少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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お気に入り300突破になりました、ありがとうございますっ。

これなんかお祝い回したいな、なにかないかな? 壁際から角の生えた白い着物の人見てるけど無視して、なにか考えないと。

それでは、空白期での話数がある物語です。どうぞ。


21話・異聞の始まり

 龍崎アスカ、現在司令室にて、自分に関する状況と、状態などの話し合い。話し合いにいるのは奏さんすら外した、二課のメンバーである。

 

 いるのは二人の特殊な存在。

 

 反英霊、ジャック・ザ・リッパーと言う正体が分からないまま伝承され、生まれる前に死んだ、子供達の怨霊の少女。いまはお菓子を幸せそうに頬に詰め込んでいる。

 

 一人はアタランテ、逸話から獅子の耳と尻尾を持ち、女神を信仰する狩人の美女。なるべくその耳と尻尾を隠す衣装を着込み、ここに来てもらった。本題は彼女に詳しく聞くためだ。

 

「それでは、まず順を追って確認しよう」

 

 龍崎アスカの魂は、異世界では抑止力と言う役割を担う者である。

 

 様々な出来事に、加害者、被害者、当事者、傍観者、それとも最も関係ない存在。

 

 そう言った役割を演じて、出来事、物語を完結させるのが役割と解釈される。

 

 そしてそれ以外で生まれ変わった場合、短命である。龍崎アスカの場合、前世は事故で死んでしまう。これも抑止力が早めにそうさせたらしい。

 

「だけど、偶然が重なった」

 

 その学生は、空想物として、とある物語を知っていて、死の間際それに願った。

 

 その結果、アストルフォと言う英霊が応え、たまたま次の転生先が、アストルフォの子孫であると言う偶然もあり、前世の記憶持ちで今に至る。

 

「こうすると、かなり無理がある気がしますが………何に願ったんですか?」

 

 藤尭さんの言葉に、少し言いにくそうに、

 

「助けた子が泣きそうだったから、たまたま視界に入った携帯。つまり例の情報が詰まったものが頭をよぎって、強く思ったんだ。泣かせずに、落ち着かせたいって。まさかその物語に関わる物が異世界で実在して、しかも深く関わってるなんて思ってもいなかったよ」

 

 それもそうだと全員が思う。ゲームの中で語られる物語、それに関わりあるなんて誰も思わないだろう。

 

 だがそれに強く願い、結果的にこのような事態を引き起こしたらしい。

 

 そして、この世界では、

 

「数ある聖遺物全てと適合率があり、融合型と言う聖遺物で使用。確かに研究機関からすれば、君の身体事態、研究材料だろう」

 

 それには頭を痛める中、緒川さんが前に出る。

 

「情報部のおかげで、アスカさんは女性ですね。ですけど」

「油断できないな、まあそれこそ俺達の仕事だ」

「………できればもう女装したくないです」

 

 そろそろまた女性服、夏物を着ないといけない。肌を出すのは怖いと言うより、恥ずかしい。

 

 だけど慣れてきた自分が、もの凄く怖い。

 

 それには全員、視線を逸らした。

 

 わざとらしく咳をして、弦十郎はすぐに目の前、女神の加護を持つ彼女に話しかける。彼女は耳と尻尾を司令室では見せながら、静かに向き合う。

 

「まず我々が聞きたいのは、この説明は合っているかです。アタランテ殿」

「気を楽にしてくれ、いまの自分はサーヴァントで客人のようなものだ。まずマスターに関する認識は、吾々が聞かされたものと合っている」

 

 マーリンが言うには、そんな存在。だが、確実にまだなにかある。

 

 なぜならば、

 

「英雄王ギルガメッシュ、彼の王もまた、それに詳しく知っている」

「!? 神世の英雄じゃねぇかよっ!!」

「そしてそのような説明後、自分達のパス、契約が一時的に乱れ、ジャック………この子の契約がおかしいことに気づき、他の者に伝える前に動いてここにいる。それ以上は。すまない」

「いや、だが………」

 

 司令、司令室は重々しい雰囲気に包まれる。

 

 龍崎アスカのこと、魂と言うものがどんな役割か知ろうとすればするほど、暗闇か何かにはまっていく。

 

 それを知り、アタランテは助言する。

 

「もしかすれば彼は詳しく調べない方がいいのではないのかと、自分は思う………契約のパスや、此度のこと、抑止力と言うものは、人どころか、神すらおいそれと近づけない神秘だ。ただ一言、それはそう言うもの。それで説明が終わる事柄」

「それができればな………」

 

 そう思いながら、オレは考え込む。

 

「イレギュラーはあまりに重なり起きすぎてるんだ、マーリンも気を付けろって、遠回りに言ってるのかも知れないし」

 

 どうも心配、危険だよ?と軽く言われている感がある。今回の契約誤認とも言うべき、ジャックとの契約も気がかりである。

 

 それにはアタランテも黙るしかなく、司令は、

 

「ともかくこれ以上の収穫がないのは分かった………その契約が落ち着くまで、我々が貴方達の身柄の安全を保証します」

「すまない、助かる」

「? なにか解体するの?」

「しないでねジャック」

 

 大きなお魚か猪でも狩るかと言うと、アタランテは嫌な顔をした。そう言えば猪にはいい思い出はなかった。失態である。

 

 

 

「けど、願ったって、なにに願ったのアスカ?」

 

 未来は首を傾げながら、とある施設で待ち合わせをしている。

 

 詳しい話、難しいことや、他の組織や機関に自分のことは知られるリスクを外して話していたときだった。

 

「オレはアストルフォ、ゲームの中じゃ、理性が蒸発して、知り合いが狂乱してるからって女装して落ち着かせるって言う英雄が頭をよぎったから、それのように、子供を落ち着かせるために笑いたいって思ったんだ。アストルフォはポンコツ英雄って言われるけど、ある意味英雄らしい英雄なんだ。どんなことがあろうと、笑顔で苦難を乗り切る英雄。それがアストルフォなんだ」

 

 響、クリス、翼、奏さんが未来と同じように聞く中で、へぇ~と言う顔をする。

 

「確かに、こちらの世界でも彼は理性が蒸発していますからね」

「ナスタージャ教授っ♪♪」

 

 ナスタージャ教授を始めとした、牢屋に入っていた人達が一時的釈放の日、残念ながらナスタージャ教授はこの後すぐに、日本政府の機関と言うか、司令官達の息がかかった施設に閉じこもるそうだ。

 

「元より、この足と目では、できることは研究程度ですからね」

 

 マリアはしばらく日本政府で手続きしてから、米国で虚像のアイドル、スパイ任務していたと言う話で、戻ることになった。

 

 せっかくちゃんとした衣類、響達が選んだしたりと、用意してオシャレした洋服を着込んでいるが、切歌と調は素直に喜べない。仕方ないとマリアが何度も話し合う。

 

 それでも司令官が目を光らせておくと約束してくれたこともあるので、信じることにしている。

 

「そう言えば、アスカはここでも女装なのね」

「………うん、もう装者として活動中これらしいんだ」

「アスカは、その体質もあるからな………夏服も準備してるから」

 

 さすがに奏さんも言いにくそうに言うが、いまは女装するしかないのだ。

 

 ともかく、しばらく雑談できるので、ナスタージャ教授はこれを機に、こちらの話を聞くことにしていた。

 

「そう言えば、そのゲームは、どのような内容なんですか?」

「聖杯を巡るがテーマで、運命や定め、宿命が軸のFate/シリーズですね。年齢制限もあるゲームですので、オレはそこそこしか知りません」

「そうなんだ」

「スピンオフ系も大量に出てるっていうか、全貌知るほどはまってなかったから………」

 

 アンソロジーとか色々、剣道部で、後輩指導役。じっちゃんは老人ホームで一人暮らしなので、家事を勉学と同時進行でやらないといけない。

 

 お金はじっちゃんが管理していたからいいが、それでもやれることは限られていた。

 

「どんな世界なんだ?」

「人の命が紙よりも軽く消し飛ぶ世界で、倫理観考える者が主人公でない限り真っ先に死ぬ世界」

 

 間違ってないよな? 魔術師の考えってそんなんだもん。

 

「そんなゲームって………」

「けど、ゲームと言う概念だったらまあまああるだろ? ゾンビ倒すゲームとかだってあるぞこの世界でも」

 

 それにまあねと思いながら、

 

「実際、この世界の現実でも似たようなものでしょうね。ノイズもそうですし」

 

 ナスタージャ教授の言葉に、この世界も見方によればアニメやゲームかと納得する一行。しばらく雑談する。

 

「そう言えば、貴方は融合型ですね。竜殺しのバルムンクなど、多くの英雄の聖遺物が関わってますね。それも関係あるのでしょうか?」

「そう言えば………」

 

 そう思い、霊体かして大人しくしている二人に心の中で話しかける。

 

(二人とも、カメラがあるからまだ会話できないけど、その辺り分かる?)

(申し訳ない、吾々はそれには関与してないはずです)

(分からない)

 

 そう言われ、ごめんねと付け加え、二人のことも紹介したいが、ここでは無理なので、ジャックには後でアイスを食べさせないといけない。

 

「聖遺物って言えば、いま手元にないんですよね」

「そうなんデスか?」

 

 驚く切歌に、ああと翼が答えつつ、説明する。

 

「一応ここは、様々な国が関わる施設だからな。緊急時以外没収されてしまったんだよ。緒川さんがそばで待機している、問題はないよ」

「それに、旦那がなんかあったようにアラーム鳴れば、あたしらの元に持ってくることも許可されてるからな。イガリマとシュルシャガマ、アガートラームも一緒だ」

「そうデスか、ならあんし」

 

 その時、響き渡る警報に、全員があっけにとられる。

 

「デス?」

 

 

 

 全員がまず急いで緒川さんのもとに駆け出す中、さすが緒川さん、聖遺物が入った箱を持って、ここまで駆けつけた。

 

「みなさん無事ですか!?」

「緒川さん、状況は」

 

 それについてインカムもみんな、ナスタージャ教授達にも付けてもらう中で、司令官と藤尭さん、友里さんの声が響く

 

『現在謎の高エネルギーを感知、付近地域に避難警告発令』

『並び、装者達と我々の活動許可、下りましたっ。現状は施設の人間含む、地域住民の安否確保です』

『というわけだ、ナスタージャ教授達並び、現地人のあんぜ………』

 

 とその時、インカムからノイズが入り、雑音の中、緒川さんが箱を開く瞬間、

 

「!?」

 

 身体は浮遊感に襲われた。

 

 

 

「ぐふっ」

 

 切歌、調がオレを下にして落ちてきた上、その前にオレが地面に落ちた。

 

 緒川さんを見ると、ナスタージャ教授を抱えて、特殊な車椅子も確保している。マリアは普通にその場に着地していた。

 

「!!?!??!? 響!? クリス!!? 未来ッ!!」

「翼さん!!? 奏さん!?」

 

 周りを急いで見渡すと、草原だった。

 

「はい!?」

 

 草原の中、緒川さんと共に来た警護の人などもいない。響、クリス、翼、未来もまたいない中で、全員が混乱しかけたが、すぐに冷静に状況確認。

 

「聖遺物、シンフォギアは?」

「箱を開ける前なので………ガングニールを始め、アガートラーム、全聖遺物あります。アスカさん、アストルフォです」

「はい」

 

 受け取ると共に、虚空を見ると、すぐに二人は私服では無く、礼装、英霊としての姿で顕現し、現れた。

 

「アサシンさんじょ~」

「アーチャーです、しばし真名は伏せさせてもらう」

 

 それに驚くが、切歌達は別のことに気がかりであった。

 

「私達の」

「シンフォギアを」

「ダメよ切歌、調。リンカーの無い私達では足手まといよ」

 

 マリアがそう言い、それもナスタージャ教授も頷く。

 

「現状使えたとしても使わせるわけにはいきません、あれは使った後の処置も必要ですから、いまの状況ではアスカさんが頼りです。緒川、さんでしたね。現状、シンフォギア以外の武器などは?」

「すいません、護身銃が一つ、弾もありますが、このような事態では意味があるかどうか」

「いえ、私の方はこの車椅子で、いざとなれば電気機器を使用して一人で活用しますが、マリア、申し訳ないですがそれまでは私をお願いします」

 

 それに頷きながら、周りを警戒するため、銃を取り出す緒川さん。

 

 切歌と調は緒川さんが持つイガリマなどを見ているが、ナスタージャ教授が一声かけてから、黙らした。

 

「ともかく、ここ「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」はど………!!?」

 

 誰かの悲鳴、この状況で誰かいると知るが、知らない者の声だ。

 

 ………聞き覚えある気がするが………

 

「だけど、無視できない」

「ええ」

 

 急いで駆けだして、それの元に出向くと、少しずつそれが見えてくる。

 

「………デス?」

「あれって」

「ドラゴン!?」

 

 それは小型のドラゴンで、火を噴いて、誰かを追いつめている。

 

 その誰かを見て驚いた。

 

「デスゥ!?」

「アスカ!?」

 

 切歌と調はすぐに振り返る。目の前の飛竜に襲われているのは、見た目アスカとうり二つの少女………

 

「じゃねぇ男性だっ、くそっ。なんでいるんだアストルフォっ」

 

 そう叫び、急いでアストルフォの聖詠を歌うが、

 

「………?」

「えっ」

「!!?」

 

 何も起きない、何度も口をするが、何も起きない。

 

「こんなときになんで!?」

「アスカ!?」

 

 ドラゴンと言うより、ワイバーン達が、アストルフォを囲み、火を噴き出そうとする。

 

 それを見たとき、ナスタージャ教授は、

 

「仕方ありません、緒川さん、箱を」

「は、はい」

 

 そしてナスタージャ教授は、イガリマを取り出した。

 

 

 

 ――アストルフォ

 

「うわっ、まずいっ」

 

 ワイバーンが一斉に火吐く気。このままじゃさすがに燃えちゃう。

 

「くっ………」

 

 目を瞑ったとき、その瞬間だった。碧の刃がワイバーンをなぎ払った。

 

「えっ………」

「ったく、大丈夫? アストルフォ」

「あ、アスカ!!?!?!??!?」

 

 その時現れたアスカは、彼が着る蒼銀色のシンフォギアではなく、

 

「私のイガリマがーーーーっ」

「緊急事態ですよ切歌」

 

 そう、アスカが着ているシンフォギアは、イガリマと言うシンフォギアの姿だった。

 

「話は後だ、いまは回復してろっ」

 

 そう言って、向かってくるワイバーンを鎌で真っ二つにする。

 

「~~~♪」

 

 イガリマの、切歌って子の曲と共に、ワイバーンを切り裂くアスカ。

 

「アスカ………よし、ボクも頑張るよっ」

「契約していないのですから、いまはここにいてください、黒のライダー」

「あっ、それは………」

「いいですね」

 

 ここは仕方なく、大人しくする。せっかくのアスカとの共同作業なのに………

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 

 まさか他の装者のギアを纏う日が来るなんて………

 

 だがそう言っていられない。

 

「来たか」

 

 酸の霧が辺りを包み、一匹が断末魔の声を上げて、解体された。

 

 返り血すら浴びず、静かにナイフとメスを持つジャックは得意げであり、霧から飛び出たものは、一閃の矢で貫かれる。

 

 前に出るのは、碧の鎌が刈り取った。

 

「この調子でかたづけるぞ、アサシン、アーチャーっ」

 

 そして異物の物語が、幕を上げた………




別の人が纏うシンフォギア装備。やったね、想像しやすい。

アスカはアストルフォから三つ編みを外した男の娘です。

切歌「できれば私とお揃いで着たかったデスっ」
調「切ちゃん、イガリマは一つしかないよ」
切歌「悲しいデスよ………」

それでは、お読みいただき、ありがとうございます。

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