少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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投稿を今回早め、なぜならばFate/シリーズをどこまで混ざるべきか悩み中。

こことほんわかな日常の回入れて、様子を見ます。まずは変に区切ったところを早めに、次は早めに投稿予定。

できればいいな………

それでは、どうぞ。


6話・最悪な物語、だけど

 今度もまたネフシュタンの子が現れた、しかも響を狙ってだ。

 

 ヒポグリフを取り出して、駆け抜ける。こちらは他の装者対策か、バラまかられたノイズを倒していた。

 

「こちらアスカ、殲滅完了。響は」

 

『こちら本部藤尭、それなんですが………』

 

 藤尭さんが言いにくそうに、話してくれた。

 

 響が未来の前で、シンフォギアを纏ったらしい。そしていま保護しているらしい。

 

 目の前が暗くなった気がした。

 

 

 

「………アスカ」

 

 本部へ先に戻ったオレの顔を見て、シンフォギアの格好で出迎えた。

 

 それを見て、未来は何か言いたげに、だけど飲み込んで静かに目を伏せながら、

 

「いつからなの………」

「………オレは二年前から、響はつい最近」

「アスカは、知ってたの? 響が危険なことしてるって、知ってて止めなかったの!?」

 

 それを言われて押し黙る。止められない、止められなかったなんて理由にならない。

 

「アスカどうして、どうして止めてくれなかったの!? 知ってるのに、アスカ」

「………」

 

 静かに、ただ何も言えない。

 

 そうだ、なんでだ。分かっていた、響が止められないからって、だからって、考えること自体してなかった。

 

 

 

「アスカは響の味方だって思ってたのにっ」

 

 

 

 何も言えなかった。

 

 それに何も言えず、それでも言うことがあれば、

 

「未来」

「………」

「オレはいいよ」

 

 静かにそう言って、その場から離れる。

 

「だけど、響は悪くないから、少しぎくしゃくしても、冷えたら直ってくれよ」

 

 それくらいしか言えなかった………

 

 

 

 ――風鳴弦十郎

 

「お前はいいのか」

「………」

 

 無心でただひたすら木刀を振るう。いつもなら嫌がる女装も気にせずにだった。

 ただ木刀を振るい、ただ静かに、

 

「………」

「………雪音・クリス、ネフシュタンの鎧を纏う装者。だが、様子を見る限り、敵の親玉と一悶着があったようだ」

 

 それにぴたっと止まり、静かにこちらを見る。

 

 時折見せる、彼の顔つき………

 

「フィーネなる人物が、彼女からネフシュタンの鎧を奪い取った。が、彼女はイチイバルと言う聖遺物装者でもあった。だが」

「仲違いですか?」

「そのようだ、向こうはどうやら響くんを狙っている」

 

 それに表情は変わらないが、反応した。

 

「無論、君もだぞ」

 

 それには反応せず、聞き流した。

 

「雪音クリスくんは、過去に装者候補として上がって行方不明になった人物だ。出来れば彼女は保護したい」

「分かりました」

 

 しばらくしてまた素振りを始める。こうなると話を聞かない。

 

 仕方なく出ると、緒川がいた。

 

「司令、彼は」

「分かっている」

 

 時折感じる太刀筋、彼の書類上、女性ファッションデザイナーの母親と、彼女の会社の運営関係並び、仕入れ先の交渉などのマネージャーをする日本人の父親から生まれた一人息子だ。

 

 だが、

 

「時折感じる、剣技の冴え、武術らしいのは剣道部であり、大会出場はしていないが、後輩指南などで彼らは上位選手。なにより」

「はい、最初、それもコンサートの事件もそうですが、彼はすでに戦いと言うものを一通り理解してます。少なくとも、実戦では無いですが」

 

 それらしい経歴は一切無い。切り捨てるべきものは切り捨て、やらなければいけないことはやる。そんな印象である。

 

 なにより、ここ最近はそれが出始めている。前はコンサート被害者への中傷被害に関することで、ああやって悩んでいたりしていたのを覚えている。

 

 ああなると、ほぼ無頓着で、ひたすら時間が過ぎるだけだった。

 

「考えることは沢山だが、それこそやらなければな………アスカには、子供だと自覚して欲しいものだ」

 

 そう苦笑する。それが無理な話と知りながら………

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 学園を休み、部屋の中で剣を振る。司令達には身体を休ませると言う理由である。

 

「………」

 

 スマホを見る。メールも何もない。両方から………

 

「………」

 

 静かに広い部屋で剣を振る。別にゲーム機とテレビなど、後は家事ができればいい程度の物しかない。友達も呼ぶ気はない。響と未来は女の子だから、呼ばないとすでに言ってあるし、いま来るはずもない。

 

「………あ、着替えるの忘れてた………」

 

 リディアンの女性制服。だが着替える気にはなれない。普段なら家に帰れば速攻なんだが、いまはする気は無い。

 

 その時、ガラスに自分が映る。アストルフォには似合わない顔をしていた。

 

「………違う、オレはいま、龍崎アスカじゃない………」

 

 前世の自分だ。

 

「………死んでも治らない、か………」

 

 そう思い、こうなるとどうすればいいか分からない。言われても直らなかったのだから、仕方ない。

 

 別に構わない、何故、じっちゃんはオレのこれを、危惧したのだろうか?

 

 また素振りを始める。静かに、静かに………

 

 その時が来る前で、静かに振るう。

 

 

 

 ――雪音クリス

 

 私の所為でノイズが、関係ねぇ人達を巻き込んだ。

 

 なんでだよフィーネ、そこまでして私が邪魔なのかよ………

 

「くそ………」

 

 顔を上げ、ノイズどもを睨む瞬間、それは静かに現れた。

 

「平気」

「テメ………ピンク」

「………」

 

 いつもよりも無表情で、あの時、何か不気味な感覚だ。

 

 歌も歌わず、シンフォギアを操っていた。

 

「なんで、なんでテメェが!!」

 

「………全くだな」

 

 そう無表情で言っていると、

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 道路を足で踏ん張るだけではぎ取り、拳で吹き飛ばしてノイズを吹き飛ばした。

 それに続くように、彼奴がスカートの刃で斬り伏せた。彼奴は、

 

「アスカっ、ひとまずここは任せたっ。俺はこの子を」

「って、お、おい」

「分かりました」

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 司令官が人やめたような動きした。あの人英霊か?

 

 いまは気にすることじゃない。

 

「………」

 

 ただひたすらにやるべきことだけをし、それだけを考える。

 

 胸の歌が出てこない。ギアが重くなることはないからいい。

 

 考えない、ただ考えずに、ただ………なにも………

 

 

 

 カンガエナイ………

 

 

 

『…………………………』

 

 

 

 ――風鳴弦十郎

 

「アスカっ!!」

 

 その姿は黒く、静かにギアに飲まれていくようだった。

 

 その姿に、クリスくんが驚いていた。

 

「あ、れは………」

「知っているのか!?」

「知っているもなにも、彼奴、デュランダルも持ってねぇのに、暴走してる!?」

「!!?」

 

 デュランダルの暴走状態!? すぐにインカムでモニタリングを確認させるが、

 

『アスカくんの心拍数並びに脳波異常有りませんっ、ですがフォグニックゲインが通常より安定していませんっ!!』

 

「なんだと!? おいアスカっ、俺だ、分からないかアスカぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 黒い獣はただ無言のまま、流れ作業のようにノイズを討つ。

 

 その様子はいつも、彼が素振りする時の顔に似ていた。

 

(迂闊だったっ!!)

 

 不安や辛さを表に出す響くんと違い、彼は静かにため込んでいた。それがいま出てきたのか、

 

「これで何が大人だあ? くそったれッ!!」

 

 自分の迂闊さを呪いながら、歯ぎしりする。

 

「………ちっ、しゃーねぇ、これだから大人は」

 

 その時、聖詠を歌い、イチイバルを纏うクリスくん。それは、

 

「アスカを止めてくれるのか?」

「テメェらのためじゃねぇ、あたしは、彼奴が嫌いなんだよッ!!」

 

 そして彼に弾幕を張りながら、突っ込んでいく。

 

 その後ろ姿こそ、俺は不甲斐ない大人の証かと、静かに飲み込むしかなかった。

 

 

 

 ――雪音クリス

 

「ちょっせぇ!!」

 

 弾丸が何発も当たってるって言うのに、あの野郎、こっちを一切見ない。私は眼中にないように、

 

「ざっけるなよ!!」

 

 ノイズと共に弾丸が当たりながら、それは私を無視する。

 

 何度も何度も何度も何度も!!

 

 ふざけるな、私は、私を、

 

「私を無視するなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 その時、背後に違和感を感じた。ノイズが迫っていた。

 

「しまっ」

 

 その時、黒い腕が私を無視して、助けるように伸びて貫いた。

 

「てめぇ………」

『………』

 

 そのノイズが消えたと共に、シンフォギアを解く。

 

 その時のそいつは、血を流していた。

 

「えっ………」

「ノイズ殲滅した………」

 

 そう言って、私の頭を撫で、少し息を吐く。

 

「平気、雪音クリス」

「………お、まえ」

 

 始めから自分は敵ではないから、無視していた。

 

 傷付こうとも無視していた。

 

「なん、でだよっ、なんで後ろから撃たれてるのに!?」

 

 そう言われたとき、少しだけ間を置いた。

 

「………ああそうか、だからか」

「?」

「………オレがああなると、周りが分からなくなるから、危機感感じたのか………ははっ」

 

 そう言ってその場に座り込み、静かに苦笑する。

 

「なに一人で納得してるんだよテメェ」

「いや悪い………どうもオレ、やっぱり」

 

 静かに、顔を伏せながら、

 

 

 

「人の気持ちなんて分からない、機械人間なんだな………」

 

 

 

 そう言って、力無く笑う。

 

 ………何を言ってるんだ。

 

「お前………」

「………変われないか、オレ」

 

 そう黄昏れている。なんか、むかつく。

 

 なに一人で納得して、一人で解決してるんだこいつ!!

 

「ざけんなよっ!!」

 

 襟を掴み、睨みながら叫ぶ。

 

「機械人間だかなんだか知らねぇが、変わりたいって思ってるんなら、変わるよう努力しやがれよっ!!」

「………」

 

 それに驚くように瞬きして、それこそ私は何してるか分からない。

 

 向こうはもう解いている、なら、こっちはそのまま逃げる。

 

 彼奴はなにも言わずに、私を見逃した。

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 雪音ちゃんに言われてしまった。少し後悔だ。

 

(前世のことを口にするなんて………)

 

 うまくやっていた。響や未来のおかげで、こっちの学園でもうまくしていた。

 

 だってのに、つい分かって口が滑った。

 

 暴走していた感覚がある。だけど、何も感じなかった。

 

「………変われるかな、アストルフォ」

 

 愉快な英雄にそう呟き、そして目を瞑る。

 

 と、通信機に連絡が入った。オレはヒポグリフを繰り出した。

 

 

 

 ――立花響

 

 未来がノイズに追われ、いま崖から落ちた。このままじゃダメ、未来とノイズ、両方どうにかしないといけない。

 

「響ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」

 

 その時、空間から現れるように、突然アスカが現れた。しかも槍を投擲体制。それにすぐに分かった。

 

 ノイズはアスカに任して、私は未来をかばう。そのまま落下、ノイズは槍に貫かれた。

 

 未来をかばいながら落下しているけど、すぐに誰かに抱きしめられた。

 

(アスカ)

 

 一緒に歌いながら、足のバンカーを延ばす。アスカはスカートとマントを刃のように冴え渡らせた。

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 夕焼けの中、二人が笑い合う様子に、少しだけ暖かくなる。

 

 そう言えばホント、こっちじゃああなることは少なかった。母親と父親いたし、二人がいたからだ。

 

 こちらに気づき、未来がこちらに駆け寄る。

 

「アスカっ」

「未来………」

「ごめんアスカっ」

 

 そう言ってオレに抱きつく未来。その目に涙を溜めながら、

 

「私、私………」

「………いいよ、未来には、いつも助けてもらってる」

 

 それに首を振る未来だが、オレは違うと言う。

 

「だって、オレはいつも響と未来に助けられてる。いま、よく分かったよ」

「私も………」

 

 静かに頷きながら、未来の涙を拭き、優しく微笑む。

 

 そうだ、オレはこの世界で、前の世界で無くしたものを受け取っている。

 

 それを、しっかり自覚した………

 

 

 

 あの後、色々大変だった。二課の人達に、未来と響を届けたりしたから。

 

 未来には、シンフォギア姿をはっきり見られた。

 

「なんか、ホント、女の子みたいで可愛い………」

 

 そしてシンフォギアを解いた、リディアン制服も見られた。写真に撮られた。

 

 隠していたから、これでいいと言われたから黙った。ポーズも取って、三人で撮った。待ち受けにされた。泣いていいかな?

 

 その後、二課の外部協力者、これは元々オレの提案で、最悪の最悪、未来に響の学園サポートを頼む係りである。これも今回の件で通したらしい。

 

 本人的には最終手段だったが、こうなればと言った。

 

 司令官には、

 

「もう暴走しません。彼奴らが仲直りしましたから」

「………アスカ」

「暴走した理由も、できれば落ち着いてから………正直、話したくないんです」

「………分かった」

 

 こうして後のことも話、オレは動く。

 

 暗闇の中、一人ぽつぽつと歩く、あの子を見つけた。

 

「雪音っ」

「!?」

 

 驚く前に、手を掴み、にっこり微笑む。

 

「それじゃ、行こうか♪」

 

 

 

 元々、ノイズや何かの襲撃を考えられた位置にあるマンションである。ここに一度泊めることを決めていた。司令官には何も聞かず、見ないと約束させてだ。

 

「オメェ、なに考えてる」

「別に、少し恩返しだよ」

 

 そう言って、エプロンを着て、いつものように簡単な食事を作り、食べさせた。

 

 渋々食べているクリス(本人がそう呼べと言うので)であり、しばらく睨んでいる。

 

「ほら、着替え無いから、いざとなればジャージ使って寝てくれ。オレの部屋、布団だからな」

「………ああ」

 

 そう言いながら、それと共にシャワーも使えるぞと言い伝えておく。

 

 と、

 

「なにも聞かないのか?」

「それは司令官達の仕事だ、オレの仕事は………守りたいって思ったら守ることにしたい」

「ちっ、願望かよ………」

 

 そう言いながら、正直に言う。いまはそんな気分だ。

 

 クリスはそれに、あーーーと叫んでから、

 

「ったく、風呂先入るぞ」

 

 そう言って、目の前で脱いだ。

 

 ………脱いだ!?

 

「って、待ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?!?!?!!!」

「? なんだよ大声出して」

「お、おま、な、なんでここで脱ぐ!?」

 

 下着姿のクリスは首を傾げ、おかしなものを見る目でこちらを見る。

 

「風呂入るんだから脱ぐのは当たり前だろ? テメェこそ、女のくせに女の身体見て顔真っ赤にすん」

 

 

 

「オレは男だ!!!」

 

 

 

 その言葉に、世界が停止した。

 

 あれ? よく考えれば、いま現在、ってか、ここ最近の自分の姿格好はなんだった?

 

「………シンフォギアの格好に合わせて、女子服だった………」

「つ、つま、つま、つまり、おま、おま、お前、じょ、女装? お、男?」

 

 そう言いながら、こちらの胸を触り、確認する。

 

「………男?」

「真剣な顔で疑問に思わないでくれ!!」

「………じゃ」

「男だ」

「………じゃあ」

「………顔はやめて」

「ふんッ」

 

 腹を殴られ、その場に崩れ、浴室に出向くクリス。

 

 その場でしばらく倒れている。

 

 

 

 ――雪音クリス

 

「………おとこ………わたし、男に負けた………いや、フィーネ女だからいいんだよな………えっ、あれで男………おとこ?」

 

 しばらく湯船の中で混乱に混乱してから、この調子で寝間着を借りて、布団で寝る。彼奴は寝袋があり、それでリビングで寝ていた。

 

 その後は朝食食って、出ていった………途中で自分が何してるのか、悶絶した。やっぱ彼奴嫌いだ。

 

 エプロン似合ってたし、飯うまかった。

 

 ………おとこ?

 

 疑問に思いながら、時間が過ぎてった………




ある意味悲しいお知らせ、この作品のオリ主は女装に慣れすぎて、普段着になった。

リディアン音楽院の服と、シンフォギアのスーツだけですけど(他の服はさすがに、機会があっても必死に潰しますよ彼)

それでは、お読みいただきありがとうございます。

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