と言うわけで、どうぞ。
それはある夏の日に起きた出来事。
龍崎アスカは目を開けると、目の前にランジェリー姿の英霊がいた。
ブラとパンツは黒であり、透明なシャツを着ている。
アストルフォが幸せな顔して、自分に抱き着きながらそこにいた。
「ん………アスカ………」
龍崎アスカは悲鳴を上げた。
「アスカ、布団で縛らないで。ボクにそんな趣味は無いよっ。けど、アスカがそう言うのが好みなら………」
「オレは何も聞こえない、親友がおかしいのは理性が無いから。オレは何も聞こえない」
なにげに上着が外されていて、もじもじするアストルフォ。
「チッ、人の兄になにしてる」
「一緒に寝ただけだよ、ボクはアスカの物だから。なにされてもいいからねっ」
「誤解を生むような言い方するなアストルフォっ」
というかなぜいるのだろう。そう思いながら朝食を作る中、自分の布団でなにかしようとして、キャロルに止められている。
クリスも現れ、なぜか調とセレナが朝っぱらから訪ねてきた。キャロルは嫌な顔をしていて、誰もいない時、自分の部屋でエルフナインと共に、ハンマーを持って、飯ができるのを持つ。
朝食を全員に振る舞いながら、食べ終え、すぐにアストルフォを見る。
「それで何しに来た」
「アスカとデートしたくって、マーリンにお願いしてきたんだ♪」
「「「「あの野郎………」」」」
マリアがいたらショックを受けそうなくらい、セレナ、調までもが、クリスとキャロルと共に悪態をつく。
自分は吐血しそうなほど、アストルフォを見る。
「デートはできないが、遊びに行くことはできるぞ。みんなで行こうか」
「ふざけないでっ、ボクは君と二人っきりでデートしたいんだ!! 君と映画を見たり、君と遊園地行ったりしたいんだよアスカっ!!?」
「ふざけないでください、そんな羨ましいことを許すと思いますか? シャルルマーニュ十二勇士。自分の世界に戻りなさい」
「そんなアーサー王の娘さんみたいな言い方しても、聞かないからねっ」
羨ましいのか、今度連れて行ってやろう。
そしてオレの腕に張り付き、嬉しそうに顔を埋める。
「アスカ行こう♪ ボクとデートだよデート♪♪」
「………よく考えたら、ここにお前がいると、オレの力は制限かかるんだったな」
「………そだよ、だからデートしないとだめなのさ」
気のせいか少し間があったが、結局アストルフォとデートすることになり、調は手に持つコップを握りしめた。
セレナの瞳から完全に光は失われる。
思う事はある。だがアストルフォは親友で借りがあるので、多少は我慢できる。向こうもオレにその気はないのは百も承知だろう。
こうして着替えて出かけることになった。
人生とは小説より奇なり。人生でデートと言う名目の下、男と映画館に来たという悲しい真実に、オレは心が砕け散りそうになる。
なぜならばオレもアストルフォも女の子の衣装と言う、なんでさッ!?と叫びたくなる事態であった。
しかも双子ファッションと言うものであり、アストルフォは頬を赤く染め、嬉しそうにポップコーンを持って席に座る。
オレらははたから見ればどうなんだろうか? はっきり言う。なぜこうなったッ。
ああちなみに初めてのデートはジャック、次はアタランテです。それが唯一無二の救いだ。
「はあ」
そして見るのは、
(特撮映画)
アストルフォが楽しそうだからいいかと思いながら、後ろでついてきているみんなも楽しそうだからいいだろう。
マリアと翼以外、未来を含めた装者が後を付けている。キャロルとエルフナインはいない。仕事だ。アストルフォは気づいていないのか、デートを楽しむ。
映画を見終えた後は、腕組みをして来るアストルフォ。遠くから舌打ちの音が聞こえた。気の所為であってほしいが、セレナじゃないよね?
その後は喫茶店で軽く飲み物を頼む。店員に何かお願いするアストルフォ。オレはアイスコーヒーかココアがいいのだが………
「楽しみだねアスカ♪」
「?」
そしてしばらくして大きめの器に入った、トロピカルジュースのようなものが来る。
ストローが二つ、ハートマークのストローでだ。俗に言えば、恋人、カップル用のストローで………
「チッ、英霊風情が………」
いま遠くから聞こえた声が、マリアの耳に入らないことを願いながら、それを静かに見る。
キラキラした目でオレを見るアストルフォ。ああこれはあれか、一緒に飲もうと言うことか。
「断る権利は」
「いやだよアスカ」
そう上目遣いで呟くアストルフォ。女の子ならよかったアストルフォ。親友のはずのアストルフォ。どうしてこうなったアストルフォ。
渋々、片方のストローでジュースを飲みつくそうとするが、アストルフォも負けずと飲む。
飲み終えた後は、頬を赤くしながら、えへへ♪と微笑む。
「あの野郎………」
「み、未来、セレナちゃんが怖いんだけど」
「わ、私達のタイミングが………」
「デェスゥ………」
「………」
「こっちもな、クリス、ギアは使うなよ」
「………」
何か聴こえた。気のせいだ。
頼んだケーキが来た為、さっさと食べよう。
「アスカ」
「なんだアストルフォ」
「あーん♪」
そう言って、フォークにケーキの欠片を突き出す。
瞬間、何かをフォークで刺す音と、視線が何重にも向けられている。
あーん、あーんか。別にいい、ジャックとアタランテで経験済みだし、これは響と未来とでもやったことがあるので、アストルフォのケーキを食べた。
「響さん、未来さん。いまお二人の休日関係で少し聞きたいことがあるんですが?」
「セレナちゃんなんか怖いよ、どうしたの? 私なにかした?」
「デスデスデスデス………」
「………」
何も聞こえない。アストルフォにも自分のケーキを食わせたりした。その時、英霊がとまた聞こえたし、デスがDEATHと聞こえた気がした。
これもジャックやアタランテ、それに響や未来にもしたので抵抗は少ない。
背後から妙に話し声が聞こえる中、アストルフォはフォークを口にくわえて、うっとりしていた。きっと目の錯覚だ。
次は遊園地だ。ジャックとアタランテ、響と未来。だけじゃなく、セレナとも来たことがある。急に背後から声が聞こえなくなったが、相変わらず腕を組んでいるアストルフォ。
「次はね♪次はね♪」
まあ、楽しそうならそれでいい。アストルフォは大切な『友人』である。
そもそも、響達を守れているのも彼のおかげだ。少しくらいは我慢できる。なによりアストルフォも知っているはずだ。俺達は男同士なのだ。
なにより本当に楽しそうだ。
(なら、いいか)
そう思いながら、夕暮れ時までアストルフォの自由にさせていた。
遊園地の最後に、観覧車に乗る。
夕焼けを見ながら観覧車に乗る時、ついてくるみんながだいぶ離れて乗っていたのを見ていた。
そんなことを考えながら、
「アスカ、楽しい?」
「ん、それは普通だな」
「む~どうしてそゆこと言うかな~」
頬を膨らまして、前のめりでこちらを見るアストルフォ。少しお怒り気味だが、すぐに、
「ま、君は嘘つかない奴だから、仕方ないか」
「そう言うことだ」
そんな会話をしながら、アストルフォは夕焼けを見る。
「君と契約したのは偶然だけど、君は彼だったんだね」
「? 前世か」
「ああそうだよ、けど、君は君。どっちも大切、ボクにとって、大切な人さ」
そう言って、静かに、
「アスカ」
「なんだアストルフォ」
「好きです」
………
いまアストルフォは何を言った。
そう思った瞬間、アストルフォは頬を赤くして、恥ずかしそうに、
「君のことが好きです………前の君も、いまの君も。ボクにとって大切で、大好きな人なんだ………アスカ」
「………アスト」
そして抱き着き、押し倒された。
すぐに何かを感じ取り、服に手を伸ばすアストルフォの手を掴む。意外と強い。
「アストルフォっ!?」
「もう………もう我慢できないんだ。君が好き、好き好き大好きっ!! この気持ちを抑えきれないんだアスカッ!!?」
そう言って、自分の服を脱ごうとするアストルフォ。それに首を振る。
「アストルフォッ、俺はお前のことを親友として見てるんだ!!」
「ボクは君のことを、恋愛対象として見てるんだッ!!!」
やめてくれアストルフォ。
「分かってるッ、君がボクのことをそういう目で見ていないことは分かってるッ。けど我慢できない、もうジャンヌに渡す気は無いっ。アスカ好きなんだ、ボクは君のことが好きで我慢できない!! 君無しじゃ生きていられないッ」
「アストルフォッ!?」
そして静かに微笑む。
「大丈夫、痛いのはボクだけだから………アスカは天井のなにかを数えてれば終わるよ♪」
「ふざけるなアストルフォっ」
「そう言うボクを、結局親友のままにしてくれる君のことが好き♪」
そう言いながら、何かしようとするが、そこに槍が舞い込んだ。
「「なっ!?」」
それは旗を巻いた槍であり、それと共にアストルフォは避け、離れた瞬間、回収された。
そのまま高く飛び上がり、離れていく。
「アスカっ、アスカぁぁぁぁぁぁぁぁ」
んな恋人を連れ去られたように叫ぶな。
あと、クリス、切歌、調、セレナがその光景を目撃して、目から光が無くなったのは、気のせいだッ。
どこか、人気の無い公園に降り立つ。
静かに先ほどの光景を記憶から消しつつ、助けてくれた人を見る。
「ありがとう、ジャンヌ」
「いえ、当然のことをしたまでです」
そう微笑むのは、聖女として、ルーラーとして存在する彼女だった。
「アストルフォも悪気が無いから困りものだ………オレは男なのに」
「………そうですね、貴方は男性です」
そう言いながら、静かに後ろから抱き着いてくる。その、背中に大きなものが触れているが、力が強い。
「………ジャンヌ?」
「私はこの世界では聖女ではありませんし、私は私です」
「分かってるよね」
その言葉に黙り込み、静かに離れる。
「分かっています、貴方は彼であって彼でない。貴方は貴方です、アスカさん」
そう寂しそうに、それでもどこか、思い出を思い出すように呟く。
大切な、大事な思い。
「………アスカさん」
「ジャンヌ?」
「やはりだめです、私だって」
そう言って、顔がすぐ側にあった。
気付いた時には遅く、そして離れた。
「女の子です………何度生まれ変わろうと、私はあなたを愛してます」
「!!!」
赤面するオレを見た瞬間、ジャンヌはそのまま続きをしようとした時、
「ざっけんなっ」
そして槍と槍が激突する。
「どーして君がここにいるんだよっ、今回はボーイズラブが無いこの作品で、ボクとアスカのラブラブデートのはずなのにっ」
「そのようなメタ発言はやめなさいアストルフォっ」
「メタはどっちだッ、聖女の癖に、まだ彼とべったりで、別の彼ともべったりしようとしてたくせにっ」
「私だって女です!! これだけは、これだけは譲れませんっ!!」
「それはボクだって同じさっ、もう君に渡す気は無いッ」
「ふざけているのは貴方達ですっ」
その時、盾を持ったセレナがブーメランのように放ち、光速回転する刃を避ける二人。
「貴方達はこの世界の偉人ですらないのですから諦めて座かカルデアに帰りなさいッ、ここは異世界です、アスカさんは異世界の人ですッ。貴方達には参加権すらないんです!!!」
「イガリマの刃は魂や神様だってぶった斬るデスッ」
「行くよ」
「ともかく、アスカァァァァァァァァァァァァァ」
クリスも現れ、もうだめだなと思い、オレは静かに、眼を閉じた。瞬間、物凄い衝撃が放たれ、気を失った。
後日オレを含め、装者全員がお説教を受ける。
「………ちなみに、アタランテともあったって本当か」
「助けて」
キャロルとエルフナインも含め、全員から尋問を受ける我が身であった。
ジャンヌ「それではルーラー裁判です、アタランテさん。この内容はどういうことですか?」
アタランテ「も、黙秘する………」
アルトリア「貴様は駄目だマーリン」
マーリン「なんでだいっ!?」
クリス「ふらふらふらふらしやがって………そろそろ覚悟しろアスカ」
アスカ「なにをッ!?」
ツッコミは時間があり次第返信します。
それでは、お読みいただきありがとうございます。