少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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10話・きせき

 新たなシンフォギアは、まあなんかより女の子っぽくなったよ。内心キレ気味に、だが、二振りの剣を構えながら、殿を勝手にする。

 

「行くぜっ、了子さん!!」

「ふざけるなっ!!」

 

 無数のノイズが町に放たれる、それを見たが、すぐに鎖が迫る。銀の剣がなぎ払い、了子さんを見る。

 

「アスカッ、町は任せてッ」

 

「応ッ」

 

 剣を振るう中、完全聖遺物を纏い、振るう了子さんは顔を歪めながら叫ぶ。

 

「逃がすものか龍崎アスカ!! 貴様がいればいくらでもやり直しは効くっ。例え死体でもな!!!」

「もう一回、死ぬ気は無いですよ。あれ、死ぬって痛いっての、思い出しましたから」

 

 雷鳴を纏う二本の剣、それを振るいながら迫るノイズを討ち滅ぼし、ほぼ瞬間に近いほどの速度で斬りかかる。

 

「!? なんだその剣はっ」

 

 何よりも銀色に輝く剣は、その輝きだけでノイズを焼き払う。

 

 悪竜を滅ぼした魔剣は、その魔力が呼吸するように放たれ、ノイズを吹き飛ばす。

 

 混乱する中、二本の剣がネフシュタンの鎧を切り裂くが、

 

「この程度」

 

「自己修復だろ!!?」

 

 砕けた鎧を見るが、それでも速度が追いつかない。剣の速さが再生を越え、攻撃もありとあらゆる角度から迫るが、まるで見えているように避けられる。

 

 所々で残像を残す、それに顔を歪め、歯ぎしりをする。

 

(こいつを殺せたのは、こいつが剣の装者が無かったからだッ。それがいま剣の使い手として前にいる!? それだけでこいつ、化け物か!!?)

 

 ノイズの弾幕も全て紙一重で避け、幾度もなく鎖を放つが、それすらはじき、ノイズを背後から迫らせたが、ヒポグリフが薙ぎ払う。

 

 雷鳴を纏う幻獣、飛翔するヒポグリフにも新たな武器が備えられていた。両肩に槍と盾のような砲台が備えられている。弾幕を張りながら、援護していた。

 

「バルムンクに雷を纏う力は無い!? ヒポグリフに備わっている武装もだッ。それはもうアストルフォの逸話からかけ離れているッ。今度はなんの聖遺物を引き出た龍崎アスカ!!?」

 

「聖遺物じゃない………これは『宝具』ッ」

 

「宝具!?」

 

 雷が魔剣の鼓動と銀の輝きを纏う中、ほぼ飛翔するかのように戦場を滑り、舞うように鋭い斬撃と、重々しい斬撃が交互に放たれる。

 

「英霊がくれた、彼らがくれた、世界を変える力だっ」

 

「あり得ないっ、この力は一体っ、お前は何者だ!?」

 

 目が竜のような瞳になる。悪竜ではない、これはセイバーである彼の力、半竜と言うべきか、成りぞこ無いと言うべきか。

 

 そんな感覚の中、静かに見切り、叩ききる。

 

「くっ」

 

 あの時負けたのは、剣がダメだっただけではない。逃げるために振るっていたからだ。

 

 だが、いまは二人のセイバーから渡された剣がある以上、負けられない。

 

 二つの剣が、ネフシュタンの鎧を砕く。了子さんは顔を歪める。

 

「まだだ、デュランダルっ」

 

 その声でデュランダルが了子さんの下に呼ばれると共に、ソロモンの杖を自分に突き刺す。

 

「なっ、なにをする気だ!?」

 

 その時、無数のノイズが、彼女の下に集まる。

 

「ノイズに取り込まれて………」

「違う、ノイズが取り込まれてる!?」

 

 叫びと共に、町の方に出向いていたみんなも近くにいたので下がり、構える。

 

 取り込まれたノイズの力で、竜のような赤いものへと変貌した了子さん。その一撃が放たれるが、ヒポグリフで空へと転倒、方角を変えたが、爆発が凄まじい。

 

「了子さん………」

「来るぞっ」

 

 無数の鞭のような攻撃の中、翼さんとクリスが攻撃を放つが、びくともしない。

 

「無駄だ、所詮は欠片、完全聖遺物に勝てるものか!!」

 

 その言葉に、翼さんとクリス、二人は何かに気づくが、

 

「!」

 

 片手で持つ魔剣が騒ぐ。

 

「そうか、あれは竜か………なら、行くぞッ」

 

 静かに、二つの剣を構え、地上すれすれをヒポグリフと共に飛ぶ。

 

「っ!! 来るか」

 

 無数の鞭が放たれるが、ヒポグリフを信じ飛翔し、静かに剣を構える。

 

 彼の魔剣、悪竜ファブニールを討ち倒した、伝説の魔剣。

 

「真名解放」

 

 それは邪竜葬り、世界に今、落陽に至る。

 

幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)ッ!!」

 

 いまの彼女の力に竜が加わっている、伝説に語られる悪竜を撃ち取りし魔剣が放たれるが、それはデュランダルと言う高エネルギーと自己再生能力が留める。

 

「だがそのてい」

 

「白銀の王命に従い、審判を下す………真名解放」

 

「!?」

 

 だが太陽よりも輝く銀の閃光が重なる。

 

燦然と輝く王剣(クラレント)ッ!!!」

 

 バルムンクを叩くクラレント、その二撃がネフシュタンの鎧を越え、爆音を轟かす。

 

 それと共に、デュランダルが吹き飛ぶ。

 

「しまっ、くそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ」

 

 取り戻すために動くが、それを翼さんとクリスが止めた。

 

「そいつが切り札だ、正気を取り逃すなッ、つかみ取れ!!」

 

「ちぇっせいっ」

 

「はいっ」

 

 響がそれを掴み取ると共に、辺りの空間に力が満ちる。

 

 全身から黒い闇が響を包むが、それを防ぐため、了子さんは攻撃を放つが、

 

「させないっ」

 

 ヒポグリフが空高く飛び、槍で全て曲げて、攻撃の一部を貫く。

 

「邪魔をするなっ」

 

 響のもとに、響の仲間達が集う。

 

 そんな中、

 

「!?」

 

 ヒポグリフの背に、誰もいない。

 

 

 

 ――立花響

 

「響っ」

 

 闇に飲まれかけている時、アスカが側に来て、一緒にデュランダルを握る。

 

「悪いがこれは聖剣だっ」

 

 闇に飲まれながらも、それでも、

 

「オレはもう、闇に飲まれないッ」

 

 そう私と共に、

 

「一緒に、了子さんを連れ戻すぞ」

 

 その言葉に、

 

「響ぃぃぃぃぃぃぃぃアスカぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 一緒にいる人達と共に、

 

「この衝動に、飲まれてなるものかっ」

 

 光り輝く聖剣を握りしめる。みんなと一緒に、

 

「その力、一体何を束ねた!!?」

 

「響き合うみんなの歌声がくれた、シンフォギアですッ」

 

「真名解放ッ」

 

 聖剣デュランダルが振り下ろされると共に、ネフシュタンの鎧が共に消える。

 

 その様子を見ながら、全ての力が消えたように、アスカだけ意識が途絶えた。

 

 

 

 ――???

 

「かくして、英霊を束ねる者と、歌を束ねる者達が物語を終わらせるか………」

 

 そう言いながら、それは静かにその光景を見る。三人の少女達が、欠けた月の落下を止めに、羽ばたいていく。

 

「欠けた月の落下か、だが彼女らなら、いや、彼らなら問題ない」

 

 そう言いながら、静かにその場から姿を消すために歩き出す。誰にも姿を見せず、彼は静かに、一人、宝具を使う、存在を見る。

 

「何者かがこの事態を引き起こしたか、まだ知り得ない事柄ではあるが、さすがにここまで力を引き出せば、聖杯や座が黙ってはいられないだろう。だが自分には関係ない、この物語は彼の者達が紡ぐ物語、か………」

 

 そう言いながら、何かが飛翔するのを確認する。それは装者を追う、一人の戦士と幻獣の飛翔である。

 

「………宝具、英霊、聖杯の物語。そして装者、聖遺物、血の歌姫の物語。交差しだした運命か………理想通りであることを祈ろう………」

 

 そして静かに、その場から立ち去った。

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 出遅れた、少し気絶していたら、了子さんが自分は破壊しか選べないとしか言って、月の欠片落下を始め、響達はオレを置いて月の落下止めに出向く。

 

「ふざけるなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 加速するヒポグリフ。悪いが、こっちは、

 

「こっちはすでに、月往復してるんだよっ。ヒポグリフッ」

 

 駆け走る幻獣の咆哮と共に、三人を見つけ、そして、

 

「オレは、守るって約束したんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 三人の歌姫の下へ、駆けつけた。

 

 

 

 ――立花響

 

 月の落下を止めるため、私達は空へと飛んだ。

 

 だけど、了子さんは何が言いたかったのかな?

 

『早くしないと、奪われるわよ………』

 

 その意味だけが残ったままだった。

 

 そして目を開けたとき、

 

「………ん、目が覚めたか」

「あす………か………」

 

 そこにいたのは、あれ?

 

「少し休んでて、もうすぐ地上だ」

「………うん………」

 

 いつもよりかっこいい、アスカだった………

 

 こうして私達は無事、地上へ帰ることができた………


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