマシュの子で見せてあげて。
マーリンを捕獲し、緒川さんに渡して汗をすぐに流す。
包帯を替える為、鏡を見ながらだが、
「………まだ痕あるってすげぇな」
しっかりと噛み痕はまだあり、怪我なのでしっかりしておく。
着替え終えて、みんなを持っていたら、司令、風鳴弦十郎と共に、全員が現れた。
「司令? どうしたんだ」
「決まっているだろッ、特訓だ!!」
まず目の前の理不尽に驚こう。
「気を付けろッ、敵は人じゃねぇからな!! 平行世界ではギリシャの大英雄の超狂化を跳ね除けたし、こっちじゃ死そのものの暗殺者教団の初代様と渡り合ったモノホンの化け物だッ」
そんな忠告も意味なく、マリアは何かギャグのように吹き飛び、響も飛び、翼は指で白刃取りで飛び、クリスは弾幕をすべて回収されぶっ飛び、切歌と調はコンクリ破壊の余波で吹っ飛び。
「人間じゃねぇ………」
「英霊ですね? 司令さん英霊ですね?」
「いや、旦那は人間だ」
そう言いながらも本気じゃないのを見ながら、
「後は奏、セレナくん、アスカッ。全員の中でイグナイトも愚者の石の加工もできない特殊な品。君ら事態が強くならなければいけない!!」
「分かっているが、本気出し過ぎると殺すんだよッ。こっちはさすがに宝具、人の身超えた神秘だぞ!!」
だが、
「ならば、我が相手を進ぜよう」
全員の背筋が凍り付き、アスカが困惑する。
暗闇がいつの間にか現れ、そして、
「久しいな………」
「なんでさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「私が呼んだよ」
「俺が頼んだッ」
「旦那っ、なにマーリンに頼みごとをっ」
吹っ飛んでいた装者もびっくりする中、その中で、背後からの気配に気づく。
「清姫?」
「はい、不肖清姫。貴方様の後ろに」
すぐに飛び出し、トレーニング室の扉へ斬りかかり、逃走を試みるが、
「大変だみんなッ、開かないってレベルじゃねぇッ!?」
「はっはっは、色々強化済みだっ。英霊の皆さんに感謝しなければな」
「アスカ様、逃がしません。さあ、さあ♪ 少し物陰に来てくださいな………」
そう腕を組み、豪快に笑う司令に、耳を疑った。
瞬間、現れる影達により顔が引きつる。
「私の力が必要らしいので来ました。思いっきり来てください」
そう言い、血管浮き出て握りこぶしを作る聖女マルタ。
「ふむ、槍は一人か。まあ適材適所か」
紅い槍を二つ持つ、影の女王。
「任せてください」
星より生まれ出た聖剣を所持する、騎士王。
「ローマである」
ローマ。
そしてクロエが、
「で、特訓ってこ・と・は………」
唇をなめる少女。
「王の名の下、いざ」
太陽の騎士。
「王として、褒美を与えようッ」
砂漠の神王、太陽の化身。
「まさかこんなことがあるとはな」
施しの英雄が、
「………」
授かりの英雄と共にいる。
もうトップサーヴァント達に対して、
「暇ッかアアァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!?!!??!!」
約一名、全員の出生を知っているため、ただ一言、異世界に来るなお前らと言う意味を込めて、叫んだ。
それに対して否定しないと何名かが言い、向かってくる。
隙あらば連れてかれる。何名か獣のように目つきで迫った。
「デスデス………デスデス………」
言語を失った切歌はそう呟きながら張り付いている。調もまた震えながら腰に張り付いているが外せなかった。
響はマルタに連れていかれた。まだやれそうだから、少し連れてくわ~とノリが軽く、響はそのままどこかに連れていかれた。
騎士王といまだ斬り合う翼であり、ガウェインは二人にドリンクとタオルの準備をする。
クリスはマリアと共にテーブルに倒れ込んでいて、セレナと奏は魂が抜けていた。
そして清姫は食堂の人と仲良く会話しながら、料理を作って持ってくる。
「アスカ様、お食事はたくさんご用意しました、全て残さず食べてください♪ 出ないとほぼ全員でお部屋に攻め込みます。他の方もです」
「デスデス………デスデス………」
「………目的はなんだ」
清姫はそう呟かれ、静かに考え込む。
「嘘は言わないので、私は何も言いません」
そう微笑みながら、まだ理想の聖杯でも望んでいるのだろうか? そこにオジマンディアス様が隣に座る。
「なかなか豪快な男よ、気に入ったっ」
「オジマンディアス」
「ほう、我が名を呼び捨てか。いや、汝なら良いか、理想の抑止、我がマスターよ」
そう言いながら、不敵に笑う。本当に何が目的か分からない。おそらく自分らの存在で察することが、自分に課せられた難題だろう。
理想の聖杯が、星と霊長、ガイアとアラヤの狙いだが、確保して何を成す。
(無い物を取り出すのが理想の聖杯と言っていいからな、幻想の中で作られた聖杯だ。都合の悪いことがあれば、都合に合う力でも引きずり出す気かもしれない)
使い道はたくさんある。そう思いながら、彼らを含む特訓をする。プラスになればいいんだが、なるのだろうか?
とりあえず、響が素の状態で林檎を握りつぶした。
――???
クリスとマリアが、とある事情から席を外す中、俺だけがトップサーヴァント達による、特訓を受けている。
何とか全部防いだり、クロエよりもスピーディーに投影もとい、武器を取り出すことができるようになりつつある。
「
「取り出すは無限の星ッ」
「
「
取り出したのは、聖剣全てを纏めて振り下ろす一撃。
全ての聖剣の意味が刻まれた剣の顕現に驚きながら、アルトリアは引く。
「見事です………まさかここまでとは」
「はあ………はあ………オレはこれでも、男ですからね」
取り出した聖剣は保存庫に返還された感覚がある中で、少しずつ保存庫と言う、危険過ぎる力に驚き、狂気に落ちかける。頭を少し叩き、今度は精神を安定させる修行でもするかと考える。
彼らと戦って分かった。個人が、国が持つには大きすぎる力だと理解した。
「ん~」
クロエが少しだけ首をかしげながら、響がマルタとの特訓でタラスクをぶっ飛ばした後に話しかける。
「どうしたのクロエちゃん?」
「そう言えば、お兄さんって、どの抑止力?」
「? 理想の抑止力ではないのか」
翼がそう聞くが、セレナもあっと呟き、静かに会話に参加する。
「私達の世界での抑止力って、アラヤ、霊長の抑止力と、ガイヤ、星の抑止力って分けられてるのよね」
アラヤは無意識下の集合体、霊長の抑止力で、その役割は人類の存続。
守護者と言う、カウンターガーディアンを使い、人類の自滅を回避する。
ガイヤは星の抑止力。星が思う生命延長の祈り、星を守る抑止力。
だが、その話を聞き、翼が首をかしげた。
「なぜだ? いままでの話では、アスカの理想は、その二つの意思から外れていると思うのだが………」
「うん、それよそれ。私もそれが分からないわよ。抑止力として理想の聖杯や、保存庫って言う、遥かに考えつかない力を所持してるんだもの」
「? どういうこと」
調が聞くと、セレナも首をかしげた。
「抑止力として、星と霊長に使われている身ですけど、その二つすら凌駕する力を持ってる………」
「そう、言ってしまえば、主人公でもないのに勇者って言う感じなのよね~」
それに納得できず、もやもやしている。いまだって、星が創り出した聖剣と、その幻想から創り出された形無い聖剣に形を待たせ、それを振るった。
「理想の抑止力だからって、何でもありすぎだから」
「それは当たり前だ」
そう言うは、影の国を治める女王。
「理想の抑止力は、アラヤやガイアの下にいながら、お互いの抑止として存在する」
「デース?」
首をかしげたが、それを無理に治され、スカサハは続けた。
「霊長は人類の破滅の回避、星は星の生命破滅の回避に抑止力が働く。もしもその二つがぶつかるような案件だった場合、どうする?」
「そうか………アスカはその二つが都合悪くぶつかったとき、何が何でも都合よくするため、二つに仕える抑止力ってとこか」
奏がへとへとになりながら呟くと、そうだと紅い槍を回しながら告げた。
「どんな現実も都合よく、理想的に解決させるのが理想の抑止力だ。理想像を押し付けられたとはよく言う。故に奴は最強であり最弱。どうあっても二面性を必ず二つ持つ存在」
「悪役も正義の味方もやらされるか」
「ああ、そして………ここはそこから外れて、最も自由にできる時期だ」
それに少しだけ睨むような顔をする者もいれば、驚く者もいる。
「それって」
「おしゃべりが過ぎたか、まあそう言うことだ。深く考え、そしてあまりあれには頼るな。異世界ですら厄介ごとを押し付けられ続けるのは、もはや笑えんぞ」
そう言う。それは、
(抑止はアスカの理想の聖杯を手に入れる気まんまんってことか)
奏はそう思いながら、考える。セレナも、
(アスカさんと言う器から、理想の聖杯を手に入れ、何かあったとき、自分らの世界で使うように用意する………その方法はなに?)
まさかシンフォギアを使い、取り出すなど無い。となると、
(本人が望んで、聖杯に成るしかない。けど………ううん)
もしかしたら、自分の命を聖杯に変換し、聖杯を顕現してどうにかする。などと言うバカなことをする可能性がある。あの人はそう言う人だ。
だからこそ、セレナは盾を構え、
「
時折ペアを替え、装者のデュエットによるユニゾン攻撃を増やす為、連携を合わせたりする中、いつの間にかアスカは外れ、装者と向かい合う。
そんな中、使うのは宝具の数々、山のように取り出した幻想に、響を初め、全員吹き飛ばす。
こうして時間は過ぎていく。
――???
それはとある外交、建物の外で帽子をかぶり、スポーツドリンクを飲みながら用事が終わるのを待つ。ローズピンクの男。
呆れながら建物を見ながら、静かにしていた。
なぜ彼はここにいるかと言うと、
『頼む、側にいて欲しい。外まででいいから………』
雪音クリス、音楽家夫妻の娘で、歌で世界を平和にするため、ボランティア活動している時に、紛争に巻き込まれた。
その際に両親は死亡。その原因を作ってしまったのが、
(あの時、オレらを案内した少年のお姉さん。でいま会話中か)
あの時、オレが剣を使い助けた村人の中にいて、彼女と再会。
現在は一時的に亡命し、国元に戻る前にクリスに会いたいと連絡が入る。いま翼と中で対面している。
その時、クリスに近くまでいて欲しいと言われたので、こうして時間を潰す。
「………助けられなかった命か」
傷の治りもなかなか治らず、少し頬を絆創膏の上からかく。
そんな時、
「………!」
金属音が響き合い、そのエネルギー波を弾いた。
「へえ、ギアを纏わないで剣を使えるのね、あーた」
「男女錬金術師ッ」
一番年上のパヴァリア光明結社。錬金術師が現れ、睨む。
「………そう言うことまで分かるのね」
「テメェ、こんな町中で狙って来るか………」
「あーし達も少し余裕が無いのよ、命は助けてあげるから、大人しく壊れてくれないかしら?」
「悪いが、テメェらのやり方を」
パチと言う音と共に、ギアが身体に張り付く。
その様子に眉を動かすカリオストロ。
「………貴方、ホントシンフォギア装者? 何か様子が」
「………この身は」
無数のアルカノイズを取り出すカリオストロに対して、無数の幻想を取り出すアスカ。
その瞳は竜であり、駆け巡るは歌では無く、魔力であった。
「無限なる夢幻なりッ」
戦いが始まり、クリスと翼と共に駆け巡る中、建物を背にしたりするカリオストロだが、響達が駆けつける。
「このまま逆転劇デスッ」
そう叫ぶが、カリオストロはすぐにアルカノイズのコアを投げる。
それと共に翼とセレナ、調と奏、響と切歌。アスカが、
「また異次元空間ッ、しゃらくさいッ」
無数の槍のような矢を取り出し、またバチバチと身体から魔力が音を立てる。
(なんだ? だがいまは気にしてはいられないッ)
そう思い、全てを貫通する意味を持つ矢を放ち、すぐに出て来るが、
「マリアっ」
ボクサースタイルでマリアと戦うカリオストロの間に、瞬間的に割り込み、拳を短刀で防ぐ。
「まさかの格闘スタイルか、元男っ」
「アスカッ、って、元男なのっ!?」
「錬金術における完璧な身体に変わったの。あーたもそういう意味じゃ、私より可愛い娘になると思うわよ♪」
「オレは男だッ」
短刀と共に、脇差も取り出す。それと共に、身体から電流が漏れ出ているように魔力が出る。
その様子にマリアは、
「アスカ、その状態は」
「分からない、だが、問題ないッ」
頭の中に必要な武器のリストが浮かび上がる。すぐに取り出せる武器と、取り出せない武器や、特徴、能力。そしてその武器を使用した戦闘経験。
それら全てが湯水のようにあふれ出始めている。
マリアはすぐに自分のギアを見た。まるで鼓動するように、アスカの力に共鳴していた。
「アスカだめっ、貴方の力とギアが共鳴しているッ。このままあの魔術師の裏にいる存在に、いいように使われる気!?」
「それでマリア達が救えるのなら、問題ない」
「アスカ」
瞬間、それを持ったまま加速する。斬り合いと殴り合いを繰り返しながら、カリオストロは笑みを浮かべる。
「女の子っぽいと思ったけど、いい男ねっ!!」
「戯言を言う暇はあるのか? このままではオレ達はあんたを殺す」
「あらな~に? 殺したくないって言うの?」
「ああ」
高速戦闘の為、マリアは立ち上がり様子を見る中、拳を避けながら、短刀で防ぐ。
指輪に激突し、ギリギリと音を立てながら、
「殺したくないなんて、夢物語よ」
「オレは理想、理想を叶え、理想に順じ、理想に溺れ溺死する。問題ない、その為ならオレは」
その時、世界が凍えた。
「神も世界も殺し続ける無限の可能性だ」
カリオストロは背筋に冷たいものを感じながら、僅かに笑みを作る。
「ならアダムやサンジェルマンのことは問題なさそうね」
「!?」
その瞬間、格闘戦に入る中、弾幕が張られ、マリア達の元に下がる。
「クリス」
「遅いっ、けどいい顔してるから許してあげる」
そう言うクリスはいい顔になり、クリスが出てきた道を見ると建物で、逃げ遅れた人がいて、見覚えがあった。
それに微笑みながら、
「クリス、マリア、盾は任せろ。行けるか?」
「へっ、問題ねぇよ。特大サービスタイムだっ」
「いいわよ、そういうの嫌いじゃないっ」
「なにをごちゃごちゃとッ」
ハートの形をした光弾を放つが、アイアスで防ぎ、イグナイトモジュールを纏う二人。
「嘘っ、ラピス・フィロソフィカスの輝きを受けて、どうしてッ!?」
「昨日までのシンフォギアと思うなよッ」
「アスカっ、建物と一般人はお願い!!」
「応ッ」
ユニゾンによる、魔弓イチイバルと銀腕アガート・ラームの共鳴を見ながら、盾と剣を壁のように配置する。
そしてカリオストロの相打ち覚悟による、攻撃と激突し合う二人の技。
だが、姉弟の声援を聞いた瞬間、それを貫き、こうしてカリオストロとの闘いは終わった。
「だがイチイバルにも共鳴が起き始めている事、誰も気づかないのは、悲しいね~」
そう私は言いながら、建物の中から姉弟を助け出す雪音クリスちゃん。おや、なぜか背筋が寒気が走ったようなリアクション。若い子は冷やすとまずいのに。
「………あーた何者、あーしを拘束して、なにが目的?」
草に捕まり、魔術の鎖が拘束した彼女?は睨みながら私を見るが、私は微笑む。
「目的? 私の目的は理想の聖杯を、この世界に顕現させることかな?」
「理想の聖杯?」
「うん」
何気ない会話のように、静かに、
「神も世界の意思すら欲する、顕現するものとして、最新にして最古の聖杯。そして」
歌姫の涙と一人の少年の命で生まれるものだよと付け加える。
彼女?は青ざめる。私は至って普通に微笑んだだけなんだけどな~
「ま、とりあえずできなければいいけど。できそうなんだよな~」
「あーたは」
「はい」
それ以上は言わせないように眠らせ、アヴァロンへの入り口を作り、彼女?を入れておく。
来るべき時が来る。
歌姫の涙でできた、絶対無慈悲の聖杯。
「あーあ、嫌な仕事だよ」
そう愚痴りながら、今日は新宿の居酒屋にでも出向くことにしたよ。せっかくハッピーに物事が進んでるのに、あーやだやだ。
そう言って、花の魔術師は夜闇に消えるのでした………
その日の夜、アスカの休憩室前にて。
清姫「アスカ様、わたくし、頑張りました。ですので少しばかりお礼をいただきたく思います」
だが、
清姫「貴方達は」
アン「ユニゾンと言えば」
メアリー「僕達以上の相手はいないからね」
アン&メアリー「「海賊はお宝を逃さないよ?」」
清姫「………ならみんなでいただきましょう」
アスカ「嫌な予感がして逃げた結果がこれだ」
隠れているが、静かにシルエットが、
アスカ「誰だっ」
パライソ「………」
アスカ「お前は………あれ、なんで名前を知ってるんだ」
パライソ「!………いただきます」(嬉しそうに向かってくる
アスカ「変わらなかったっ、ちょっ、やめっ」
インフェルノ「お待ちくださいっ」
アスカ「助かった、助け………あれ? なんでオレ、この人らの名前知ってるんだ?」
インフェルノ「!………この方は私の物です」
アスカ「この人もッ、誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
半泣きで町に逃げるアスカ。サーヴァント特訓は始まったばかり。
アスカ「唯一の救いはアストルフォがいないことです………いえ、求められてるのが恋人関係以上なので、助けて」
お読みいただき、ありがとうございます。彼は逃げられるのか?