聖遺物アストルフォが発動せず、アストルフォがいる謎の空間へ来た彼ら。
響、翼、クリス、未来、奏と出会えるか、アスカとの物語が始まり出しました。
全てのワイバーンを倒し終え、イガリマを纏った自分を見る切歌が視界に入る。
「全部私のデス………」
「仕方ない事態です、しかし、やはり適正があったようですね」
「はい………けど、何故切歌と全く同じなの」
唯一の救いは胸だろうか、切歌はあるが、こちらは無い。再現されていたら死を選ぶ。とか考えながら、
「アスカ~♪」
そう言って、笑顔で抱きつこうとするアストルフォを捕まえて、大人しくさせている。
「アスカが二人いる………」
「けど向こうは三つ編みがあるデスよっ」
「女の子のアスカ?」
「ボクも男だよ?」
全員が驚く中で、そう言いながらヘロヘロとその場に座り込む。
「ううっ、魔力切れ………マスターがいないから………」
「………アストルフォなんだよな?」
それに静かに頷く。ナスタージャ教授が、アストルフォのことを話す。
「シャルルマーニュ十二勇士が一人、パラディンであり、王子でしたね」
「うん、ローランとの話だね。んで、ボクはアスカに呼ばれて、力を貸してる英霊」
それに全員が驚く中、アストルフォは静かに、
「ごめん、アスカ。ボクとマスター契約するか、魔力補給して」
「マスター契約はどうやるんだ!!?」
一つしかないので即座に動くと、少し名残惜しそうに、手を出してと契約する。
「別にアスカなら魔力補給でいいのに~」
「絶対やだ野郎だろうが女子でもやだアーチャー生前に言え生前にッ!!!!!!!」
そんな様子に、魔力補給の何が嫌なのか聞かれた。オレとアタランテは赤面するが、気にせずアストルフォが答えた………
しばらくお待ちください。
そして落ち着いた後、ライダーであるアストルフォで、オレに力を貸している英霊。
そう言えば、前にマーリンの所為でできた黒歴史の際には聞いてなかったことがたくさんある。それを聞くことにしよう。
「聞きたいが、オレと契約しているアストルフォでいいんだよな? なんでできたんだオレ?」
「簡単に言えば、あの時、触媒は君の魂と携帯だね。それで聖杯にアクセスできたんだ君は」
「聖杯とは、まさかあの?」
「アーサー王伝説などで語られる、願望を叶える聖杯です。彼らの世界じゃ、主に重要なキーワードになります」
本来彼らのゲーム内容、物語は、七騎、七人のマスターによる殺し合いと言う儀式にて、六騎のサーヴァントを生け贄に、聖杯で願いを叶える儀式だ。
聖杯の力で確か、世界の外の理、英霊の座に登録された英霊を、使い魔として契約するシステムだっけか?と聞く。
「だいたいね、それでいいよ。詳しくは違うし、合ってると言えばそうだし。月の聖杯戦争や、聖杯大戦とかもあるもん。それも少しずつ違ったりする世界だってあるから、どれもハズレでアタリなんだ」
「確かにな、私も赤のアーチャーとして記憶を所持しているが」
「あー」
黒のアサシンであったはずのジャックは首を傾げている。やはり夢うつつのようであり、個人差がある。唯一違いそうなのは、無銘と英雄王など、特殊な者達だろう。
つもり、ゲームや本の話が、だいたい合ってたり、違っていたりするとも言える。ややこしい。
「仕方ないよ、君はそもそもそも、無限の可能性の中、最大の厄災を抑える運命操作の基盤なんだよ? 全部説明できるほど、ボクの頭も賢く無いしね」
「それを言うか………」
それで話は戻るが、
「君が抑止力で、前世の死が訪れる本当の間際、まさに聖杯が君の魂に干渉したときのベストタイミングで、ボクを始めとした、聖杯、英霊の座にアクセスできたんだ。それが前世持ちの要因の一つ。それで呼ばれたのは、最も縁が合う、白銀の騎士の異名になった、叛逆の騎士さんと、ボクのことを考えていたことと、次の転生先が、ボクともの凄く縁深い条件で、ボクを呼んだ。しかもボクの力を取り込むほどにね」
「
英霊の力を自分の身体を触媒にして、喚んで使用する方法。それに近いのかなと首を傾げる。元々説明役や進行役ではないので仕方ない。
「まあ、だからボクは君の魂の隅っこと言うより、輪廻の輪辺りで、聖杯と君を繋げる役目してるんだ。ゆうごうかた、だっけ? あれは聖杯の力でできてる偉業だよ」
それに少しだけ解釈して、口にする。
「つまりいまオレが聖遺物アストルフォが使えないのは」
「ボクがここにいるからだよ」
そう言えばあまりに違和感が無かったから気にしてなかったが、アストルフォウくんの時は、マーリンが調整した偽りの身体だからであった。シンフォギアとして『力』は行使は関係なかった。
「そういうことだよ、あれはアストルフォウくんだから近い力を使えてて」
「いまは龍崎アスカだから、使えないと………」
色々分からないことがあるが、やはりそういうものと理解して動いた方がよさそうだ。
「その辺りはマーリンに聞かないと分からないよ? ボクもよく分からない」
今度会ったらつるし上げなきゃいけないことを知りながら、情報交換をする。
他の人にも
「それで、アストルフォさん?」
「はいはい?」
「ここはどこか分かりますか?」
「ん~固有結界の中だと思うけど、どうしてボクや君達が取り込まれたかは分からないよ」
「「こゆうけっかい?」」
切歌達に、固有結界。世界に自分の心象世界を、染みのように世界を塗りつぶすことで生み出す魔術。ついでに魔法と区別ありも説明しながら、話しておく。
いずれ消えると思われるが、それも確証じゃない以上、
「奏さん、翼さん、響さん、雪音さん、未来さん、私と共にいた人。もしかすれば他にもいる可能性もありますから、彼らを探さなければいけませんね」
緒川さんの言葉に全員頷き。
「はい、けど戦えるのが、マスターがいるサーヴァントと、オレ自身か」
「それもかなり特殊ですよマスター」
深刻にアタランテが進言する。曰く、本来の魔術師は一人が限界。だが抑止であるから命なりに問題は起きていないが、同時宝具使用なんてことはしない方が賢明らしい。当たり前か。
それと共に、考え込むこともあるなと、サーヴァント二人と難しい顔をする。
「どうしたんデス?」
「この世界にサーヴァントがいないと言う保証が無いんだよ」
それに前の事件を思い返し、あーと何も言えなくなる。そう、それがある。
「英霊の座にいるの、反英雄って言う、悪名の人もいますからね」
「なにより、クラス名がある以上………」
「バーサーカーだよね~」
聖杯を巡る儀式で、七騎の英霊は、七つの位、クラスに当てはめられる。
その中に、理性を無くした者、バーサーカーと言うクラスがある。これが一癖も二癖もある。何よりアサシンもだ。
「山の翁は、確かな者ならちゃんと話せるけど、本当に殺すと決めた敵や、愚か者は、もう、殺したこと自体気づかれずに殺せる技量の持ち主だ。話しやすいのは」
「セイバーとランサー………あとはボクと同じライダーと、キャスターは」
「キャスターこそやべぇだろッ!? 青髭の旦那なんて出会った日には即座に殺すぞッ」
「あ~ボクも、シェイクスピアには会いたくないな~」
「それトラウマ引きずり出して敵を倒す作家の英霊だッ、誰も会いたくない!!」
後はアーチャーだが、それも人による。英雄王なんてやだぞ。
「ともかく、魔境に来たことは確かだ。急いで全員探さないと」
「分かりました、私は機器をいじり、連絡できるか賭けてみます。アスカさん、切歌と調、他の装者のギアを。いざとなればこれらを使ってください」
まさか、他のギアを纏う日が来るとは、もの凄く遠い目になる。
響のがまだマシか? 翼のは剣だけど、どうだろう。あまりジロジロ見てないので、どんな衣装か分からない。
ともかく話ながら、歩いていく。
死んだ。
「おかあさんっ、しっかりして!!」
「なにこれ………」
誰かが呟く。素人から見てね分かる、罠と言わんばかりの宮殿がある。
そして魂が言うんだ。関わるな、関わるなと………
「すいません、腹痛いんでここスルーしたい」
「マスター頑張ってよっ、そりゃ、ボクですら罠だって分かるもん」
草原にぽつんと言えばいいのか、ドッカーーーンと言うべきか、そんな感じで巨大な宮殿があるんだから、もう胃が痛い。罠過ぎる。
「ここまで罠らしいと、いっそ清々しいわね………」
「アスカ、なにかこういうことする人に心当たりある?」
見た限り、ナスタージャ教授はローマ関係の装飾されているとのことだ。
ローマ………
「………赤セイバーか!!?」
扉が開いた。それと共に音楽が流れる。
「………誘われてるわね」
「誘われてるデス」
「赤セイバーか………話が通じる相手で」
「赤セイバーって誰なの?」
「ローマ皇帝ネロ」
そう言いながら、入り口で彼女のことを説明。赤セイバーと言う名称で喚ばれるセイバー枠で、男女関係なく、自分の后にする女性。マスターを奏者と呼び、何故かアーサー王とうり二つという謎の事態であり、見た目女性度が完全に分かるのに、男装と言い張ると言うことなど、
「正直ローマ編でさんざん調べたから、いい人だけど………美がつけば誰でも問題ないらしい………」
周りを見ると、美少女と美少年と、彼女の好みに引っかかりそうだ。
「あの~それなら、もし翼さん達が捕らわれていたら」
「………行くしかないか、話が通じない人じゃないし」
そう言いながら、静かに中に入る。
豪華絢爛の中、黄金のオペラ会場。薔薇のにおいが満ちる気配、赤い絨毯と、唯我独尊を顕現した世界。
そしてスポットライトが輝く、
「よく来たぞ、我が奏者よっ♪♪」
そこにいたのは、
「余は見た、余は来た、余はここに現れたっ♪♪ よく来たぞ、我が奏者っ」
そこにいた金髪の女性に、装者達は驚く。
「あれが、オレが知ってる世界のネロ皇帝だ」
「彼女が皇帝ですか………」
そう言って、周りを見てから誰もいないと確認して、
「じゃ、帰」
扉がばたんとしまり、壁となる。壁!?
「ふっふっふ、逃がしはしないぞ奏者よっ。ここは我が固有結界、黄金の劇場なり♪♪」
「固有結界デス!?」
「切歌、固有結界と言っても、彼女特有の別の物だ。この世界そのものの主じゃなく、この黄金劇場が彼女の固有結界だ」
「その通りだっ、さすが我が奏者だっ」
「!?」
「違うよっ、アスカはボクのマスターだよっ」
「………解体するよ?」
不機嫌な子達。その時ステンドグラスが割れた。
「!?」
「ミッコォォォォォォォンっと参ッ上っ!!!」
「って、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
その時、和風の着物のような、ケモ耳の巫女が現れた。
「ご用とあら即参上っ♪ 貴方の愛するケモミミヒロイン♪♪ 貴方の愛するサーヴァントっ、キャス弧登場ですよ、マスター♪♪」
「な、なんでこの二人が組んで出てくる………」
それに驚きながら、こちらを見たキャス弧。その時、耳と尻尾がぴんと立つ。
「マスター♪ コーンなところにいたんですね♪」
「待て待て、キャス弧までなんでオレのことマスターって、言っちゃ悪いがFGOですらレギュラーとして扱ってないぞっ!!」
「そーんなことはささいなことです、なにより、分からないんですか?」
「え、な「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」にってなに!?」
またステンドガラスを破壊して、今度は静かに二人現れる。
褐色の肌、破壊の剣を持つアルテラ。そしてキャスターの あれはハロウィン使用のエリザベートが現れた。ああ、エリザは使ってた使ってた。
「なによその反応は子ジカ!!? あんた私をレギュラー枠だったでしょ!!?」
「いや、そのまあ………」
まあ使ったよ、けどエース違うぞ。うちのエースは誰がなんと言おうと食費すら削って手に入れたジャックだ。ああ、その時ばかりロリコンだのシスコンだの言われても受け入れてやった。
「………私はてにはいることすらなかった………」
星5なんて無理です、他のセイバーさんが多かったし、知らないし、キャラ的にはモードレッドが好きなんだ。しかも関わり深いなんて思わなかったけど………
「ってか、英霊達がオレのゲーム活動知ってるんだけどアストルフォ」
「元々、それを触媒に、繋がっている聖杯に横やり入れたんだよマスターは。そりゃ、中身と編成とか、分かるよ」
「お、オレの前世プライバシーが………ジャック手に入れるのに食費を削り、じっちゃんに怒られたことや、リリィ系と縁が深く、ロリコン野郎と囁かれたことが」
「あっ、それ知らない知らない」
「マスター………」
アタランテが呆れている。何名かも。ジャックは嬉しそうにして、腕に張り付いてる。ははっ、これは開き直ろう。
「マスターひどいっ、ボクと言うサーヴァントがいながらっ」
「ウチのエースはこの子だ」
「ゲームと現実を間違えるでないぞ奏者っ、そして私との絆クエはMAXではないか!!?」
「ミッコーーンっ、早速間違えてる人がいるじゃないですか!! それなら私と旦那様で素敵なイベしましょうッ」
「………私は敵だったから、いまのうちに」
「待ちなさいっ、子ジカはわ・た・し・の、マネージャーよっ!!」
エース子を抱きしめながら、そんな混沌とした中、と静かにしていると、
「おーい」
「私達、いつになったら吊された状態で出てくるんですか~」
「おおすまんすまん」
「奏さん!? 響っ」
「男子上見るなっ」
そう一言掛けてから、ネロは指を鳴らすと、天井から、バラのツル棘無しに捕まる二人が吊されていた。律儀にスカートの中が見えないようにしたり、頭に血が行かないようにもしてた。
「ちなみに、入り口付近でずっとこの状態だったんだからなアスカ」
「早く入るなら入って欲しかったよ~」
「こんなんいると分かってて入れるか………」
二人の文句を聞きながら、胸を張るネロは、まあまあ落ち着けて言うが、原因あんただよ。
「奏者よ、せっかく悠久の果てにまた出会えたのだぞ♪ また月の時のような過ごそうぞ♪♪」
「待ってくださいなっ、それなら我々も含まれますよっ」
「あんた達は黙ってなさいよっ、今度は私も含まれるんだからねっ」
「………月の時? オレの過去は月の聖杯戦争にもかよ。けど内容は知らんが」
悪いがあるのは知っているが内容知らないぞ、なにより、
「いまのオレは龍崎アスカだ、岸波白野?か、男性か女性かすら知らない。魂は同じかも知れないが違う、別人だ」
会話からして主人公だろうが、なにが、どうなのか全く分からない。そんな風に聞くし、全員、
『………………………』
それに、全員が一斉に黙り込む。そして一斉にオレを見る。なんか怖い。
「旦那様、貴方は少し、勘違いしておいでです」
「………勘違い? オレが主人公だから月の勝者と決めつけてるとこか?」
それに、キャスタータマモから、狂気に近い何かを感じる。アストルフォ達にみんなの警護を頼み、ギアを握る。
「いいや、月の聖杯戦争での結末は奏者の考え通りだ。奏者は月の大戦の勝者、そして無限の可能性の中でそなたは、間違いなく、絶対に、月の聖杯戦争の勝者なのだ」
「つまり、裏を返せば、無限とも言うべき可能性と言う平行次元の中、けして間違えない当本人でございます」
「あんたは子ジカよ、けして、けしてそうじゃないわけじゃない」
その言葉を聞きながら、なるほどとナスタージャ教授は言う。
「無限と言う可能性の中、貴方達はその外にいる………そしてまた同じ人物、いえ、魂に会うことなんて」
「不可能だ、完全に、それこそ聖杯に頼まなければいけないほど、けして届かぬ願いだろうな」
だが、
「いま目の前にいる」
「いま旦那様は我々の目の前にいるのです」
「悪いけど、また私のマネージャーにする」
「私も………諦められません………」
けして間違えない、唯一愛した魂が、目の前にいる。器なぞ関係ない。
彼女達はそう言いたいらしい。
「………本気か?」
正直そう言う狂気じみた考え方をするサーヴァントではないのは知っているため、どうしても聞いた。そしたら案の定、全員が顔を背けた。
「………これは、向き合わなきゃいけないんだろうな」
そう言って、聖遺物を纏う隙を与えているサーヴァント達を見る。
「分かっていますよ旦那様は旦那様でないことは、ですが」
「そうと分かっていても、私達はそなたを、そなたの魂を欲してしまう………せめて、膝を折らせるほどの拒絶を示してくれ、奏者よ」
「………ごめんなさい、私は悪い文明ですね」
「………」
そう言いながら、キャスター二人、セイバー二人。少し悲しいなとも思う。
それにはアタランテも顔を背ける。女性全員が、少しばかり共感する。
「好きな人の生まれ変わり………」
「悲しいデス、もしもそうなら………」
「………そうね」
龍崎アスカと言う人物を否定してでも、前の人物である彼を求めてしまうと言うことに気づきながら、彼女らは武器を構える。
全員が事態をおおむね理解し、ネロは叫ぶ。
「我らが勝てば、そなたは我らの奏者として、月の時に出来なかったことを毎夜毎夜しようではないか!!!」
急に空気が壊れた。
「はいですよッ、一人子供三人ですねッセイバーさんッ!!!」
「………」
頬を染めるアルテラ。なにも言わないエリザさん。
「………へい?」
「しかもっ、器は美少年と来たッ。分かっているなお前達っ」
「ええ、ええッ、分かってます分かってますよッ」
その時、魂の奧から、すまない、そして少し泣いて良いかな?と言う感情が出てきた気がした。
気のせいにして、身の危険を感じて聖遺物を纏って戦う。
ハロエリは違う気がするが、気にしない。
アスカは英霊にモテモテです。当たり前で、マスターが天然で落としてる。
そしてアスカは絶対、それこそ神を越えた存在からのお墨付きで生まれ変わりと証明されてます。聖杯案件か、それ以上の願いが目の前にあればこうなりますね。
彼女達の魔力? 愛です。愛の力で補強されてます。愛凄い。
ある意味記憶の消去は精神の摩擦を回避するのが目的ではなく、こういった縁を初期化するのが目的になってそうです。彼の場合。
それではお読みいただきありがとうございます。