少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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じぃじに命狙われるアスカ、それと共に三人の装者がいるテロ組織を追う響達。

そして物語は運命の名の下に、一人の少年の人生を壊す。

シリアスモード、長い、わかりにくい設定を作りました。

駄文で伝わるか不安で仕方ない。だがやる。

これが自分のFate/シリーズキャラが背負う、ぶっ飛んだ設定です。

どうぞ。


14話・抗う者達

 いまは使われていない施設、だが大量の資材などが運ばれていると知り、いま装者達はそこへ攻め込んだ。

 

『いいか、ハサン・サッバーハが現れれば全員逃げること、これは司令官としての命令だ。忘れるなよっ』

 

 そう言われながら、ノイズが現れ、復活したアームドギアを振るう。最近二刀流に成りつつあるな。

 

 みんなの身体に張り付いていたりする本のページがいくつか消し炭になる。どれも毒素を吸い、効果を失った。

 

「アスカ、10枚補充してくれっ、そろそろ切れる」

「こちらもだ、適合率を下げるガスはどうも強力らしい。すでにギアが重さを感じる」

「ごめん、こっちもお願いっ」

「魔本持ってくれよっ」

 

 そうして奧へと来ると、妙な気配に気づき、それに止まるように指示をする。

 

「あれは………」

「!? ウェル博士」

 

 響の言葉に振り返る。どうやら、ソロモンの杖輸送時にいた学者で、行方不明として扱われていたらしい。

 

 だが、ここにそれを持って現れた。クリスは睨みながら、静かに構える。

 

「テメェがソロモンの杖を」

「ええ、仕方なかったのですよ」

 

 そして怪物が迫る中、何か違和感を感じて、建物の瓦礫を投げ飛ばす中、クリスが弾丸を撃つ。だが、

 

「なんだこいつ!? あたしの弾丸を」

 

 めり込んだ弾丸が体の中に飲まれていく。まるで吸収されているように、ヒポグリフが中で騒いでいる。あれとぶつけるわけにはいかない。

 

「まさか、聖遺物を取り込む聖遺物!?」

「そんなんあるのかよ!?」

 

 その怪物らしきそれはうなり声を上げて、すぐに襲いかかる。

 

「だが、それでも対処するしかないッ」

 

 ノイズがウェルが持つソロモンの杖より取り出され、もう一つ謎の生物聖遺物も襲いかかる。だが響が拳を叩き付けるが、吹き飛びはするものの、あまり効いていない。

 

「ネフィリムっ」

 

 エネルギーのような物はどうやら飲まれる可能性がある。ならと、

 

「これでどうだ!!」

 

 バルムンクの衝撃波に、しめたと言う顔になるウェルだが、それは地面のコンクリートを巻き込み、それをぶつけるようにダメージを与える。

 

 僅かにエネルギーを食っているが、瓦礫が当たり、それでもダメージらしい様子はないが、ウェルは舌打ちし、眼鏡を直す。

 

「くっ、やはりガスで弱らせないとダメか………戻りなさいネフィリム」

「なんか知らないが、あれを放っておけないッ。全員」

 

 全員が頷き向かうが、ノイズが大量に前に出る。

 

 ネフィリムと言う聖遺物は静かに檻の中に仕舞われている中、それに突貫する。

 

「ただのノイズなら」

「問題無いッ」

 

 響と共に道を開き、翼さんが剣を構え進む。クリスが周りのノイズを吹き飛ばす中、地面からノイズが吹き出す。

 

 それに戸惑うが、

 

「翼さんっ」

「任せろッ」

 

 急いで三人でウェルを捕まえたが、飛行型ノイズが檻を持っていく。

 

『翼っ、そのまま走れッ。なにがあってもだ』

 

「奏? 分かったッ」

 

 ウェルを捕まえた後、翼さんが駆ける。建物の外に出る中で、その時、潜水艦が飛び出て、それを踏み台に飛び上がる。

 

「よし、そのままネフィリムってのを破壊………!?」

 

 まさに絶妙のタイミングでそれを阻む、黒い槍。朝日と共に現れたのは、

 

「マリア・カデンツァヴナ・イヴ………」

「いいえ、違います」

 

 それにうっすら笑みを浮かべ、

 

「彼女はフィーネ、私達を導く、新たな道しるべですっ」

 

 そんなことを言うウェル。響が了子さんと呟くが、なんと言うか、違う気がする。

 

「響、惑うな。了子さんは、もう了子さんなんだろ?」

 

 あの後話を聞いた、フィーネである了子さんは、最後に了子さん、自分達が知る彼女だったらしい。なら、はっきり言える。

 

 だが、

 

「ともかく、あの人が来たと言うことは他の子達も来るぞ」

「!」

 

 構えながら、静かに対峙する二人を見ていると、全身が寒気に襲われた。

 

「こ、れは………」

「!?」

 

 海面の上、槍の力で浮き、片手で檻を持つマリア。

 

 静かにそれを見つめていた翼さん。

 

 そして我々は、それを見た。

 

 朝日が差し、無くなっているはずの闇の中で、

 

「さあ龍崎アスカ………首を出せ。始めるぞ」

 

 死が現れた。

 

 

 

 ――私が実況するよ

 

 そこから現れたそれに、弦十郎は叫ぶ。

 

『全員戦線離脱ッ、ウェル博士だけでいいッ。すぐに逃げろ!!』

 

 だが、その前に、それが動く。

 

「手を抜き、力が制限されているとはいえ、この名は安くないぞ龍崎アスカッ」

 

 もうすでに側に来ている。クリスと響が動きたかったが、睨まれた。

 

 それだけで一瞬、動きが止まった。だが、

 

「だからって」

「止まらないィィィィィィィィィ」

「!!!」

 

 アスカはバルムンクとクラレントの両剣で、魔力放射、ブーストした勢いのまま斬りかかる。

 

 その意志の強さに、内心感心しつつも、彼の狙いは変わらない。

 

「来い」

 

 響とアスカはタックを組み、剣と拳が交差する。歌が重なり合いながら、腕一本で大剣を振るい上げ、迫る弾丸も防ぎながら捌く。

 

「切り裂けぇぇぇぇ」

「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

「フンッ」

 

 アサシンは剣を振り下ろした後、すぐの剣を横に振るう。刃では無い方向でだが真っ正面から受け止めたため、アスカは両腕で防いだためか、装甲が砕けた。

 

 血しぶきが舞うが、それでもアスカはけして目を背けず、それでも手に持つ剣に、

 

「ここなら、真名解放ッ」

 

 雷が彼から放たれ、暴れ狂う。

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

「!?」

 

 銀の剣と魔剣、雷の力を同時使用してぶつけると言う荒技を使用。元々、魔力放出のようなまねごとで、剣の戦法と合わせ、色々と考えている。

 

 だが意味は無い。

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 雷が刺さるように、剣の魔力を纏い向けられるが、その場に踏み込んだアサシン。足場に亀裂が走り、その場で止まるだけと言う暴挙で防いだ。

 

 アサシンに突き刺さる雷は、彼が持つ魔力、否、纏う力にて塞がれた。

 

 顔を歪め、それでも剣を離さず、だが、

 

「………終わりだ」

 

 そのまま剣を振り、アサシンは剣を振るう。

 

 だが止められるはずもない、正面からぶつかれば砕ける剣撃。

 

 それを理解する故に、彼は剣をぶつかるが、その力を真っ正面から止めず、勢いを殺さず、跳び上がる。

 

 つばぜり合いにけして勝てないと知り、その勢いを利用して、軽い身体を利用して、アサシンが引き起こす剣風に乗り、最小限のダメージに留めて吹き飛んだ。

 

「むっ」

 

 彼の強すぎるが故、彼は木の葉のようにバランスを失うものの吹き飛ぶ。軽傷に終わり、響、クリスはウェルを持って、その場から離れていた。

 

 その後、その場所は粉々に砕け散り、静かに後ろを見る。

 

「なかな………ん?」

 

 もう二つの旋律が流れる。戦艦の上で戦う二人の戦慄ではない、別の戦慄が、響、クリスへと迫ってきた。

 

「ちっ、んな時にっ」

「!?」

 

 ピンクと碧、二人の奏者が現れる。

 

「悪いデスけど」

「その人、必要なの」

 

 アスカはそれを見て動こうとしたが、その前に現れるのは、死だった。

 

「悪いが止めさせてもらうぞ、龍崎アスカ」

「グランド………いや、アサシン。なんで、オレを狙う」

「理由は分かるはずはない、汝は運命により定められた、魂だと言うことは言っておこう」

「?」

 

 よく分からないことを彼に言いながら、静かに、

 

「龍崎アスカ、その魂を縛る器。破壊させてもらおう、その魂は、もうこの物語に必要無いッ!!」

 

 鳴り響く鐘の音が聞こえかけた。だが意志の強さで弾き、剣の魔力を放射しながら歌う。

 

 彼も血の歌を歌う中、剣を振るう。

 

 また回避する戦法でアサシンとぶつかり合うかと、アサシンは今度は剣風を引き起こさず、剣を振り下ろす。

 

 と、

 

 

 

「やらせるかッ!!!」

 

 

 

 ………えっ?

 

 いま、普通の人間が、アサシンの大剣の刃を、拳で打ち止めた!!?

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

「ヌッ? はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 地面がへこみ、大剣が弾かれ、男、風鳴弦十郎のシャツは消し飛び、血を流すが薄皮だった。

 

「はぁぁぁぁぁ………さすが、伝説中の伝説、効いたぞ」

「貴様………人間か? いまの一撃、バーサーカーやヘラクレスと同等やも知れん………」

 

 物理攻撃の基準を考え、そう告げると、それに得意げに笑う。

 

「俺がギリシャの英雄か? それは光栄だ」

 

「………司令?」

 

「アスカっ、ここは俺が止めるッ。お前は響くん達の援護にいけッ。どうせ止まらないんだろ?」

 

 そう言いながら、ボクシングのポーズで、彼は戦う気らしい。

 

 その様子に、ふむと考え込みながら、

 

「致し方、無しかッ」

「おうともッ、俺の部下はやらせはしないッ」

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 い、いま目の前で起きたことを話すぜ。司令が拳でキングハサンの大剣止めたうえ、本人からバーサーカーかヘラクレスと同等とか言われた。あの人死んだら英霊になるのか!?

 

 ともかく、そう言われた以上、信じるしかない。剣の放射、ヒロインXの応用で飛び、シュルシャガマの装者、月読調と響の下に飛ぶ。よりにもよって苦手意識がある子に当たるとは………

 

「響っ」

「アスカ!? アサシンさんは!?」

「司令と戦ってるッ、信じられないが神話と対等に戦ってるぞ!!」

 

 調と言う子はなにを言っているのか分からない顔をしながらも、こちらを睨む。

 

「なんで私達の邪魔をするの………私達は」

「? 悪いが止めなきゃいけない理由を、しただろ」

「………それは」

「会場で楽しみにしていた人達、マリア・カデンツァヴナ・イヴと言うアーティストを信じていた人達を裏切った。それでも、自分らが正しいって言えるのか?」

 

 それに調と言う子は黙り込む。何か驚き、首を振る。

 

「………なにも知らないくせに」

「だから戦うんだよ、何も知らない、知りたくても知る術が無い。マリア・カデンツァヴナ・イヴを慕っていた人達の代わりに。偽善? いいよ偽善で。元々、オレはどうしても偽善だ」

 

 二人の間に立ちながら、静かに前を見る。

 

「君が偽善を嫌うのは構わないが、全てを救うなんて思えないが、救いたいって思う仲間がいるんだ。オレは、それを応援したいからついてるだけだ」

「アスカ………」

「オレは決めたんだ、偽善でもいいから、戦う。オレは新しい人生で、大切なものを守ると決めたんだ!!」

 

 それだけは変わらない。歌と歌がぶつかり合う中、碧の子、暁切歌の刃が迫る。

 

「ふざけるなデスっ、自分のことだけ言ってるんじゃねぇデスっ」

「切ちゃん」

 

 刃を振り切り、クリスと合流して、響はまだ戸惑う中、それで、

 

「なら君らは響やクリスの何が分かる? オレの何が分かる。言うけどオレのこと初見で分かる人なんていないんだ。人生二度目だからね」

「何言ってるんデスか!?」

 

 その時、ノイズがまた放たれる。まだいたかと、内心呆れながら、あの二人はその場から離れる。

 

「くっ、司令がいるし、ノイズを」

「行くぞ」

「うんっ」

 

 と動こうとしたとき、

 

 

 

 爆音のような余波が放たれた。

 

 

 

 司令部変わりの戦艦がひっくり返りかけ、翼さんが落ちかけたり、ステルスのようなもので姿を消していた、マリア達の船が見えたり、ノイズが消し飛んだりした。

 

 

 

 だけど動けない。

 

 

 

 その原因は、

 

 

 

「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

 

 ついに両腕で剣を振り下ろしたハサンと、血だらけの司令官の激突だった。

 

 

 

 えっ、なにあれ?

 

 その瞬間、爆発も起きたような音が鳴り響き、二人は吹き飛んだ。

 

 それでも少し浮く程度で、すぐに地面に着地して、勢いを殺す。

 

 ノイズはすでにいないが、余波だけで自分達は戦闘不可能なまで体力が削れた。

 

「ぐっ………骸である我に、膝を折れせたか………」

 

「はあ………はあ………さすが暗殺教団の始まりと終わりか………」

 

 剣を地面に刺し、支えにするハサン。司令は肩で息しながら、口元の血を拭う。

 

「名を聞いておこう、異世界の者」

 

「日本政府所属、特異災害対策機動部二課、司令官、風鳴弦十郎ッ。趣味は映画鑑賞だッ!!!」

 

「我が名はハサン・サッバーハッ、最初にして最後の山の翁なり!! できることなら貴殿の首を、境界の土産に持ち帰りたいところだ!!! その首、そして我を見て、生を謳歌すること、誇るが良いッ」

 

 その様子に我々は戦慄するしかない。

 

「さ、さすがです師匠………」

 

「お、叔父様………凄い」

 

「すっげぇとかの次元違うからな。あの暗殺者、次元の通信すら斬る人だからな」

「ま、マジか………」

 

 そんな様子を見ながら、辺りを見渡す。

 

「………向こうもさすがに逃げたな………」

 

『もうステルスが作動して追えません………』

『なにより、もう戦える奴がいない………ってかこっちもボロボロだよ旦那の奴』

 

 もう姿がないマリア一派。その騒ぎの中で剣を担ぎ、闇がアサシンを包む。

 

「どうやら貴殿がいる中で、龍崎アスカの首は取れぬようだ。元より、我らが盟約にて、物語に深くも関われん」

 

「………何故アスカを狙う? 彼が第二の人生を歩くからか?」

 

 その言葉に沈黙し、しばししてから、アサシンは目を光らせた。

 

「そのようなことは些細なことだ。問題は、彼の者の魂。偉大であり、愚かであり、救済であり、破滅たる魂が問題だ」

 

 それに全員が驚く中、闇が深まりながら語る。

 

「彼の者が事故にて死んだのは、運命故だ。そうなるように、された」

 

「なんだと!?」

 

 それには驚き、目を開く。だがそのまま続ける。

 

「歴史の分岐点、それを支える者、それを成す者。それは時に、救世にも破滅にもなる、可能性を秘めた魂。その権利を持つ、物語を語り部であり主人公。それが、龍崎アスカの魂の役目」

 

 ………ああ、これFate/だ。オレはそう思った。

 

 聞いてはいけない気がした。

 

 何故か嫌な汗が流れる。

 

「どうやら、本能が自分の存在を分かり始めたか。そうだ、龍崎アスカ、否、抑止力の一つよ」

 

 抑止力、人類、星を守る役目と言う名のシステム。

 

 自分は、ああ自分は、

 

「………アスカ?」

「………俺は知り、教え、導き、糧になり、始まり、終わるモノ………」

 

 ………何を言ってる? ナニヲイッテル?

 

「お、レは………」

 

 知らない何かがある。

 

 知らない情報がある。

 

 知りたくない真実が、

 

「オレは、抑止力………いや、はっ? えっ………」

 

「意識し出し、魂の情報が出始めたか。お前は今までのお前の情報を引き出している、英霊召喚もまた、いずれかのお前が持つ素質から、英霊アストルフォの情報。そして英霊の情報を引き出したのだ」

 

「そ、んなこと」

 

「できないな、普通なら。だが、お前は無意識にできるよう定められた、特別な魂だ。起源程度のアクセスや、聖杯、英霊の座への介入は動作無い。現状お前はそれらと契約している」

 

「………起源って、英霊の座は分かるけど。確か魔術師が目指してるけど、至ることはできない領域だろ?」

 

「………やはり引き出しただけで、全て知っている訳ではないようだな」

 

 それは静かに納得して、静かに告げる。

 

 

 

「お前は世界より、抑止力の役目を与えられた魂。ありとあらゆる可能性、平行性、次元世界にて、世界の命運を分ける戦いに、英雄として、罪人として、傍観者として、被害者として、仲間として、ただ知るだけの者になる定めを与えられた、魂だ」

 

「………」

「あ、アスカ? どうしたのアスカ? なんで黙るの? なんで何も言わないの!? ね、ねえってばっ、アスカ!!?」

「………」

 

 ………

 

「あすかってだれだっけ………」

 

 オレはいま、オレか? あれ? 自分はいま、なんて名前だ?(・・・・・・・)

 

「………アスカ………」

 

 響は青ざめているのを見ながら、山の翁を見る。静かにその顔を見て、目を瞑る。

 

「異世界に流れし、物語に役目を担い、最悪を回避する者。その魂を回収するが為、その魂を縛る器となった生命体、龍崎アスカの破壊こそが、我ら、星と霊長より依頼された使命、グランド・オーダーなり」

 

 足下がふらつく、なに? オレって抑止力なの? Fate/シリーズのあの?

 

 いや、そんなものは、

 

「お前が空想物として知るのは、たまたまだ。平行世界、無限とも言うべき可能性の世界なら、そのような事態もあり得る」

 

 否定を消された。

 

「お、オレは、なに、も」

 

「お前では無い。未来のお前、過去のお前が、物語に関わる人物として生き、その物語を回避、または手助けする役目。分かるだろ?」

 

 

 

 無限の可能性の中で起きる、最大の災いを回避するため、そうなるように運命と未来を微調整する役目。

 

 

 

「………あれ………」

 

 なんでそんなこと思った?

 

 響か誰かに引っ張られているが、反応できない。

 

「はっきり言おう、龍崎アスカ」

 

 聞きたく、無い。

 

「………自分と言う魂の役目は、無限の可能性に紛れた、最大の最悪な未来(物語)を、異物という形で介入し、そんな可能性を無いもの、または少しでも軽くすること」

「アスカ!?」

「アスカテメっ、なに言い出してるんだアスカ!?」

 

 異物として関わり、都合の良いように変える。

 

 俺は彼で、私で、俺で、僕で、儂で、で………

 

「………だがこの世界は対象世界じゃない」

 

 震える声でそう言った、いや、分かった。

 

 オレと言う用意された異物は、この世界のためにあるんじゃない。他の世界で、こんな物語に関わり、響達のような者達と関わり、調整するのが役目だ。

 

 だから、彼女達といるいまは、

 

「いまは」

 

 

 

 いま、ここにいることは間違いだ。

 

 

 

「………アスカ………なに、言ってるの………」

「………」

 

 だって俺はこの世界を良くするためにいるんじゃない。その為に『ある』んじゃない、『いる』んじゃない。

 

 その為に、自分は抑止力として定められている訳じゃない。

 

「お前はこの世界に不要だ、お前はいなくても、物語は寸分違わず終わっていた。お前がどう生きていようと、意味は、無い」

 

 自分は聖杯を得る者になったり、阻む者になったり、求める者になったり、それらを目指す者の協力する者になったり、または語る者になる役目。

 

 物語に都合のいい、都合良くいる人物に『成る』のが役目の抑止力。

 

「オレは、龍崎アスカは………この世界に『いらない存在』」

「アスカ!! ねぇアスカっ!!!」

「オレは、私は、僕は、俺はッ」

 

 

 

 ゲームで言うところの、都合良く配置された重要人物として、用意されている、キャラクターと言う役目を担う。使い捨ての命。

 

 

 

「………思い出したか」

 

「………あ………」

 

 

 

 ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ

 

 

 

 闇が消え、その場に崩れるオレは、役目を思い出して、いまは情報に耐えられず、意識を手放した。

 

 ただ思い出した、自分の役目。

 

 自分は、良くも悪くも物語の重要人物として、世界に介入し、抑止力として無意識に行動して、星と霊長が定めた最悪な可能性を潰すキャラクターだ。

 

 そしてこの世界、星と霊長の世界ではない、響達の世界に関わる必要性は無いことを、知ってしまった………




『抑止力・調整者』

 役目、無限にある世界の可能性の中、世界を揺るがす事態、事件、物語に介入する。

 その際、主人公、協力者、加害者、被害者、語り部、のちに知る者。どうのような形であれ関わり、その結末を最善まで押さえ込むこと。

 俗に説明すれば、ゲームやアニメの親しい者、主人公、敵キャラ、ただの傍観者へ転生して関わり、己の行動で、未来を変える存在。

 普段は星と霊長の監視の元、管理され、知らず知らず、世界の命運を分ける事変へと関わるか、挑むか。もしくば休養として、意味もなく生きている時がある。

 数多のもしも、かも知れない、あるいはと言う可能性の世界に生きて、人類や星が滅びた可能性を無くす。

 絶対にいないモノのため、彼がいなかった場合のパラレルワールドは存在しない。

 星と霊長はこの魂を使い、人類と星が消滅した事実、可能性世界を消している。



作者「意味が伝わっているか不安で仕方ない。

 言ってしまえばアーサー王がいないブリテン王国は存在しないと言う可能性がある。

 なら、アスカをアーサー王として生まれてもらおう。

 こうしてどんな可能性、未来、平行世界であろうと、どんな形であれアーサー王は必ず、どんな時代、世界、次元であれ、ブリテンと言う国にアーサー王はいると言う事実を、無理矢理作り出してます」

作者「これで伝わらなきゃ、自分の駄文の所為だ………それでは、お読みいただきありがとうございます」

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