少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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せっかく女性服から解放されたのに、事件が発生したアスカ達。

新たな事件、始まります。


29話・錬金術師と龍崎アスカ

 エルフナインは、錬金術師キャロルの元にいたホムンクルス。だが彼女に捨てられ、そして彼女のやろうとすること、世界を分解すると言う行動を止めるため、装者達と接触。

 

 そして彼女が持つ聖遺物、ドヴェルグ=ダインの遺産で、プロジェクト・イグナイトと言う聖遺物シンフォギアのパワーアップ。

 

 色々な話を聞きながら、エルフナイン、男でも女でも無いホムンクルスの子が頑張って作業室で籠もっている。

 

「………しかし」

 

 ドヴェルグ=ダインの遺産と聞いたとき、魂と言うべきか、別の異名がよぎった。ダーインスレイヴ、一度鞘から解放されれば、生き血を完全に浴びて吸うまで収まらない魔剣。それを思い出した。

 

 高校の教室で窓を見ながら、外に出て動く。

 

 エルフナインちゃんが言うには、シンフォギアの暴走状態を理性がある状態で制御下に置く機能だと、それがイグナイト・モジュールらしい。

 

 そんな話をする中で、世界を分解すると言うことを企むキャロルが応用して使用して生み出したアルカノイズ。

 

 それはシンフォギアも分解した所為で、現在天羽々斬、イチイバル使用不可。ヒポグリフ使用不可に陥ってはいるが、円卓の盾、ロンゴミニアド、二振りの魔剣は使用可能らしい。むしろ、

 

「凄いです、軽く、みなさんの聖遺物を見ました。そしたらアルカノイズの分解に対して、すでにアンチプログラムができあがっています」

「つまり、私らの聖遺物は分解されないと?」

 

 それにエルフナインは頷きながら、その聖遺物の共通点は、

 

「異世界の聖遺物、しかも高レベルなんて生やさしいレベルではなく、まさに神世の物だからか?」

「可能性は高いと。こちらの神秘と吾々の神秘は、言ってしまえば質が限りなく違います。なにより」

「本当の本物、アーサー王の騎士が囲った円卓から創り出された盾と、アーサー王が所持して、娘と言う立場にいた彼女に与えた、本物の槍ですし………」

「あーそれなんだが、盾も槍も、歴史を揺るがすレベルのもんだからな」

 

 いまは欠片になり、シンフォギアとして加工されていても、その神秘は神世の物であり、そう簡単に人類に知る物では無い。

 

 ジャック達にも興味津々のエルフナイン。アタランテは宝具持ちであるし、相手側なら、酸の霧も何でも使える。

 

「オレのはアストルフォが聖杯と繋げてるって話ですし、奏さんのはロンゴミニアド、セレナのは円卓の騎士達の円卓。欠片とは言えな」

 

 オレの一言に、エルフナインは目を丸くする。本人からしたら驚くべき話だ。

 

「円卓? 聖杯、異世界って………」

「エルフナインちゃんは知らないんだよね、アスカのこと」

 

 そしてエルフナインに、オレのことを説明すると共に、聖杯についても説明する。

 

 少なくても、自分は運命の流れ、その一部であり、今は放置されている身らしいが、その力は聖杯と言うものに繋がっている。

 

「聖杯、オレの知るもんなら、願望機なんだが………」

「元の話がゲームなんじゃ、どこまでホントか分からないって話だったな」

 

 クリスの言葉に頷き、マリアが腕を組みながら、静かに、

 

「そのゲーム、貴方の知る聖杯は?」

「あ、うん………確か大聖杯ってもんが地脈に根付いて、長い年月かけて儀式の術式? になってて、小聖杯ってもん作り出す。本来はそれを取るために、聖杯戦争が行われる話」

 

 七人、七の位で七騎による、大規模バトル。六騎の敗者の魔力を使い、だいたいの願いを叶える物語。

 

「それでも、物語だから、そう簡単じゃねぇし、人の命どころか、町がゴミ以上に軽く消し飛ぶ感じだろうな。最後にやってたゲームは人類史が消し飛んでたし」

「………はい?」

 

 魔術師達は、倫理、人理など、普通の人にとって当たり前の感覚はなく、知識の探求や真理、根元に至るためなら、どんな手も使う。それが魔術師と言う生き物。

 

 だが、魔術師は根元、世界の真理にたどり着くことはない。

 

「その前に抑止力が消す。生物は探求し続ける生き物である、だからこそ至ってはいけないって言う考えで」

「それじゃ、魔術師って」

「まず始めに、意味のないことに他人の命や家族の命含め、使ってでも無駄なことに人生を費やす生き物。それ知ってても、町一つや、魔術師のマスター殺したりするのに、躊躇いはない」

 

 マスターである人間を殺せば、一騎である英雄と退治するより早いと言う合理的な判断の元で行われる。

 

 元より、最初にこれを知った主人公は、その聖杯戦争の被害者であり、さらにその後行われた聖杯戦争でも、真っ先に死んでは生き返ってる。

 

「いや、生き返るって」

「その人は死にかけだったとき、アーサー王の鞘を使われてそんまんまだったからとか、そう言う理由。それが無ければ何度死んでたか分からない。確か知識じゃ、胴体斬れたはずだし」

 

 そう言いながら、全員が頭を痛める。まあ、よく考えればこれが現実な世界なら、一般人や魔術師に生まれたくないよ。死んだり、生け贄とかの候補とか成りたくない。アストルフォなんか、マスター酷かったよ。あれ、あの人の場合、オレもまずいな。

 

「アタランテ殿、これは………」

「事実です、私達サーヴァントも、外道ではありますが、一般人の心臓を食らい、僅かに霊体を強化する術があるほどですから」

 

 それに全員が青ざめ、誰かがひぃと声にするが、

 

「? おかしなこと?」

 

 ジャックはそう言う。彼女からすれば理解できない。

 

「おかあさんを守るためだもん、わたしたちはするよ。いまはしなくていいからしないけど。するんなら気づかれず、確実にやるよっ♪」

 

 屈託のない笑顔で、殺人鬼としての一面を見せるジャック。もう真名は全員知っているため何も言えなくなり、かつ、

 

「それでも優しい方ってのが、聖杯がある世界だと、オレは思う」

「………否定は出来ません」

 

 アタランテはそう言い、オレはそう断言する。藤丸立香、彼を始めとした、オレ達はどれくらい大変な人生なんだろうか。

 

「ちなみにその主人公で呼ばれたのは、前回の一騎、アーチャー英雄王ギルガメッシュを除き、セイバーアーサー王、ライダーメドゥーサ、ランサークーフーリン、キャスターメディア、アサシン佐々木小次郎、バーサーカーヘラクレス。最後にアーチャー無銘だ」

「………えっ………」

 

 全員が息をのみ、黙り込む。それでと、

 

「記憶正しければ、多くの無関係な人が死んだはずだ。魔力補給、相手よりも少しでも上の立場にいるために、周りの人を生け贄にしてだ」

「それがまかり通るのか!?」

「秘匿されてるから、バレなきゃ」

「………」

 

 黙るアタランテ。それが本当にある世界。その神秘でできた聖遺物が三つ。それに少し驚くが、セレナもまた黙っていた。

 

「私は実際、アーサー王の鞘で延命と、不老で、マリア姉さん達、ルナアタック事変やフロンティア事変を見てたから」

「そうなのですか?」

 

 と、ナスタージャ教授も尋ね、うんと頷く。

 

「私の話は詳しくは後で。それで、少しだけ、英霊の人達、彼らの力を見たんだけど………酷い」

「宝具、英霊が英霊たるシンボルと言っても良い、必殺技や特徴、能力を必ず持って居るんだ。ヘラクレスは12回の試練と言う神話の元、12回の命を与えられてる」

「つまり、12回以上」

「倒さないといけないデスか!?」

 

 よく考えるとノイズも酷いが、投擲すれば必ず心臓を穿つ槍なども酷い。

 

 そのような話の中で、抑止力の話もしておく。

 

「それじゃ、アスカさんは抑止力の一つなんですね」

「ああ、オレの抑止力の役割はどうも、都合のいい人物でいいんだろうな」

 

 都合のいい英雄や悪役など、そう言う立場の人物になること。それを聞きながら、他に居る抑止力について聞かれたが、

 

「後は無銘とグランド・サーヴァントしか知らないよ」

「無銘って言うのは、あの肌が黒い男か?」

「抑止力と契約して、世界を揺るがす者達を一切合切殺し尽くす役割を与えられた無銘かな? グランドはそれよりもやばいときに表に出る英霊、で、いいはず………」

 

 所々穴あきだが、正直ジャック、モードレッド、メドゥーサ(ランサー)を育てる際どうすればいいか調べているときに知ったことなので、あまり知らない前世の記憶。

 

 クロエもイリヤも引き当てた、ロリコンやシスコン認定されたのはそれが切っ掛けだ。おかしい、兄貴狂王モードもいたのにだ。

 

「やはりあの時給料全部課金して、もう少しサーヴァント引き当てるべきだったか………」

「なんの話だよ」

「課金ゲーだったんだよ」

 

 奏さんがそう言い、最後のゲームが課金ゲームだったと言い、あわっと言う顔になる。響と未来は驚いている。

 

「あ、アスカって、まめにお金とか、そういうの真面目なのに、前世荒かったんだね………」

「多くの人達がジャックを求め血肉を捧げたはずだ、オレもその一人だっただけだ………リリィは電気代がまずかったから、やらんかったが、最後に来てくれた」

「アスカ………」

 

 じっちゃんに内緒で持ち金使って引き当てたことがあって、それがバレて二度としないと誓ったからな。それでできなかったのは内緒にしよう。仲間もロリコンと言うが、オレはその時ばかりロリコンやシスコンでいいと思ったぜ。

 

 しかもパーティー用でも何でもなかったし。

 

「ジャックは来てくれてありがとう。水道代がやばくなったけどね」

「くすぐったいよ~」

 

 抱きしめてすりすりしてやる。目一杯かわいがり、甘やかしてやる。

 

「いまではイリヤとクロエがあれだけの金使っただけで来たのは運がよかった、前世の良い思い出だよ」

「イリヤとかクロエってどんな英雄さんですか?」

「響、オリジナルってもんもある。無銘さんもそうだ」

 

 ごほんと、司令官が大きく咳をする。ああ、もう止めておこう。

 

「まあ、そんな話はさておいて、オレの知る世界観がほぼ同じ世界なら、とんでもない神秘でできたもんに、オレと奏さんのロンゴミニアド、セレナの円卓の盾は繋がってるってことだ。円卓の盾はマシュを思い出す………あの子クリアー後は主人公と幸せに成ってればいいな」

「………それは………」

 

 アタランテが頬を赤く染めてもじもじしてる。やべっ、絆値高いな。藤丸立香、サーヴァントで修羅場はきついぞ。ランスロットどもと同じ目に遭わないまでも酷い目には遭いそうだ。

 

 そんなこと思いつつ、エルフナインはへぇ………と驚いている。

 

「つ、つまり、アスカさんの力は、不老不死が可能な世界であると?」

「少し違うが、相手の肉体乗っ取ったり、魂だけの存在であり続けたりはできたはずだぞ」

「少しなんデスか………」

「しかもそんな方法………」

「外道の外道ではありますね………その辺りはメディアなどのキャスターが知ってそうですが」

 

 二人も驚くが、だいたいそうなんだよあの世界。ほぼなんでもあり、ほぼな。

 

「ま、至れないが正解で、実際至りかけたら世界から消される世界だな。こーゆーとき、あの花の魔術師マーリンとか来て欲しい」

「この前マスターが不在の際来て、お茶菓子食べて帰りました」

「野郎今度宝具ぶっ放して」

 

 もうここで平行世界の月の聖杯戦争など、プリズムな方とかも話せば脱線の勢いが加速する。大戦の話もそうだし、っていうより、大戦は赤のアーチャーと黒のアサシンがいるし、知ってるが、他の知識が無い。後付知識ばっかりなんだ。

 

「あの、できれば後で詳しく見せてください。まずはイグナイト・モジュール並び、聖遺物使用可能状態にしてから」

「あいよ」

「うん、分かったよ」

「………」

 

 その時、セレナと奏さんだけはすぐに返答したが、何故か、

 

「ああ………」

 

 時間がかかった。

 

 

 

(なんで時間かかった? 別に構わないはずだ)

 

 急いで帰路か響達と合流するかと、チャリを走らせる。ちなみにいまの生活じゃ課金ゲームはしてない。手を出してない、出しても装者としての給金は使いません。さすがに躊躇う。まあ、移動用のチャリと、料理器具には使った。エミヤ、オレの圧力鍋は凄いぞ。

 

(マスター)

(アタランテか)

 

 アタランテとジャックは霊体で、本部と装者の警護に就いてもらう。アタランテ達は学生である響だ。

 

(なんかあったか?)

(いえ、ですが彼女の顔色が………)

(………響は守るべき力である、シンフォギアで争うのに、抵抗があるからな。戦士としてどう思う?)

 

 少しの沈黙があるが、

 

(正直、この世界を見る限り、彼女には戦って欲しくないのが本音です。ですが、戦士として戦えるのなら、それが責務かと)

(………厳しい現実だ)

(ですが、彼女の思いは間違えていない。それを非難するのは、できる者は居ないでしょうね)

(そうであって欲しいよ)

 

 そう言い合いながら、自転車をこぐと、

 

(!? マスター敵襲来ですッ)

(!!!)

 

 急いでオレは纏って駆けだした。

 

 いまは考えている時間すら無い、それがいまだった………




説明間違えてなきゃいいな~

アスカくんは記録は得ましたが、漠然としたもので、はっきりそうだと思うほど、聖杯の情報は知りません。

アタランテ達でもいいですが、ここに無い物を説明してもあれだからとカット。

アタランテはひそかにエルフナインに懐かれようと努力します。

それではお読みいただきありがとうございます。

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