俺、これ終わったらアスカに女装服着せる話作るんだ。
アスカ「どんなフラグ作ってるんだ作者!!」
あまりにシリアスが続きすぎなんだよっ。
アスカ「逆ギレかよっ」
それではどうぞ。
司令室で、何故かクリスが翼さんを撃ち、切歌と言う子と共に逃亡。まあ、これはきっとソロモンの杖に近づくためだろう。
それを言った途端、司令官は苦虫をかんだ顔になる。やりそうだからだ。
「クリスくんはソロモンの杖に対して、ずいぶん責任を感じていたからな………」
情報整理の中、調ともう一人の自分がいる中での会話。着替えた未来はすまなそうな顔をするが、それは響を助けたいと言う思いを利用したウェル博士が悪い。
あの野郎だけは切り刻もうと思いながら、久しぶりにおにぎりなど食べる。飯食いながら、未来が解いた、古代の遺産を映像で見る。
「そしていま、フロンティアってもんが現在も浮上中」
未来が使った聖遺物、神獣鏡。その性能は能力の無効化だった。
聖遺物相手に対して、絶対の強さを持つ。ある種、ジークフリートの魔剣のように限定されているが、その分効果を発揮すれば恐ろしい物らしい。
それでフロンティアの封印が解かれ、それにて月の落下を防ぐ。
月の落下、数多の国や組織が観測していながら、混乱を防ぐため秘匿するのはいいが、自国を最優先するあまり、現状悪い状況に陥った。
それに業を煮やしたのが、ナスタージャ教授と、彼女の元にいた、フィーネ候補の装者達であり、マリアはフィーネの名を騙り、フィーネとして、フロンティアを使い、月の落下を防ぐつもりらしい。
「って待てアスカ、なんでマリアがフィーネじゃないって分かる?」
「もうあの人は表に出る気は無いし、ってか、目の前にいる」
「!」
どうも魂、気配に敏感になっている。それに関して当然だろうと言う我がサーヴァント。
「オメェはただでさえ、根元にアクセスしているうえ、輪の外に保存された、正史外の情報を手に入れた。そのうえ、死そのものと言っても過言じゃ無い、アサシンの宝具から生を取り戻して戻った。魂が普通の人間より、英霊、神霊に近くなるのは当たり前だ。そもそも魂のランクを言えば神霊と同義らしい」
「………さすが抑止力ってか」
そんな会話する二人もそうだが、いま司令室内は驚き、一斉に視線の先、調へと注がれる。
「わ、たし、が?」
「だろうな、話聞く限り、その子からは二つの魂が感じられる。ま、いまの俺とこいつの関係みたいだな」
「お前は独自に保存された過去の記録から喚ばれただけだろ?」
「似たようなもんだろ? 気にするな面倒」
そう言って、過去、別平行世界において、ある英霊の代わりにその英霊の名前で活躍した、別の物語がそう言う。真名教えろセイバーと聞きたくない。
「だいたい分かるだろ?」
そうだよ分かるよ、燦然と輝く銀の剣と、特殊な盾。そして正体を覆い隠す全身鎧って………
「オレ、女性版が好きって仲間内で話し合ったぞ」
「正規の記録だと女性って………語りの中じゃ男性なのに………もうなにがなんだか分からない。誰に文句言えばいいんだ」
鎧着たままの俺もオレも肩を落としながらそう言う。
調は少し戸惑うが、平気平気と言っておく。かなり奧にいる。そう出てくることはあり得ないほどに。
「んでだ、ウェル博士は、自分達の活躍を大きく見せる意味を込めて、米軍、追っての人達をノイズで虐殺。ってとこか。それを止めてたのが調」
「その男、世界を救わず、破滅させるな。少なくても」
気のせいか頭の回転がいい、アストルフォの見た目のくせにやはりオレらしい。こういうことに関して、すぐに結論付けた。
無論、誰も否定できない。それほどまでに、頭のおかしい身勝手な人間だと言うことだ。
「見逃せられる話ではない、我々二課もフロンティアに出向く。すでに各国の組織が陸に乗り出している」
「我先に世界を救う、か? ばかばかしい、英雄なんて面倒なのにな」
「ああ全くだよ、アヴァロンで大人しくお茶してるのがいいのに………あっ、お茶菓子あるかな? なんでもいいよ、せっかくだし」
いつの間にかいた花の魔術師もいる中、友里さんにそんなことを言う。オレはとりあえず、全てのユーザーの代わりに殴っておいた。
「ちょ、酷いっ。痛いじゃないか!!」
「るっせぇ、テメェの所為で多くの人達が悲しみに落ちてるんだよ。真剣なもんに心痛めてるのは分かるが、他にした行いでも迷惑かけてるの自覚しろ引きこもり」
そもそもこれの所為でアルトリアさんはあんな悲惨な過去持ちになったのだ。ユーザー代表として、殴らなければいけない気がする。
「と言うわけで殴る」
「ちょっ、それはいまの君には関係ないだろ!? それに気を利かせて身体くっつけた後は服もくっつけて、薔薇で包んでたんだよ」
「なぜに薔薇!?」
「着替えを頼んだ英霊が薔薇の人だからだよ、座に走って、服を着替えさせて欲しいって言ったら聖杯大戦並みの戦いが始まったときは驚いたけど、急いでたから薔薇の人に頼んだんだっ」
「やめて、ちょっと待っ、少し待て、えっ、薔薇? もの凄く嫌な人しか思いつかないんだけど」
「大丈夫っ、変なことはされてないよ。短パンまで手を伸ばしたけど止めたからねっ。それ以外はスルーしたけど」
「おおぉぉぉぉぉいいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
そしてもう一人の俺は静かにキャスターを捕まえた。
「おいテメェ、何故お前で服着せなかった? そもそも座に顔ほどの事案じゃねぇだろ? 人の来世をなんだと思ってる?」
「女の子の服は眺めたことはあるけど、着せたことなんてあるはずないだろ!? しかも現代服なんて特にそうだし、女の子の衣類一度脱がして着せるなんて趣味も無いしね!!」
「ざっけんなッ!! 頼んだ英霊が一番悪いだろがぁぁぁぁぁぁ」
「黒い髭のライダーだけはまずいと思って外したのにッ、どうしてこうも怒られなきゃいけないんだ!?」
「「それは当たり前にアウトだバカ花魔術師!!」」
「理不尽なっ!!」
そしてそれを捕まえてから、
「おいこいつも戦力入りさせるぞマスター」
「おう、むしろ盾にしろセイバー」
「えっ、ちょっ。私はここでお茶飲んでるよ!!」
そして、わめく魔術師は無視して、出入り口に出向く。
「それでは、全員準備は良いかッ」
「私は良くないよッ、えっ、ちょっ、本気かい!? 人使い荒いなもうっ」
大陸へと我々も突き進む。
「いい加減に腹くくれキャスター」
「はあいいよ、もう。ま、さすがにここまで関わったんだ。この物語くらい、ゲストとして出ても文句は無いだろう。彼もいるしね」
そう言われた白銀の騎士は、静かに剣を、クラレントを構えながら、
「それじゃ、サーヴァントセイバー出るッ」
そう言って、魔力放出と共に大地駆ける。その様子にやれやれと思いながら、静かに走る魔術師。走るな、魔術使え。
それを追うように、バイクのエンジンを暖めている翼さん。
「別口を私が、雪音は任せろアスカッ」
「ああ、コンソールルーム、またはコンピューター室は任せてくれ翼さんっ」
そう言い合いながら、お互い別の方角へ羽ばたいていく。
――マリア・カデンツァヴナ・イヴ
月の落下を止めるため、多くの人達のフォグニックゲインを束ね、歌にする役目。それを担ったはずなのに、できなかった。
それどころか、ドクターが裏切り、月の落下を加速した。
「人類は増えすぎ何ですよぉぉ、僕が新世界の英雄として救いますから、そんなに止めたきゃ近くに行けばいいんですッ」
そう言って、ネフィリムと同化した腕で、マムがいる施設を切り取り、空へと放った。
「き、さまぁぁぁぁぁぁぁ」
ガングニールを纏い、斬りかかる。だけど、薬による適合率を上げなければ纏えない私では、先のこともあり、すぐに力つきる。
だけど、
「邪魔だ壁ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ」
壁を壊して、あの騎士が現れた。
「アァ? ここ司令室かなんかか?」
「き、貴様らは!? 装者じゃないのにノイズを!!?」
「貴方は………」
静かに現れた二人組に驚く中、ふうと一息つく白い誰か。
「全く、やっぱり呪文唱えるより殴った方が早いや、次セイバーで出るべきだよ私」
「グランド・キャスターがなに言ってる………」
そう言いながら、静かにドクターがノイズを放ったが、二人は杖と剣で吹き飛ばす。
「な、なんだお前ら!?」
「英霊、とある儀式にて喚ばれる、過去の英雄だ」
そう言いながら、私達は驚いた。
それに顔を歪めたのはドクターだった。
「え、英霊だと!? 認めるかッ、僕が、僕が英雄だッ」
「それ英雄王の前で言えば、貴様程度の雑草、散りになるぞ。マーリン、ここの状況分かるか?」
「真名で言うの、まあいいけどね。少し待ってくれたまえ、向こうもナスタージャ教授って人助けてる頃だしね」
「………マーリン!? まさか、アーサー王の」
魔術師マーリン、アーサー王を導いた魔術師。その名前を聞き、ああと頷く。
「ただ、王をそそのかした魔術師だよ。まあいまは関係ないよ、君は護衛を頼むよセイバー」
「はいよ」
「それと、あれあれ」
そして一つのモニターを指さす。それを見ると、そこには、
『ホオォォォォォォォォォ』
ヒポグリフが空へと放たれたはずの私設を受け止め、地面に戻している。その時、その主である彼が………
「………いない?」
「あっ、騎獣だけに押しつけたな」
「あっははは………」
――暁切歌
私が私で無くなる。そう思いこんでいた。
だけど違った、フィーネは調だった。だけど、もう止められない。
絶唱のイガリマが向かってくる。
ああ、これでさよならデスね。
そう思ったとき、
(あの人もこんな感じだったデスかね………)
あの時の装者の人を思い出しながら、何故か生きていた。
(できればどうやって生きていたか、聞きたいデス………)
そしたら、調と仲直りしたいデス………
………
「デス?」
「えっ」
無数の本のページが私達を包んでいる。
「危ないなもう………まさか絶唱でぶつかり合ってるなんて」
「貴方は」
「どうして」
本を閉じながら、私達に近づく。
「調、少し落ち着いて、フィーネ………了子さんのこと話していられるか?」
「うん………ありがと、アスカ」
「………」
訳が分からない、その後、私達の様子を見てから、あの茶髪の人を追いかけに、猛スピードで駆けていった。
「あの人、あの人達が言ってたの。私の中のフィーネは目覚めないって、あの人はもう、表で悪者するの疲れたから、眠ってる。だから、私は大丈夫だよ切ちゃん」
「調………」
私達はちゃんと話し合えば、心に抱えていることを話し合えばよかった。
あの人達には感謝しないといけない。おかげで、大切な家族を、守る覚悟ができるのだから。
――白銀の英霊
「ちっ、おい花の魔術師、どうにかしろ」
踏みつぶす、斬り壊す、握りつぶす。
ノイズとか言う兵器は、英霊であるこの肉体を炭化できない。その様子に男は奇声を上げる。
「何故だ!? 何故貴様らは僕を邪魔をする!? もう月の落下は僕にしか止められない!!?」
「んじゃ月壊せばいいんじゃね?」
「いやダメだから、元の軌道に戻さないとダメだから」
「めんどくせぇ」
両方うるさい。一方は僕が救世主だとわめき、もう一方はおやつ食べたいなと子供のように言う始末。愚痴を呟く、もううんざりだ。
「はあ、私は別にこう言った機械的な術式の専門じゃないんだよ? 一応言葉は分かるけど、もう適当にスイッチ押すか、別の場所からの操作可能にする程度だな」
「後者にしろバカっ、もう一度言うバッカっ。精密機械にそれは無いぞバァカっ」
「はいはい………はあ、英雄英雄って、なんで好きこのんでんなもんになりたがるかも分からない。その所為で、説明書無しに機械操作しなきゃいけないんだからもう」
そう言いながら、ノイズが大群が襲いかかるが、剣に銀の光が集まり、一降りで断ち切る。
「安全圏で菓子つまもうとしてたテメェが言うなマーリンっ。こっちは魔物が出れば斬り殺しに出ないといけないし、世継ぎ、血筋問題でアーサー王はどんなひでぇことになったかッ。後始末したが、正史じゃねぇから平行世界扱いでさんざんなんだぞ!?」
「………君、やっぱり円卓の騎士、その別可能性だよね? クラレント持ってるし、円卓の騎士だね、私に恨みあるね?」
その言葉を聞き、静かに兜を外す。その顔を見て、気まずそうにするマーリン。ザマァ。
「うわぁ、君も女の子なのかい。彼のこと言えないじゃないか」
「そこじゃねぇよっ。そして俺はしっかり男性だ!! だぁぁぁぁ、テメェが導き手でありながら、どんだけあの人に苦労かけた!? 本来ならテメェが平行世界だろうと関係無く殺してるッ。むしろブリテンと関係ないいまだからこそ、テメェを殺せるッ」
「君、無関心、無感情、無神経だろ!?」
「テメェとランスロット卿は別だッ、ガウェイン卿もだッ。くそっ、考え出したら殺したくなってきたッ。円卓の騎士どもっ、仕事やら王の子供やらサボり魔の俺に全部押しつけやがってッ。ガウェイン卿は王のやること全部正しいとのたうち回るしッ、ランスロット卿は王妃に手出すしッ、その所為でアグラヴェイン卿は告発したりするしッ。俺が内密にしようと努力してるのに他の騎士どもは他の騎士どもはッ」
「待った待ったッ、君は可能性軸の円卓の騎士だからねっ!! 正史の彼らに飛び火は酷いよっ。そりゃみんな残念だけど!!」
「分かってるッ、本来の歴史じゃ、俺は王を殺す叛逆者だッ。くそっ、それも円卓の騎士どもの所為だッ」
その言葉に、本当に嫌になる。確かに王のやり方には賛成しかねることがあった。だからと言って、あの女の言うとおりに玉座なんて面倒なものに座る気は無かった。
王の資格? いらん。本来の自分は、なぜそれを欲しているのだろうか?
「国や世界を救って何がしたいんだか、面倒通り越して、やりたくねぇな」
そんないい方をしていると、
「なんで………」
「ん?」
黒い姿の彼女が話しかけてきた。
「なんで世界を救いたくないって言えるの………」
その顔を見ながら、
「俺はそばで国一つ守ろうと、心身を削った王を知っている」
そうだ、俺は彼女、母上とも言うべきか、父上と言うべきか。あの女の所為で分からないが、王を知っている。
「誰にも理解される、理解者も得られず、王と言う理想像を押しつけられて、何一つ、休まるひとときも与えられず、不老の力で誰かに殺されるまで永劫を、王として生きた王をな」
ガウェイン卿は全部正しいとのたうち回り、ランスロット卿は王妃に手を出すし、アグラヴェイン卿はそれを告発しようとしたり、他の騎士も王は人の心が分からないと言う。
いや、分かるかそれ? そう言う風に、我々が、ブリテンと言う国そのものが押しつけたんだぞ?
「賊殺すために、宝物庫から適当にこいつを手に取ったら選ばれたから分かる。選ばれるってのは、理想像を押しつけられるってことだ。望んで成れればいいが、それでも、成りたくないと心から思う」
俺の可能性では、王はランスロット卿と王妃のことを許した。ただ生まれた子供は王の子として扱われたが、仕方ないと納得。二人は許された仲であった。
その後俺は色々あってから、とりあえず円卓やめよと思ったが、まあ死んだ。仕方ない、俺の物語はあり得たかも知れない物語、適度でいいんだろう。
ま、いまはそんな経験を得た俺として、
「貴様に問おう、血の歌を歌う歌姫よ。貴様は世界を救いたいのか? 自分で世界を救いたいか?」
それは意味は同じでありながら、やろうと言う思いは違う。
「私は………私は世界を救いたい………」
「それは」
「あの子が守りたいと、妹が守りたいと望んだ、世界だから」
勝手だ、だからこそ、
「それでいいんだよッ、王だの英雄だの聖剣なぞ関係ない!! 俺が望むのは、結局自分で選んだ道を、自分の満足な人生と言えればな。世界を救う? んなもんついでだついでッ、お前は妹が守りたいと願ったからで守ればいい。それが不純だのなんだの言うのなら俺が、いや………オレが斬るだろうよッ」
ニヤリと獰猛に笑い、結局そんな生き方が出来る奴が英雄だと思いながら、ノイズを切り伏せながる。飛び込む子を隠すため。
「お前の手に血は似合わない」
「貴方は」
飛び込む影に驚く黒の歌姫、飛び込む影に、自分では、部外者ではできない願いを告げる。
「頼むぞ、真成る神の槍、いや、全てを繋ぐ手を持つ者」
「だ、誰だ!!?」
「撃槍、ガングニーーールーーーーッ!!!」
――龍崎アスカ
そんな叫びと共に、しばらく待っていたら、やっぱりかと響が出てくる。ついでに過去の自分が出てきた。
「よ」
「ようって!!?」
その顔はなんと言うか、ある叛逆の騎士を銀髪の蒼い瞳に変えて、男性にしたような顔立ちだ。
その場で崩れ落ちなかった自分を褒めたい。
「ざ、残酷すぎる………なんでだぁぁぁぁぁ、オレの方が男性なのになんでだぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「嘆くな、嘆くのはこっちだ。あと、俺も男だぞ」
いま現在、アストルフォのシンフォギアスーツはもう女の子。むしろそっちの方がしっくりくる。セイバーの目が辛いぜ………
ともかく、
「翼さん、クリス」
「………」
やってきた二人。クリスは睨んだだけで人を殺せそうなほど睨んでいる。やっぱり一人で死んだことがそれほどまでに気にくわなかったらしい。
それは翼もであり、実は船で回復した際、いまは戦場と言っていたが、刃のように睨んできた。睨まなかったのは響と未来だけ。まあ未来は後は怖いです。
「!? なんか来るそ」
「!?」
その言葉に、地面からネフィリムが表れた。これは、
『聞こえますか?』
「ナスタージャ教授!?」
『それはドクターウェル、フロンティアと融合を果たしたネフィリムです。このまま放ってはおけないもの。すみませんが』
「倒せってことか、分かりやすい」
「だそうだ、できるかアスカ?」
「響」
「うんっ、へいき、へっちゃらだよ♪」
我々全員が武器を構えると共に、駆けだした。
――???
「ふむ、これでもう問題は無いか」
モニターで操作など、ここでするべきことをし終えた様子を見て、彼は呟く。
「感謝します、私の護衛なぞ。まさか、貴方のような方に守られるとは」
「気にするでない、ここでの我は暗殺者でも無いのだろう。もとより、本来の役目として活動する気はない」
そう、彼は表に出ず、自分を見た者は例外を除き、死ぬ相手だけだ。
だが今回は例外過ぎるのだろうと頷きながら、
「キャスター傍観者のつもりか?」
「おっとバレた」
やはり本家のように気配消しは無理だ。彼、反射的に斬りかかろうとしたしね。
なぜここに? 霊体って便利だね、移動が早い。
「70億人分のフォグニックゲイン………世界が、歌で一つに………」
あるモニターでマリアと言う歌姫と共に、世界が歌う。その光を見ながら、彼女は涙する。
これを見ながら、後は彼らがネフィリムを倒すだけだが、
「だが月の施設が機動した、この世界の物語は、また動き出した」
「………はい」
「だが我らは手を貸さぬ、なぜならば、我らは外の理。故に今回のみ」
だが、だからこそか、彼らが、全てを束ねる。
もう彼はこの世界で活動する抑止力として、星と霊長は定めた。本人の意思は関係ないが、そこはこれ以上言わない方がいいだろう。
結局星と霊長の意志は曲がらない、彼の魂は自分達の所有物。あれはそういうものだからね。
ま、どの時代の彼だろうと、自分の意志だと、きっと言えると思うけど………
「ああそうだ、彼が精神崩壊から脱した理由を伝えておくよ。貴方から彼らに伝えて置いてくれたまえ」
彼の魂をつなぎ止めた少女の歌を聴きながら、私は微笑みながら、その光景を語ろうか………
空はすでに大気圏すれすれの中、七人の装者が揃う。
その歌を束ねるため、一人の騎士が前に出る。
「さて、これで俺は役目終わらせてもらう。いいか俺ッ、これがこいつの真名だッ」
そして歌姫達の前に出た白銀の騎士は、剣を地面に刺し、叫ぶ。
『去れッ、ここより先は我が守るべき土地と者住まう地ッ。刃向ける者よ、銀の裁きを受けよ!!!』
銀の王剣が燦然と輝く、銀の世界が広がる。
『
雪降る銀の世界、影は蒼、幻想的な世界から解き放たれる光が、ネフィリムを襲い。
その光景を見ながら、彼の騎士は黄金の粒子へと変わる。彼は本来の彼では無い、故に消えやすさは、私達よりも強い。
「行けッ、守るべき友がいるのなら、幾たびの忘却の中であろうと、幾万の人生の中であろうと、俺達は友を救う意志は奪わせるなッ!!!」
その言葉に頷くように、彼らは飛翔する。
――龍崎アスカ
ネフィリムとフロンティアの融合が解かれ、ネフィリムをソロモンの杖で、ノイズがいる宝物庫へ押し込んだ。
だが、ネフィリムの鞭のようなものが、アガートラームを纏うマリアを捕まえた。
「!! させないッ」
魔剣と王剣が輝きを増す。その勢いのまま宝物庫に乱入して、手当たり次第にノイズもネフィリムを叩ききる。
「先行しすぎだアスカ」
「ま、あたしらもやることは変わらないけどなッ」
「マリアを」
「助けるデスッ」
「いっくよおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
ノイズをあらかた片づけた後、出口を開いたら、ネフィリムが前に立ちふさがり、炎の固まりを作る。
「炎は任せろッ、ネフィリムを」
「分かったわっ」
「分かったッ」
そして、二振りの剣を握りしめ、ヒポグリフと共に駆ける。
剣の魔力と共に飛翔するヒポグリフは、一隻の船のようだった。
『真名解放ッ!!
二振りの剣撃が炎とネフィリムを叩き、そこに六人の歌がたたき込まれる。
夕焼けの中、最後にソロモンの杖で扉を閉めた未来と、戦った響に泣き付かれながら、少しばつが悪い。
「もう勝手に傷付かないでっ」
「絶対なんだからねっ」
「………分かったよ………」
そんな中、彼らが現れた。グランド・サーヴァント。
山の翁、花の魔術師マーリン。それら警戒する一同だが、なぜか安心した。
「オレはここにいていい宣言か?」
「ああ」
そうアサシンが答えた。
「だが忘れるな、汝が死んでも、運命の輪から逃れられない」
「君は、時には主役、脇役、悪役、被害者、観客。どれにでもなって、その物語を補強するのが役目の抑止力。それだけは変わっていないよ」
「それって」
次の人生は波乱に満ちている。そうでなくても、早く死に、そんな人生を歩む。そういう役目だと告げながら、
「それでも、龍崎アスカの物語は、終わらす理由にはならないよ」
「………なら進めばいいよ、その宝具達と共にね」
「さらばだ、運命を補助する者よ。境界の交差する時にでも会おう………」
そうしてやっと、自分がどんなぶっ飛んだものかを知りながら、黄金の粒子になる彼らを見る。
しっかしまあ、
「なんでアストルフォの容姿で転生したんだか………」
「それは君が聖杯から無理矢理アストルフォを喚んだ所為だよ」
マーリンが変なことを言う。
「前世の記憶があるのはともかく、その容姿はその時の影響。令呪の代わりに、英霊との繋がりが強く出るようになってるんだよ。この世界で言うアストルフォの子孫の血脈になって、その容姿になった。ああ、今回の件でより強くアストルフォと情報共有したから、まあその………あまり成長は期待しない方がいいよ」
「………」
なんも言えねぇ………
マーリン達が座に戻るのを見ながら、また伸びた三つ編みを見る。そして静かに、
「………なんでセイバーか兄貴やエミヤじゃなかったんだオレえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
どこからか酷いよと言う、女の子のような男の子の声が聞こえた気がしたが気にせず、その場に座り込んだのであった………
夕焼けの中、ため息混じりにそれはその光景を見る。
異物からゲストのような存在になることを許された彼は、仲間達から成長はもうしないのか? など、色々と言われたりしている。実際こんな英霊の力を引き出すケースは少ないから、どうなるか分からないと言うのに………
「最後まで花の魔術師に踊らされて………」
フードやコートで顔などを隠したサーヴァントはそう呟きながら、その姿が消えていく。黄金ではなく、虚空へとけ込むように………
「そう言えば、グランド・サーヴァントって、他にどんなのがいるんだ?」
翼の言葉に、んっとと………
「グランド認定されたのは、いまんとこマーリン、ソロモン、最初と最後の山の翁だけだ。後はそれ級のサーヴァントだけだ」
英雄王ギルガメッシュ、守護者無銘、守護者エミヤ。他に例を挙げればいくらでもいるが、
「急にどうした?」
「無限に刀剣を出すコート野郎がいたんだよ、野郎? それすら分からないのがな」
クリスの言葉に、無銘エミヤが思い浮かぶ。彼の起源は剣であり、無限の剣を内包する世界、魔術使いだ。
だが、
「赤い外套の?」
「? いいや………その辺で、想像できる平凡なコートなどの衣類だったぞ」
その言葉に、少し足を止める。
記憶にないそのサーヴァント。話を聞けば、それで彼らは、自分抹殺に納得したようだという。
「………おいおい」
しかもよく思い出そうとする二人だが、なぜか少しだけ曖昧であり、記録の方もノイズが酷く、曖昧にしか証言できない。
その時、何か引っかかる。
(オレ………まだ星と霊長に架されてるのか。重い重い、フェイトって言う、使命を………)
マーリンは結局どうでもいいことだけは言っておきながら、本当に聞いておくべきことを聞きそびれた。
もう静かに、それが表に出てくる事態にならないことだけを願い、いまは仲間達とのこの時間を大切にする。そう願う………