少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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これは日々、マリアさんに変なイメージを与える作者がマリアさんを主人公にした物語です(たぶん)


特別番外編、マリア・カデンツァヴナ・イヴの誕生日

 それは、マリアの誕生日であった。

 

「おはよう、マリア」

「おはよう、アスカ」

 

 そう言い、晴れやかな朝日が差し込むロンドン。アスカはこの日の為だけに送り出されていた。

 

 そう、

 

「メイドね」

 

 優しく微笑むマリア。

 

 ガーターベルト、目から光を消し、優しく微笑むミニスカメイド。

 

 だけど、

 

「マリアが喜ぶのなら、一肌でもいくらでも脱ぐよ。マリアには色々迷惑かけたしね」

「そう………」

 

 紅茶を淹れ、優雅な朝食を食べ終えたマリアは一言、

 

「私、そんなこと頼んでないわよ」

「騙されたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 すぐに着替えに戻ろうとするが、マリアはまあいいわと言いながら、それを持ち帰る。

 

 

 

「とりあえずもう諦めるとして」

(ミニスカートでももう順応すると気にしないのね)

 

 メイド服のまま、何か色々取り出す。それは、

 

「まずは俺からのプレゼントだよ」

「その恰好で出向いたことじゃないのね………」

 

 そして取り出したのは、切歌、調、セレナの人形であった。

 

「寂しい時は枕元に」

「待ちなさいアスカっ」

 

 なにげにクオリティーが高いそれらに、さすがにびっくりする。

 

「ど、どうしたの? 三人に頼んでお気に入りの衣類着てもらったんだ。せっかくだから三人に買い物で買った新品だよ」

 

 気のせいか、アスカからのプレゼントににこにこしている三人が想像できるため、マリアは微妙になる。そしてなにげにクオリティーは高い、よく作る。

 

 本人協力の元、洗濯機で洗い可能のぬいぐるみ。

 

「これで寂しい夜も問題ないね」

「貴方、まず貴方は私のことをどう思っているか聞きたいわね………」

 

 けどうれしいためそれをもらいながら、次の物を取り出す。

 

「次は切歌と調からプレゼントだよ」

「切歌と調からね、なにかしら」

「中身はオレも知らないんだ、はい」

 

 渡されたそれは、携帯のデータチップであり、なんだろうと思い携帯で再生すると、

 

「………」

 

 アスカがメイド服に着替える最中のものであり、バンッと壁に頭をぶつける。

 

 本人は見ていないので驚きながら、マリアは少し赤面しつつ、

 

「ま、まあ、あの二人にはありがとうって伝えておいて」

「う、うん………後は、クリスからは、ぬいぐるみなんだ」

「やっとまともなものが………」

「なんか言った?」

「なんでもないわ」

 

 そう言って可愛いぬいぐるみをもらいながら、次はセレナから、

 

「写真ね」

「うん、これもなんなのか知らないんだ」

 

 それはまさに目の前の彼が無防備な姿をさらした寝姿に、マリアは少し遠くを見る。

 

「それで次は響と未来だ」

「これは、映像データ?」

「携帯で見るタイプで、イヤホン付きで見てって未来が」

「………」

 

 嫌な予感がするが再生する。

 

『みくちゃんひびきちゃんやめて!!』

『あすかちゃんかわいいっ♪ おんなのこみたいっ』

『おかあさん、わたしも、わたしのようふくもっ』

『アスカくんは男の子よ響っ』

『いーやーっ!! わたしのもきーせーるーのー』

 

 小さい頃の黒歴史を渡されたマリアで、また少し遠い目をする。

 

「奏さんからは」

「なにか嫌な予感がするはね………」

「ああうん、これも映像データだよ」

「やっぱり!!」

 

 そう思いながら、同じように再生する………

 

『翼、バストのサイズはどう?』

『ああ問題ない、すまない。急なことでどうしても用意できなくて』

『あっアスカ、ともかくこれどうよっ』

 

 そう言ってカーテン越しの翼とアスカ。カーテンを開き、赤面する防人とアスカ。

 

『ちょっ、奏ッ』

『あんたなに考えてるんだッ』

『もうすでに下着買いに行かせておいてなに言ってるんだよ』

『それはそれだろッ、まあ確かに………』

 

 汚物の部屋を見渡す。それに、

 

『まさか替えの着替えが無くなるほど放置していたとは』

『お、緒川さんが忙しくって仕方なかったんだっ。も、もういいだろ、明日着るブラがあればそれでいい』

 

 そう言いながら外して、洗濯かごの中に突っ込む。

 

 アスカがいる前で、

 

『って、翼っ』

『私もそれは予想外だバカっ』

『えっ………きゃ、きゃあぁぁぁぁぁぁごき、ゴキブ』

 

 そう言ってそのままアスカに半泣きで抱き着き、思いっきり前を見たアスカ。しかも下がタオル巻いただけで、まさかなにもつけてなく、それで外れて、あーだこーだと………

 

「………これは後で見ることにするわ」

「? うん」

 

 次はエルフナインとキャロルから、

 

「はいこれ、これがあれば盗聴器も発信機も一発だって」

「ある意味必要な物がっ」

 

 アイドル兼色々な黒い思惑の渦中にいるため、便利だと思いながら、発信機用のレーダーをもらう。内心複雑だ。

 

「それとこれはナスターシャ教授から」

「マムね」

 

 それは手紙であり、自分のここ最近のこと、様々なことが書かれていて、自分の心配する手紙。

 

 それには心が温かくなりながら、静かに見る。

 

「マム………」

 

『私の方は心配しないでください、毎日三食お肉を食べて、栄養を』

 

「色野菜を出すようにしておいてちょうだい」

「ん、分かった」

 

 そう言えば防人もこの後、自分と同じ休日を過ごすと言っていた。

 

 前の時には考えられないことに、少し微笑む。

 

「どうしたマリア」

「ん、いいえ………アスカはこの後は」

「飛行機の時間まで暇だよ、着替えて寝るとかする気」

「あら、せっかくの外国よ。翼と回る予定だから、一緒にどう?」

「いいのか?」

「ええ」

 

 そう言いあいながら、ちゃんとした服に着替え、翼と共に町を回る。

 

 その際、警護と称する監視役も、アスカが睨みを利かせて黙らして、久しぶりに休めた気がする。

 

 そんな休日を過ごし、優しく微笑む。

 

「マリア、お金はオレが出すよ」

「えっ、けど」

「たまにはいいだろ? ね」

「そう………ね。お言葉に甘えさせてもらうわ」

 

 自分のことを女の子として見る、可愛らしい騎士に、マリアはまんざらでは無かった。

 

 

 

「………」

 

 

 

 後日、百合姫マリアとゴシップ記事で、可愛らしい女の子(目を隠されたアスカ)をお持ち帰りなりなんなり、変な噂が立つが、マリアは一瞬、

 

「………責任取ってもらおうかしら」

 

 少し一瞬、とある悪夢の自分と同じ目になった。それは誰も知らないことである。




誕生日おめでとうマリア。

これでいいだろうか?

それでは、お読みいただきありがとうございます。

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