少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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アスカ女装は度が過ぎて可哀想という声を聞く。

この物語は男の娘で、ボーイズラブがある。

他人事なので清姫なども出したい。

………(思案中)………フォウ、この手があった。

というわけで作りました。出来た頃にも増えてたら嬉しい作者です。どうぞ。


お気に入り300突破で考えた話

 一人の少年?がいた。

 

 それは日々、周りから女物の服を着せられたりする日々の中、血の歌を歌う、歌姫達と出会う。

 

 彼女達の中で、彼も血の歌を歌う。

 

 だから………

 

 オレは剣を握って戦う、迷い、なんであろうと、守りたいから………

 

 

 

「ん………なんだ」

 

 藤丸立香、カルデアのマスターとして、人類史修復をし、いまだカルデアに属する魔術師であり、取り柄は時折来る魔術師達ですら逃げ出す職場に、いまだ滞在すること。

 

 別にやめる気は無いが、各国様々な組織から頭を下げられ、けしてマスターをやめないでくれと言われている。何故だろう?

 

 とりあえず、布団の中のナーサリー達を起こさないようにして、布団から出よう。

 

 

 

「変な夢だったんだけど、分かるかな?」

「………分かると言えばね」

 

 ダ・ヴィンチちゃんは少し固まりながら微笑み、静かに言うべきか悩む。

 

「君はサーヴァントと縁が深いのは分かっているね?」

「? ええ。ですけどそれはマシュの盾、円卓が深く関わってるからじゃ?」

「どうもそれだけじゃないんだ。君の魂、素質事態が深く関わってる」

「え?」

 

 そして静かにモニターを操作して、何時か現れた彼、特別にカルデアに来てくれた仮サーヴァント。異世界で生きている人間、アスカくんが映し出される。

 

「彼はいずれかの君だ」

「………はい?」

 

 それから、モニターで写されたモニタリング、全てがとは言わないが、魔術的なもの、根本的なものが全て一致している。

 

 だからこそ、彼は絶対命令権である令呪が効かない。だって本人だから。

 

 契約のパスが一時混線し、ジャックとアタランテがアスカくんの元にいる。だって彼も藤丸立香だからだ。

 

「聞いたんだが、どうも多くの時代で、彼は同一の人物としていたらしい」

「聞いた? 誰に?」

「人類史を脅かす人類悪がいないのに、いまだのんびりワインなりを楽しむ、英雄の王様からさ」

 

 ああと納得してしまう。

 

 確かに、もうカルデアは、彼が楽しむ要素が一切無いし、付き合う意味が無い。

 

 何人か、神霊レベルのサーヴァントがいまだ、遊び半分で居てはくれているが、彼らはいるのは異常レベルなのは、一般枠から来た自分でもよく分かる。

 

 神霊のサーヴァントはどうしていまだ、カルデアに居続けて居るんだ?

 

「助けてくれマスターっ!! アルテミスが結婚式を開くって訳が分からないことを言って探してるんだっ!!」

 

 入ってきたオリオンをとりあえず引き渡して、話を続ける。

 

「神霊レベルの英霊が居続けるのは異常であるし、君も異常だよ」

「そうですか?」

「ああそうだ。君は、英霊に好かれすぎているし、なにより平然と相手が出来ているんだ。並みの魔術師は、泣いて逃げ出す環境なのにね」

 

 ああそうなんだ? よく分からない。

 

「俺でも勘弁して欲しいときありますよ」

 

 清姫、源頼光さん、静謐のハサン。みんな何度マイルームに侵入して来るんだろう?

 

 そう言えば最近じゃナーサリーやジャンヌリリィもそうだし、お風呂じゃアストルフォもおかしい。最近はホント、スキンシップがおかしい。

 

「彼は君を通してアスカくんのことを見てるんじゃないかな? 君の前世、来世だからね」

「そうか………会えない人に会えないのなら、まあ少しくらいはいいですけど」

 

 それが一番凄いんだけどねと、ダ・ヴィンチちゃんは思う。

 

 青髭が暴走しても、冷静に他のサーヴァントで止めたり、仕留めたりするし、シェイクスピア達の創作聞いたり付き合ったり、他にはアヴェンジャーとか、おかしすぎる人間関係や微妙な関係を、綱渡りしたりとおかしすぎる。

 

 何より恋愛関係だ。中には彼に本気な者や、今世の仲として見たりする。つまり本気でアタックする。

 

 英霊の本気だ、町どころか国一つ滅亡してもおかしくないのに、それが彼の手により防がされている。彼の手により起きかけているのだが………

 

(仮にどこぞかの組織が、彼を攫うなり、彼の家族に変なことをすれば最後、世界滅亡は決定事項だから、暗黙に手を出さないと決定してる。まさに核爆弾の管理人なんだよ君は………)

 

 本気の英霊は、本当に危険な人物から、一国の姫君や騎士と多すぎる。危険、危険すぎる、もうやだこの人。これが新規の魔術師やらが辞める切っ掛けだ。

 

 神霊もいるし、もうやだなのだ。私は楽しいが。

 

 

 

「そう言えば、キングハサンやマーリンもそうだよね」

「うむ」

「まあね」

 

 グランド・サーヴァント、彼らにその話をすると、隠す気も無く、龍崎アスカはいずれかの自分と話してくれたし、彼の周りの出来事、歌姫のことも話してくれた。

 

 ちなみにキングハサンは近代家具はいらないらしい。

 

 マーリン? 家具欲しいらしいけどアルトリア達が怖いから、協力できないんだよな。アルトリアリリィは気にしてないんだけどね。

 

「アスカくんは無事だといいけど………」

「マスターは少しばかり気にしすぎと言うか、君はいいのかい? もしかすれば、どこかの『藤丸立香』の代役として、いまここにいるんだよ?」

「ん~実感がないし、それでももう『俺』は『俺』です。例え別の『藤丸立香』がいて、その変わりだとしても、いまここにいるみんなとの絆は『俺』へのものです。ならいいですよ。大変なので次はやめて欲しいですけど」

 

 苦笑しながらそう言い、それにマーリン達は苦笑する。

 

「なるほど、だからとも言えるか………」

「そうみたいだね、だからこそか」

 

 何かに納得しながら、二人は俺の言葉に満足したようだった。

 

 ちなみにマーリンがテーブルいっぱいに電子家具のチラシを広げていたけど、無視したよ。

 

 

 

「マースタっ♪♪」

「あれ? アストルフォ? どうしたんだい」

「うん………ボク、マスターにお願いがあるんだ」

 

 なんだろうと思いながら、頬を赤く染め、もじもじするアストルフォ。

 

 覚悟を決めて、上目遣いで、

 

「今日、一緒に寝て良いかな………?」

「ん? 別に良いよ。ナーサリー達もいるし」

「う、うんっ♪ ありがと、マスター♪♪」

 

 それにえへへ♪と嬉しそうにはにかむ。

 

「もう知ってるみたいだけどね、ボク、アスカのことが好きなんだ」

「………ん?」

 

 そう真っ赤になりながら、ほっぺを両手で覆いながら、嬉しそうにしている。

 

「まさかここまで好きなんて………前の彼は、求められれば返すくらいだったけど、今度は違う。ボクは彼が好き、好きで好きでたまらないんだっ」

 

 そんなはっきり告白するが、彼と君は男だよ?

 

「好きに性別は関係ないって言ってたっ!!」

 

 誰だ、いますぐ自害させてやる。

 

「マスターボク頑張るよっ♪ いいお嫁さんになる♪♪」

 

 待ってアストルフォ、君は男性で彼も男性だ。そして俺の来世なんだ。

 

 ここで止めないとダメだ、頑張って説得するが、恋は盲目というか、なかなか骨が折れる。

 

 俺が俺として、もう一人のオレのためにできることは、親友の目を覚まさせることだと知り、俺は頑張る。

 

 アスカ、ジャックとアタランテをお願いするよ。

 

「とりあえずメディアに次会ったときのために、ウェディングドレスを作ってもらうんだっ♪♪」

「呼ばれた気がして」

「どこから出てきたのメディアさん!?」

 

 

 

「………ん? 寒気がした」

 

 お風呂場でジャックの髪を洗う。馬鹿な、風呂場で何故に寒気が?

 

「おかあさん? ま~だ~」

「ごめんごめん、いま泡落とすから」

「ん~」

 

 そう言い、お風呂を共にし、髪を洗うオレ。

 

 いま平和で助かるな~………

 

 

 

「くっくっく………」

 

 喉を鳴らしながら笑う、その様子に親友は困った顔で見ていた。

 

「楽しいかい? ギルガメッシュ」

「ああ、此度の戦乱が終わり、すぐに座に戻らなくて正解だ。あれが別世界に現れるとはな」

「あれ?」

 

 エルキドゥ、唯一ギルガメッシュと対等に話せるサーヴァントは首を傾げる。

 

「………さすがにそうそう簡単に言えぬが、一言で言えば、全ての英霊とは言えないが、神霊と関わり合いがある者だろう」

 

 そうだろうとも言いながら、暇を潰す。いまはそれだけでいいと思いながら、

 

「我もまた分からないが、記録を僅かに覗いた。まさかあそこまで別可能性の者達と深い関わり合いがあるとはな」

 

 様々な英霊と関わり、偉業を成す男。良いも悪いも無く、恐ろしい偉業の数々。

 

「………」

 

 黄金の鎧を着込む王は、目の前の光景を見据える。

 

 いまはいまのマスターしか見えない者達が、アストルフォ説得に骨身を削っているが、果たしてどうなるか。

 

「貴様、何を企んでいる?」

「ふん、気にするで無い」

 

 いつの間にか現れた赤い外套の者に、目を合わさず答える。

 

 錬鉄の英雄もそう言われながら気にせず、ワインを己の蔵から出して飲む。

 

「………」

 

 そして、そして、そして大変珍しく、この王が他人を気遣った。

 

 小さな小さな声で、かつ、結界の道具すら使って、念入りに、そう念入りに確認して、さらに確認して二人に言う。

 

「あれは英霊と縁深い、マスターと言う形では無い。セイバーと、若き日のお前のような、青臭い関係でよ」

「………なに」

「けして、いいかけして悟られるで無いぞ。我とてこれで抑止力の大戦が起きるのはいささか笑えん。いまは静かに酒を楽しみ、時代を楽しみたい気分なのだ。まさか藤丸立香、龍崎アスカが自分の物語の相手と知れば、あの者らの暴走は面倒この上無い」

 

 そう言われ、錬鉄の英雄のBGMはホラーが鳴り響く。

 

 英雄王の目の前にいるのは、ifのサーヴァント達がいる。

 

 ロンの槍を持つ女神や、女神のままの三姉妹の末娘。そしてリリィ達。

 

 まだいる、正史の記録や流れからこぼれ落ちた英霊達。それを冷や汗を流すだけではなく、静かに食事をするブリュンヒルデもいるのだから………

 

「まま、まさか」

「まさかも何もない。あれは、そう言う役目よ………」

 

 少しうんざり気味に言い、はっきり言う。

 

「あれの表は英雄としての活動は、悲劇からあれらをすくい取る役目だ。そして悪もまたしかり、怪物として現れなければいけない、そういう役目だ」

「彼の役目はなんなんだ!? いくらなんでも」

「貴様が嫌いなものだろう」

「俺の嫌いなものだと?」

 

 うんざり気味にそう告げて、静かに告げる。

 

「あれは普通なら感づかれることは無い。唯一の救いはそこだ、記録を覗ける我などぐらいだ。だが知られる恐れがある、別軸で自分を救う物語の相手。それを知ったら………さすがの我も、気がめいる」

 

 そう言い結界を静かに解く。

 

 錬鉄の英雄は心の中で推測する。

 

(龍崎アスカの偉業は、悲しみ、悲劇、絶望、破滅の回避だ。ああそうか)

 

 ifの彼女達は孤独だ。それを救うと言うことはそういう意味なのだろう。いまのマスターもそのようなものを求められている。なら前世そういう関係だと知れば………

 

 寒気がした。もし本当にそんな物語があり、それで彼女達の悲劇を回避する主人公と知れば、その記録を記憶にしたら………

 

「………」

 

 その時、ジークフリートと出会うブリュンヒルデ。その瞬間全員が避難した。

 

「シグ………ルド………」

 

 最近、この正気を失ったときの目の光が、酷くなりつつある彼女。よもや察しているのかもしれない。スイッチが入れば、完全に正気は無い。

 

「待ってくれ、私はシグルドでは」

「違う………同じだった同じだったシグルドだっただだだだだだだだだだだだだだ」

 

 何か壊れたように感づいている英霊。捕まった竜殺しの捕まった腕がきしみ始めている。おかしい、彼は背中以外、ダメージをそうそう負わないはずなのに。

 

 彼女達を次元の壁を越え、龍崎アスカがいる世界へと行かせてはいけない。

 

 守護者として、彼女達の前に立つ。問題ない、答えは得たよ………

 

「さすがに我も手を貸す、問題過ぎて、関与できない。だがら気づかれるなよ」

「………」

 

 この英雄王ですら問題すぎると言う爆弾が異世界にある。確かにグランド達が出向くはずだ。爆弾過ぎる、世界すら終わらせられる。

 

 とりあえず神の鎖に抑えられたブリュンヒルデは、シグルドと手の力だけで動き回り、彼を捕まえたので急いで助けに出向く。

 

 錬鉄の英雄が思うことは、龍崎アスカが平和に人生を過ごして終わりを迎えて欲しいと願うしかない。英霊と関わらないままで………

 

 

 

「それじゃ、おやすみジャック」

「うん♪ おやすみなさい、おかあさん………」

 

 そう言って抱きしめながら、静かに電気を消して眠る。異世界で滅亡レベルの事件が起きるかも知れないと言う事実を知らないまま、彼は安らかに眠りにつくのだった………

 

 

 

 ――異世界

 

 

 慣れた。

 

 それは悲しい人の習性だ。まさかこんな事態に、慣れてしまうなんて………

 

 白い蛇、大蛇が自分に巻き付いてくる。だが上半身は、可愛らしい、一人の少女だった。

 

「ああ、ま・す・た・ぁ♪♪」

 

 嬉しそうに陶酔し、その頬を撫でながら密着する彼女。吐息も何も感じるが、胸も当たっているが、なんだろう、もう疲れたんだよ清姫。

 

「清姫、オレは龍崎アスカであって、君のマスターではないよ」

「いいえ、この清姫と婚礼し、未来永劫永遠を誓い合ったお方なのは間違いありませんよ♪ もう旦那様はお茶目さんでしたね、清姫のうっかりでしたっ」

 

 可愛らしい微笑むが、色々当たったりするが、もう無視しよう。恐怖が勝つと恥じらいなどの感情は消し飛ぶらしい。

 

 ここ最近色々あったから、慣れたよ。

 

「清姫、オレは藤丸立香の生まれ変わりかも知れない、けどね、オレはオレだ。オレの人生を歩みたいんだ。だからこういうのは藤丸立香にして」

 

 他人と言うか、前の自分に全てを投げ渡すと言う暴挙をしながら、それに、うっふふと微笑む。

 

「もう旦那様ったら、この世界に清姫がいないではないですか。旦那様一人になんか―――絶対にさせませんよ―――」

 

 背筋が凍てつく一言。それとはしたないですがと一声かけて、上着を脱がそうとする、令呪に触れる気だろうか抵抗。

 

 腕を挟まれながら、それでも抵抗する。

 

「旦那様? なぜ嫌がるのですか?」

「清姫、オレがいる世界では英霊はいてはいけないんだよ。君が来られても困ってしまう」

「? 私と旦那様は二人で一人です。なにを言っているのですか? 今後私清姫は未来永劫、あなた様のおそばに居続けるのです。冥府に行く際は共に出向き、永遠を共に。ああ安心してください、けしてお邪魔にならないよう、気配を消します」

 

 そんな夢の中、前の時は子供は四人でしたね、次は何人生みますか?など、記憶ねつ造もしていて、オレは必死に抵抗する。

 

「落ち着こう清姫、オレは君のことは大切だけど、それはラブじゃなくライフ。友人として好きなんだよ」

「まあ愛してるだなんて………」

 

 頬を赤くするが、全身、身体に巻き付く蛇が、少しだけ悲しいなと思う。

 

「清姫………」

 

 本当は嫌がればいいんだろうが、ここまで来ると冷静に対処してしまう。取り乱せばもう少し抵抗するのだろうが、自分は彼女がここまでおかしくなったのは知っている。

 

 だからこそ、本当に拒絶が出来ない。

 

 バカで愚かな者。それが自分なのだろうが、

 

 そんな気持ちで色々彼女に捧げる気はないため、抵抗する。

 

 そんな日々が一週間続いた………

 

 

 

 正月終わり、司令室でゆっくりするアスカ達。

 

 ぶっちゃけ、アスカが司令室で働く人達に、少し遅めの正月料理など作るために着たのだ。響を始め、未来や翼、クリスや奏。監獄から出て今度の新学期、リディアンに通う切歌や調、セレナもいる。

 

 アタランテとジャック、女性メンバー+オレ全員が着物を着ていて、その中でお雑煮などを食べる。藤崇さん達は少しだけ疲れが取れて、少し休まる。

 

 今後の方針で組織名が変わったり、手続きしたりと色々忙しいのだ。

 

「おいしいねお雑煮、異世界でも向こうでもだいたい同じだと思ったけど、味がこんなに違うのか………」

「マーリン、テメェはアヴァロンに帰ってくれない?」

 

 グランド・キャスターがちゃっかりいて、アサシンのあの人、首取りに来るんじゃね?と言うくらいに、暇つぶしに来るんだ。

 

 異世界の事柄に関わらないようにして欲しい。

 

「いいじゃないかッ、向こうの君がなかなかパソコンとブルーレイ買ってくれないんだよ!! スカサハも文句言うくらいにさ」

「知らないよ………」

 

 割烹着着て、火加減の調整しながら煮詰める。お雑煮うまそうに食べる切歌達は呆れながらその様子を見る。

 

「あの人本当に、伝説の魔術師デスか?」

「信じられないですけど、本物ですよ」

 

 セレナはこれでも、王の娘として生まれていた子に、身体を奪われていて、色々知識はある。

 

 パソコンくらいあるんじゃないか?と聞くと、

 

「古い方なんだよ、ノート、ほら、いま出すから………」

「食卓に出さないでくれよ………」

 

 そしてついでだから向こうにテレビ電話しようとか言って、セットし始める。

 

 それ以外に聞きたいことがあるが、どうも答える気は無い。

 

 雰囲気からしてこの調子だ、口に出してはいけないのだろうか?と思いながら、

 

 

 

 教会が映り出す。

 

 

 

「………ん?」

 

 マーリンですらよく分からず、首を傾げた。

 

「おかしいな? カルデアに繋がるようにしてあるのに、なぜ教会?」

 

 そして流れるのはまさに祝福する音楽が流れ、そして花嫁が現れ、着物を着ていたアタランテが吹いた。

 

 吹くよな、オレも吹きかけた。

 

 綺麗な美女が、花嫁姿で、まさに現れ、その傍らに、

 

『いやだぁぁぁぁぁぁ助けて、誰が助けてマスタぁぁぁぁぁぁ』

 

 熊が泣きわめいていた。

 

「オリオーーーーンーーー」

 

『この声は誰だッ!? 誰でも言い助けてくれぇぇぇぇぇ結婚は嫌だよぉぉぉ』

 

「アルテミス様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、なにしてるんですかぁぁぁぁぁぁ!?!????」

 

『あら? アタランテの声? 結婚式よッ』

 

 ドヤ顔で言われ、回りも吹き出した。

 

「あ、ああ、アルテミスって、神様じゃないですか!?」

「響すら知ってるか!! そうだよアルテミスだ、アタランテが信仰する女神であり、逸話では誰とも結婚せずなんだが、オリオンのことを愛してるんだ」

「確か、それでも神話で色々あって、恋人と結ばれることが無かった女神様だよねアスカ?」

 

 未来の言葉に頷きながら、

 

「だがこの世界のオリオンは英霊の座に登録され、アーチャーとして英霊召喚対象なんだが、その」

「………アルテミス様は、その際浮気するオリオンを監視するため、限界まで神霊を下げに下げ、現界してるんだ………」

「ちなみに、それでもサーヴァントとしての格はアルテミスに奪われて、オリオンはその、熊の方なんだ」

 

『うおおぉぉぉぉ、これどう考えても本体アルテミスだよね!? 異世界のお嬢ちゃん達から見ても本体俺じゃなくって、アルテミスだよね!?』

 

 響達はどう言えばいいのか、アタランテは顔を隠しながら、カメラから外れていく。信仰してても恥ずかしいのだ。

 

「あーそれでアルテミス様、まさかと思いますが、結婚式を?」

 

『イッエースっ♪♪ 思いついたのよっ。英霊の座に還れば全てリセットされるんだから、現界するたびに結婚すればいいじゃないかってっ。私は永遠にオリオンを愛し、永遠に結婚し続けるの♪♪』

『助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ』

 

「ああ、永遠に追う追われる立場からそう言う心境になったと………えっと、おめでとう?」

 

『ありがとうっ♪♪』

『助けてーーーーーー』

 

 無理言わないで欲しいと、お雑煮を食い始めるマーリンとオレ。

 

 異世界にいれば巻き込まれる心配はない。安心だ。

 

「って、待ってくださいッ。純潔の女神が結婚していいのですか!?」

「アタランテ、無理言うな。無理だ諦めよう」

「で、ですがマス、そうマスターッ。そっちの、藤丸立香マスターはどこに!?」

「………もの凄く嫌な予感ッ!! もう一人のオレはどこにいるの!!?」

 

『………マスタぁぁ………』

 

 オリオンが悲しそうに声を出すと、バックから爆音と共に、サーヴァント(女子)が現れる。

 

『おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ、邪魔をしないでくださいッ。マスターとは私が結婚するのですッ』

『『海賊なめるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』』

『母は許しませんぇぇぇぇぇぇぇぇぇ虫めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ』

『『あっははははは』』

 

「絆値が高くなるとそう言う扱いになるかそう言った関係を望むかおもしろ半分のサーヴァント全員が宝具片手に現れたぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 そしてその傍らにいる藤丸立香。もう一人の自分が簀巻きにされている。うわぁぁ………

 

「………マーリン通話切ろうか」

 

『助けてよマスターッ、もう一人のマスターでしょッ。もう男性サーヴァントはやられてるんだッ、後は悪かもう世帯持ちとかしかいないんだよぉぉぉぉ』

 

 お願いと泣きわめくが、無理なことを言う。

 

「オリオン、オレが言えるのは一つ。シェイクスピアッ、来世か前世のマスターとして命ずるッ、彼らに物語りを語ってあげてくれッ」

 

『あっはははは、そう言われれば仕方ないなーーーーっ』

『あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

 悲劇を書くことが好きな人にそう言うしかなく、紅い槍を二本構えている人とか見ながら、もう無理な案件だと理解する。

 

 もうギルガメッシュレベル、トップサーヴァント、世界規模レベルの争いじゃねぇか関わり合いたくない。

 

『いやだいやだいやだいやだぁぁぁぁぁ結婚はいやだよぉぉぉぉぉ』

『ダーリン、これからも次からもその次も次も次も次も次も次も次も次も次も次も――………永遠に捕まえて、結婚しましょうね♪』

『おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ』

 

 その様子を見ながら、やっと割烹着を外しながら、やれやれと思い、

 

「どんなに言ってもオレは異世界の龍崎アスカ。サーヴァントの物語に関われないしな………」

 

『ノオォォォォォォォォォォォォ』

 

 そう叫ぶとき、乱戦の中が静まり、扉が開く。

 

 ん?と思い、それを見て、顎が外れかけた。

 

 そこに現れたのは………

 

『アスカ………』

 

 ウェディングドレスを着た、アストルフォだった。

 

 全員が完全にあっけにとられ、アストルフォは静かにブーケを両手で持ち、頬を赤らめて、オレを見る。

 

『………ボク、マスターのことは大好きだよ。だけど、ボクの気持ちは、アスカ、君なんだって、分かったんだ』

 

「…………………………………」

 

 

 

 ――立花響

 

 

 いまアスカがフリーズしてる。もう男性に告白されたときよりも酷い。

 

『アスカ好き、大好きっ。アスカが望むのならボクは』

 

「待てアストルフォ、オレとお前は男性だっ男だ同姓だ英霊と抑止力だお前は藤丸立香のサーヴァントだ結婚なんて無理だッ」

 

『アスカっ、ボクは本気だよ!!』

 

 見た目美少女がウェディングドレスを着ての告白だけど、アスカは首を振る。

 

「アストルフォ、オレにとってお前は大親友で命の恩人だ!! やめてくれ」

 

『アス………カ………なんで、性別なの!? 性別なんて関係ないよっ、ボクは本気だよアスカっ』

 

「藤丸立香に向けてくれ」

 

『なにもう一人の自分になすりつけようとしてるの!?』

『ボクはアスカじゃないと無理なんだっ!!』

 

 見た目可愛いんだけどなと思いながらと思いながら、お雑煮を食べてると、白い着物の、きよひーさんが現れる。

 

『なにを言っているのですか!? その人もこの人も、魂の枠組みすら越えて愛を誓ったのはこの清姫です!! もうすぐです、もうすぐ彼の下にも出向きますし………』

 

「あの、夢に出てくるの辞めてくれないかな? 寝込みはほんと、そっちのだけにして欲しいんだけど」

「えっ? そんなことしてるの彼女」

 

 それに全女性サーヴァント(藤丸立香が好きな)者達が、

 

『ふ・ざ・け・る・なッ!!』

 

 魔力らしい何かが放射される中、もはや他人事のようにしている。

 

『必ずその世界に行きますええ行きます。もうすでにこの身に宿ったマスター達の愛の力で異世界の壁を越えて見せますっ♪♪』

『ならば母の愛を見せてあげましょうッ』

『させるかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

『それなら』

『海賊らしく奪い取る!!』

『させませんッ』

『はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

 凄いな、画面越しが戦場レベルで宝具が飛び交う中、アストルフォさんがいまだ愛してると言う。無理だからねと言い続けるアスカ。

 

『アスカは誰か好きな人がいるの!?』

『それは私のことですねっ』

 

「………」

 

 アスカが助けを求めるようにこっちを見る。えっ、どうするの?

 

「おい、誰か彼奴の恋人ですって言うのか?」

 

 こそこそと私達が話し合うんだけど、少しびっくり。

 

「以外だな、雪音が先にそう言うとは」

「………毎度悪夢や大蛇に巻き付かれた跡がある彼奴の身体見てれば、早くどーにかしねぇといけないのが分かるからな………」

 

 え? そんな事態なの? もの凄く疲れ切ってるし、そう言えば最近ホントおかしいからなアスカ。ジャックちゃんを甘やかすのが羨ましいくらいだよ。私もそれくらい甘やかして欲しいよ。

 

 だけどと調ちゃんが、

 

「だけどあの人嘘は禁句なんじゃ………」

「あっ、それもそうか」

 

 すまなそうに私たち女性たちはアスカを見る。だよね~と顔をしてモニターを見る。ものすごい抗争の跡に、師匠達が青ざめている。

 

「いやだめだからねっ、もうこれ以上サーヴァントこの世界に来られても困るからね!! さすがに抑止案件だからやめて」

 

 そんな会話でアスカに治癒の魔法をかけてくれた。衣類の下に大蛇がはった跡があり、よく耐えたねアスカ。

 

「藤丸立香もこの調子で助けてやれよ」

「無理言わないでくれよっ、あれなんか歓楽街のツケ支払を頼んだアルトリア達みたいな現状に関わりあいたくないよ!!」

「テメェいっぺん殺すぞ残機あるからしていいかマジでっ」

 

 

 

 最後には来世であるアスカが、暴力じゃなく優しいお嫁さんがいいな~という発言を聞いて、宝具というものを下して、料理対決にかわった藤丸さんが、今度はアストルフォさんの説得を受け持ってくれて、今回の騒動は収まった。

 

 カルデアという組織のスタッフさん達がモニタ越しから何度もお礼を言われ、なんとも言えない顔になり、円卓の騎士やアルトリアさん(色々な逸話、もしもの人たちは戻ってきたら憶えていろとマーリンさんに言っていました)で騒動もありましたが、おおむね平和です。

 

「けどアスカ、お嫁さんは優しい人がいいんだ~」

「料理や家事できるけどな………オレ、前世もほぼ一人だし、そういうのがいい」

「そうなんだ~」

 

 そう思いながら、料理が喜ばれるなら自分も頑張ろうかなと思いつつ、今日も平和だった。

 

「あっ、マーリンさん、せっかくですからお年玉ください」

「ん? いまあるのエクスカリバーとブリテンの通貨くらいだけど、いいかはい」

「よくねぇぇぇぇぇぇぇぇぇよおぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 そう叫び声と共にブリテン時代のお金を渡すマーリンさんに、ギアを纏って切りかかるアスカ。

 

「ん~この時代じゃ使えないもんね」

「響、少し歴史の勉強しようか」

「このバカはっ、んなもん人理崩壊レベルのことしてないかマジでっ」

 

 クリスちゃんはそう叫び、受け取った通貨は元に戻させて説教と勉強会になりました。わたし、呪われてる?




マーリンが出したブリテン通貨は、当時の物です。さび付いてもなにもない。

どっちももらっても問題しかないです。使えないとかのレベルじゃない問題です。

それでは、お読みいただきありがとうございます。

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