少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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そろそろ番外編が終わり、アスカくんに滅茶苦茶設定を押し付ける作者です。

ですが、精神を休ませる人はアスカくんだけではない。というわけでこの子です。

どうぞ。


Gの番外編3話、響

 目が覚める、カーテンから透き通る朝日の中、目を開くと、

 

「すうぅ………」

 

 静かに眠り、抱きついている幼なじみ、立花響がいる。

 

 まずは落ち着こう、自分の名前は龍崎アスカ。転生者であり、その魂は特別品らしいためか、何度も死んだが、ギリギリで蘇り、いまは健康そのものである。

 

 いまは同居人にサーヴァント二騎いて、アサシンであるジャックはいまはアタランテと寝る~と言って、そっちに出向いた。正直、そう言われた際のアタランテのご機嫌度は限界突破してた。

 

 話を戻そう。実はこの幼なじみの前で、肉体真っ二つになる瞬間があったり、異世界関係でまた命狙われたり、とあるバーサーカーが夢に出て、蛇が巻き付いた痣を全身につけたりと、色々心配させることがあった。

 

 うん、色々心配させすぎた。帰ってからというもの、妙に依存性が高まったのは分かっていた。

 

 だがこれはどういうことだろうか?

 

「………鍵は掛けたよな………」

「ん………」

 

 ぎゅと抱きつく幼なじみはもちろん女性、こっちはアストルフォによく似ているが男性である。寝間着はいつもシャツや短パンと薄着であり、響はどうだろう。外に出られる服装ではあるな。

 

 だが色々まずいです。

 

「とりあえず、脱出するか………」

 

 そう思い、冷静?に対処する。もしこんな場面、隣のクリスに見られたりすれば終わる気がする。響とは幼なじみであり、家族ぐるみで仲が良いだけである。それだけだ。

 

 と思いながら、完全密着する響の手に触れると、

 

「あすか~………」

「………」

 

 起きたかと思うと、より一層強く抱きつく。

 

「………響?」

「離れたくない………」

「いや、これまずいから、離れて」

「や~」

 

 そう言って顔を胸に押しつけてぐりぐりとにおいを付けてくる。どうしよう。

 

(幼なじみに与えた心の傷が、思ったより酷い………)

 

 幼児化に近いほど精神が安定せず、考え込んでいると離れないように、乗る形になる響。だから、

 

「響、オレの見た目は女性のように見えるけどな、そのな、オレは男だ」

「いいじゃん………昔はこんな風だったもん………」

 

 完全に起きた響はぶ~たれながら、顔を見せずに言うが、まずいんだよ。あのジャックに懐かれて破顔した、アタランテレベルを超えてまずいんだよ。

 

「いまと昔は違う、オレ達は高校生だし、オレの中身おじさんだからな」

「え~………やだ、離れないもん」

 

 それからご飯作るからとか、色々言って、ようやく離れた。色々疲れる朝だった。

 

 

 

(そして学校だった………危なかった………)

 

 なにげに着替えは持ってきてた響。未来に聞くと「だから朝いなかったんだね………」と少し怖かった。

 

 クリスはもっと怖かった、襟を捕まれ、朝の出来事を説明するように怖かった。

 

 アタランテ? ジャックが起きるまでものすごく幸せそうな顔してたよ。写メっておいたぜ。

 

 しかし着替え中もまさかドアを開けようとしたり、何度も自分の名前を連呼したり、さすがにまずい。

 

(奏さんに相談………おもしろがりそうだからな………)

 

 しかし、なぜこうなったかは自分の責任がある。そりゃ、目の前で両断されたんだから仕方ない。こっちは意識すら消し飛んだ一撃だったが………

 

「はあ、だからって」

 

 このままああも密着されるとまずい。響はもう女の子である、男であるオレにそんなに接していいはずない。

 

 そう思う中、昼休みはぼ~と過ごしていた。

 

 そ・れ・が、いけなかった………

 

 

 

 放課後、さっさと帰ろうとして家に向かう中、一度足を止めて、携帯を確認すると、

 

「………えっ………」

 

 もう一度確認する。響からの着信が画面いっぱいである。休み時間からずっとかけて、そしてギリギリまでかけ続けたらしい。

 

 何かあったかと思うが、それじゃない。内容は何してる? どうして返事してくれないの? ねえどうして?

 

 そんな内容が、延々とつづられていた………

 

 

 

『家で待ってるからね』

 

 

 

 急いで家に帰ることにした。

 

 

 

「おうお帰り」

「お帰りデス」

「お帰りなさい」

「お帰り、アスカ~」

「おかあさん♪」

「お帰りなさいませ、マスター」

 

 何故クリス、切歌、調、響がすでにいる。アタランテは麦茶を出していて、ジャックはクリスの膝の上。

 

 そしてまだ学校に通っていない二人と、隣が家のクリスはともかく、響は私服なんだろう。聞かないよオレ。

 

 みんな自分家のように過ごす中、そこはいい、鍵もこの際聞かない。

 

 こうしてみんなと過ごす。

 

「でだ、響、気のせいか泊まる気じゃないよな?」

「あっははは、やだな~アスカは」

 

 そう言いながら、枕とか、寝間着とかがある中、

 

「そんなの当然だよ~未来が来ないから、アスカと一緒に寝る~」

 

 オレはこのときばかり、戦慄した。

 

 

 

 まずその場にいたクリス達に、説得するために二人っきりにさせて欲しいと言って、いまは自室で話し合う。

 

 だが響のあの言葉を聞いた時の三人の目が怖かった。

 

「………響」

「ん? な~にアスカ? もう寝るの?」

 

 どうも頭のねじが飛んでいる。分かってます、自分の所為です。

 

「………悪かったッ」

 

 土下座した。もうこれしか手がない。

 

 その時、世界が止まった気がした。なにも起きないため、なんだと顔を上げたら、

 

「………やだよ」

 

 そう呟き響がいて、少しだけ罪悪感がある。

 

「未来と一緒によく寝るんだ、だけど、思い出すの。アスカの血が私にかかった感触が、アスカが二つになったのが、だからやだよ。今日は泊まるううんずっと今度は未来も泊まるもうやだんだよ私もうアスカがアスカがッ」

 

 泣きそうなほど大きな声で叫ぶ、それを静かに抱きしめる。

 

「響………」

「行かないで………どこにも行かないでアスカ………」

「オレはどこにもいかない、けどな響」

「少しだけ………少し、落ち着いたらいつも通り、へいきになるから………」

 

 この場合オレはどうすればいいんだろうアストルフォ。そう思う中、それでは、

 

「悪い、けど昔と違うんだ………オレは男で、響は女の子だから………そのな」

「大丈夫ッ、アスカも女の子になればいいんだよッ。ほら、パジャマ持ってきたよッ」

「………そういう問題じゃない」

「………アスカ………」

 

 これは平行線のような気もするが、その手を握る。

 

「なあ響、信じてくれ」

「アスカ………」

 

 その手を包み、泣きそうな幼なじみに向かって、

 

「オレは諦めない」

 

 はっきり、オレとして、答える。

 

「『オレ』達は諦めない」

 

 その時、なんで『達』と言う言葉を使ったか分からない。だがそう答えた。

 

「響が泣くなら、みんなが悲しむなら、必ず戻ってくる。いまのオレは、オレ達がいるんだから、絶対に帰ってくるよ」

 

 そう言って、すぐにまた抱きしめる。

 

「だから信じてくれ………な」

 

 その時響は少し驚いてはいたが、静かに考え込みながら、

 

「………約束、だよ………アスカ」

「ああ………約束」

 

 そう言い合いながら、静かに微笑み合う。

 

 響は結局の所、しばらくは接触は強かったが、少しは緩和した。

 

 だが、なんでオレは達と言ったのか、いまだ、分からなかった………




切歌「どう見ても百合っぽいデス」
クリス「結局私ん家だろうな………」
調「ジー」

 ドアの隙間から様子見していた三人でした。

お読みいただき、ありがとうございます。

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