少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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今回、多くの人達を傷付けます。心に。

ではどうぞ。


外の理・第3章、悪夢

 走るアストルフォウくんを追いかけるのは、全てを壊し、全てを潰し、血走った目のバーサーカーナイチンゲール。

 

「必ず取ります!!!」

 

 ここで捕まればオレの人生は全て終わりを告げる。だがいまの彼女を止めるには、一人では無理だ。すでにこの事態は連絡している。

 

「マスターッ」

「信長ッ」

「鉄砲隊ッ、テェェェッ」

 

 無数の種子島から銃が撃たれ、それを肉体で受け止めるバーサーカーがいるが、すぐに沖田とマシュが前に出る。

 

 だが目が赤く光り、刃は通らず、盾の打撃も効きづらい。それにマスターはすぐに判断する。

 

「アスカッ、地面を」

 

 すぐに地面を壊し、その瞬間、地面が割れて地下へとバーサーカーは落ちていき、瓦礫が蓋をする。ここに来る前に仕掛けていたらしい。だが安心できない。

 

「どうも彼女は狂化だけじゃないらしいッ、もうこうなれば」

「本拠地だねマスターッ」

 

 もうこの事態解決を優先するなら、あの場所に出向く方がいいと頷き合う。

 

「ああッ、急がないとランスロット達が」

「いえ先輩、あれらは無視していいと思います」

「むしろ手遅れ感パっないのう」

「ですね~」

 

 マスターはそれになんとも言えない顔をしてから、我々は走り抜ける。

 

 

 

 ちびノブ達の目をかいくぐり(所々におやつを投げ込み、それに食いついている暇に進む)で、なんとかちびノブ達が多くいる建物に侵入した。

 

 通信機を使うマシュさんとオレ。これで発信元がここと知り、辺りを確認する。

 

「相手は謎のパァワァで強化されたナイチンゲールと、メディアと言う西洋の術師か。どうするのじゃ?」

「正直、キャスターとバーサーカーは明らかに何かの補助受けてる。仲間が欲しいところだね」

「なら地下に行けば、黒髭辺り手遅れでも盾に使おう」

「いいですねそれ、それくらいなら穀潰しも役に立ちますよアスカさんっ」

「やめてあげてマシュ」

 

 こういう時はなにげに得意な沖田、侵入し、静かに目的の場所へと進む。

 

「やりました、沖田さんの未来はここにありましたよ」

「じゃから、みくと読まれそうだからみらい言うのやめい」

「何の話をしてるんだよ………」

 

 そして謎の巨大ホールのようなステージがある地下へとたどり着く。

 

 全員が?であり、そして周りの牢屋には、

 

「マスター? マスターなの?」

「その声は、メアリー?」

「マスターさんですか!?」

「トナカイさんっ」

「マスターッ」

 

 よく見ると牢屋の中には何名かサーヴァントがいて、すぐに確認する。

 

「アンとメアリーと、ジャンヌリリィか」

「私だけかなり略されましたっ」

「是非もないよネっ」

 

 驚いたことにアルトリアリリィとメドゥーサランサーこと、アナちゃんもいる。

 

 そして、

 

「アスカ………」

 

「アストルフォ!?」

 

「アスカっ!! アスカが助けに来てくれたの!?」

 

「アストルフォ、おま」

 

「アスカが女の子になってる!?」

 

「いますぐ座に帰すぞお前」

 

 そんな会話の中にもまだサーヴァントがいる。

 

「エミヤ、無銘、君達もここにいたのか。それに」

「マスターさんっ」

「ごめんなさい、凡ミスしちゃった」

「申し訳ございません………」

 

「って、はっ!? イリヤとクロエと美遊!?」

 

 交互に守護者達と娘達を見ると、見るなと言う顔をする関係者二人。

 

 ともかく、守護者達二人の檻に近づく。

 

「おい守護者、テメェら守護者のくせになにしてるんだよ」

「すまないが、私達は所詮使い魔だ。元来抑止力として改良された君とは違うんだ………とはいえ、君はだいぶ分かるようになったようだな?」

「当たり前だろ、何度死んで魂だけになった状態で記憶の引き継ぎしてると思う?」

 

 エミヤと無銘、アストルフォはオレがなんなのか分かっている。何故かは知らないが、オレはそう理解した。向こうも知っている様子だ。

 

「ともかくサーヴァントでもこの檻は?」

「すまないが生憎と二流でね、壊せないのさ」

「下は無事か?」

「青髭らは連れ去られていったが、まだな」

 

 そんな話をしながら離れ、辺りを見る。キャスターがいれば少し分かるが、どうも、檻は鉄格子だけで扉や鍵穴は無い。

 

「魔術的なもん?」

「ああ、どうも扉を開けるには何かが変わりになってるらしいんだが、入る方法は転送魔術を使って送られる。中の者達を出すのも術者の意志。第三者が開ける方法、解除方法は分からない」

「イリヤ、クロエ、美遊。ルビーとサファイヤは!? ここは礼装に頼るしかない」

 

「えっ、ルビー達ですか!? えっと」

 

「お兄さんでお願いッ、これは仮の姿だからっ」

 

 この姿は確かにアストルフォウくんでスカートだけど、オレは男です。だが別の檻から、

 

「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇもとの姿だってボクと同じじゃないかッ」

 

「ならばこそ男だオレはッ。女装はしたくてしてるんじゃないよッ!! 回りが、世界がしいるんだよおぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

 何故こうも女装しなきゃいけないんだ。だいたいアストルフォ、なんでこんなスカート平気なんだよ? もう短パンじゃなきゃ歩けないよ。響達なんでこれ平気なんだろう?

 

 また気になってスカートを抑えたとき、感じた。この姿を録画している者を。

 

「そこかッ」

 

 剣をぶっ刺してたたき出すと、箱から出てくるステッキ二つ。

 

「ワーオッ、マジモノです、天然物ですッ。天然の魔法少女ですよイリヤさんっ」

「姉さん、彼は男と言ってますが」

「それは魔法少女の前には些細な、いえより属性が増えていいことですよサファイヤちゃんっ」

「ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 もう嫌だ、カオスステッキマジカルルビーが現れやがった。マントと尻尾で姿を隠すが、回り込んでくる。

 

「お、お兄さんしっかりしてくださいっ」

「一気に周りがカオス化したわね」

「どうすればいいんだろう………」

 

 ステッキはバシャバシャとフラッシュを、おそらく撮ってる。やめて欲しい。

 

「これは凄い、短パンを脱いでくださいっ、どうして履いてるんですか!? 真の魔法少女なら中までしっかりしてくださいよッ」

「ふざけないでくれっ、いいからここの牢屋からみんなを出す方法を考えてくれ、壊せばいいのか壊せば!?」

 

 尻尾やマントで顔などを隠して叫ぶと、檻の中から声を荒らげる者がいた。

 

「!? それは無理だ!! ついさっきクー・フーリンがやったら牢屋の中だけが爆発し、壁が何も予兆もなく潰しにかかったっ。螺旋剣を持つ者もそれで牢屋に潰されて、いまさっき連れて行かれたんだ」

「おそらくこの牢屋で我々が疲労するのを待っているのだろう。この牢屋の防御性能は、僕たち、中のサーヴァントの魔力だ」

 

 守護者二人からの言葉、つまり中にいる者達の魔力で、この牢屋は強固なものになるらしい。中にいる者ももちろん、外の者も下手に手は出せないようだ。

 

 だが少しだけ、知りたくない事実が………

 

「えっ、兄貴、連れてかれたの………」

 

 無銘は顔を背けた。慈悲はないらしい。

 

 ………………………よし。

 

「ルビーさっきからオレの写真撮ってるんだから、撮影料に案出せ案」

「スルーですね分かりました。できればポーズも撮って欲しいですが、魔術陣の解析始めまーす。サファイヤちゃん」

「了解しました」

 

 それと共にノブノブと言う声が、

 

「くっ、ちびノブ達が」

「任せてくださいよ、沖田さんがばっさばっさと斬りますから♪」

「仕方ない、ここは俺達が。アスカ、君にみんなを任せる」

「問題ないよ、オレは特別ゲスト。やれないのならやれるようにするだけさ」

 

 そう言って、二手に分かれる。

 

 だが、

 

「ノッブっ!!!!」

 

「来いわしよッ」

 

『ノブブブブブブブブブブブブブ…………………』

 

「おおっ、なんかおおっ!?」

「切りがいがあります!!」

「マシュッ」

「はいっ」

 

 向こうは無数のちびノブが流れ込んでくるらしい。途中で詰まってるとかなんとか聞こえるが無視して、二つのステッキを見つめると、

 

「これは………ハッキング完了しましたよ♪♪」

 

「でかしたルビー」

 

「!!? で、ですが姉さんこれは」

「ええ、ま、まるで私が仕組んだようなネタが………カメラモード」

 

「待ってルビー!? いま不吉な言葉が聞こえたんですけどっ!?」

 

 突然牢屋のホームのど真ん中がせり上がり、何か舞台のようなものが現れた。

 

「………なにこれ?」

「どうもそこで用意された歌を選び、歌わないと駄目のようです。しかもステージに立つとアイドル衣装に替わります」

「なんでさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?!!??!?!!」

 

 もの凄くスポットライトが辺り、どの位置だろうが、見せ物として吊るし合い確定である。死ねと?

 

 ルビーが後ろからさあさあと録画モードで押してくる。

 

「いや待てオレ、別にアイドルだからって女性限定じゃないよね? 最近は響達とカラオケだって行ってるんだ。大丈夫、大丈夫だッ。男性アイドル衣装ならギリだよ」

 

 そう言い聞かせステージの上に立つと、衣装が替わる。

 

 

 

 ………世界が制止した。

 

 

 

 もう言うよ、女の子アイドル衣装にチェンジして、ルビーがハイテンションで撮影する。オレは短いスカートを抑え、マイク片手にその場に座り込む。中身を知りたくない。

 

「いいですよ~すっごくいいっ!! まさに魔法少女アストルフォウくんです♪♪ いい表情です、これでイリヤさんも混ざればグットですっ。はい、泣き顔いただきましたぁぁぁぁぁぁッ」

 

「ルビイィィィィィィィィィィィィィィ、お願い、やめてあげてえぇぇぇぇぇお兄さんのライフはもうゼロよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

「えっ、これであの人何時間歌うの?」

「さ、サファイヤ!?」

 

「…………………三曲です」

 

 美遊が尋ね、返ってきた答え。絶望が辺りを支配した。

 

 だが、

 

「………三曲か………あっははは………三曲か」

 

 そう言って、静かに立ち上がる。

 

 オレ、いや………私はいま手段なんて考えていられない。

 

「私は女の子ッ、アストルフォウくんっ。歌いきってみせるッ!!」

 

『無駄にかっこいいよこの人っ!!』

 

 イリヤと無銘は諦めの窮地に至った彼に拍手を送りかけたが、まだ早い。

 

 こうしてルビーが勝手に歌を流す。もうカラオケだ。

 

 だが別に構わない。

 

「ああそうだ………この様子を、元の世界の知り合い達が見ていようと、本当に女の子になるよりかはマシだ………」

 

「お兄さん………」

 

 イリヤは涙の所為で顔を背けたが、クロエがそれを首を振ってやめさせる。

 

「イリヤ、いい。これは覚悟よ、男の覚悟。目を逸らしちゃだめ」

「クロ~わたし、私見ていられないよ~」

「泣き言は言わない、あの人の覚悟を受け取った後、私達はこのどんちゃん騒ぎを起こした奴を倒すためにも、見なきゃ駄目よイリヤッ」

「クロエ~」

「こ、これはそこまでのことなの………」

 

 そして彼………彼女は歌い出す。

 

 覚悟を決め、自己を殺し、全てを解決するため、戦力確保のために、歌う。

 

「好きなアイドル歌手の歌を脳内再生してください。沖田さんです」

「是非も無いよネっ♪♪」

「ああ、振り付けもしないと駄目ですよ~ルビーちゃんですっ♪♪」

 

「フォウ!?」

 

 何名か泣きそうな顔、可哀想な顔、辛そうな顔、嬉々とした者もいたが、ステージを見守った………

 

 

 ――藤丸立香

 

 

 彼はその後、表情まで要求される謎の術式解除を乗り切った。

 

 その後、牢屋全てが解放され、みんなが出てくると共に、彼の目が鬼種、いや竜種へと変わったように、ちびノブ達を切り尽くした。

 

「………あっは」

 

 そう、

 

「アッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ」

 

 壊れたよ、アスカ。

 

「お、お兄さん………」

「トナカイさん………」

 

 イリヤは涙を流して、手に取るルビーが「満足です………」と言うので壁に叩き付けながら移動。何名か怯えていたが、俺は優しく、

 

「お願い、優しくしてあげてね………」

 

 魔王のようにもうちびノブ達を倒しているアスカ。令呪で止めることもできないな。さすがに俺もあれは………

 

「あの目、なかなか良いですね。新撰組に入って欲しいです」

「ウム、わしも欲しいのう。今度カルデアで呼ばぬか?」

「やめてあげてください」

 

 マシュの真剣な言葉を聞きながら、無銘とエミヤを見る。

 

「二人とも頼むよ、相手は少しばかり搦め手使うみたいだ。解析は二人が頼りだ」

「了解したマスター」

「問題ない、彼のように理性崩壊はしないよ」

 

 少し辛辣な言葉だが、エミヤの場合しかたない。

 

 そう思いながら、ついに扉、大きな扉を破壊するアスカ。ガルルルルとうなる様子に、マシュがハウスですッと言うけど、やめてマシュ。

 

「ここは………」

 

【よく来ましたわね】

 

 そう言って、黒服の女性が現れた。

 

 黒いフードで分からないが、ここが本拠地であり、主のいる場所らしい。

 

 奥の部屋から知り合いの男性の悲痛な声がうっすら聞こえる。宝具がその辺に転がっている。これはそっとしておこう。

 

「君は誰だ」

 

【私? 私は】

 

 そう言ってフードを取る。それに数名のサーヴァントに震かんが走る。

 

「「ママ!?」」

「アイリスフィール・フォン・アインツベルン!? まさかこの騒動は」

 

「違うわ、私は」

 

 そう言って、アイリスは杖を、

 

「………はっ?」

 

 何かリリカルな杖を取りだし、光りが世界を覆い隠す。

 

 全員が戦闘態勢に入ると共に、現れたのは、

 

 

 

 少女になった、アイリス。

 

 

 

「私は魔法少女プリズム・アイリちゃん♪♪ 人々の愛と希望とその他もろもろを守るために、顕現したサーヴァント、可憐に登場よ~♪」

 

 

 

 満面の笑み、ウインクしてそう告げた。

 

 その姿はまるである日出会った、テスタメントと言う存在そのものだった。

 

「「「「………………………………」」」」

 

 そしてほぼ同時に、イリヤ、クロエ、無銘、エミヤは膝から同時に崩れた。

 

「なんでさあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 アスカは強く咆哮した。ああ、俺もそう思う。




アストルフォウくんのコンサートを見た人達、リアクションを忘れ何名か携帯で撮影。

ルビーちゃんも撮影。

切歌「私達には携帯は無いデスっ」
調「世界は残酷だね切ちゃん………」
マリア「振り付けが………」

魔法式監督はメディアさんで、一曲一曲、衣装を変えてます。映像は座にも保存されております。

もうダメだアスカ、ごめんね。女の子にしないだけマシだと思ってね。

うっひひひひひひ。

それではお読みいただきありがとうございます。

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