少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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マーリンからの言伝「明らかに変な生き物が核だから頑張って」

高笑いして、もう何が何だか訳の分からないことを呟き笑う幼なじみ。

見つけたけど嬉しくないと思う主人公であった………


42話・恐怖を超えろ

 光を宿さない、よどんだ瞳。

 

 これはある意味自分の所為だろう。いつも心配させ、いつも泣かせた罰だ。

 

 おかげで核はなんなのかは分かった。だがいまは、

 

「アスカ………ずっっっっと………一緒だよ………」

 

 杭を持つ少女が獣のように駆け抜けて来る。これをどうするか。それが問題だ。

 

 

 

 銃器を使い、可愛い系の衣類を纏う少女クリス。

 

「あっははははははは、後悔させてやるッ。あたしを選らば無いのなら、無理矢理手に入れるだけだッ!!」

 

 上はさらしを巻き、男子力の高そうなのに、半泣きで嫁にするとか言う翼。

 

「せ、責任ッ。責任を取れ、アスカァァァァァァァ」

 

 自分を傷つけてでも自分を手に入れようとする調。

 

「………………………あっは♪」

 

 自分を殺してでも手に入れようとする切歌。

 

「優しく切らないと………アスカ、優しくするデスよ♪」

 

 メンバーで一番歳高いからオカン扱いなんだから、相手を欲するマリア。

 

「一回でいい………それで、全て終わるッ!!」

 

 女の子にして響共々手に入れようとする未来。

 

「取ったら響と一緒、ずっと一緒だよ、アスカ?」

 

 セレナもまた無表情で狂ったように笑いながら? 刃物を振り回してくる中で、

 

「………」

 

 一番怖いのは、杭でその場に括り付けて、何かしようとする響。何するか分からないため一番怖いんだ。

 

 仲間はシータことアーチャーと、ちびノブの新選組。沖田と茶々と指揮する信長。

 

「あの響が切っ掛けとは、皮肉もいいところだぜ」

「お主、顔は余裕だけど足腰ガクガクしておるぞ」

「だって怖いもん」

 

 なにがキーかは理解したが、だからどうするかだ。オレに魔術的な知識は無い以上、そこから出口に出られない。

 

 だが違和感を響から感じ取った。むしろじゃなきゃ怖いもん。

 

 なら核なりコアは響に宿ってるのだろう。だよね?

 

 その先はどうすればいいですか?

 

「終わったのかな?」

「諦めないでほしいのう」

 

 響は笑いながらちびノブをかなりグロく殺る、他の奴らもだ。それでも平然って凄いなオレと思いながら、どうすればいいか考える。

 

「………」

 

 下手な行動をすれば響達を傷つける、それが反映される。なら調の足もだ。それを考えると嫌な気持ちになる。今度買い物でも誘おう。

 

 

 

 瞬間、ギロッと全員が一斉にオレを見た。えっ、なに?

 

 

 

「わたしのことを想ってくれた………うれしい………」

 

 調べはそう頬を赤らめ微笑みながら見ている。甘いと息を吐き、ナイフを取り出す。あれ?

 

「まずいっ、止めてくれちびノブぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」

 

 

 

「もっと傷付けば、想ってくれるよね? アスカ♪」

 

 そして刃物を顔を突き付けたが、

 

「ノブ」

 

 それを止める侍がいた。

 

ノブブ、ノブブブ(それはいけねぇぜ、お嬢ちゃん)………」

 

「じゃま、しないで………もっと想ってもらう、愛してもらう、大事に想ってもらいたいのッ!! ジャマスルナァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

「………ノブ、ノブノノブノブ(それは、聞けない相談だ)

 

 そして片手で持つ刀を強く握る。

 

ノノブノブ(この誠の名にかけて)

「!?」

ノッブゥゥゥゥゥゥゥ(道は斬り開くぅぅぅぅぅぅぅ)

 

 

 そして他のノブ達も叫び、その背後に土方が腕を組み、仁王立ちでにらみを利かせる。まるで土方が、新選組が後ろにいるように、ノブ達は誠を背負う。

 

 その様子をなにこれと言う顔で見る三人組がいるが、これは好機か?

 

「信長、響の動きを止めてくれないか、怪我をさせずに、接近したい」

「無茶苦茶だのう、だがそれが勝機か?」

 

 顔色を見て微笑を浮かべながら、種子島を肩に担ぐ。

 

「ああ、他の奴らより濃い響が当たりだ。いや違う、オレはこれでも響の幼なじみだぜ? 今回の騒動の元がなにか分かった。そしてそれが」

「あい分かったッ、あの娘の武器破壊並び、道を作るッ。続け沖田ッ、茶々!!」

 

 全員が道を切ら開くように、杭や攻撃をし、響を抑えた瞬間、動く。

 

「響ィィィィィィィィィィ」

 

 響が持つ杭を持ち、側へと向かう。押し倒し、その顔を見る。にっまぁあと狂気の顔が宿った顔をするが、それを見た時、

 

「その顔で」

「あす」

「その顔で偽りの声を出すなッ」

 

 拳を握りしめ、杭を影へと叩き込む。

 

 瞬間、空間にヒビが走った。

 

 

 

 どこからか悲鳴が轟く。

 

 地面が揺れ、泥のようなものをまき散らしながら、装者達が苦しみだす。

 

「やっぱりか」

「これはなんじゃアスカ?」

「あーオレらの責任」

 

 言いにくそうに呟きながら、泥から人の手や顔が生まれる。

 

【行かないで】【死んじゃ、やだよぉぉ………】【置いてかないで………】【私を一人にしないで………】【側にいてくれる、約束してくれたのに………】【どうし、て………】

 

 みな泣きそうなほど悲しく、アスカへと手を伸ばす。

 

 それを見て、シータも気づく。

 

「これはまさか」

「………過去の俺達が置いていった、大切な人たちの叫び声だ」

 

 そして響だけは泥に溶けず、むしろ泥を集めてまた形になる。

 

 だが影だけがこちらを無言で見る。

 

【? なんで気づいたの】

 

「………」

 

【けどいいや、だって終わってない。まだこの本当はまだ終わってない………】

 

 影だけが消えるが、泥を流す響だけがその場に残り、涙を流すように、こちらを見る。

 

【やだよあすか………行かせない、もういやだ】

 

 それを静かに見る。

 

【死ぬところなんて見たくない、傷付くところ、一人で傷付くところ、一人だけになんてさせたくない………行かせない、死なせない。ならここで、この世界に縛る。アスカ………あすかあぁぁぁぁ】

 

 それに拳から血が出るほど、歯を食いしばりながら、シータは少し小突く。

 

「かなりあの子を追い詰めたようですね」

「お恥ずかしながら、響だけ偽物と本物が混ざったような違和感を感じて、これがなんの力でできたものか理解しました、平行世界の母上」

 

 そう静かに呟く、切歌達も動きが鈍くなるが、まだいる。

 

 そんな中、戦力はこっちに回すかと、沖田達が構えた。

 

「ワシもあまり言えた方じゃないんじゃが………子供育てるのと言うのは」

「大変です、平行世界ですら、変わらないのですから」

 

 そして構えた瞬間、

 

 

 

 油断していた。

 

 

 

 突然泥が噴き出し、アスカは捕まり、飲まれていった。

 

「なんじゃっ!? しまったこの世界そのものはッ、貴様か」

 

 それを言われたとき、にんまぁああぁと笑い、泥の波に飲まれる響。

 

 アスカの流れに空で合流し、攻撃しようとするが、

 

「くっ、狙撃すれば本人に反映するんじゃったっ、どうすればいいんじゃ!!」

 

 

 

 無数の手に捕まるように、無数の悲しみに捕まり、響が顔を、吐息が当たるほど近くに、響が側に来て、腕をつかむ。

 

 ギアを纏っている響の力。骨と肉が軋み、腕がおかしく砕けかけている。

 

 もう片腕で衣類をまさぐる。片手は破壊、片手と言うか、全身は少し密着させすぎてくる。色々な思いが壊されている、何がしたいか、彼女も分からいのだろう。

 

 唯一分かるのは、怖い、悲しい、もう傷付きたくない。そのために求めているとしか分からない。ここまで追い詰めていたと頭に、その夜が過る。

 

「アスカ、アスカアスカあすかあスカアスカあすかアスカアスカアスカアスカ」

 

 そう言いながら、足も絡ませ、嬉しそうにしていた。

 

「いま殺すね、いま終わらすね、いまずっと一緒になろうね♪♪ ずっと、ずっと一緒………これで………」

 

 その時だけ、立花響で、

 

 

 

「これでもう、アスカは戦わなくていいんだね………」

 

 

 

 その言葉に、

 

「………この」

「? アスカ」

「この身体はッ、剣でできているッ!!」

 

 

 

 その瞬間、はっとなり、拳が溝に放たれ、肉と骨が砕ける音が響くが、

 

 だがオレは歌う、この身はシンフォギアの力宿る、龍崎アスカ。この歌を力にし、道を作る装者なんだ。

 

 何度も片腕で叩く、ついに口から血が出るし、冷たい手が口を広げ、詠唱を止めようとするが、止める気は無い。

 

 

 

「ギアも無いのに詠唱しても」

 

 下の信長達が、彼女達が向かわないように足止めしていた時に気づく。

 

「いえッ、ここは私達の世界側です!! なら」

「魂の力、本来の力を引きずり出す気ですかッ!?」

 

 

 

 手ごたえはあった。あの空間、理想集う世界へアクセスできる。ならば迷わない。

 

「アァァァァァァァァスゥゥゥカアァァァァァァ」

 

 何度叩かれ、肉がえぐられようと、歌わせられないように口を抑えられても、魂の歌は止められない。

 

「アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 

 腹から臓物が出た気がするが、だからなんだッ!?

 

「やだやだやだやだやだやぁぁぁぁだあぁぁぁぁぁぁ」

 

 いま目の前の響は、オレが全てを背負い、勝手気ままに死んだ所為で悲しませた、大切な人達代表だ。

 

 なら、受け止めるのが『俺達』の役目だろ?!!

 

【イッキに決メるッ!!】

 

 竜翼を広げ、雷雲纏い、飛翔する。

 

 泥から這い出て、全てを吹き飛ばす。この身は響と同じ、アームドギアのようなものだ。できないことはないッ。

 

 黒竜になり、放たれる矢のように見つけ出し、それへと向かう。

 

 泥の核らしき、黒い杯を見つけた瞬間、それを口にくわえ、かみ砕いた。

 

 

 

「ぶっはっ!!?!!」

 

 それと同時にいつもの司令室、血を吐きまき散らし、周りのみんなが駆け寄る。

 

「アスカッ」

「落ち着きなさいッ、殺しますよっ」

 

 いやッ、婦長がおるでッ!! この人以外の治癒系の人じゃないのはなぜだッ。

 

 麻酔無しでいま腹の傷を縫われている。麻酔はいい、痛みはいまはいい。

 

「マーリン、悪夢の核は」

「黙れッ」

 

 殴られたと同時に床にヒビが入る。

 

「しまったッ?! やはり厳選を間違えたッ」

 

 マーリンの叫び声が響き渡った。

 

 

 

 ――マーリン

 

 

「ふう、ともかくアスカくんは問題ないよ」

「では引き続き、下半身にある余計なものを取り除きます」

「やめてあげてっ、それは彼にとって大事だから!!」

「傷だけでいいですっ、それはいいですっ」

 

 アルトリアも混ざって止めに入り、弦十郎、ここの司令官はホントなんだろうね。彼女をなんとか黙らせたよ。

 

 少しばかり戦闘になったが、どうにか鎮圧できた後で、調ちゃんの傷癒しだ。

 

「一応霊薬あるから、傷口程度ならこれを塗ればあら不思議、染みることなくお肌すべすべで元通りさ♪」

「私か女性に塗ってもらいなさい。貴様は少しでも触れればエクスカリバーの錆にしますからねマーリンっ」

 

 おかしい? 今回功労者は私のはずだ? この異常事態にいち早く気づいた私が頑張ったはずだが?

 

「ふう、まあいいや。問題は『魔神柱』を逃がしたことが大きいね」

「………」

 

 沈痛な顔をするアルトリア。悪いがそんな顔をしないで欲しい、私だって分からない。自分の住む世界じゃない世界の未来なんて見通していなかったんだ。

 

 

 

 ――???

 

 

「では、今回の事件について、説明をお願いします」

 

『ああ、分かったよ』

 

 モニターに映るのは綺麗な女性だが、女性の姿をした男性サーヴァントでもいうべきか、姿をいじったキャスターである。

 

『まずは初めまして、私はキャスターのクラス、カルデアのサーヴァント、ダ・ヴィンチ。ここまで言えば君らの世界でも分かるかな?』

 

「はいっ、絵描きさんですねっ」

 

『ああいい返事だ立花響くん、そして僕はホームズ、シャーロック・ホームズ。カルデアでいまは協力者のようなことをしている』

 

 そう言われ、全員が驚き、二人は満足そうにしているが、すぐにマシュが割り込み、そんなことをしている場合ではないと告げる。

 

『ミス・キリエライトの言い分ももっともだ、彼の本質、正確には彼らと言えばいいのか、やはりと言うべきほど運命は重いもので捉える性質のようだ。運命は彼に恨みでもある、と言ってもいいほど、彼らの運命を弄ぶ』

 

「できれば遠回りではなく、はっきり言ってほしいのだが」

 

『これはすまない、だがまだ確証も何もない。話しか聞かされていない身でね。その情報源が信用できないのならなおのことだ』

 

「信じてよっ、さすがの私も焦ったってっ」

 

 そうマーリンが叫ぶが仕方ないと、婦長を下げらせたアルトリアが、シータと共に戻る。シータはともかく横になるアスカを膝枕して、説明を始める。

 

「ともかく、魔神柱の意識がこの世界から感知したんだ(・・・・・・・・)。君らも見ただろ?」

 

 それに全員が黙り、響達が聞く。

 

「あの、魔神柱って」

 

『私達の世界、魔術師が存在する世界で、人類史を燃やし、星を一から創り直そうとした、ソロモン王に従う、72柱です』

『その残骸が、いまだ我々の世界でも活動している記録があると同時に、その残滓に近い反応を、彼が君らの世界で探知したんだ』

 

 彼らは最も強いもの、ビーストと化した者が倒されても、いまだ活動している者がいるらしい。

 

『我々は現在も特異点を感知し、魔神柱、歴史を守るために活動しているのですが、魔術師マーリンから予想外な話が舞い込みました』

 

「君らの世界、君らの平行世界に、確かに反応を確認した」

 

 それに全員が驚き、一人だけ吐き気をしそうなほど嫌な顔をする。

 

「俺の行動の所為、の可能性があるな」

 

『? 小さなレディ、それはどういうことだい?』

 

 ホームズの言葉に、彼女、キャロルは彼を通して、一度この世界と向こうの世界、しかも根源にアクセスしたと聞かされ、向こうがざわめいた。

 

『せん、ぱいが、グランド・セイバーッ!? けしてたどり着けない根源?!』

『こ、れは、さすがに………』

 

 モニター向こうのざわめきが終わらない、一人冷静に情報を知りながら、

 

『なるほど、納得のいく話だ。シュレーディンガーの猫、確認するまでどうか分からない。実にいいたとえだ。この話ばかりは、私ですら真実にたどり着けない事件だろう』

『感心している場合ではありませんっ、こんなの外部に知られればっ』

『そうだね、彼の捕獲どころか、何人自殺し出すか』

 

「なぜそうなるのっ?!」

 

『魔術師にとって根源に至るとはそういうことだ、いままで蔑ろにしていたものを目指した者だけが至る、至高の根源なんて知れば、もうなにをするか想像できない』

 

 魔術師は人理、倫理、そういうものを無視し、過去へと探求する。

 

 だが『理想』は違う。まさに未来へと目指し、他者と共に目指す光。違い過ぎる。

 

 いままで目指しても届かないのは知っていたが、真逆に走っていたと知ればどうなるか、分からないほど混乱するだろう。

 

『なにしろそんな話を切り出す者と付き合うだけ無駄と考えるのが多いんだ、理想の根源。それがまさに、神秘の神髄と知れば発狂ものだ。これはカルデアのトップシークレットだね』

『ああ、それと共に一つの推測もできた。悪夢の世界で戦った彼女たちと、魔神柱のことだが』

 

「それって」

 

『大切な人達を思いを捨て、前へと進んだ結果、生まれた思い。自己犠牲の塊である彼が生んだ、黒い感情だ』

 

 それに響が暗い顔をする。思い当たると言う顔だが、それはマシュもまた同じ顔をしていた。

 

『それが『元』だろうね。少なくとも、この世界と君らの世界が繋がった瞬間、いまだ解明できない点が多くあるが、元の一つにあるのは、『理想の抑止』が作り出した、悲劇の残滓が一つだ』

 

 これを聞き、ダ・ヴィンチちゃんはふむと話をまとめ、要約すると、

 

『魔神柱の残滓と言う者達、名前すら失っていてもおかしくないそれらが、錬金術師キャロルが繋げたパスを利用しただけですまないだろう。反応が平行世界なら、その世界に平行世界に関わるなにかがあるはずだ』

 

「それは………ある、一つだけある」

 

 弦十郎が重々しく、記憶から思い出し、そして、

 

「司令、やはり思った通りです。反応あり、完全聖遺物『ギャラルホルン』起動中です」

 

 藤尭がそう言うと、全員が驚きながら、それを見る。

 

『ギャラルホルン、北欧でラグナロクを告げる角笛だね。そっちじゃ、平行世界を繋げる品物かい?』

 

「はいダ・ヴィンチさん、こちらの世界では、櫻井女史という者が見つけて管理してました」

「まさか今頃になって暴走するとは………こちらの管理ミスだ」

 

 弦十郎がそう言うが、それには首を振るダ・ヴィンチちゃん。

 

『それを言えばこちらもだよ、魔神柱、こちらの世界の問題を、君達の世界にも招いた責任がある。いまそれはどういう状態だい?』

 

 それにはエルフナインが操作、解析をしている中で、

 

「どうやら一つの世界、平行世界とリンクしています。そこからエネルギーが来たり送られたりして、それの繰り返しですが、徐々に大きくなってます」

「そのまま放置すれば?」

「こちらの世界と向こうの世界が激突、あるいはエネルギーが爆発し合いながらも拡大し続けると思います」

 

 それに頭の痛い話の中で、どうしてそうなっているか調べると、

 

『どうやらそれをしているのが魔神柱であり、彼と言う抑止が貯めた、元を利用した存在らしいね』

 

「はひっ、発動のほとんどが向こう、平行世界の方からの操作です」

 

 そして全ての世界、問題解決をするためには………

 

 

 

「レイシフトの応用で、向こうの世界に跳んで、向こうで魔神柱の撃退か」

「だね、しかもかなり複雑と言うかなんというか」

 

 富士山の山脈付近、ギャラルホルンが移動、管理されている地区へ移動し終え、平行世界突入組が準備する。

 

 突入する際、向こうにいない人物がいいと判断されたため、サポート組としてカルデアがやることになる。ほとんどがカルデアが担当する。

 

 なにより、彼らもそれしかいまの事態を解決できない。そう、

 

「まさか向こうの世界の俺がぶっ倒れているなんてな」

 

 藤丸立香、彼はいま魂があるのに無いと言う、不可思議な状態で寝かされていて、これはおそらく、この世界の魔神柱の仕業だと、マーリンなどが調べた結果、つまりは、龍崎アスカとリンクして起きたことらしい。

 

 だからこそ、マスター立香を起こす為、魔神柱を倒す為にも、今回のミッションは全力サポートらしい。

 

『ナビゲートは私、マシュ・キリエライトが主にします。よろしくお願いします』

 

「よろしく」

 

 そしてこちら側の戦力は、

 

「ふん、またこいつを使うとは………よく許可が下りたな」

「現状、検査、解析以外すらまともにできないからな。早期解決のために、どうにかした」

 

 そう弦十郎に言いながら、紫の竪琴、ダウルダブラを手に持つキャロル。念のために聞いたが、戦闘力は下がったが、記憶の焼却も無い。

 

 そして盾のペンダント、槍のペンダントを持つ、龍崎アスカがいなければ死んでいる装者が選ばれた。

 

「まあ私とセレナだね」

「私なんか特にですね、あの時の絶唱のダメージは、アーサー王の鞘が無ければ癒えることはありませんですから………」

 

 そう言いながら、龍崎アスカは霊薬を無理矢理飲み、腹の傷を無理矢理治した。

 

「アスカ」

 

 こうして響達、待つしかない装者は心配そうに近づく。

 

「悪い、けど、これはオレをはじめとした俺達がしなきゃいけない問題だから」

 

 勝手に守り死んで、悲しませ、ずっと繰り返す。

 

 その悲しみが利用されている。ふざけるな。

 

「だから、必ず帰る」

「………うん」

 

 そしてリーダーとしてキャロルが前に出て、静かに告げる。

 

「向こうは必ず、龍崎アスカはいない世界で、俺達は死んでる人物の世界だ。俺は最初、替えの肉体を用意して、計画の遂行をしていたからな。エルフナインに肉体を渡すか、記憶を無くした子供になってる。ま、エルフナインに身体を渡してそうだ」

 

 皮肉にそう言いながら、静かに、

 

「明らかに俺達は死人の世界だ、あっちの立花響達と交戦する可能性があるし、話をすることは、まあできそうにない」

「まあ、な………」

「………」

 

 奏は翼、セレナはマリア達を見る。明らかに違った世界へ出向く。色々問題があると理解して、そして、

 

「ちゃんと把握しなければいけないことは把握した。それじゃ、いくぞ、アスカ」

「おう」

 

 そして四人の装者は、天文台の魔術師達の力を借り、平行世界へと出向いていく。

 

 その先に待つのはなにか、まだ誰も知らない。




ヤンデレクリスさんの衣装は皆さんはどんなものを想像したのでしょうか?

少しオリジナル編、平行世界へ向かいました。

そして………彼らを見送った後の装者は、

マリア「………そう言えば、悪夢の世界で現れた私達はなんなのかしら?」
クリス「ああ、少しアスカと話し合わなきゃあいけねぇ~みたいだな」
未来「ですね」

防人さんは思い出してその場に座り込み、顔を伏せて誰にも表情を見せなかったと言う。

お読みいただき、ありがとうございます。

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