少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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少し物語を早めに進めよう。

いま思いついたが、アストルフォ・オルタとか考えると、オリジナルサーヴァントタグ付けなきゃいけないな。オルタ出さない、本編には。番外編に出すとしたらどうする自分。

だけどいま物語の雰囲気じゃ、ギャグにいけないよじぃじ。

それでは本編です、どうぞ。


13話・死の顕現

「………」

 

 それは大剣を担ぎ上げることもせず、静かにこちらに歩く。それだけで汗が止まらない。

 

 ヒポグリフは逃げるように指示したのに、かばったようだ。本当にかと自分を疑うが、いまそれを気にしていたら、本当に犠牲にしてしまう。アームドギアはまだ治ると心の中で、ヒポグリフが叫ぶ。

 

 だから逃げろと、

 

「響クリス翼は来るなッ、こっちだグランドアサシン!!」

 

 こっちはもうマリア達、三人の装者に構っていられない。遠くへ走る様子を見ながら、ほうと感心していた。

 

 

 

 ――???

 

「感心だ、己が命より、彼の者達を優先するか。せめてもの手向け、いいだろう」

 

 その言葉に、飛ぶアスカへと剣を掲げて、

 

(まさか)

 

「ふん」

 

 届いた。

 

 一降りの剣は会場の壁も何もかも真っ二つにして、それを切り落とす。

 

 音なぞしない、彼は暗殺者なのだから、瓦礫の音も静かに落ちた。

 

 周りの少女、装者達は動きたくても動けない。

 

 怖い、死ぬ。その二つが頭から離れない。

 

 モニターからも息を殺すオペレーター達がいる。モニター越しでも殺される。そう本能が確信するからだ。

 

「………避けたか」

 

「あっ………ぐっ………これで避けたじゃない………」

 

 手から肩までの皮が剥がれ、血が流れる。ギアも粉々に砕け、剣も持てない。バルムンクも砕かれた。

 

「なんでだ、なんでグランド・サーヴァントが顕現してるうえ、これは、本物!?」

 

「そう思いたいやも知れぬが違う、我はいまはただのアサシン。異世界であろうと、我がそうそう顕現することはできぬ故に」

「………十全じゃないのに、これか」

 

 そう言いながら、アスカを影で覆うほど側に来た。

 

 足跡も何も聞こえない、本気ではない。彼の本気は知っている、物語の中であり、現実で知ってはいないが、それを越える実力がある。それが分かるからこそ、死ぬとしか思えない。

 

「ここなら外さぬ」

「………」

 

 燦然と輝く銀が手元にあるが、それを強く握り、僅かな生のため、振るう気だ。

 

 その様子を見て、彼はますます惜しいと思いつつ、依頼を全うするため、剣を握る。

 

「これで終わりにしたいものだな………首を出せ龍崎アスカ」

 

 その瞬間、大地が削れる。大きく、それはもう、クレーターのように削れて消える。

 

 それには、少しばかり手を抜きすぎたと、己を恥じる暗殺者。

 

「いまの剣撃は、攻撃するためではなく、生きるために飛ぶためか」

 

 剣の一撃で放射された勢いのまま飛び、剣閃を避け、頭上にいる。魔力放出により、剣を噴射口にして飛ぶ。暗殺者は静かに動くだけだった。

 

 彼は動かない腕はそのままにして、静かに銀の剣を掲げる。

 

燦然と輝く王剣(クラレント)ッ!!!」

 

 銀の一撃が放たれるが、片腕を静かに上げて、防いだ。

 

「………へ………」

 

 弾かれた衝撃で地面に落ち、バウンドするが相手は見ている。それは手をひらひらさせ、対して効いていない。

 

 あり得ない絶望が、目の前にいる。

 

「さすがに侮っていた、か………本気でやらねば非礼であろう」

 

 その瞬間、蒼黒い闇が吹き出て、歩みと共に近づく。

 

 全身から汗が流れ出す。目を離せない。敵は他にいる考えすら消え、目の前の死しか見えない。だがどうすることもできないと、思考が停止する。

 

 もうダメかと思ったとき、

 

「貫けぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」

 

 その光景に、驚いた。

 

 拳を引き締め、死に拳を向けた装者。立花響が、

 

「ダメだやめっ」

「ほう」

 

 それもまた、片手で止めた。少しもびくともせず、だが彼女のためか、少しだけ勢いを外へと流した。そのままなら彼女の腕の方が折れていた。

 

「あ、貴方は何者ですか!? なんでアスカを殺そうとするんですか!!?」

 

 その目はプレッシャーを覆して、目の前の暗殺者を真っ正面から見た。その目の光に微かに感心する。

 

「なかなか勇気ある小娘よ、我に対して拳を握るとはな」

「止せ響ッ、関わるなッ!!」

 

 拳を離さず、アサシンはこちらを見る。しばし沈黙が訪れる中、

 

「………野暮用な」

 

 その言葉と共に、巨大なノイズが現れた。

 

 それに全員が驚き、金縛りから解けたように世界が動く。

 

「これはドクターが………いまのうちに逃げるわよ」

「デデス!? 聖遺物は」

「あれの前で動ける?」

「………」

 

 息をのむ二人に、マリア達は引く中、翼とクリスは武器をやっと構えられた。

 

「全く、無粋極まりない。だがこれ以上、この物語に関わるのも、違反か」

「物語?」

 

 響の拳を離す中、静かに剣を引きずりながら、他のノイズは睨んだり、近づかれただけで消し飛んだ。

 

「龍崎アスカ、あまり多様したくは無い。が、一応は汝の不憫さ、理解はしている。必ず、首を出せと言ってから殺そう。グランド・アサシンであり、山の翁としてな。正直、我の流儀に反していること故。せめて辞世の句を考える時間はくれてやる。無論、抗う時間もな」

 

 そう言って闇の中にとけ込む。

 

 グランド・アサシンである彼から、命を狙われた。

 

「やべ、普通の人なら発狂してそう」

 

 そう思う中、ノイズが迫る。

 

「うおっ」

「アスカっ」

 

 翼が斬り、クリスが撃つ。気のせいか、ギアが重い。

 

『ぎ、ギアの適合率が下がってます。これは』

 

「毒か? なら魔本で吸い取れるはず」

 

 そう言って、動く手で魔本を取りだし、ページが舞い、全員に張り付くと、何枚か黒く成り、消し炭になる。

 

 どうやら、空気中でギアに害あるものがあるらしい。

 

「これは、どうするか………三人でいけるか? オレは本でサポートするしかできない………」

 

 腕はけして動かず、骨まで見えてもおかしくない。ギアのおかげでそれは防げたようだ。

 

「分かった、なるべく焦らず、急ぐっ」

 

 響を下に、三人の絶唱を纏める。

 

 そのサポートの中、誰かの視線を、と見られてる見られてる。

 

 

 

「意外と勘がいいな」

「見物か」

 

 グランド・アサシンがそう言って、私の後ろから剣を肩に置く。やめてくれ、それで肩たたきなんて酷すぎる。

 

「私がこういう性格なのは知っているだろ? たまには実況ってものもしてみたいしね」

「………」

 

 おっと、そんな話をしていると、そして三人の絶唱の光が天へと上り始め、新たな物語の幕が上がる。

 

「私としては、彼は歯車の一つだと思うんだけど」

「それについては同感だ、だが、あれがそう下した以上、サーヴァントたる我らはそれに従うのみ」

「真面目だね、キャスターとアサシン、私達しかいないじゃないか」

「………その代わりに、我が動きやすいがな………また境界へ戻ろう」

「彼を本気で殺すのかい?」

 

 それに、

 

「我が洗礼をはね除けられんのならな」

 

 そう言って、消える。

 

「………そう、か………そうかそうか。確かにそれくらいしなきゃ、自由なんて与えられないのか。君が出てきた理由は少し分かったよ」

 

 満足そうに微笑んだ後、花だけがその場に残った………

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

「………」

 

 腕の傷は特性の機械で覆い、何日かすれば癒える。だが、精神がまずい。

 

 精神薬を飲みながら、静かに呼吸する。汗が流れ、視界が定まらない。何人かのモニターを見た者達は、気を失った人もいる。

 

 それに、命を、狙われた。

 

 心音が爆発しているのが分かる、あれ、オレなに言ってる? 分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からないワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイわかかかかかかか

 

「アスカ!!」

 

 その時、何かがオレを包んだ。

 

 奏さんが、静かに抱きしめていた。ダメだ、いまはそれにすがりたい。

 

 呼吸が定まず、荒い。女性の胸の中とか考えていられない。

 

 オレは、あの、アサシンに命を狙われている。

 

「大丈夫、悪い………悪い………ほんと、悪い………」

 

 なぜか奏さんが謝りながら、緊張の糸が切れて、意識が飛ぶ。

 

 

 

 ――風鳴弦十郎

 

「ふぅ………はぁぁぁぁぁ………」

 

 呼吸を整え、やっと本調子かと、歯を食いしばる。

 

 あれほどの殺気、いや死を自然と放つ存在。初めて見た。

 

 何人か動けず、俺ですら指示を飛ばせられなかった。その所為でアスカは傷を負い、装者達の心にも傷を負った。

 

 アスカが殺されそうだったのに、何もしなかったという事実。いま翼達はシャワー室で汗を流している。正直俺もこの冷や汗を流したい。

 

「………ギアの適合率の低下に加え、マリア・カデンツァヴナ・イヴ、フィーネなる組織の探索並び、本当の目的を知ること。それとアスカを狙う、骸骨の剣士」

「………何者ですか? アスカくんは、グランド・アサシンと言ってましたし、印象的に、知っていたようでした」

「………ともかく一日置く、本人も喋るだろう。問題は装者達や俺達だ」

 

 仲間を見捨てかけた。これはいまだに飲み込めない。アスカはなにぶん、多くの者達と仲が良い。モニター越しとは言え、ただ見ているだけ過ぎた。

 

 奏が良い例だ、彼奴が一番響いている。

 

 そして眠れぬ夜が来る。俺は静かに、構えるしかないのか………

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 恥ずかしい、奏さんに抱きついたまま寝てしまった。何歳だオレ。精神入れたらそこそこのオッサンだぞ、奏さん19くらいだぞ。

 

 司令室では多くの人達がいる中、オレは、

 

「オレは生前、前世の記憶を持って生まれた」

 

 とりあえず、女の子かばって死んだこと以外、普通に話す。あれはただの事故だしね。気にしていない。

 

「んで、ゲームの中にいる、アストルフォと同じ容姿で、今に至る」

「そんなことが………」

 

 翼さん達は驚く中で、響、頼んで未来も呼んだ。もう隠し事したくないからだ。

 

 未来は事件のことを話だけで聞くが、多くの人達の顔を見た所為か、青ざめて待っていた。

 

「………そのゲームは、英雄を、サーヴァントって言う使い魔として、使役して戦う魔術儀式に巻き込まれた青年から、色々な物語がある。全部の共通点は、聖杯、英霊と言う名の、歴史に名を刻んだ人達だ」

 

 何故その話を今と言うものは、いまはいない。顔色を見て、関係ある話と全員が分かるからだ。

 

「始めに言っておく、オレが使う、アームドギアやこの容姿が、その英雄が使う必殺技、宝具と言う、その英雄が英雄である証の武器なんだ」

「!?」

 

 司令を除く誰もが驚く中、アストルフォはゲームの中で実在していると言いながら、それに加えて、あの話、夢などにアストルフォが現れる話もした。

 

 あれが現実なのか、ただの妄想なのか分からない。だけどいまは現実として捉えて話す。

 

 そのアストルフォが関わった物語で、関わった英霊が持つ、武器を、自分が持っていると伝えながら、次の話をする。

 

「本題だ、あれの正体だ」

 

 山の翁、ハサン・サッバーハ。暗殺教団の教主。

 

 歴代の中で長い間、多くの暗殺者が引き継ぐ名であり、それと共に、多くのハサンが存在する。

 

 だが彼はそれとは全く違う。

 

 彼はハサンを暗殺するハサン。自分達の信じる道を踏み外したハサンを殺すために、完全に表からも裏からも姿を消した、存在すら不明の暗殺者。

 

 まさに伝説と化した暗殺者を断罪する、最初で最後の、ハサン。

 

 その偉業は轟かず、されど偉業はある。

 

 そして死後、英雄達は世界の外側、英霊の座に登録される際、彼はアサシンと言う、座に登録されたが、その偉業故に、他のアサシンよりも位の高い座。グランド、冠位の座に登録された。

 

 グランド・アサシン。彼を見た者はいない、なぜならば、見た者は死んでいる。だからこそ、その座についた、偉業のアサシン。

 

「確かに言った、アサシンとして位は下げてあれなんだ。あれは死そのものの体現なんだ、逃げることは許されない」

「………」

 

 しばらくの間が訪れた。

 

 

 

 ――雪音クリス

 

「なに言ってるんだお前………」

 

 そう言うしかないじゃないか。

 

「お前の話は信じるよっ、てか、お前って色々知りすぎてるからな、むしろ納得だっ。だけど、それなら、お前は」

「死ぬな今度こそ」

 

 力無く笑う。それに他の奴も叫ぶ。

 

「諦める気かアスカ!! このままでいいはずはないッ」

「そうだよアスカっ、いざとなれば」

「手を出すなっ」

 

 すぐに声を遮る。手を出すなって、

 

「一人で戦う気か!? その腕はどうしたんだよ!?!」

「あの時は動けなかったっ、だが次は私も駆けつける!!」

「ダメだ、翼さん、クリス、響はもうアサシンに向かわないでくれ!! オレはそう言うために全部説明したんだ」

 

 なに言ってるんだと叫びながら、あたしらは叫び続ける。

 

「それはあたし達が返り討ちに遭うからか!?」

「大丈夫、へいきへっちゃらだよっ。アスカを助けない方が」

「ダメだ、許可できない」

 

 

 

 ――風鳴翼

 

 ………いま、叔父様、司令がなにか言った。

 

 許可できない? 全員が振り返り、司令を見る。

 

「………正気か旦那、それはアスカにだけ全部任せる気か!? それは」

「だからと言って、死にに行くようなものだ。アスカも戦うな、全力で逃げろ。それしか、現段階で我々があれに対して対抗する唯一の手段だ」

 

 それに、黙り込むしか、できない。

 

 この身は剣として鍛え、防人としていたつもりだった。だが違う。

 

「いま仲間のために前に出ず、何が防人ですか!? 司令、お願いします」

「ダメだ、いまのままで、我々があれに勝てる手段は無い」

「なら鍛えますっ、その時までっ」

 

 立花はそう言い、雪音もみな、震えながらも拳を握りしめる。

 

「司令、オペレーターとして、今度は中断しませんッ」

「我々も覚悟を決めましたッ」

「旦那ッ」

 

 こうして、最終的に組織フィーネを追うと共に、我々の強化合宿は始まりながら、その日を覚悟する。

 

 もう逃げない、止まらない。この身は剣として、アスカを守る。守られ続けた借り、返させてもらうぞアスカ。

 

 

 

 ――小日向未来

 

 こうして、情報部の人達が動く中、響達は少しでも強くなるために特訓してます。私は響のためにレポートを取りながら、みんなの特訓に手を貸します。

 

 けど、ご飯の準備とかはアスカに奪われます。なんでできるのアスカ………

 

「けど、アスカはその、前世があるんだよね? 前は女性」

「男だよっ、もうお願いだから考えてくれっ。中身はオッサンだ、頼むから女性服着せるの止めてくれよね」

 

 そう言われるけど、もうだいぶ手遅れだと思う。

 

 話を聞く限り、だいぶ落ち着いてるから気にしなくても良いと思うし、可愛いし、問題ないと思う。可愛いし。

 

「可愛いから問題ないよっ、それと、今度からお年玉とかくださいねっ♪」

「おい響ぃぃぃぃぃぃ」

「諦めろ、前世は前世で、いまはいまだ。お年玉はダメだがな」

「別に良いだろ、もう女装はよ。もういっそ、下着も女性物にしちまえ」

「………実は用意が」

「奏サン!?」

 

 実はねアスカ、ここにいるみんな、たぶん司令官さん以外、みんな持ってるよ。アスカの女装姿の写真。

 

「アストルフォの所為だっ、なんでローランが錯乱したからって女装した!? 百歩譲っても喚ばれた際、なんで可愛い物好きだからってやめなかった!!?」

「アストルフォさんもいれば双子ファッション………」

「響!!?」

 

 あっ、やってみたいなそれ。

 

 そんなことを思いながら、時間が過ぎていきました。




愛されているアスカ、じぃじと一緒にいる人は、口調これでいいのか不安だ。

じぃじに命狙われてたら、精神安定剤なんていくらあっても足りないね。

それではお読みいただきありがとうございます。

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