………そろそろアスカを苦しめるネタが尽きるぜ………
現れただけで四人のサーヴァントを戦闘不能にし、我々に驚愕を与えたのは、魔法少女と名乗る、とある女性である。
「大変です先輩っ、四人とも魔力が急激に減ってますッ」
「四人ともっ、な、なんで!?」
困惑する我々の中、彼女は妖艶に微笑みながら、オレを見る。
「別視点から私達を『見た』ことがある貴方なら分かるわね? 抑止力さん?」
『ッ!?』
「………オレのことが分かるのか、聖杯になった人」
正確には、聖杯の殻だったか? 確か聖杯の入れ物として用意されたホムンクルス。それが彼女達だ。
それに微笑みながら、ステップを踏む。
「さすがね、まさか私程度と踏んでたけど、まさか抑止力が出てくるなんて………冠位の英霊が来なかっただけマシね」
「あんたは誰だ!? 抑止力って分かるんだ。アイリさんじゃねぇだろっ」
その叫びに、復活する四人。起きあがりながら、彼女を見る。
「ぼ、僕としたことが………すまない。不甲斐ないところを見せた」
「ああ………酷いめまいが起きたよ」
「大丈夫………に、偽物なら大丈夫」
「まったく、一瞬消滅しかかったわ………」
そんなことを言うが、彼女は優しく呟く。
「ぷんぷん、偽物なんかじゃないもんっ。所々にアイリスの要素たっぷりよっ、ぶ~」
血を吐くエミヤ、イリヤも倒れかけたが、クロエと美遊に支えられる。
頬をふくらます彼女は、杖をくるくると回しながら、静かに、
「私はアイリス、聖杯により消滅した女性の童心。それをくみ取って生まれた、『偽物に近い本物』よ」
僅かばかり暗闇のような魔力、黒い何かを見せる。それに青ざめるエミヤとオレ。
「まさか、アンリマユ!?」
この世全ての悪とされた存在。ただ悪と言う概念にされた反英霊。
意味もなく、悪とされた英霊のはずだ。その英霊が聖杯にくべられた所為で、聖杯が汚染され、何があっても壊すことにて願いが叶う願望器へと変わったのが全ての始まり。そうゲームを始めて知った。
「残念、それすら無い、ただの泥よ。そもそも、魔法少女にそんなの似合わないじゃないの!!」
「怒られてもな………だが、それすら届かないって言っても、魔力がある特別なもんだろ!?」
「ええそうよ、塵のようになったアイリスフィールと言う人物の、僅かな我が儘が集まった存在。ま、それはもう関係ないけどね」
後ろを見る。イリヤとクロエは困惑する中、彼女達には悪いが詳しく説明できない。あの子達の世界では、それが無かった世界だ。
そして無銘は静かに苦々しく泥を見る。彼にとってそれは、無視できない存在であり、エミヤもまた、銃を構える。
「あんたの狙いは何だ? まさか全てを泥に染めたり、この世全ての悪を生み出すことか?」
「いいえ、違うわ」
「ならなんだ………」
緊迫する中、マスター達も黙り込む中、彼女は真顔で、
「私はただ、魔法少女が恋愛して結婚する世界を創り出すだけよ」
…………………………
ワレワレのシコウは止まった………………
くねくねと頬を赤く染めながら、僅かによだれを流しながら言う。
「私はね、いまの世界観、倫理観を壊して~ただしく恋愛する世界を作りたいだけなのよ~」
「いっやああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「い、イリヤ落ち着いてっ!!」
「………………ぐふっ」
「じいっ、ちが、アサシン気をしっかり待てえぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
後ろが騒がしい、マスターに任せよう。
「………………それは確かに、抑止力出るべきかどうか少しフリーズするわ」
「おかしなことかしら!? 可愛いものが可愛いものと結ばれるべきなのよっ」
「おかしいよ、お前どっかでバグ拾ってるぞ!!」
「おかしいのは貴方よッ、これを見なさいッ」
そう言った途端、ノッブ~と言う声と共に、歌が流れる。先ほどのライブ映像。
この程度で心折れないぞ。
「もう折れた心折ろうとしても無駄だぞッ」
「折れてるんだね………」
メアリーが悲しそうに見つめてくる。よく見るとアンやアルトリアリリィもだよ。悲しいよ。
「こんなに可愛いのに、男の子のはずが無いじゃないッ。貴方は女の子であるべきよ!! それが否定されるなんて………神や世界が許しても、私が許さないわッ」
「ふざけるな、もう何度も言うがオレは男だ。生まれてこの方男で精神年齢前世引き継いだ所為で若人通り越して老人化しているが男だ男性だ。結婚するんなら女性がいい高校生男子だオレは」
もう何度言ったんだろうか分からない言葉を続ける。ホント、響や奏さんにも何度言っただろう。だから着ないと何度。
「だから私は変えるッ、この世界を始め、聖杯全てにアクセスして、関わる魂全てを女の子と男の子ではっきりし、愛し愛する世界にするの♪ もちろん、ぐっふふふ………」
「駄目だ、腐ってますよイリヤさん」
「いっやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ実の母親に似ている人が腐女子いっやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「似てるんじゃなくって、平行世界のママよ♪♪」
「ぐふっ」
「じいさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁんうぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
ああこれ以上会話すると色々と精神的な限界を感じる。正直もうオレが駄目だ。いまだに流れる映像を止めるために、武器を構える。
「そんなくだらないことを全平行世界代表として止めるッ、止めてみせるッ。っていうかいまは外れてるオレは関係ないのに巻き込みやがって!!」
「本音言ってますね~あの人」
「よっぽど女装が嫌じゃったんじゃな~………」
「マシュ、リリィ、ジャンヌリリィ、アン、メアリーっ」
「任せてください先輩っ」
「頑張りますですっ」
「精一杯頑張りますっ」
「あんな黒髭みたいなのは細切れだよアンっ」
「「海賊を舐めるなよっ」」
なにげにみんな戦えない四人を放置しているが、それには仕方ないと頷き合い。
「美遊、沖田、信長は四人を」
「分かりましたっ」
「うむっ、是非もないよネっ」
「はいっ」
実際弱っているため、戦えると言おうとするが、
「うふっ♪♪」
血吹いた、無理だった。
そしてアスカの元に、アストルフォが来て、槍を構える。
「こうして肩を並べるとはね」
「問題ないよ、ボクらは二人で、顔合わせも戦うのも初めてだけど」
「ああ、それ以上の信頼があるッ。負ける気は無い」
その様子を、息を荒くして見ている者が二名(一つステッキ)がいるが無視して、肩を並べて戦おうとすると、
「とは言え、一人じゃないわっ。メディアさん、ナイチンゲールさんッ」
床から生えてくるナイチンゲール。メディアさんはカメラがある部屋から出てくる。かなり物理的に出てくるな。
「それだけではないのよ、アストルフォウちゃんのため、特別ゲストがいるの♪ 必ずアストルフォウちゃんを女の子にしなきゃ、みんな悲しむから………」
「誰も悲しまないよっ」
「ボクは男の子でも女の子でも問題ないよっ!!」
鼻血を出しかけるメディアさんとアイリちゃん。ついでにステッキ。だが、
「セイッバアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」
「もの凄くここで新キャラ出すなッ」
「新キャラではありませんッ、謎のヒロインXです!!」
そう言って、剣を構え、いざと言う顔をするが待って欲しい。
「アルトリアあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、後ろの人、泥とか色々あるから止めろよ」
「私は謎のヒロインXです。泥とかアイリスフィールとかシロウとは無関係のセイバーさんです。なにより………貴方というセイバーはここで討ち取らないといけないッ。そう、なんですかそんなどこぞのサンタ幼児聖女のような属性てんこ盛りっ、ふざけるな………セイバー・オブ・セイバーの座は渡しません!!」
「いらないよ、オレは人間で抑止力だからまちまちだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「セイバーはみなそう言うんだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
向かってくる謎のヒロインXに対して、二刀流で対応する。そう、もう一本、バルムンクを使ったいつもの戦い。
「戦い方も被ってるじゃないですかぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「リスペクトしてるだけだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「貴方は、貴方だけは………貴方だけは絶対にここで倒す!!」
「取りましょう………全てのために………あっ、いけない鼻血が………」
鼻血を拭いて戦いが始まる中、もう体力が無い四人は完全無視して始まった。
「セイッバァァァァァァァァァァ」
向かってくるエクスカリバー二本に対して、こちらは滑るようにかわして、アストルフォと連携する。
踊るように舞い、そして、
「華麗に刺すよっ」
「斬っ」
「くっ!!」
アストルフォも能力が上がっているかのように動くが、実際は違う。連携がここまでかみ合うとは。向こうもそれに気づいている。
「チイィィィィィィィィィィィィ」
「アストルフォっ」
「OKっ♪♪」
スピードに物を言わせ、こちらの大技の隙を作ろうとするアストルフォに、ヒロインXは苦虫を噛むような顔をする。
「いまだっ、バルムンク、クラレント」
「ちょっ、その剣は不肖息子の!!」
だが何か言う前に、魔力放射で接近して、たたきつぶす。
「峰打ちだよっ」
「がっ」
だが全力魔力放射による、王剣と魔剣の峰は峰だろうか?
そう思いながら倒れたヒロインXを無視して、アストルフォと共に、アイリを見る。
えっへへとよだれを流している。腐っているな。
だが急に真剣な顔になる。
「アストルフォ、こちらにつきなさい。そうすればアスカを嫁にしてあげるわ」
「ボクはアスカのお嫁さんにはなりたいけど、嫁にしたいと思ってないよっ」
「論点ずれてるッ!! 頼むッ、俺はお前のことは親友と思ってるんだから」
「親友………男の子同士の………禁断。ぐっへへ………」
よし急いであれを斬ろうか。
その時、あちらこちらで爆発が起きる。
――藤丸立香
「殺してでもぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
「マシュ」
「はいっ、宝具展開ッ」
展開されたのは、白亜の城壁。如何に強化されていても、その壁は壊せず、弾かれたナイチンゲール。メディアとぶつかり、その瞬間、
「『令呪を持って命ずるッ』」
「いくぞお主らッ」
信長とアンとメアリーの二人の銃撃が炸裂し、その瞬間、
『一歩音越え、二歩無間、三歩絶刀!! 無明三段突き!!!』
令呪にて強化した宝具の一撃に、吹き飛ぶ二人。さすがに立ち上がれず、その場に崩れ落ちた。
「やりましたっ、沖田さん勝利、勝利ですよノッブっ」
「当たり前じゃ、わしらがお膳立てしてやったのじゃぞっ」
そんな中、向こうもヒロインXを倒したようだ。リリィが複雑そうにしてるけど、いまは無銘やエミヤ達が心配だ。
「イリヤ、大丈夫」
「マスタ~さ~ん~」
「………泣いて良いよ」
「うええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
今回この子は、自分と同じ境遇に墜ちた年上の人を見てたり、平行世界の母親があれだしとで、精神的に壊れてるようで、泣き出した。
無銘もエミヤも魂が抜け出そうで、なにも言えない。
「今日はいい日です、最高の素材と出会えました。帰ったらウェブへアップしなければいけませんね」
「そんなことさせないよルビーッ」
ああそれは俺もさせられないな。そんなこと。
そう考えながら、よだれを流していた彼女はうふふと笑う。
「この状況で笑えるとは、とんだ阿呆よのう」
「さすがにもう手出しできないんじゃない?」
「そうですね♪ 海賊の私達が言うのもあれですが、お縄についてください♪」
そう言うが、彼女は静かに、
「いいえ………サーヴァントがどんなに頑張っても、私には勝てませんよ」
その瞬間、
「なっ」
「なん、じゃと………」
サーヴァントのみんなだけじゃなく、俺の魔力も、令呪が、
「消えっ、ていく………」
「バカな!? 我々の魔力を吸うことはできても………マスターから令呪を奪ったとでも言うのか………」
さすがに無銘が顔を上げるが、微かに黄金の粒子まで見え隠れする。
まともに立っているのは、彼女しか居ない。
「あっはははは、さ・す・が・に、もう立っている子はいないわね」
それに辺りを見れば、ナイチンゲールやメディア、ヒロインXからも魔力を、ちびノブまでから吸い取っている。
「君は………」
「お前、始めから………」
そう言うアスカの言葉に、満足そうに微笑み、るんるんと言いながら部屋の中心に来て、
取り出したのは、黒い聖杯。それにうっとりしながら、見つめている。
「………エミヤ」
「………泥だ」
微かに聞こえた声に、泥と聞いて、アスカが顔を上げる。
「泥………悪意、人類史がため込んだもの」
――アスカ
元々このシリーズは、願望器、聖杯を賭けた戦争であった。
だが、アニメの様子を見て調べたが、聖杯は前の前で、とある悪意の固まりである反英雄を組み込んだ所為で、全ての願いを破壊することでしか叶えられない『欠陥品』になり下がったのが、全ての元凶なのだ。
つまり泥のような黒いそれは、悪意そのものである。
「そう、私はね。破壊された泥の残りもの。それもね、こんな姿を取るようなものなのよね~」
そう言いながら、黒い聖杯、小さなそれをくるくる回しながらスキップする。
「べぇつにぃ~世界を泥で覆うとか~破壊するとか~そんなこと考えてないの。私は小さなこの泥の本質で動く。女の子は女の子、男の子は男の子同士の恋愛。そして、アストルフォウくんのような子を女の子にする。そう、
そう言いながら、笑う。
色々な意味で怖いなそれ。
「邪魔することはさせないわ、カルデアと言う、最も多くの英霊と契約したマスターと共に来た、多くの英霊達を燃料に、奇跡を起こす、偽物の本物になる。これが私の計画。もう遅い、貴方を取り込めば、きっと多くの英霊が駆けつけるでしょうね」
そう藤丸立香を見る。元々狙いは、
「先輩だった………」
「始めからマスターさんが来れば、それで解決してた?」
「わしらが迷い込んだのは」
「すでに使ったら、本質的に来れる子が早めに来ただけ。まあ遅かれ早かれ、この世界に藤丸立香と縁がある英霊全員呼んで取り込む気だったから、牢屋に入れたり、取ったりしたけどねっ♪」
その最後がおかしいのですが………
「後はあれよ、藤丸立香争奪戦とかそう言うのすれば、わんさか英霊がこの世界に来るわっ。そうすれば、世界の一つや二つねじ曲げられるほどの魔力が貯まるわよ♪♪」
確かに貯まりそうで怖い。どうやら、
「お主はここで倒しておかなければ」
「いけないようだ………」
立ち上がるサーヴァント達、それを見て、微笑むのをやめ、いや、
凶悪に歪めて笑う。
【出来る分けないだろ魔力の分際で】
その瞬間、聖杯から泥が流れ出る。アイリにまとわりつき、鞭のような放たれ、全員が避けたり、防いだりする。
その様子に苦もなく操り、その様子を見ていた。
「どうする………剣の動きも悪いが」
「同感、このままじゃ」
全員が中心に集められるように動かされ、メアリーと視界が合い、いまは考えずに協力して弾いている。
マシュはマスターを拾い、盾で防ぐが、
「霊体である僕らは問題だな、宝具を撃てそうなのは」
「すいません、あまり考えずに使ってましたので」
ヒロインXがそう言う。メディアもナイチンゲールもいるが、ナイチンゲールはオレを見て手を伸ばすのでやめて欲しい。
「ならどうします………正直、魔力が」
「美遊、私達は?」
「イリヤさん達は問題ないですが、火力不足ですっ」
「イリヤちゃんの魔力を宝具に渡すことは!?」
【させると思うか!!】
無数の槍のようにそれが放たれるが、全員が避ける。
そしてなにより、
「どうやら本体はアイリの姿を借りてはいるが、あの黒い聖杯だ………そこまで届く一撃は複数の宝具ではないと無理だっ」
エミヤの話に、全員が苦虫を噛むが、
「………複数?」
オレはそれを聞いて、
「だからかマーリンッ、それならそう言え!!」
気合いを入れて鞭を弾き、
「ルビーとサファイヤ、オレに魔力をッ。オレは複数の宝具使いッ。同時使用可だ!!」
それを聞き、全員の目の色が変わる。
無数の鞭が槍のように放たれるが、リリィ達が防ぎ、イリヤと美遊にも放たれるが、シールダーの盾で防がれ、杖二つが投げられる。
「アスカっ」
受け取ったアストルフォが投げ渡してきて、それを受け取る。
「もう衣装に文句は言わんッ、ただし全力で魔力を貸せッ!!」
「「了解ッ!!」」
魔力の光が辺りを包む、そこに無数の泥の固まりを放つが、燦然と輝く銀と魔竜の血を浴びた剣で斬る。
そして現れたのは、
「マジカル少女アストルフォウちゃん、大サービスモードですっ♪♪」
「姉さん………」
歯を食いしばり、考えるのをやめ、目の前の敵を見る。
メディアが鼻血を出して倒れたのを視界の端、アストルフォがいっけぇぇと言うが、何名か口を開けて固まってたのを無視、下半身のすーすーする短パンが無いんじゃないか感覚も無視して、オレは、
「真名、解放!!」
その見た目とは裏腹の、凶悪な魔力をはき出す。
「食われる前に、斬るッ」
竜の瞳になり、耳と尻尾を立てて飛翔する。
銀と紅、黒と蒼の魔力は雷鳴と成り、一つの剣となり、突進する。
それに対して、泥の固まりを壁にしてぶつけた。
【いただきます♪♪】
その一言と共に泥が魔力を飲み込んだ。
だが、
歌が世界に響くと共に、魔力の剣は泥を突き破り、アイリの後ろに隠れている眼光、紅い眼光を見て、笑いながら魔力の剣を振り下ろした。
――藤丸立香
「先輩無事ですか!?」
「俺は問題ない、アスカは!?」
建物も壊す一撃の中、アスカが飛翔して現れる。
一見可憐な少女だが、まあ男の子だろう。アストルフォが抱きつこうとするが、持っている女性を見る。アイリスだ。
「マスター」
「これは………」
まるで眠っている様子であり、メディアに見せた。
「どうやら泥に操られただけのようね………気づかず、向こう側にいたけど、彼女は操られて、器にされていた。それだけのようよ」
「あい分かった、ともかくお主は鼻血を拭け」
「リリィ達、彼女には近づかないように」
ヒロインXがリリィ達を守りながら、いまだ鼻血を出すメディア。無銘はとりあえず、コートをアスカにかける。いまだにルビーがハイテンションでシャッター切る。
「………お願いします、この姿を撮らないでください………」
はっきり言えば、美遊とイリヤの二人のコスチュームを合わせ、アストルフォとアストルフォウくんを合わせた美少女だった。
震える彼には悪いことをした。我々は彼に何も言えない。
「うふふ………」
よだれを流しながら微笑むアイリスもどうしよう。本当に操られていたか少し不安だ。と、
「ダ・ヴィンチちゃんからだ」
『もしもし、どうやら無事ことが済んだようだね。いまその世界の分解が始まったよ。何名か男性サーヴァントも戻ってきた、まあ何名か精神的ショックが大きくて立ち直ってないけどね』
今回は妙なところで人の心に傷を付けた事件だな。言わないでおくけど。
アスカの身体も黄金の粒子になり始めた。
「アスカ、もうお別れ?」
「みたいだな………アストルフォ、それじゃ」
「うん、それじゃ」
その様子じゃ、お別れのようだ。急いで俺達も駆け寄る。
「助けに来てくれてありがとうアスカ」
「アスカさん、本当に助かりました。ありがとうございます」
「マスター藤丸立香、マシュさん。それじゃ、縁が有れば」
そう言って立ち上がると、何故か、
メアリーが水着で着ていた物と、同じタイプの水着を着ていた、アストルフォウくんがいた。
「いい仕事をしました」
ルビーがそう言うと共に、真っ赤な顔でその姿をさらした彼はいなくなった。
同時に俺達は、静かに涙を流した………
泥が這いずる。
【何故だ………抑止力だからだったか………】
その時、空間が消える。また散りへと戻るのだろう。
自分は所詮、器にされたモノの童心、悪戯心の残りのようなものだ。消える。
【ふざけるな………どんな手を使ってでもまた………】
だが、それは次の瞬間、剣に刺される。
【………なっ………】
『魔力切れ近くになっても動く、悪あがきが取り柄の奴に当たったのが運の尽きだ。悪意の固まり、まあ小さな小さなものだったが』
それはなんと言うのだろう。ただのコートや布、マフラーなので素顔、素肌を隠した何者か。
その剣を見ながら、分からないと泥は目で見渡す。
無数の刀剣類があるが、これは無銘などと言う、剣が根元の魔術師では無い。
【お、前、ダレ、だ!?】
『………ただのセイバーと言っておこう』
散りすら残さないほどの剣が突き刺さり、泥は消える。
世界が本格的に崩れ始めるのを見ながら、それは静かに還っていった………
目が覚めた、医務室で向かされていて、服装を確認する。
女の子の服装であり、下は短パンで、ちゃんと男だ。
だが、
「………………」
ただ一人の少年から魂が口から出ていく。
何か大切なものが失った気がする、戦いだった………
ちなみに、
「………はっ、私はなにを」
立花響を始め、何名かその手に携帯がカメラモードで握られていた。