壊れていく、壊れていく。以前の自分、記録、聖杯に登録されていて、自分に写された記録が壊れていく。
「………多いな」
死の刹那、だからこそか、過去や未来、平行する自分の能力、素質へのアクセス。それと共に英霊の召喚など、ホントよくできたとキャスターは感心しながらも、それに驚いた。
その膨大な記録、本来は正史では無いと言う理由から、ちゃんとした場所に保存されていない記録の膨大さに、それを必要な物だけを引き出したこと。圧倒される。
多くの時代で、語り部や吟遊詩人だった。
ある時は勇者や英雄、または友か仲間。名のない仲間だったりする。
または被害者か加害者、様々な一面を見せながら、その歩みは止まらない。
なぜなら全てリセットされるからだ。
どんな悲惨な人生、過酷、苛烈、どんな人生、物語を歩もうと忘れて、そしてまた歩くのを繰り返す。
「………そして」
そしてただの人の時代、だが、そのほとんどは長生きできないか、突然のことで死んでいる。
他者として傍観すればするほど、後悔、絶望、希望、救済を抱きながら歩く理不尽な運命。
たった一つ共通点があるとすれば、彼が彼である生きる意味が、全て同じであることと気づく。だからこそ、彼は自分達の前に一度現れたのだろう。
「全く………普段絶対に現れない彼が現れたときは、驚いた………だがまあ」
忘れるから問題ない。なんて残酷な言葉だろうと、彼は思う。
壊れ行く世界の中、ただ静かに、外の様子を確かめる。
「ふむ、もうだいぶ日にちは経ち、タワーがノイズに襲われてるな………? あれは………」
――マリア・カデンツァヴナ・イヴ
マムが月落下の阻止のため、他組織と協力するしかないと判断した。
だが、彼らは私達を裏切り、さらに暴走したドクターの所為でノイズがタワーを囲む。それでも彼らは我々の命を狙う中で、
「また貴方………」
銀色の鎧を着込む騎士が、静かに兵士達を鎮圧した。殺してはいない。
そばで震え上がる親子を見ながら、
「一般人、死に慣れていない者の前で人殺しする気は無い」
そう言いながら、黒のガングニールを纏う私を見つめ、静かに言う。
「早く行け、その子らとこれらは俺が見る」
「逃がしてくれるの?」
「あんたを止めるのは、俺の役ではないのでね。令呪ももうすぐ無くなるしな、後は奴の気合いだ。俺の役目じゃない」
そう言いながら、静かに私は立ち去るのを見つめる。
その騎士は、なぞの言葉を残していく。
「………止めてくれる人………」
そんな人がいるのなら、早く現れて欲しい………
小さく呟き、私は私のすべき事のために動く。
――???
ノイズを討ちながら、静かに爆発するタワーから、先ほどの子が出るのを確認しながら、周りを見る。
ビルの上から、ほぼノイズは駆逐し、一般人の被害も抑えたのを見る。てか、俺達がいるのだから、出るはずもなく、悪くて物が壊れたり、けが人が出た程度だろう。
「だいぶ片づいたし、もう一般人はいない………で、何用だアサシン?」
そう言うと、闇の中からそれは現れ、白銀の騎士を睨む。
いまだ骸の身体に亀裂が入るものの、すでに治りかけたグランド・アサシン。
治りかけ程度でも、彼のサーヴァントは自分と格が違いすぎる。ただいるだけでノイズと言うただの固まりは消し飛ぶのだから、被害が出るはずもない。
「貴様、何者だ?」
だいたいを終え、自分と言う異常事態を察して現れた彼の者に対して、剣を肩に置きながらため息をつく。
「平行世界、別可能性軸の英霊。クラスセイバー」
それだけは素直に言いながら、静かに見る。
「あの魂に喚ばれた者、以前。あれの英霊版だ」
その言葉に、少しばかり驚きながら、お互い間合いの中にいる。別に戦う気はないが。
「ほう………ライダーアストルフォではないのか?」
「それもだ。俺の方はいまのいままで顕現も何もしないままだったから、気づかれないのも当たり前。なにより大元は全く同じだ、気づく方がおかしいし、俺はもしもの英霊だ。察しても、正史の俺と誤認するからな」
そう言いながら、それは静かにノイズが消えたことを見る。
「俺の方は令呪がある所為で働いているだけだ。もう二画使用している、悪いがこのままあれが消えるのを待つ」
「貴様はマスターである奴が消えることを望むか?」
「仲間からは無感情、無関心、無責任と言われててな。俺には関係ない」
そう言って霊体、姿を消す白銀の騎士を見ながら、彼も消える。
「………ここに来られるんだね」
「花の魔術師、ご苦労だな。そんな男女、もう無理だろ」
消える前に、来世、己の次を見る。無様に原型は無く、ほぼ魂のみ、肉体の形は無くなった、自分だ。
そう言い、思いながらその辺であぐらをかき、ただ座る。
「君がここに来られたということは、君は彼だね?」
暗殺者ですら察することが出来なかった魂の気配に気づく。腐ってもキャスターの最高位と言ったところか。
「チッ、こんなのが俺か。ライダーアストルフォの影響があるからと言え、情けない。まさか女になるなんて」
睨まれてもなにも言わず、ただそれはそこに座っている。
思い出が壊れ出す。二課を始め、家族や、幼なじみの思い出が砕けようとしていた。
「………聞こえるか? 来世」
だがなにも答えない。
「その神の槍を纏う子は、融合の適正率が高く、身体事態が飲み込まれかけている。このままじゃ死ぬぞ」
だがなにも答えない。
「………このままか? このまま終わるのか? この世界、龍崎アスカと言う物語はこれで終わりか? 答えろ」
だがなにも答えない。
「………その程度か、俺達の物語なんて………選ぶのは、自分じゃない自分の時だけ………俺の物語はなんだろうな? 他の俺は俺ではなく、あの独りぼっちの王様を殺す騎士だしな………」
――――――――――――――――
なにも言わず、ただ時間が過ぎる。ここと世界の時間はかみ合っていない。もう分からない、これはもう………
「………もういい。結局俺達は、何も決められないんだ」
そう呟いた瞬間、戦慄が、歌が響いた。それに二人は立ち上がる。
「なっ、精神世界、夢の世界で誰が干渉を!?」
「これは………!?」
――???
携帯が鳴っている。メールだ………
静かにメールを見る。誰だ?
『題名アスカへ、届いていますか?
アスカへ、未来が攫われた。これからフロンティアって言う場所に出向き、助けます。
もしかしたら私、その時に聖遺物の融合で死んじゃうかも知れないらしいんだ。
アスカ、アスカもこんな感じなのかな? 自分より、私を優先したアスカ。ごめんね、私は、私が助けたい人のために、この手を伸ばすよ。アスカがくれた、助けてくれた命なのに、ごめんね。
私がアスカに助けてくれたのって、これで何度目だろうね?
コンサートの時、ノイズから奏さんを助けたり、
その、悪のりした人がウチに石投げたときも、家族ごと泊めてくれたり、女装して、あのもやもや~ってした雰囲気壊してくれたり、ホント色々。
勉強教えてくれたり、私の我が儘聞いてくれたり、ホント、どれくらい言えばいいんだろうね?
だから、アスカの人生が無駄だなんて誰にも言わせない。
いない存在だったのかも知れないけど、ここにいる私達は、貴方を知ってるんだよ。
最後に会いたかったな………それじゃ、ごめんアスカ。だけど必ず、私はみんなと手を繋いでみせるよっ 』
………………………
……………………あっ……………
あのバカはッ!!
「『令呪を持って命ずるッ』」
携帯を壊れるように握る。だが、壊れたのは、過去の自分。
立ち上がると共に、砂になっていた景色が戻り、自分が現れる。
「『グランド・アサシンの死の呪いを断ち切れッ!!』」
そこにいるのは、ある英霊と同じ姿の、リディアン音楽院の制服の、少年だった。
目の前にいるのは花の魔術師と、オレのサーヴァントだ。
なら利用するだけだ。それも仮面の奧から微かに笑みを見せる。
「応ッ」
その様子にばかばかしいように、だがすっきりした様子で銀の騎士は剣を構える。
だが、キャスターは意識だけ覚醒した彼を見ながら、冷酷に告げた。
「それでも足りないよ、君はすでに三画使用している」
後はこの世界からの脱出、それにいまここにいるサーヴァントを使うのはいい考えだ。だが足りない、死その物である存在が断ち切ったのだ。まだ足りない。
だが、オレはニヤリと笑う。
「『二度令呪を持って命ずるッ』」
「……………あっ」
キャスターは間の抜けた声を上げた。そうだ、ここは全てのオレの情報がある精神世界であり、夢だ。
何処かの世界、時間、次元で使っていない、手に入れた令呪が存在する。
瞬間、窓ガラスのように使われなかった、自分の令呪が浮かび、使用された。
「って、それってありなのか!?」
その令呪だけが輝く、無数の令呪は、星のようにあり溢れている。
「『断ち切れセイバー!! 三度命ずるッ、断ち切れッ。四度、断ち切れッ。五度、断ち切れッ!!!』」
手に持つ携帯も光り輝く、まるでそこからもあるように、何百、何千の令呪を使う。これがオレが歩んだ道の、過去の自分がくれた対価、あるいは、抗いだ。
いままでの道は、その時の自分にとって選んだ人生だ。役目が決まっていても、その役目の中で決めたことはその時の自分の意志だと、はっきり言える。
だが、このオレと言う自分は、完全に外れているのなら、好きにさせてもらおう。
それが、自分達の答えだ。
その後、道化に戻ろう。また演じよう。いずれかの英雄、反英雄、怪物、なんであろうと、もしもや、成ければいけない存在に成り、歴史を守ろう。その時の自分は、これが自分だとはっきり言うだろうからな。
そして、はっきり言う。これがオレだッ。
『断ち切れッ』
大勢の声が被る。この一度だけは迷い無く、全員が決めた『自分の選んだ、自分だけの選択肢』なのだから。
振り下ろされた銀の閃光が、死を吹き飛ばすと共にそれと共に駆ける。
――花の魔術師
「あっはははは………出て行っちゃったよ。ああ………」
深いため息をつき、別の場所に現れ、静かに座り込みながら、
「人間って、ほんっと凄いね」
そう優しく微笑む。
――帰った
「って、どこの空と海ィィィィィィィィィィィィ!!?」
出てきたのはどこかの大海原の上だった。
「おいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ、シンフォギアシンフォギアぁぁぁぁぁぁ」
急いでそれを歌う。
歌うとき、微かに感じ取る。いつもと違う、それに………
――月読調
ドクターのやり方に賛成できない。だから私は、船の人達を助けるために動いた。
だけどどうして? どうしてなの?
「切ちゃんっ」
そんな私に、切ちゃんが刃を向ける。
ドクターもだ、それは分かる。ドクターは本気だ。操る神獣鏡の装者のお姉さんを使って、私へ攻撃する。
その時、刃のような白銀の壁が、私達を守った。
「デス!? 調………助かったデス、けど」
「誰だ!?」
その時、白銀は、蒼い、雪のような人だった。
「で、なんで俺もいるんだよ?」
一人は燦然と輝く銀色の甲冑を纏い、騎士のような人が、蒼い盾と銀色の剣を持って呆れていた。
「一応、まだ令呪が有効だ。活用しろ、しかしその格好………」
それはまるで銀世界から生まれた妖精だった。
可憐で可愛らしく、それでいて凛々しい。美しい、不思議な魅力を持つ、一人の装者。二つの剣を構え、八重歯を見せて笑う。
「別にいいさ、守れれば。もうシンフォギアの格好がどうなってもな」
銀世界から現れた、一人の騎士と可憐の騎士がそこにいた。
「きれい………」
「アスカ………」
「お、まえ」
「ああ、ごめん二人とも。けど、ここからは龍崎アスカは異物じゃないから、参戦させてもらうよっ」
そう言って、歌と共に、無数の光のレーザーが放たれた。だけど、
「ヒポグリフっ」
そのヒポグリフが肩に付けた盾が展開して、壁のように防いだ。その光を見て、騎士の人がうげっと呆れていた。
「アキレウスの神秘か!? 竜殺しの魔剣とかといい、どういう経緯で手に入れた………ひでぇ人生しか歩んでないのか俺はっ」
「全く同感だよ」
そして可憐な騎士は私に近づいて、私を抱き上げた。
「!?」
「この子を戦艦の方につれてく。イガリマの子頼んで良い?」
天羽々斬の装者達へそう言う。二人とも驚愕していた。
「………全く、出てきてすぐに」
「ちっ、しゃーねーな。後で文句なり説明なりしろよアスカっ」
そう言って二人の装者は切ちゃんの元に、ヒポグリフと言うアームドギアに、白銀の騎士が乗る。
「馬よりか早そうだ、俺はこれで動くぜマスター」
「ありがと」
飛翔するヒポグリフは飛び立ち、急いでその場から私を連れて離れていく。いまはもう大人しくするしかない。
可憐な騎士は蒼と銀の光が翼のように広がり、そのまま飛び立つ。
「これもなんのだ………ドラゴンのみたいだが………」
「………あ、あの………」
やはりあの時、死んでもおかしくない怪我を負った、いや死んだ人。私の、私達の所為でだ。なのに平然としている。
私の視線に気づいたとき、少しバランスを崩す。
「っと、ちゃんと捕まっ………!?」
その時、何かが神獣鏡の元に、飛び込んだ。
「響………彼奴、ってかあの装者は………未来」
そう言うと、知っている者達が戦い始めたようだ。それにどうするか考え込んでいた。
「………どうするの?」
いまこの人は海の上に浮いてるけど、私を抱えて、いま戦い始めた装者の元になんていけないのだろう。
だけど、
「………しばらく抱きついててくれる? 幼なじみの大げんか、止めないといけないんだ」
「………私を危険にさらすの?」
酷いいい方だ、だけど、
「守るよ」
この人はすぐにそう答えた。
「………偽善者」
「知ってる、けどね」
その人は、
「オレ、それでもいいから君達を、響達も救いたい。それくらいやらせてもらえなきゃ、やってらんない人生だもんでね」
どんな理由かは分からない。分からないことだらけで頭が一杯一杯だ。
だけど、その顔は、私達と違って、迷ってない。
(………信じるの………私………)
そう思いながら、そっと抱きついた。
「ありがと、月読」
「………調」
そう呟くと、
「それじゃ行くよ、調っ」
それは蒼と銀のマントのような翼を広げて、羽ばたいた。
――立花響
「未来ぅぅぅぅぅぅぅぅぅ」
一つの光が私達を貫いた。
そして意識が………
「二人ともぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
急いで私達を抱き上げ、近くの誰もいない船に乗る。
私達が驚き、目を見開いた。
「「アスカ………」」
「………ごめん、遅くなったよ」
「「あす」」
その時、装者、シンフォギアが解けた。
「「えっ………」」
「………」
着ていた服が元に戻らないため、アスカがマントで私達をくるむ。
きっと、未来のように真っ赤になってる。見られた、もの凄く見られた。色々言いたいことがあるのにッ。
「………色々」
その時周りからノイズが現れた。
「って空気読めよぉぉぉぉぉ、ジークフリートさんでも読むぞここッ。テメェら覚悟しろッ。調もここにいろっ」
蒼と黒の魔剣と、銀と蒼の王剣が突然現れ、歌を歌う。いつの間にか、マントが取れているから、私達が着ている。
「邪魔だッ」
たった一降りで、雷鳴降り注ぎ、剣風がノイズを吹き飛ばす。魔剣と王剣に驚きながら、
「ともかく、三人を船に。そろそろ」
そばの海面から潜水艦、二課の本部が出てきて、そこからすぐに奏さんが出てくる。
「アスカ!? お前、その格好」
「話は後、オレの替えを二人に。話はそれからだ」
「………ああ」
力強く頷き、こうして私達は再会する。
「………俺は完全に無関係だよな」
そう言って見知らない騎士の人は、ヒポグリフから下りて呟く。その手に、アスカの王剣を握りしめて………
真名龍崎アスカ クラス・セイバー
性別男性 属性、中心、善、星
自分が善では無い、偽善と言う考えから中立であり、聖杯と起源へとアクセスした魂。
姿はアストルフォであるが、力を使用する際、紅の装飾、黒の刀身を持つ、変わり果てたバルムンクと、燦然と輝く銀色と、蒼の装飾を持つクラレントを持つ。
ある者が見れば、それはいずれかの可能性で『本当』にあった、神聖の剣。
呼び出す幻獣ヒポグリフは、機械のような姿になり、その肩に黄金の馬上槍と、プリドゥエンと言う盾を持つ(何故か機関銃装備している盾)
その盾は真名の解放で、アキレウスの蒼点囲みし小世界。アキレウス・コスモスも使える。
雷も纏いながら、スケートのように戦場を滑り、空を駆ける。美しき騎士。
魔力は聖杯や起源からほぼ恩恵があるため、連続使用さえ気を付ければほぼ全てのマスターがどんな者であろうと、十全に戦える。むしろ魔力提供は無用なサーヴァント。
アスカ「いや、サーヴァント違う違う」
作者「レア度は星6かな?」
アスカ「具体的なデータ考えないでいい」
作者「ちなみにひらひらのスカートに短パン、上着はアストルフォ。腕はG時の私服切歌の腕につけてるもんをつけて、足はニーソックスのブーツですかね? 腰には本などつけて」
アスカ「………ホント、女の子みたいなことに………」
作者「後は家事はEX+++です」
アスカ「おい」
作者「あとは魅力(狂気の極み)です」
アスカ「おい(怒」
作者「それでは」
アスカ、作者『お読みいただきありがとうございます』