少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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観戦している人達、マリア、切歌、調、ナスタージャ教授。

装者のサポートしている二課組。

戦いの場にいるのは二組、一つはウェル博士とネフィリム+ノイズ対響、翼、クリス達。

残りグランド・アサシンの位を下げて顕現したアサシン、山の翁対、抑止力、アストルフォを始めとした英霊とアクセスし、力を得た人物、龍崎アスカ。

以上、とある魔術師の説明でした。それでは、どうぞ。


16話・咆哮

 戦いが始まった。

 

 龍崎アスカはその命を狙う山の翁。

 

 三人の装者には、無数のノイズとネフィリムが迫る。

 

 勝つ見込みがあるとすれば、まずアサシンとして彼は現れていて、何故か手を抜いている事実。

 

 本気ならすでに終わっている、それでも死んでいないのは、本気を出していない証拠。

 

 だが、

 

(侮っているわけでも何でもないッ!? だからこそ)

 

 一歩踏み出して進むしかない。魔剣と王剣の魔力放射と共に地面を滑り、ただ剣と剣がぶつからないようにして斬りかかる。

 

「ほう、つばぜり合いはせぬか………」

「一撃で壊される、未熟なオレだからか、宝具じゃないからか知らないが、あんたにそんな無謀はしない!!」

 

 一撃の剣撃のみ意識して避けるが、大気が震え、大地は砕け、世界が震かんする。

 

 グランド・アサシンの一撃一撃だけは、ただあるだけでノイズが壊れていく。

 

 歌いながら、それらを避けるのではなく、剣風に乗り、舞うように避ける。ようは木の葉に見立て、剣を避けている。

 

 その気になれば木の葉は砕けるだろう、それも考慮して避けなければいけない。

 

 睨まれるたびに心臓が止まる。息が、歌が止まりかける。

 

『『『~~~♪』』』

 

 だが、この戦場に流れる曲は一つじゃない。

 

(そうだ、オレは、龍崎アスカは異物じゃないッ!!)

 

 ここにいると言う意志のみ剣に乗せて、振るう。

 

 

 

 ――また実況するよ

 

 彼はいま、アサシンの言葉を否定するために戦っている。

 

 異物、不必要。それら全てを否定する剣撃に、彼は嬉しそうに答えている。

 

 だけど、彼はそれで試練を終わらす気はない。この程度で、彼が本来至る道筋から外す訳にはいかない。それなりの覚悟が無ければ許されないのだから………

 

(なにより、覚悟を決めた武人に対し、その命奪う気で挑まず、何が山の翁と言う?)

 

 一降りが命を刈り取る一撃の中、剣撃の隙が見えた。

 

 だがアスカは乗らず、けして魔力放出による高速移動をやめない。

 

(ほう、さすがに分かっているかッ)

 

 歌を紡ぐ中、それは分かっている。

 

(勝敗は霊核を壊すことッ、だけじゃない!! 相手が相手っ、霊核が壊れて、サーヴァントとして肉体が維持できなくなっても戦えるッ。消えるまでの数秒が、俺にとって何時間だ!! 壊してもすぐに行動出来なきゃ意味が無いッ)

 

 相手はわざと隙を、大きな隙、霊核へと届く隙を見せている。

 

 だがそれに手を出せば? 答えは分かる、死しか無い。

 

 時折見せられる、生への道筋に食いつかず、真の意味で掴み取るまで戦わなければいけない。

 

 彼が勝つ条件は、五体満足で動ける状態下であり、剣を二本使い、魔力放出によるブースターでの行動力使用。

 

 それをこなしながら歌い、威力を上げ、相手が放つ死のプレッシャーに勝たなければいけない。

 

「ふんっ」

「!!?」

 

 大剣を大きく下に構え、足を踏み込んだ瞬間、数メートル地面がへこんだ。

 

 風が止むように、殺意が消えたが、それは一点に集まっていると知る。

 

(ま・ず・いぃ)

 

「破ッ!!」

 

 両手で斬り上げられた剣は、天を斬り、それを全力で避けた。

 

「っておい、やりすぎだアサシン!!」

 

 

 

「ぐ、グランド・アサシンの剣撃が雲どころか、大気圏を斬りました!!!」

 

「なっ、大気圏だと!? ならオゾン層は!!?」

 

「大気圏ごと、有害物質や太陽光も、全部ですッ。空間全てを、斬りましたッ」

 

 

 

 オペレーター室から聞こえる絶望に、地面に降りて前を見る。正直逃げたいが、

 

「!?」

 

「………」

 

 その身体が、蒼黒い闇が吹き出していた。

 

 ひび割れした身体、それでも気迫は増している。

 

(………そうかああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ)

 

 それに光を見るように、剣から魔力を放ち、接近する。

 

(ほう、気が付いても、希望にすがりながら、尚向かう………誠に、惜しいッ。この身が、この身体が、耐えられぬことが我は恥ずべき思いだッ)

 

 グランド・アサシンである、彼はいま、顕現するためただの暗殺者へと力も何もかも下げている。五体満足、本気で戦えない。

 

 だが、現在彼はそのようなことはお構いなしに、本気の本気、自分と言う存在として、剣を振るっていた。

 

 その所為で、身体が着いていけず、壊れだしている。

 

「死の嵐の中ッ、生き延びよ龍崎アスカァァァァァァァァァァァァ」

 

 ここにいるのはただのアサシンではない。自分達が信仰する道を踏み外した者、技術を慢心、衰えた者を殺し、次へと繋ぐ道を選んだ教団の長。

 

 故にこの者に引導を、故にこの者に活路を与える事を選んだ。

 

 己を殺せば例えなんであろうと、この世界に滞在することを許されるだろう。

 

 元より星と霊長は彼の回収を、さほど急いでいない(・・・・・・・・・)

 

 だが手元に置く、彼の魂の役割とはそう言う流れである。理不尽極まりない理由から、いま命を狙われているのだ。

 

 だからこそ、魂の進化。より強固なる魂へと昇華する人生を歩む、そう言う結果を見せなければいけない。それがアサシンが彼に与えた、勝利条件(・・・・)だ。

 

 それすらできないのなら、躊躇いもなくその命を斬る。境界を彷徨い、斬った者の命を刈り取るほどに昇華した、その剣にて斬る。

 

(ああ全く………いま我が行為こそ、この首を切り落としたい気分ッ。されど、若きその才能、立ちはだかる壁になるのも、また一興か!!)

 

 元々グランド・サーヴァントとして渋々受けた依頼だが、このやり方で問題ないのなら、自分は問題ない。

 

 汗を斬り、闇風を斬る竜の眼光。その目と剣を見ながら、静かに木の葉を砕くために、その力を振るう。

 

 その死の風に乗り、かわし、僅かでも速く、限界が来るように切り傷でも剣撃を放つ竜へと昇華した戦士を見ながら、微かに笑う。

 

 

 

「聴くが良い!! 晩鐘が汝の名を指し示すか否かを!!」

 

 

 

 ゴォォォンカァァァンと、鐘の音色が響き、プレッシャーから息ができなくなる。

 

 だが歌う。

 

(来るかッ、宝具!!?)

 

 

 

「告死の羽根――首を断つか否かッ」

 

 

 

(死ねないッ、まだオレは………生きていたいんだッ)

 

 

 

 いまだ自分の動き、一つでも逃さぬように見開く瞳、自分が首を断った者達とは違う、自分の首を狙う戦士に、けして力抜かずに叫ぶ。

 

 

 

死告天使(アズライール)

 

 

 

 迫る死への一撃、それを防ぐことはできず、避けるために、全神経、全能力を込めた。

 

 

 

 瞬間だった………

 

 

 

「立花ッ」

 

 そう、私達側が思ったとき、いつの間にか時間が経ちすぎていた。

 

 私も彼も、アサシンも。本来の時間の流れから外れたように戦っていた。私達でさえそうなのだから、彼からすれば相当だろう。

 

 そんな世界から外れた時間の中で、いまだけかみ合った。

 

 少女の腕が、ネフィリムと言う怪物に、食われ………

 

 

 

「響ィィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」

 

 

 

 死の鐘は、静かに響き渡った………

 

 

 

 ――???

 

「なっ、なんだあの戦い………」

「ノイズが、剣風だけで消し飛ぶ………」

「アスカ………」

 

 時間がかみ合う前、彼女達はあり得ない速度の戦いを見ていた。

 

 だが、一人だけ、

 

「くそ、くそくそくそッ。僕を、僕を無視するなあぁぁぁぁぁ。ネフィリムッ」

 

 その時、無数のノイズが槍のように、ネフィリムが背後からアスカへと迫る。

 

「!! 駄目ッ、アスカッ」

「立花、待ッ」

 

 その時、他のノイズが翼、クリスを捕まえ、動きを止めた。

 

「しまっ、待て立花ッ」

「待ってえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 二人の言葉を聞かず、アスカに迫る者達を吹き飛ばすが、その時、ネフィリムに腕を捕まれ、そのまま地面に叩き付けられ、投げられる。

 

「ぐっは………ツッ………アスカの、アスカの邪魔は、させないいぃぃぃぃぃ」

 

 そして放った拳は、

 

「!?」

 

「立花ッ」

 

 口を大きく開いたネフィリムに捕まり、口を閉じようとしていた。

 

 

 

 だが、銀の光がそれを吹き飛ばした。

 

 

 

「ね、ネフィリム!?」

 

 ネフィリムは銀の光により、吹き飛んだ。地面にめり込み、足掻きながら這い出てくる。それには時間がかかるだろう。

 

「立花っ」

「大丈夫か!? くそっ、離せ!!」

 

 ノイズに拘束される二人の装者が叫ぶ中、腕が食われかけた装者、立花響は、

 

「………い、まの………」

 

 静かに腕を押さえ、立ち上がる立花響。土煙が舞う中、何かが響に降り注いだ。

 

 

 

「………………………え…………」

 

 

 

 それは血だった。

 

 

 

 鮮やかな血と共に、どさっと何かが落ちた。

 

 

 

「…………………………あ…………………………」

 

 

 

 そのつぶやきと共に、もう一つも落ちた。

 

 

 

 煙が晴れると共に、全ての者達がそれを見る。

 

 

 

「……………………たちばな…………………」

「………………………うそだろ……………」

 

 

 

 敵である者達も含め、それを見た。ある者はモニター越しに愕然となり、ある者は信じられず、何度も首を振る。ある者は頭がおかしくなったように、叫んだ。

 

 

 

 鐘の音が鳴り響き、純白の羽根が舞い上がる中、一人のアサシンは、このような結末に剣を強く握る。

 

「剣士として、その魂の器として、そして龍崎アスカとしての覚悟。しかと見た」

 

 だがと………

 

「その運命背負う魂、返してもらったぞ」

 

 肉体が斬られた、一人の遺体があった。

 

 その顔は即死であり、それでも静かに血を流す。

 

 その様子に、キャスターも静かに現れる。その足下には花が生え、静かに見下ろす。

 

「少し残念な結末だけど、まあ仕方ないね」

「……………………」

 

 そう残念がりながらだが、まるで気に入った物語が、道半ばで終わってしまったかのようないい方だった。

 

 唯一山の翁だけ、この行為こそ、納得できず、自身で首をはねそうなほど、怒りに燃えている。だが、それを自分がすることこそ、侮辱と知り、こらえている。

 

 二人の装者は叫ぶ、ノイズの拘束を吹き飛ばす。

 

「アスカっ、おいアスカ!?」

「嘘だろ………アスカ!? おいアスカ!!?」

 

 無駄だと、アサシンは告げた。

 

「我が剣は境界を彷徨い、魂を刈り取る。すでにその器には魂は無い、龍崎アスカは死んだ」

「………はあ、残念だ、とても、とても残念だ」

 

 そう言いながら、何かの小瓶を取り出すと共に、アサシンはそれを見る。

 

「捉えたか」

「まあ、ね。また関係ない世界に転生されても困るだろ? 星と霊長にちゃんと渡して、記憶を消してから、また輪に戻ってもらうよ」

 

 そして彼も頷き、剣を引きずりながら、背を向け

 

 

 

『アァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァぁぁぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁああぁぁAaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaアァァあぁアアァァァ!?!!?2#%#$&4$%&’I(★&%!?!?!!?!?!!』

 

 

 

 もはや何を叫んでいるか分からない、少女の咆哮を聞くと共に、アサシンは吹き飛びかけた。

 

「!? これは」

「っと、巻き込まれる巻き込まれる」

 

 そう言って、キャスターはすぐその場から離れると共に、黒い闇に捕らわれた少女は、アサシンへと蹴り、殴り、突進する。

 

 もはや獣の咆哮でありながら、それを防ぐ。

 

「キャスター仕事をしろ」

 

「え~怖いよその子………まあ仕方ないけど。私達はそれだけのことをしたと言うことか、はあ」

 

 そう言って、静かに呪文を口紡ぐ。

 

 黄金のひもが彼女を縛り付け、地面にくくりつけた。

 

「はい、これで」

 

『Aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!』

 

 それもまた、大地ごと引き抜き、アサシン達へとぶん投げた。

 

「嘘ッ!? 大地と一体化した黄金のひもなのに!!? 最近の女の子は凄い怪力だッ」

 

 その大地は巨大な大岩へと変わっていた。だが彼らは易々と、投げつけられたそれを避ける。それはネフィリムに当たり、それと共にネフィリムが向かってくるが、彼女は片腕で掴み、握りしめる。

 

 それと共に肉を握りつぶしながらも、それをアサシンに投げつけた。それと共にネフィリムは引きちぎられる。

 

 もはやネフィリムはただいるだけだった。

 

 向かってくる身体も、アサシンの剣で吹き飛んだ。

 

 あまりのことに、発狂する男がいたが、少女の咆哮に比べれば全然足りない。

 

「あーどうしよう、私達はこの世界の住人は、龍崎アスカ以外、手を出しちゃだめなのに………」

 

 

 

「………それは良いことを聞いた………」

 

 

 

 遠目から関係ないように呟いたその瞬間、キャスターに振るわれる剣があり、杖で防ぐ。

 

「うわっ、あ、危ないな君っ」

「………いまの私は、防人にあらず………ただの復讐者ダ』

 

 彼女のように闇に覆われかけた少女の剣を防ぎながら、背後には、

 

「テメェら………生きて帰れると思うナ………』

 

 剣を防がれた子は歯を食いしばり、血を流し、眼光は鋭く、クリスもまた血が上り、冷静ではなかった。

 

 無数の弾幕が雨のように目睫なんて考えず、ただひたすらに放ち続けられた。

 

『私達の友を殺した報い、死を持って償ってもらおう………』

 

「いや、いまインカムから制止命令出てるよ君ら。少し落ち着いて、彼は元々いない人間なんだからっ」

 

 その言葉が、二人が動く切っ掛けだった。

 

 翼はすぐに斬り返し、クリスは無限に、それこそ限界を超えてでもここで殺すかのように、彼を背にして咆哮するようにありったけ放つ。

 

 弾幕が迫り、うわぁぁぁぁと叫ぶキャスターであり、アサシンは、

 

「………キャスター」

 

「無理だよっ、こんな乱戦じゃ転移できない。そもそも彼女達を止めることもできないって!!」

 

 装者達は獣のような目つきで、ただひたすらに目の前の人物を殺しにかかる。

 

「さすがに我らは霊核のみの亡霊………それど」

 

「分かってるっ、彼女達に壊されると言う意味を、彼女達に渡すのはまずいッ。全く、グランド・サーヴァントの異名はホント嫌だよ。わざわざ生きてる私に霊核作って顕現させて………そんな私達を殺したら、最悪この子ら神か英雄化してもおかしくないぞ」

 

 いま彼女達は神世の存在を殺しにかかる。それを殺すと言う意味だけは、事実は避けたい。彼らだけの、抑止力と言う存在である彼らの事情。

 

 

 

『ァァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアア!!!』

 

 

 

 天羽々斬が、キャスターの服を着ると、小瓶が落ちる。

 

 しまっと呟く、キャスターだが、その時、小瓶が閃光のように光る。

 

「「!!?」」

 

 それに二人は驚く。全く………

 

「どこの世も、理想通りにはいかないな………」

 

 そう呟き、静かに力を振るう。

 

 その瞬間、無限の剣が、彼女達を阻んだ。それは無限の剣、荒れ地と化している大地へと生み出された刀剣類の存在。グランド達は自分に気づく。

 

「………何故貴殿がここに」

 

 それはキャスター以上に顔を隠す。衣類はまるで中身のないようになびく中、コートのそれは、静かにしている。

 

「………ああ、だからか(・・・・)。だから、星も霊長も、手放しても問題無いはずの彼を、手元に置きたがるのか」

「………そう言うことか、道理でグランド・サーヴァントを動かしたのか」

 

「そう言うことだ、グランド・アサシン、グランド・キャスター………そして、いまの輝きを見て、星と霊長には自分から伝えている。それで戻ってこられたならと言うようにな」

 

「………はあ、分かった。君がそう言うなら、私達はそうさせてもらうよ。元々、私達も乗る気で無かったしね」

 

 キャスターは何かを唱えると、龍崎アスカの遺体を草木が包み込む。

 

 それに二人の少女は叫ぶ。

 

『貴様らッ』

『まだ彼奴をッ』

 

 そして世界を震えさせる少女の咆哮。それには、

 

 無数の剣が峰で叩き付けられた。それと同時に、無言のままに、アサシンが一撃の剣をたたき込め、立花響を地に倒す。

 

 地面にヒビが入る。だがそれでも尚立ち上がるその胸に、鉱物が生えているが、それを無視して、気絶させる。

 

『立花!?』

『テメ………テメテメテメテメテメェェェェェェェェェェェェェ』

 

 その様子に沸騰しそうな顔で、二人の少女から笑みが消えていく。

 

 だがキャスターは静かに、

 

「まだ可能性があるよ」

 

『『!!?』』

 

 その言葉に、何を言っている?と言う顔をするが、

 

「彼の魂、アサシン。境界を歩くアサシンに斬られたのに、魂だけは健在、むしろ活性化した。まさかだと思うけど、龍崎アスカは、私達や、私達に指示した者の予想を超えだした」

「もし彼の者が死より生還した暁には、もう我らは奴を殺す必要はない。それが運命に決められた魂の運命だ」

 

『どういうことだッ!?』

『いまさらそれはどういうだあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ、彼奴が、彼奴があぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』

 

 クリスが獣のように叫び、翼も剣を向け続けるが、無数の剣が空に浮く。

 

「………あまり挑発するな」

 

「君が言うかな? まあ僕らも、いま決められたことを知ったとしか言えないね。ともかく、あの状態で生還はできて、それができれば星と霊長はもういいんだろ?」

 

 空に浮かぶ衣類のフードは、静かに頷いた。

 

「………キャスター」

「ええっ私かい!? まあいいよ、君は完全に切り離されたときに、捕まえてくれ。私は傷でも治しながら、静観してるよ」

 

 すでに闇が吹き出し、剣が彼らの逃走を手助けするように動く。衣類の存在はすでに消えている。

 

「はあ、運命ってのはホント。だからか聖杯は私達にこんなことやらせたのか。全く、彼がそう言う存在だったとはね………ま、いまは去らなきゃね」

 

 そう呟きながら、静かに彼らは去る。

 

 それと共に龍崎アスカの遺体は消えた。

 

 

 

 数時間後、元々荒れ地と化した場所だが、より原型を留めず、三人の装者を回収された。

 

 

 

 風鳴翼は迫ってくる刀剣全てを破壊しているが、ほぼ絶唱をしたように血を流し、最後の一本を破壊後、その場に倒れる。

 

 

 

 雪音クリスは、吐血しながらもまだ動き、標的を探し出そうとするため、無理矢理司令官、風鳴弦十郎が制止させた。

 

 

 

 立花響………涙を流しながら気絶する少女が一人。胸から生える鉱石など、不可解な点が見られるが、それよりも、

 

 ただ静かに、止まらない涙を流し続け、気を失っていた………




 ………あの人って治癒術得意だよね?(なに言ってるんだよ作者。

 どうなるアスカ、響達。そしてマリアさん達。

 それでは、まだ続きますから、アスカくんああなってしまいましたが、終わってません。お読みいただき、ありがとうございます。

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