それは、叛逆の騎士とされるはずの人物が、王座も自らの出生にも興味無く、ただそれ以外の生き方が無いからと、ただそこにいただけだった。
円卓の騎士が、王の后に手を出した際、彼は仕事と割り切り、色々と手回しした。
それはたまたま、王が自分が女性であり、彼女が生みたいと望んだ。
そして父は自分である、そう言う形でならば不問とする。そう騎士と后に言い、生まれた娘は王の娘として、多くの者達に祝福された。
事実を知る者の中には、不満を持つ者がいたが、気にすることかと説き伏せ、何より問題なのはその父親であると、父親は許された身と、娘のため、国に尽くす。
そんなことをやらせていた騎士は、ある日賊を斬るため、手持ちに剣が無く、王庫から剣を借りた際、その王剣に認められた。が、興味は無かった。その結果、銀色の髪と不老になった。
数々の王命を聞き、円卓の騎士達を纏め、民からも信じられる騎士として彼は、白銀の騎士と言われた。
最後、王座を狙う魔女が、その命と共に呼び寄せた魔竜から、姫君を守り死んだ。
白銀の騎士モードレッド。女性である王と、義理の姉が魔術を使用して生み出された忌み子でありながら、己の存在にさほども興味を持たず、ただ流れ、自由に生きた男である。
だがこの逸話は、存在しないもしもの物語。彼の騎士は座に登録されず、その功績は夢物語として存在せず、偽りとしてあるもの。
だから………
無数にわき出る、エネミーの戦いの中、銀の腕を持つベディヴィエールが斬りかかるが、巨大な盾で防がれ、そして、槍が放たれる。
「その槍はっ、アーサー王の!?」
「私は仮にも父上の娘なんです、父から受け渡された円卓の盾と、この槍は本物であり、これは最大限に引き出せます。円卓の騎士ごときに倒されません」
「くっ」
「特にそこの人は死んでください、消えろ、虫のように消えろ」
見下ろすように冷酷に告げているが、ランスロットはもの凄く精神的にダメージを受けながらも戦い続ける。
「貴方、人の妹の身体で酷いこと言わないでッ」
「すみません、ですがこの身体はモードレッド様が生まれる世界に干渉する触媒。元々死んでる運命からすくい取ったんです、できれば気にしないでください。そしてラン、いえ穀潰しは死んでください」
そう言われながら、光り輝く槍が回転し、光の奔流が敵の兵士ごと潰している。
それでも尚、新たに作り出される中、それを避けながら、弾幕を張るクリスだが、盾を構えるだけで、城壁が生まれ、翼の戦慄もまた、城壁に阻まれる。
「あの力………紛れもない、ロンゴミニアド。王の槍を」
「ふざけるなあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
叛逆の騎士モードレッドが立ち上がり、黒い血に染まったクラレントを放つが、それも城壁に阻まれる。
「!? ミコーンと来ました。エリさん、宝具で少しやっちゃってくださいな」
「私ので突破できるの?」
「確認ですので、申し訳ございませんが」
「まあいいわっ、全員下がりなさいッ」
突如魔城が現れ、その上でマイク片手に叫ぶ。
『
音波のような歌声が放たれるが、それを白亜の城壁が防いでいる。その様子に耳をぺたっとしていたキャス弧は顔色を悪くする。
「これは、ブリテン宮殿そのものの壁ですね………あれ」
「まさか、城その物を呼んでると言うことか!?」
翼の叫びに、サーヴァント達は苦い顔をする。
「知り合いの方に、そのような宝具を使う方がいるので………」
「もしかすればその盾」
「ご明察です、この盾は円卓の騎士が囲む場より、私のために作られた円卓の盾。これにより縁深い者、集う英霊を囲む力はこれ以上無い触媒です」
シールダーかと思う中で、となるとと視野するキャス弧。
「キャス弧、ここは任せたぞッ。城落としなぞ、簡単にできる者は、現段階では居ない以上、別口しか無いッ」
「分かってますってのっ」
そしてそんな中、静かに、
「させると? この盾も槍も、加工済みですッ!!」
息を吸い、そして、歌を歌う。
「これは」
「まさか」
装者達が驚き、そして、彼女が駆け出す。城の壁が動き、まるで動く城塞となり、サーヴァント達に襲いかかる。
それは恨み、円卓の騎士は何も考えず、王を判断を疑わない者、民の身を案ずるが故、王を理解しようとしない者、民しか見ない者、正しいことしか見ない者、王として国しか見ない者への、恨み辛みの怨嗟の戦慄。
それを巻き込みながら、ロンゴミニアドは輝く。
「消えろッ、あの人を苦しめたッ、愚かな者達!!!」
その光の奔流は、全てを飲み込んだ。
「………助かりました、ジャック」
「問題ないけど………ジャンヌ?」
「ええ………」
緒川さんなどを守り、ずっと控えていたアストルフォを含め、三人以外立っていない。他のサーヴァントも、装者も先の絶唱で、倒れているが、生きてはいる。
「私も、この身体を使用している非礼は詫びます。本来死ぬはずだった時間からこの人は止まってますが、生きているのでそのまま返します。安心してください、生きてますので」
そうマリアにほほえみかけるが、マリアはその言葉に睨む。
「ふざけてるの?」
「貴方は妹さんが生きているのに、嬉しくないんですか?」
それに顔を歪めるが、すぐにナスターシャ教授が手を掴み。目でさとさせる。
「その結果、別世界の方々の歴史をねじ曲げるのであれば、私達は抵抗させてもらいますよ。存在しないアーサー王の子よ」
「………そうです、私はアーサー王の子として扱われた、王家の者です」
そう言って、微笑みながら静かにそれを見せたとき、無銘も目を見開いた。
「バカな!? 鞘だと!?」
「鞘!? ブリテン関係で鞘と言うことは」
「はい、父上の、聖剣の鞘です。だからこの身体、セレナ・カデンツァヴナ・イヴさんは生きて、治癒されてます」
聖剣の鞘、それを持つ者に不老不死を与え、治癒能力も与え、解放すればありとあらゆる害悪を防ぐ、最強の鞘。
「ですので私を傷付ける人がいるとすれば、父上だけですが、ここに父上を呼べる方はいません。だって、誰もそれほどの腕前の魔術師であり、縁が深い者はいないのですから………」
微笑む彼女は、静かに近づいてくる。それはいまだ抵抗している人物。魂から情報を無理矢理取れてはいるが、いまだ抵抗していた。
「アスカさん、ずいぶん抵抗するんですね。ですがすいません、私は貴方を殺します、恨んでも良いです。ですが、貴方を殺して、モードレッド様を完全顕現させます」
「どういうことですか?」
静かに呟き、ジャンヌが前に出るが、すでに鞘の恩恵は解放つれていた。緒川さんが影に影縫いをはなったが、それすら防いだ。
「………私は生きているモードレッド様にも会いたいんです。歴史を歪め、叛逆の騎士から白銀の騎士モードレッドではなく、モードレッド様にお会いしたい。私の肉体は管理しています、セレナさんはお返しします。私はモードレッド様と共に、別の世界で幸せに生きます」
そう言いながら、白亜に隠された肉体も出現させながら、それに驚く無銘。
「………君は」
それに英霊達は絶句した。
「はい………不老不死の身体は助かりました」
その周りには、大小異なる、杯があった。
サーヴァント達は絶句する。どれも本物だと分かる。
「聖杯ですか………最悪です、マジですか………」
「まさかこの空間も、盾も、鞘も、槍も、異世界に干渉する事例すらも」
戦慄するサーヴァント達に、虚ろな目でぶつぶつと………
「長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった長かった―――――」
槍を持つ盾の少女はそう言いながら、狂ったように笑い出す。
「まずは鞘を見つけだしたときは歓喜しました!! 後は父上からもらった槍と盾で聖杯を探すために世界中を巡りましたよええ巡りましたッ!!! 父上を始め、あのくそ花の魔術師マーリンからも隠れて聖杯と言う聖杯を探し巡るのに骨が折れましたッ。その後は平行世界の聖杯を見つけだすのにも骨が折れましたよええッ!!! 中には汚染されて使えないものまであったんですから苦労に苦労しましたッ」
だが彼女には、アーサー王の鞘、ロンゴミニアド、円卓の盾があった。
それ故に、
「揃えに揃えて、後はこの空間で待ってましたッ。モードレッド様が生まれる世界、しかも聖杯から外れるように、願っておいたんですからッねぇぇぇぇぇぇ!!!」
「!? つまり、彼が聖杯の管理から外れた世界に生まれた異常事態は」
「わ・た・し・が、引き起こしましたッ。世界と言う存在そのものに管理された抑止力の魂ですよ!? どうして偶然でも聖杯とは関係ない世界にこぼれるんですか? しかも別の聖杯を使っての隠蔽も願いましたのであしからずですっ」
そう言いながら、響が立ち上がり、拳を振り下ろすが、それは光の壁に阻まれる。
「くっ………」
「………恨まれるのは理解します、悪者でいいです」
「そこまで分かってるのなら」
「ですけどッ、私は許せないッ。私を救ってくれた、私を見てくれた、国を守ってくれた、円卓を纏めてくれた、王を支えてくれた、民を支えてくれた、無感情、無関心、無責任と言いながら、結局騎士として生きたあの人が、
そうはっきり叫び、円卓の騎士達を睨む。
「王が苦しんでいるのに、全て正しいとしか受け入れないガウェイン卿が正しい? 最後まで女性であり、それに苦しむことに気づかないベディヴィエール卿が正しい? 王に人の心が分からないと言って立ち去ったトリスタン卿が正しい? 母上に手を出して許されても、許されたことが納得できないと言う穀潰しが正しい?」
そしてなにより、
「それでも骨身を削り、支えた騎士であるモードレッド様の本来が、父上を裏切る騎士であるのが正しい? フザケルナァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!」
そう叫び声を上げる、響は後ろに下がる。彼女の怨嗟を聞き、そして、
「………正史の歴史と違うのは、ただモードレッド様が王位に、父上に認められることすらどうでもいい。短命で死のうがどうなろうかどうでもいい。あの人の口癖です、どうでもいいと、何度も言う………」
だがクラレントに選ばれ、短命で無くなった。魔女である母親の言うことは、アグラヴェインと共に無視していた。
「アグラヴェイン卿とは何度も言い争い、穀潰しの不正を正そうとするのを止めたそうです………トリスタン卿が去ろうとするのも、何度も呼び止めて、去るとしても外側から国を支えろと、役割を考えたり………ガウェイン卿に、全ての王命が正しくても、民や他の者に正しさが伝わらなければ間違いだと何度も言ったり………ベディヴィエール卿にも、他の円卓の騎士達にも、王として生きる父上の、人の心を捨ててでも国を支える意味を問い続けた………」
遠く、遠く、虚空を身ながら語るのは、彼女のブリテンと言う国。その話を聞きながら、まるで、
「ほら、正史のブリテンと打って違って、平和な時代です………父上も、機械のように冷酷でありました。ですが、国のためだと言う騎士達が多く、もしも冷酷過ぎるのなら、自分達がカバーすると、思う騎士がいましたよ」
だが魔女はその国を狙い、ついに命と引き替えに、魔竜を呼び寄せ、国を襲った。そして彼が戦い、散った。
「………その後から、父上は変わりました。骨身を削ったモードレッド様のために、王としての判断と共に、民を思う判断も交えて考えるため、円卓を変えました………なんでこの物語が違うと言うの………なんであの方が叛逆の騎士が正しいの………」
そして槍を構え、盾を構え、鞘を解放しながら、静かに、
「世界が壊れる? 知らない、壊れてしまえばいい………あの人が幸せなら、それでいい………アスカさん、ごめんなさい、響さん、未来さん、ごめんなさい………私は、私はただ殺すために、龍崎アスカを作り出した。だから………アスカさん」
死んで?
そして光の槍が、すぐに動く。その速さに、サーヴァント達は不意を付かれ、響は手を伸ばすが、届かない。
「アスカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして、
「………どうでもいいだろ、んなこと………」
白銀の剣がそれを受け止めた。
白銀の騎士モードレッドの剣であり、雑音が走る身体で、僅かに笑う。
「あ、ああぁ………」
「悪い………サーヴァント、セイバーモードレッドif、顕現完了………微妙だが」
そう言って、彼は愛している者の前に立つ。それに泣きそうになりながら首を振る。
「いや………まだです………まだ鞘が、鞘があります………止められない、誰も私を」
「果たしてどうかな?」
「!?」
と、よく見た。
(………ああぁ………)
何故気づかなかった。
彼女はいつの間にか、設置していたものに気づく。無銘もまた、呼び寄せていた。
「詠唱の準備は終えている、後は私と、君の縁に賭けるぞ」
「………」
静かに笑いながら、静かに、
「縁なら強いだろうよ、エミヤ」
「………ああ」
その光の光輪に、セイバーが降臨した。
それは男性のシルエットに、僅かに微笑するが、
「あっ………」
言葉が出ない。
「アーサー・ペンドラゴン、セイバーとして顕現しました。マスター」
「彼も君なのかもな?」
「アルトリア………じゃなくて………悪かったな………」
――小日向未来
始め、びっくりした。胸を鎖で何本を貫かれたアスカが、携帯メール画面で無銘さんを気づかれずに令呪で呼べと言う。
その前に、無銘さんに作戦内容を言う。内容はアーサー王の召喚。念話と言うもので会話したけど、不思議だった。
そして僅かに笑った無銘さんの合図で、呼び寄せて、彼のおかげで召喚されたのは、男性のアーサー王。
「話は分かった、僕もifの者として、彼女を止めよう」
「くっ………」
その時、彼女が纏う、鞘が砕け、本来の主、彼の騎士王の元に集う。だが、
「で、ですが、別軸の父上をお呼びしても、鞘は私用に調整してますッ。貴方では使えないッ、エクスカリバーだけで、ロンゴミニアドと戦うんですか!!?」
「戦うさ、行くよ、モードレッド」
「………ちっ、どうでもいいって言っていられないよな」
それに泣きそうなほど驚愕する。それでも盾を構え、静かに、
「待ってください………」
その時、誰もが驚き、振り返る。
「その人を止めるの、やらせてください」
「立花響………」
拳を握り、静かに構える響に、白銀さんはアスカを見て、その場を譲る。
「………なんで」
「だって、好きな人と、大好きなお父さんと戦うの、いやでしょ?」
「………ぇ………」
力無く微笑む響に、涙を流しながらも、
「………」
力を込めて、槍を捨てる。
「もういいです、こうなれば籠城戦です。時間が経てばアスカさんを砕いて、モードレッド様が顕現する………この円卓の盾、ブリテンと言う国の歴史、その重み、砕けるのなら砕いて見せてください………」
「うん、りょ~かい………」
両腕で盾を構える彼女の周りから、白亜の壁が現れる。響は歌を歌いながら、拳を握る。
「私は、モードレッド様を………あの人の偉業を、世界に認めさせるっ!!」
「アスカを、渡せない………貴方を止めるッ、この拳にッ、全てを込める!!!」
白亜の城が生み出される中、響は真っ直ぐ、ただ拳を放った………
――
「ごめんなさい………」
一人の女性が、少女へと頭を下げる。
分かっていた。こんな計画が成功しても、あの人は悲しい顔をすると分かり切っていたし、きっと銀の王剣を持って、変わってしまったもしもの世界を正すために、平穏を捨てて進む。
だけど、捨てられるわけないじゃないか。
「ううん………感じたよ、貴方の想い………だからその、何も言えない。私は貴方の言うとおり、死んでたしね」
そう優しく言いながら、その人は私の手を取る。
「貴方はロンの槍を捨てる必要はあった? あなたは踏みとどまったんだよ」
「………わたしは」
彼女は優しく微笑んだ。
「ありがとう、貴方のおかげで、マムやマリア姉さんにまた出会えた」
そう微笑まれた。私は彼女を利用し、彼女の大切にものを傷つけたのに、どうしてお礼を言うの? どうしてロンの槍を捨てたの?
答えなんてわかってる。
「………ああそうか………」
涙を流しながら、初めから分かっていたのに、分かっていながら背けていたんだ。
「誰かを犠牲にするやり方は、あの人は嫌いって、言ってた………どうでもいいもん、抱えるからって………」
そう呟き、何かが砕かれた………
――龍崎アスカ
「………鎖が取れた………」
そう言って、自由になる中、周りが壊れ始める。
すっと糸が切れたように、響の腕の中に、セレナが、砕けた盾を持っている。槍もまた砕け散って、欠片となり手の中にある。使い手の意志が敗北を受け入れたからだろうか?
『ごめんなさい………』
静かにこだまする声に、だけどと付け加える。
『だけど私は英霊では無いですから、転生の輪で、貴方を見つけ、共に歩みます………それくらいは許してくださいね』
「………来世大変だな」
「人ごとか、いや、まあそうだな」
白銀も、アーサーも、オレもそっぽ向きながら納得する。その様子に全員から何か言いたげな視線を感じるが、全員無視する。
「………俺達もここまでだ」
黄金の粒子になり、消え始めるサーヴァント達。静かに目を閉じる。
「結局、これはなんだったんだろうな」
「それはあんたがお姫さんの気持ち、踏みにじったからじゃないの~」
ブーディカがそう言いながら、白銀を見るが、白銀はランスロット達を見る。
「円卓に問題持つのは俺の事態だけじゃないだろ? お前らも反省点があるんだから、聖杯戦争で共闘する時は遺恨捨てろよ」
「それを言われると………」
何も言えない中、本来のモードレッドは白銀を睨む。
「………まあ、お前の言い分も分かる」
そう言いながら、そっぽを向く。デレた。
思ったらこっち睨んだ、目線を逸らそう。
「結局、この空間は、彼の魂に惹かれた者達が集う、固有結界だったのだな」
「………どんだけ聖杯や神秘に関わった………」
よく考えれば、彼女の言う戦い以外にもいるし、ジャンヌをふと見ると、妙に頬を赤くして黄昏れていた彼女と目が合う。
「ミコーーンーーーーーーまたですか? また別の人に手を出したんですかマスター!!?」
『………』
それに全員が一斉に我々と言う、オレを見た。
「待て、オレ関係ない。その時のだ」
「確かに」
「あっははは………」
三者同じ魂の人物がそう言う中で、アストルフォは、
「まあね、知らない方がいいよ~アスカは~」
「………だな、過去のオレの偉業なんて知りたくない。クラレントとアーサー王で辛い気がする」
「言わないでくれ、僕だって来世に背負ってもらう気は無いよ」
「俺は違うから、ま、別の形で。頼むモードレッド正式」
「………」
なにも言わず、腕を組んでいるモードレッド。デレ、
「お前いまなに思った?」
「すいませんッ、サーヴァントでセイバー組で好きなもんでいじりたいんですはいッ」
素直に言ったら、真っ赤になって殴られた。ひでぇ………
「もしかすればこれで吾々のパスも直るかも知れないな」
「!」
その言葉にジャックは自分の身体を見る。そしてすぐに近づき、
「おかあさん、わたしたちにお別れ」
「ん? なにして欲しい?」
「ちゅ~」
「ん」
そうジャックに言われ、おでこにキスした瞬間、消えかけていた何名かが元に戻る。
「そ、奏者あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「ふざけるんじゃないですよ星五つ程度があぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「アスカーーーーまた聖遺物動かすんだから、ボクもチューしてよぉぉぉぉぉ」
「愛殺すうぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
「ま・す・たあぁぁぁぁああぁぁぁ」
襲いかかるのは危険なサーヴァント達、あれまずくないこれ?
『………………………………………………………………』
全員が迫る中、各々の相手に迫る中、アーサー王だけは少しだけ外れた位置に移動する。装者達を見るが、冷ややかでした。
「さすがにね」
「まあね」
「一回責任取れ」
そして迫るサーヴァント達から、絶叫を響かせて、元の世界へと帰還した………
ちなみにジャックとアタランテはいました。
外の理で歩く一人の魂。
多くの逸話を背負って還る。
「………」
何も言わず、その記録を保管し、静かにそれは座る。
「また出合い、共にいる、か………何人に手を出すんだか」
呆れながら呟き、空を見る。
お読みいただきありがとうございます。