少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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特別小ネタ編、これはやっておきたかった。


番外編
番外編・もしもの英霊達


 人理継続保障機関フィニス・カルデア。そこであるサーヴァントが召喚される。

 

「自分の名前は『イグニス』と言う、存在無き英霊です。クラスは『キャスター』を与えられています」

 

 そう言って、赤髪の少年が現れ、カルデアを震撼させた。

 

 

 

 彼の能力と、本人の懇願により、それは行われ、絆召喚にて、彼女は現れた。

 

「シータっ!!」

「ラーマ様………」

 

 一人は悲願を超えた奇跡故に、一人はけして会えないはずの愛した人が目の前にいることに、涙し、静かに抱き合う。

 

 お互いの名前を呼び合いながら、彼らからあるスキルが消え、いや、消し炭に燃えている。

 

「どうし、どうして………スキルが、呪いが焼かれている?」

「ああ、これも、余達の息子っ、火の神アグニの加護を持つ長男である、イグニスのおかげだなんだっ」

「!?」

 

 そう言われ、現れたのは小さな少年。少しばかり驚いているが、それでも、

 

「平行世界、貴方達の双子の子供。自分にとっては弟達より先に生まれた者です」

「そう、なんですね………あぁ………」

 

 その頬を愛おしく撫で、優しく抱きしめる。

 

 少しばかり歳が近い為、姉弟に見えるが、それでも愛おしい、平行世界の子供を抱きしめる。

 

 彼から聞いた『もしもの世界』では、自分を宿したシータを、手を出そうとする魔王から、まだ生まれる前から炎の化身として、母を守り続けた逸話を持つ。

 

 火の子として守り、御子となったらしい。

 

 そして神々に課せられた苦行を超えて、二人の呪いを燃やす力を火の神より授かり、こうして自分がいれば、呪いを消す。もとい、焼くことができるらしい。

 

「言わば呪い焼きの宝具か………」

 

 ダ・ヴィンチちゃんは驚きながらメモり、少年は少しぼりぼりと頬をかく。

 

「はい、霊核の調整や、本来、英霊の座に登録されていない身ですので、このように、試練を受ける前の少年の姿です。父上達のように、武芸の長けているわけではないので、クラスはキャスター程度………馬術なども無いもので、ライダーにもなれません」

「そうなのかっ、なら余やシータと今度馬に乗ろうぞっ。時間はあるのだ!!」

「父上、その前に母上と時間を作ってください。本来の呼びかけでは、自分は召喚されない身なんですから」

 

 そう懇願する息子。できれば愛する父と母、長く共にいて欲しいと願うのだが、それに母親は、

 

「それならば貴方もです………共に居られる可能性が無いと言うのなら、どうか母と共に、ラーマ様と過ごしましょう」

「母上………」

「ああ、ああッ。そうだともそうだとも!!」

 

 そう言って大切な者達を抱きしめるラーマ。シータも愛おしく、ただその時間に微笑む。

 

 何名かの人員は鼻水をすすりながら、その様子を見ながら仕事をしている。藤丸立香も嬉しそうに微笑み。マシュも静かに微笑む。

 

「イフの英霊か………アスカくんのおかげ、かな?」

「かもしれません、ならイグニスくんは先輩と言えますね」

 

「「!」」

 

 その後、あの二人はマスターのことも息子扱いし出そうとして、少し困ることになる。

 

 そして、

 

「これからよろしくお願いします」

 

 そう言って一人一人に丁寧に挨拶するイグニス。

 

「■■■―――」

 

 ある、バーサーカーは少年に紳士的に挨拶し、その後ろ姿を見つめ、

 

「よ、よろしくね………」

 

 とある二刀流の剣士は、抑えきれない何かを胸に秘めて迎えた。

 

 ちなみに、

 

「ねえねえ、スカートはいてみる?」

「なんでですか?!」

 

 アストルフォにそう誘われ、理性ある少年であったが、数名、周りの目が怪しく光る。

 

 ささやかれるように、カルデアに美少年が来たと広まった………

 

「………なんでしょう、この胸に引っかかるものは」

 

 マシュはそう呟いた………

 

 

 

「!? な、なんか寒気が………」

 

 平行世界でかなり近い距離、魂が近いアスカだけが、その悪寒に気づいた。

 

 

 

 そしてとある時代に、幼なじみが王になる聖剣を抜くと言う事件があった。

 

 彼女は数多の道を進む。それがどれほどの苦行か分からない。

 

 運命は彼に告げるように、お前には関係ないと言わんばかりに、遠く遠く、彼女を運命、歴史の中へと連れ去る。

 

 だが彼はそれを一つの剣で斬り開いた。

 

 ただ一つの剣は誓いだけの剣。

 

 纏う鎧はただの鉄くず。

 

 されどこの思いは神秘を跳ね除ける、誓いの歩み。

 

 歴史に攫われた一人の少女に近づく為に進む。

 

 血潮は流れ、されど心は砕けぬ。

 

 流れ来る戦場の中、一つの誓いと共に剣を振るう。

 

 彼女の顔に微笑みあれば、我が人生、悔いは無い。

 

 この身体は、運命に抗う為にある。

 

「………ただの『セイバー』だ、それだけ。ただそれだけだ」

 

 

 

「………何か不快か弓兵?」

 

「別に………君こそ不満でもあるのか、剣士?」

 

 何故か無銘の弓兵の顔が気に入らず、睨むように男を見る。

 

 何故か、とある青年に似ている無銘の傭兵じみた騎士を睨む、料理番。

 

「飯は俺が作る、他人が作ったもんなんか、食えるかよ」

 

「ここは君が好きな戦場じゃない、おとなしくしてもらおうか剣士」

 

「………」

 

「………」

 

 お互いがなぜか気に入らないままであるが、その様子を、白い百合の王見習いが、

 

「ケンカは駄目ですよっ」

 

 力強く言い、彼に優しく微笑む。その様子に顔を背け、おとなしくなる。詳しくは言わないが、彼女は彼を知っているようだが、彼は、

 

「知り合いの一面だ。正直、俺は分岐しないが、彼奴が分岐しまくるから、おかしくなってる。俺は多くの俺の集まりになってる。故にただの剣士でいい」

 

 そう言っている。だがセイバーリリィは気にせず、腕を組んだり、時たまに共に剣の腕を磨いたりしている。

 

 今日も剣の稽古だが………

 

「剣士っ、たまには私と勝負だっ」

 

 そう言って、ヒロインXが現れる。それに関してはなんとも言えない顔をする剣士。だが気にせずに斬りかかるが………

 

「おかしいな」

 

 周りからすれば、殺す気は無いように見える。

 

 いつもセイバー絶対殺すマンのヒロインXからの殺意が無く、無駄に長く彼を独占しようとしている。そのようなおままごとのような剣劇である。

 

 だから、

 

「ふんッ」

 

 黒い斬撃が二人を裂き、剣士は背後に迫った黒い剣撃を受けていた。

 

「おまっ………お前も召喚されていたのか」

「ふん………行くぞ、不届き者。いつも王に歯向かいよって」

「るっせ」

 

 こっちはかなりシリアス、光速の剣撃合戦だが………

 

「オルタさん、楽しそうです………」

 

 だがその時、馬が二つ同時に駆けて来る。

 

 それに剣士は、

 

「待て………」

 

 黒い甲冑を纏う者と、白い甲冑………

 

「露出度が高いっ、てかどっちも!? どっちもいるのここッ」

 

 その瞬間、獲物を見つけたロンの槍使いは向かってくる。

 

「ふざけるなッ、まともなのが正史の彼奴だけかッ!? 腹立つなくそッ」

 

「「逃げるなッ」」

 

 

 

 のちにえっちゃんと言う子にお菓子をたかられ、上げていたため一大戦争が起きたのだが、

 

「!!?」

 

 金縛りにでもあったように、妙に疲れた顔で起きるアスカ。なぜかあちこち疲れた。

 

「………牛乳飲も」

 

 

 

「マスター………少しお話しが」

「あれ? アーサー?」

 

 アーサーが少し疲れた顔で、少々言いにくそうにマイルームへとやってきた。

 

「実は、イフによる、絆召喚は、もうやめていただきたいと思います」

「? ダ・ヴィンチちゃんも、下手に平行世界、しかも記録されていない英雄を呼ぶのはこれ以上やめておこうって話だからいいけど」

 

 それを聞き、少しほっとする。それは、

 

「いえ少し。やはりイフ、保管庫から記録として呼ばれますので、魂と言うものが少し気がかりでしたので。こちらのマーリンに聞きましたが、いまは平気と」

「それは………」

 

 それを聞き、これ以上は本当にやめておこう。アスカと言う、もう一人の自分に迷惑をかけてしまう可能性がある。

 

 そう思いながら頷いていると、

 

「ん、誰か尋ねて来たようです」

 

 それは、

 

「………マスター」

 

 可愛らしいパジャマを着せられた、火の神の御子であった。

 

「母上がこの世界の、いんたーねっとなるものなどを使いに使い、断れず着ています………」

「………そうか」

「………大変だな」

「御子として、幼い頃から働き、正直に言えば、若いうちに死にましたから、抵抗は少しなんですけど」

 

 それにびくっと驚く。そしてマスターにだけは本当のことを伝える。

 

 それは彼は年齢が若返ったと言う嘘。彼は、この年齢で死んだ。

 

「どうして、君の時代はそんなに危険だったのかい?」

「いえ、そうではなく」

 

 そして少し言いにくそうに、

 

「自分の存在は、守ると同時に不信感も民に抱かせました。母上の貞操を疑う者がいたのです」

 

 本来は生まれる前、母の身に宿った自分。その輝きが守り続けていた。正史では母親であるシータが、純潔を証明する為、火の中に入り、火の神から無傷で返された。

 

「正史の代わり、我が身をもって神々、自分は世界に証明しました」

 

 火の神より与えられたこの身、これにて自分はシータとラーマの子であると証明した。

 

「私自身、母上の子として、胸を張りたかった。ということもあります。ですがしばらくし、また国に疑いが上がり、それを収める為、我が身を大地の女神へ捧げました」

 

 彼は知らない。彼の者は短命を宿命とされていることを。

 

 それはもしかすれば、短命と言う宿命故に起きた事のように思えてならない。

 

 玉座に座る大地の女神と共に、人の世から姿を消した。この行いにより、母と父の子を証明し、両親と弟達の幸せを抱きながら終わりを告げた。そんな子なのだ。

 

「それで君は」

「………待ってくれ、いくらなんでもそれだけかい? あそこの者にしては、呪いを焼く以外にも、力がありそうだが」

 

 そうアーサーが言い、それには少しもじもじしながら、

 

「………カルナさんとアルジュナさんのが色々と………」

 

 曰く、自分と同じ、火の神から力を得ているのだなとアルジュナは言う。その通りであり、カルナからは、

 

「実は、この身はカルナさんと同じ、光の鎧を纏う身なんです」

「ッ!?」

 

 日輪よ、具足となれ(カヴァーチャ&クンダーラ)はとんでもない宝具である。それは英雄王の蔵にもない、神々ですら破壊は困難の、光でできた鎧である。

 

 そして実は、火の神アグニからも宝具を授かっている。完璧に使えないが、それがアルジュナと関わり深いと言うか、全く同じである。いや、加護のおかげで腕前関係なく当たるので、少し違うと首をかしげながら話す。

 

「紹介の時に言った通り、私は捕まっているときの母に宿っており、その後生まれ、育てられました。母は私を宿すが故に、不貞を民に疑われ、父はそのために母を遠ざけるしかなかった。呪いもありましたしね」

 

 だが、その母を守りしは絶対なる光の鎧。射殺すは炎の矢なり。

 

 そう言うこともあり、自分は生まれ、すぐに知性を得て、己の家族がどのようなことになっているかを知り、神々の試練を受け、呪いを焼く炎を手に入れた。

 

 それでも長くは幸せは続かず、最後には大地の女神に身を捧げる。

 

「それが自分の記録です、その後母と父は幸せならいいのですが」

「話を聞く限りは、君はカルナ、アルジュナ、そしてラーマとシータ。四人の英霊と繋がりが深いんだね」

「神々の加護繋がりで、その、カルナさんがそのことに気づき、アルジュナさんもそれに気づいたりで、弓は自分が教えようと言えば父が激怒したりと弓勝負しそうになったり、カルナさんと同じ鎧なのなら強いかと? その、勝負好きな英霊が言いだしたり」

 

 だが実は戦う力は無い。自分は偽りと呪い、邪悪を滅する光と炎の御子。

 

 確かに母親を守るだけなら絶対の鎧で守れたり、腕前関係なく火と光の矢を放つ。それは必ず彼が審判を下す咎人なら、必ず命中する。

 

「アーチャーじゃない?」

「? いえ、自分のは加護ですから」

 

 首をかしげながら、そう告げる。本人は加護による命中なので、弓の腕前は無いとはっきり言う少年。

 

 ともかく、守りと戦いは相手によって無双するらしい。母親に大半の力を割いているが、鎧の加護もあるのでかなり頑丈らしい。

 

 だから強いと言えば強い、弱いと言えば弱い。それが自分と知られつつあり、鍛えようとしたり、勝負しようとしたりする人に困っている。特に宝具と関わり深い者達で。

 

 そして、

 

「その、女の方々が少し………」

 

 赤面しつつ、恥ずかしそうに、

 

「母上は生む前の若い姿ですが、母なので恥ずかしいだけですので、いいのですが………他のお方は違います。その、急に抱き着かれたり、母と共に沐浴、いえこちらではお風呂場に連れていかれるのは困りますっ」

 

 後半は無視できない気がする。少し危険な思考の鯖いるな。

 

「そう言えばメイヴさんがずっと見てましたね」

「? メイヴさんですか? まだ来たばかりですが、色々と英雄のお話を聞かせてもらいました。好きな時に部屋に来て良いとのことで」

「「やめなさいっ」」

 

 すでに勇士として見られている。本人は力を借りているだけだが、それでも呪いを焼くことに関しては、右に出る者がトップサーヴァントと同列かそれ以上と特化している。

 

 なにより偉大な宝具持ちと、彼女の琴線に触れたらしい。

 

「後は武蔵さんがよくお話しかけてきますね、それとネロ様も。部屋にいつでも来るといいぞとおやさ」

「「やめなさいッ」」

 

 二人は真剣に言った。なぜかよくわかっていない。

 

 御子として働いたと言っても彼はまだ年若く、そちらはよくわかっていないようであり、知識がある。いやあるかどうかも怪しいぐらいだ。

 

 能力は高くても、筋力は最大までないに近い。ただ魔力だけは恐ろしくあると偏っていた。

 

 その後は母親が向かいに来て、家族は彼の言葉や正史ではまだいるが、彼らは呼べない状態。それでもいまは三人仲良く過ごすと、仲のよさそうな家族がいた。

 

 背後に何名か怪しげな鯖がいたり、自分の後ろでゴールデンが捕まえた状態でいる鯖がいるので、頭が痛くなる。

 

 

 

 藤丸立香は夢を見た。

 

 それは一人の女神を守る為、その姉達を守るため、破滅へと歩く。

 

 姉達はバカな男と呆れながら、憐れむことも無く、その姿を見続けた。

 

 そして一人の女神は、全ての神々を滅ぼし、神の時代を終わらした男へと駆け寄る。

 

『■■■』

 

 名前が分からない。だが、その涙を拭きながら、男は微笑む。

 

 姉達はその魂に触れながら首を振る。この魂はここに留まれない、この魂は何者でもない。世界、全てにおいて、一か所にいる事は無い。

 

 ただ終わる時が来るまで側にいることにした三姉妹。

 

 美しく、何者にも触れることは無い、偶像の女神と共に、彼は終わりを迎える。

 

 

 

「ん………ん?」

 

 腹の上が重く、布団の中を見るとランサーこと、メドゥーサが猫のように丸まって眠っている。

 

 幸せそうに、その顔を見ながら、

 

「………ああ」

 

 そのまま彼は彼女の頭を撫で、静かに目を閉じた。

 

 

 

「で、なんだこれ」

 

 目の前にアストルフォの姿をした、男性がいた。彼は龍崎アスカ、一番多くの自分に関わった自分だ。

 

「知るか」

 

 白銀の鎧を着こみ、燦然と輝く銀の王剣を腰に下げた騎士が不機嫌そうにしていた。

 

「………」

 

 それ以上に何を考えているか分からない、赤い髪、ただの剣を二本持ち、使える武器は使う器用貧乏な騎士の紛い物と言う剣士がいる。真名どころか名前すら教えてもらっていない。

 

「???」

 

 唯一分からない顔をするのは、イグニス。召喚された時の衣類。赤い髪でまだ若々しく、女子から可愛いと言われてしまうことを少し気にする男の子。

 

 そして、おそらく英雄なり、戦士なりで三姉妹の側に最もいた男が、困った顔をしてため息をついていた。

 

「えっと………とりあえず、申し訳ない」

 

 俺こと藤丸立香が、絆や縁召喚にて、召喚したことを話す。魂の記録からこのような現象が引き起きた、そう神々殺しの戦士は告げる。

 

「まあ気にしないで欲しい、おそらく一時的なことだろう。一番の切っ掛けは君ではないだろうからね」

「すまない」

 

 アスカくんが少しばつが悪そうに呟くが、それには首を振る。

 

「面白がって実験したカルデア、俺が悪いから気にしないで欲しいよ」

「………その、自分は嬉しいです。若々しい頃ですが、父と母、共に過ごせていますから………」

 

 本音を言えば、弟達もいて欲しい。そう歳相当、それでいてしっかりしたことを言う彼に、アスカくんは、

 

「武蔵、メイヴ、ネロ、ギリシャ系統の英雄に触れるな。男性でも風呂を共にするなイグニス」

「はい? ネロさんとは後日、部屋で英雄伝を聞かせてくれると、お約束してますが?」

 

 令呪使わなきゃ。

 

「おいテメェ、召喚されてるんだから守れ。さすがに守れ」

「分かっている、俺とて前世か来世か知らないが、食われる気は無い」

「あっはは………」

 

 美少年として登録されてるイグニスを危惧するのは、俺だけじゃなかった。そう言えばアスカくんのこと、アストルフォはかなり忘れられてないようだったな。

 

 ジャンヌもおかしいし………

 

 それを聞き、アスカくんはなんとも言えない顔をする。

 

「ここにいない『俺』のことだろな? 考えるな、少なくとも生きてる自覚ある奴以外、気にしてもしょうがない」

「ですね………メドゥ………アナとステンノとエウリュアレ………すまんッ」

「なぜッ」

 

 頼むと言われそうだったけど、なぜか全力で誤られた。

 

「いや、だってね………俺のことをたぶん、記録で知ると思うと、君、酷いことになるよ。俺なんか勢いで神々と戦争したし。ポセイドンだけだったのに、なぜに全面戦争? エウリュアレもステンノも面白がってただろうね。あの二人性格悪いし」

 

 たっはははと笑う様子に、だからこそと真顔で、

 

「俺との関係を思い出して、君がどうなるか分からないんだよね………」

「………そう言えば、オレ、吸血されたな………」

 

 あれ? 俺も少し起きたくないな。あの二人のことだからやばい気がする。

 

 剣士はため息をつき………

 

「もう一人俺召喚しねぇ?」

 

 白銀の騎士は全力で逃げ出した。

 

 アスカくんはすでに気配遮断した。凄すぎないかな彼、素のスペックでやるの!?

 

 少し分かったことがある。

 

 過去は過去、現在は現在、未来は未来なんだ。気にしなくていい。

 

 だから………

 

 

 

「あうあうあうあう~~~」

 

 両側で密着せれ、肌の感触やらにおいやらで真っ赤になるイグニス。その様子に満足そうに微笑む。より抱き着き、ほほをぷにぷにしたり、耳元で囁いたりして、魅力が効かない少年の反応を楽しむ二人の女神たち。

 

「あら? 赤くなって可愛いわねこの子」

「そうね、このまま連れていきましよう」

 

 イグニスくんに魔の手が伸びて、

 

「………その衣類を渡してください」

「渡さないよッ、これはボクとアスカとの絆、強いて言えば彼とボクとの絆だよジャンヌ!!」

 

 何故か女子服姿のアストルフォに武器を構えるジャンヌ。

 

 アルトリア達に追い詰められかけている剣士。

 

「………うん、やっぱりいまが一番かな」

 

 そう呟く………

 

 マリーまでイグニスくんに構いだしてきて、ヘラクレスが壁から静かに見続けているのが怖い。白銀の自分だけでも呼ぼうかな………

 

 カルデアは、今日も平和です。

 

「………可愛いですね、イグニスくん………」

 

 マシュ?




 真名イグニス クラスキャスター

 火の神より加護を与えられ、神々の試練にて神々よりも加護を少しだが借りる御子。

 呪いを焼き、呪詛や偽りを見抜き、咎人には断罪を、救われぬ者には救いの灯りとして、その力を振るう光と火の少年。

 ラーマとシータによく似ているが、シータ似で、本人は言わないが見かけは幼く、10であるかも怪しい。

 ショタコン製作っ子、あまりに無防備であり、薄着の為狙われる男の子。

 よく年少組と共にいる。戦闘面は守りしかできない、普段はのほほんとしているため、色々狙われている。

 マスコットとして扱われ、フォウと一緒に寝ている写真は女性全員が持っていると言う噂が流れている。



 真名長い戦いの中で忘れた クラスセイバー

 幼なじみの少女が聖剣に選ばれ、王になる宿命を背負ったため、傭兵として戦う道を選び、騎士になった剣士。

 ただひたすら、何も加護の無い鉄の剣と鎧で戦場を駆け、栄光の騎士と肩を並べることすらあるほど、彼女の運命に食らいついた。

 ある時は敵から奪った槍や斧、両手に剣を握り、何が何でも戦場に居続けて、多くのものを守り通す為に戦った。

 例え王として感情が欠落しようと、少女のようであろうと、加護ある槍の所為で女神になろうと側に居続け、間違いや不満を平然と口にする。

 栄光の騎士達であろうと平然と口答えをし、倫理と現実、二つを見続け、片方による者達に反発し続け、何度死罪になりかけたか分からない。

 ならなかったのは、彼が戦場で多くの結果を残し続けたからである。

藤丸立香「後はそのままの功績か………ジャンヌとアストルフォはなんで喧嘩するか分からないな………」(寝る為に安全を確認中
アストルフォ「………」(なぜか寝室で寝間着で待ってたアストルフォ

 こうして彼の苦労は加速する。

マシュ「イグニスくん、可愛いですね………」

 お読みいただき、ありがとうございます。

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