少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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52話・錬金術師、シンフォギア、そして宿命

 月下の下、錬金術師を睨むマリア。

 

「ようやく現れたわね、パヴァリア光明結社。今度は何をたくらんでるの!!?」

 

「革命よ、紡ぐべき人の歴史の奪回。積年の本会」

 

 そう静かに、そして熱を込めて告げ、蛇が向かってくる。

 

 銀の剣を振るうマリア。だが、

 

「攻撃が効いてないデスっ」

 

 二人以外は助からなかったようであり、切歌と調は友里達を抱えて逃げ、マリアは蛇を対処。

 

 その時、多くのアルカノイズが現れる中、仕方なく二人を守る魔術師。

 

 攻撃をする中、蛇に致命傷に成りえる攻撃を放つ奏だが、

 

「やったか?」

 

 だが、

 

「などと思っているワケダ」

 

 だが爆炎が晴れる中、蛇は無傷であり、それに驚く。

 

「なっ、効いてないッ!?」

「ノイズと同じ………だけどそれならシンフォギアなら調律で効いてないのはおかしいッ」

 

「ねえねえ、前から思ったけど、調律とかそう言うのってどういうことなんだい?」

「あんたこんな時に聞くことかッ!?」

 

 花の魔術師の素朴な疑問に対して叫ぶ藤尭。それに友里は、

 

「本来ノイズに化学兵器が効かないのは、位相差障壁にて無力化してるのよっ」 

「ああ、世界と空間をずらして、いるのにいない、いないのにいるって言う防壁か。なるほど………卑怯じゃないかッ」

「いまさらだよこの人ッ!!」

 

「ダメージを減衰させているのなら、それを上回る一撃でッ」

 

 銀の刃が嵐のように纏い斬るマリア。弾丸のように星の光を集め、ぶっ放す奏。

 

 その一撃を受けて、蛇の様子を見ると、

 

 無数に空間がずれた。

 

「なっ」

「再生?」

「いや、これは」

 

 錬金術師の一人は微笑み、

 

「なかったことになるダメージ♪」

「実験は成功したワケダ」

「不可逆であるはずの節理を覆す、埒外の現象。ついに錬金術は人智の到達点、神の力を完成させたっ」

 

 だがそれを聞き、やれやれとため息をつきながら、

 

「『王の話をしようか?』」

 

 瞬間、無数の花が咲き乱れ、無数の蔦が蛇に絡みつく。

 

 錬金術師たちが驚くが、すでにナイフのように銀の刃を放つマリア。

 

「いまは」

「ええ、撤退よっ」

 

 攻撃は防がれるが、蛇の拘束は解けない。

 

 逃げ出すマーリン達。それに全員はナビゲートに従い、逃走する。

 

「まあいい」

 

 すぐに振りほどけない蔦を見ながら、蛇を下げ逃げ出す彼らを見逃す。

 

 だが、一人の錬金術師は、白い男に眉を顰める。

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 

「さて………もう少し殴るか」

 

 工場長はすでにボコボコにし、アスカはアルカノイズを切り伏せた。

 

 工場長は無関係の村人を、アルカノイズで囲んでいたが、それだけだ。すぐに無限に剣を作り出し壁とし、すぐに人質を確保した結果だ。

 

 後は気が済むまでボコボコにした。

 

「アスカ、そろそろやめておけ。もうアルカノイズを消したのだから」

「そうだが翼、気に入らないから」

「それに………」

「ん?」

 

 クリスが助け出した村人の一人と、何か妙な雰囲気が流れていた。

 

「彼女は………」

「分からない、いずれ話してくれることを待つしかないだろう」

 

 そう話、後始末をしながら、

 

「ん」

「どうした?」

「いや………」

 

 世界がズレた気がしたが、まあいいかとすぐに切り替える。

 

 

 

 ――天羽奏

 

 

「旦那、帰還したぜ」

「ご苦労」

「ああ、疲れたよ。この歳で高い崖からダイブなんて、やはり運動は私には似合わない」

「ああ、やっぱり本部が一番だ」

「藤尭くん、彼と同じになるわよそれ」

 

 マーリンはあれだからな。友里さんにそう言われて、どう反応すればいいか困っている。

 

 そして持ち帰ったデータを、すぐさま解析に入ることになるが、

 

「マーリン、あれはなんだ?」

「ん? 単純に平行の個体を犠牲に、いまの個体を回復させたんだよ。平行は無限にあるからね」

 

 そうあっけらかんと言うが、それじゃ事実上、無敵じゃないか。

 

「あたしのロンの槍でどうにかできないのかッ」

「できないよ~さすがにね。その槍の本質はだいぶ変えられてるし、元々神代と現実を繋ぎ止める塔のようなものだったのが、封印された状態で改造されたものだ。だいぶ性質は変わってるよ」

「………どういうことだ」

「その槍は本来特別過ぎて、人の身じゃ使えないのが、使えるレベルまで下がっているから、ただの光を集めて槍として機能するくらいしか使えないってことです」

 

 セレナの言葉に、少し納得する。本来の槍なら、どうも持ち主を神にするって、アスカから前に聞いたことがある。となると使えない方がいい。あたしが女神なんて柄じゃないしな。

 

 全員が苦虫を噛むような顔に成る中、一人だけ変わらないベース。キャロルも何か考え込む。

 

「! アルカノイズ反応確認っ、現在空港にてアルカノイズ発生!!」

 

 全員が顔を上げて、司令室に取り付けられた画面を見ると、モニターに映る空港が、いまアルカノイズ達に襲撃されていた。

 

「まさかと思うけど私も行くのかな?」

「時限式はっ」

 

 マーリンの言葉を無視し、マリアが叫ぶ。エルフナインとキャロルは共に顔を見合わせ、

 

「まだ持つだろうが、洗浄せずに出るとなるとリミットが来る可能性があるッ。まだお前達に使った専用リンカーは不完全だ。出るなら早めだ!!」

 

 場所が場所なため、私は本部待機と言うマーリン。だがマーリンは、マリアに首根っこを掴まれ、すぐに全員が動き出した。

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 

 ヒポグリフでの移動中、ずっと隣でクリスは防ぎ込み、手を握っている。全員が黙り、静かにしている。

 

 その時、連絡が入る。空港が襲撃されて、マリア達が万全じゃない状態で向かった。

 

「アスカ、ヒポグリフで行けるかッ」

「問題ない、ただ一人だ」

「なら」

「響」

「へいきへっちゃらッ」

 

 パイルバンカーのように、速効で相手に叩き込む瞬間火力の響を指名し、クリスもすぐに翼と顔を合わせ頷き合い、シンフォギアを纏い飛び降り、響も纏ったのを確認し、

 

「んじゃ、舌かむなよッ」

「えっ、うわっ!?!」

 

 響を自分のもとへ抱き寄せ、ヒポグリフを全速で爆走させる。

 

「求めるは速さッ、一点集中ッ!!!」

「えっ、にゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ―――」

 

 響の悲鳴を聞きながら、目的の空港へ一直線で飛ぶ。

 

 

 

「………見えたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「!」

 

 オレに抱き着いていた響もそれに気づき、すぐに目の前の蛇へ見る。

 

「響ィィィィィィィィィ」

「応ッ」

 

 すぐに足のバンカーが引き上がり、魔竜の力が雷鳴と共に駆け巡る。

 

 二人してヒポグリフを急ブレーキで止め、その反動を全て攻撃へ変える勢いで、蛇へと拳、そして魔剣と王剣を叩き込む。

 

「だが無駄なワケダ」

 

 

 

 その時、錬金術師の一人が笑うように告げかけた時………

 

 

 

 無数の平行世界に、斬撃を飛ばすように、

 

「斬り、裂くッ」

 

 拳と剣の一撃に、蛇は叫び声を挙げ消え、二人の錬金術師が驚愕する。

 

「な、なんでぇ~無敵のはずのヨナルデパズトーリがあぁぁあ」

 

 

 

「無敵なら、無敵をぶった斬ればいいだけだッ」

 

「だから私達は、ここにいるッ」

 

 驚愕する錬金術師二人の前に、二人は叫び。魔剣と王剣が鼓動するように猛る。

 

「さすがデスッ」

「あの二人に常識は通じない」

「姉さん達の守りは任せてください、姉さん」

「ええ」

 

 限界により、ギアが解けている三人。セレナが盾を構え、二人の錬金術師。

 

 褐色の青い髪をした………

 

(………男?)

 

 死ぬ、本気で死ぬと思うほどに、自分は女性に恐怖を植え付けられた。だから分かる、あの人は元男性だ。

 

 隣にいる小柄の女の子、カエルのぬいぐるみを持つ、

 

(オ・ト・コっ!?)

 

 なんか知らないが、錬金術師達がキャロル以外女になった男と知って、別の意味でパヴァリア光明結社に戦慄する。マジでなに考えているんだろう。

 

 そして後からミサイルから降りて、クリスと翼が来た瞬間、テレポートの錬金術で男装をした女性が現れ、背筋が凍り付く。

 

 オレ、女性恐怖症になってない?

 

「フィーネの残滓、シンフォギア。だけどその力では、人類を未来に解き放てない」

 

「フィーネ? 未来ってことは」

「フィーネと同じ、バラルの呪詛か」

 

 クリスの言葉に無言のまま、静かにこちら、オレを見た気がする。

 

「カリオストロ、プレラーティ。ここは引くわよ」

「ヨナルデパズトーリをやられたものね」

「態勢を整えるワケダ」

「未来を、人の手に取り戻す為、私達は時間も命を費やしてきた。誰にも止めさせやしない」

 

 未来と言う言葉が強く聞こえ、そして人の手だのなんだのよく分からないことを言うと思った瞬間、テレポートの小瓶を投げた。

 

 瞬間、刀剣を作り出すが、それよりも速い。

 

「逃がしたか」

 

 こうして三人の錬金術師と対面は、終わりを告げた。

 

 

 

 そして危機は訪れる。

 

「アスカ、明日二学期なんだ」

「無理だ、響の実力で解かなきゃ意味がない」

「アスカ、アスカなら簡単なのは分かってる。分かってるんだよ私」

「響」

「アスカ、終わるなら一緒に終わろう」

「巻き込まないでくれよッ、夏休みの宿題。なんとか司令に言って伸ばしてもらうからさッ!!」

 

 響の夏は終わらなかった………

 

 

 

 夏が終わり、自爆覚悟で巻き込もうとした響の暴走はどうにかなるが、マーリンと茶を飲みながら、キャロルの作業室にいる。

 

「キャロルちゃん、私は次はどんな花を咲かせればいいんだい?」

「………次はこの種類の薬草、これでリンカーの生成に入る」

 

 そんな会話の中、ナスターシャ教授も色々データを引っ張り出したりして、リンカーについて研究している。

 

「あのウィス博士、よくシンフォギアなんて言う異端技術の調整を感覚でできるな。その点に関しては奴は評価するしかないか、くそっ」

 

 名前の違いを指摘せず、茶を飲む。

 

 ほぼ交代制でエルフナインと共に個人専用リンカー生成と、いまだ無理をしている。

 

「アスカ、そっちはどうだ」

「進展なし」

「私達の聖遺物のデータは、利用できないんですか?」

 

 セレナがそう聞く。実は現在、彼女達パヴァリア光明結社は日本に潜伏している可能性がある。

 

 マリア、奏、翼が調べて持ってきた、テロリストもどき? いやいいか。の奴らから情報を得たりと、暗号化されたものなど、難しい話になってきた。

 

 聖遺物に関する研究、かなり前から研究で、友里さん達が調べたものに、オートスコアラーらしきものもあり、それを回収した様子もある。

 

 色々目的が分からない中で、セレナと奏は心配する。

 

「無茶言うな、お前らのはイレギュラー中のイレギュラーだ。そんなん役に「立つよ」立つ………おい花の魔術師?」

 

 いま全員が鈍器を構える。

 

 マーリンがなぜか扱いが酷いと思いながら、涼し気に、

 

「いや、正確にはアスカくんがリンカーって言うものの代わりに成るよ」

「? どういう意味ですか?」

 

 セレナが首をかしげると、マーリンは紅茶を飲みながら、

 

「だって彼女達の聖遺物、しんふぉぎあ? あれに付属として使ったのは、無限の夢幻から取り出した、三種の宝具が組み込まれてる」

「! そうかッ、アスカが起動に補助できる!! だが方法はッ!? まさかアスカと同時に起動なんてことできないぞッ」

「いや、彼の血飲めばいいだけだよ?」

 

『はっ?』

 

 全員がなにを言っているか分からないと………

 

 オレは気づいた、オレだけはハッ!?だ。

 

(ま・りょ・く・きょ・う・きゅ・うッ!?)

 

 嫌な予感がした時、マーリンは爽やかに、

 

「彼と―――――」

 

 その後爆音じみた悲鳴と何かを殴る音が響いたのは言うまでもない。

 

 

 

 魔力供給、キスしたりして他者から魔力を提供してもらうようなもの。

 

 ともかく、リンカー無しでギアを纏うのなら、キスや生き血を飲むくらいすれば、一時的に動けるらしいが、やはり直接がいいらしい。

 

 騒ぎを聞きつけ、三人の話の歌姫が赤いぞうきん化したマーリンから聞いて、ぞうきんの色が濃くなった。

 

 ちなみにオレは巻き添えで倒れている。

 

 それとまたアルカノイズの襲撃があり、復活して向かおうとしたが、途中で倒したらしく、イグナイトモジュール姿の三人に心配され………

 

 されて………

 

 理由を聞かれて、マーリンの野郎がマイクでこのことを言った結果、オレはイグナイトモジュールの断罪を受ける。

 

 無駄に血が流れる。夕暮れ時であった………

 

 

 

 ――三人の装者

 

 

「………」

 

 考え込む三人。アスカの生き血を吸うか、キスするかでリンカーの代わりに成る。

 

 ちなみに血の方がいいらしい。そうマーリンから聞き出した。

 

「アスカの血が、リンカーの代わり………」

 

 頭の中で、その言葉が片隅に残り続ける。

 

 戦う力が欲しいいま、それがトゲのように残り続けた。




酷いことをした、すまないアスカ。

マーリンもギリギリまでHPを削るぐらいにとどめて、殴りました。

三人組は、この話を聞き、どうするか?

それでは、お読みいただき、ありがとうございます。

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