少年/戦姫絶唱フェイト・シンフォギア   作:にゃはっふー

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三期までストーリーができたので、始めます。

気合い入れて行くぜッ。


1話・その始まり

 それは夕暮れの中だった。

 

 私は倒れ、奏さんは血を流している。

 

 周りにはノイズが蠢く。私はここで死ぬのかな?

 

 そう思っていた。あの人、奏さんが歌を歌うその瞬間まで………

 

「!? ダメだっ」

 

 それは見たこともない鳥の頭を持つ、獅子のような、メカメカしい生き物?のようなものに乗った、一人の少女。

 

「そのままじゃ死んじゃうっ。くっそ、頼む!! 諦めない、まだ諦めない!!」

 

 その少女の胸の宝石から、一冊の本が現れる。それに、驚きながらも、これかッ!?と叫び、それを広げ、光が放たれ、ページが奏さんを包み込む。

 

「君は」

「まだ助ける人達はいるんだっ、まだまだ戦う。まだ助ける、まだ救える。まだ諦めない!! まだ生きてるんだっ、諦めてたまるか!!」

 

 その少女の声が響くと共に、生き物も吼えて、空高く飛ぶ。

 

 それが最後であり、私が遭遇した事件。聖少女事件の一端である。

 

 

 

「あれから二年か………」

「響、どうしたの?」

「ううん、なんでもないよ未来♪」

 

 私の名前は立花響、彼女は幼なじみの小日向未来。大切な友人で、私にとって日向のように暖かい友人。同じ私立リディアン学院に通う、ピアノの音楽家を目指している。

 

 そして、待ち合わせの場所で、静かにスマホをいじる幼なじみがいた。

 

「ん? やっと来た、二人とも」

 

 そう言って、ピンクの髪、短髪で、男物を好んで着る幼なじみが近づく。近くの学園で一人暮らしで通う、幼なじみの一人だ。

 

 いまも男性服、ボーイッシュな服装だが、可愛らしい女の子。大切な友人だ。

 

「それで、今日はどうする?」

「ん~私は少し、音楽関係かな? 新作のアーティストさんが最近話題だし、響は?」

「あっ、下着買おうかな? 少しサイズがきつくって」

 

 その時、ボーイッシュな幼なじみがこけそうになる。危ないな。

 

「ちょ、アスカ、どうしたの?」

「どうしたじゃないよ響っ、オレを連れてランジェリーショップ行く気か!?」

「問題ないよ~」

「あるだろぉぉぉぉぉぉ」

 

 そしていつもいつも、同じ事を叫ぶ、幼なじみ、

 

「オレは、男だあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 龍崎アスカ、可愛らしい、私とそう背丈の変わらない、男性と言い張る可愛い女の子だ。確かに生物学的には性別は男性だけど、女の子だ。

 

 これは私、立花響を始めとした人達と、彼女、龍崎アスカの、物語………

 

「響、いい顔してもアスカの性別は変わらないからね」

「えっダメ」

「ダメだよっ」

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 龍崎アスカ、とある共学の学園に通う、普通の男子生徒である。

 

 だが実際は違う。

 

 俺は簡単に言えば、転生者である。

 

「響はなんでオレを男としてみないんだよ。園児の時に知ってるだろ」

「認めないよ私っ」

「いい顔でもう………」

 

 ………話が逸れた、オレは転生者。つまり、死んで、生まれたら、前世の記憶持ちと言う、とんでもねぇ設定があるんだ。

 

 赤ん坊の頃は黒歴史だ、母親もいまも若くてね、当時から記憶あるって知られたらなに言われるか分からない。ってか、終わる。あの母にバレれば終わる。

 

 オレは時折ウインドに映る自分を見る。これが自分? 違うと思いたいが違わない。

 

 オレの前の世界、前世では、とあるゲームシリーズ、英雄のゲームがある。

 

 その名は簡単に言えば『Fate/シリーズ』と言う。

 

 このシリーズは色々な言い回しがあるが、悪いが自分はそこまで深くない。ただ、この作品で出てくるキャラクターは好きな者がいる。ほとんどの人間そうだろう。

 

 ただ住みたい世界と言われれば大多数ノーと言えるほど、人の命が紙より軽く消し飛ぶ世界。それがFate/だ。

 

 その中で、スマホゲームや、外伝とも言えるスピンオフで活躍した英雄がいる。

 

 その名はアストルフォ。現在のオレの姿、声の元だろう。彼は三つ編みしてたが、オレはぶった切ってるよ。オレ男だからね。

 

 彼も男だが、なんか失恋した仲間のために女装したらしい逸話から、女の子の姿であり、本人も可愛い物好きだからと言う理由から続けている。ちなみに理性が蒸発しているため、そう言う辺りは自分と違うのだろう。

 

 神様転生だったら、オレは容姿に関してお任せを選ぼう。だがこれは無いだろ。確かに好きなキャラだ、だが成りたい訳じゃない。

 

 そして周りからは女の子としか見られないのは、悲しいんだ。

 

 男からナンパや、変な目で見られたりするし、女子からもだ。オレの理性は蒸発では無く崩壊しそうだ。

 

 だけど耐えてやる。なんで前世の記憶持ちで生きてるか知らないが、オレは二度目の人生をまっとうに生きる。

 

(前の世界も普通に生きてたし、できることはしよう。せめて姿は似てるんだ、彼のいいところくらいは引き継ぐ気で生きてやる)

 

 そんなことを思う中、

 

「んでさあ、アスカはどれ着る?」

「アスカなら、白のワンピースより、こっちの………」

「着ないからな二人とも」

 

 ちなみにこの世界はノイズと言う、オレの世界にはいない物騒なもんがいるし、それに対処する力がある。

 そう考えると、

 

「ん? 悪い、少しバイト先から呼び出し」

「え~まだ着せてないよ」

「頼むから店内とかで暴走しないでくれ」

「響、アスカが可哀想だから」

「あっ、うん。わかったよ………」

 

 渋々戻す響を見ながら、悪いと言って、バイト先に出向く。

 二人に秘密にするのは、少し心苦しいな。

 

 

 

 ――立花響

 

「少し悪いことしたかな? アスカが嫌がらないからって、いつも悪いね」

「そう思うなら、アスカのこと男性として見たらどうなの?」

 

 私達が話し合うが、頭の中でアスカを思い出す。

 

 ………何故か、リディアンの制服を着ているアスカが目に浮かぶ。

 私は額に手を当てる。

 

「ごめん、少し重傷だわ私………」

 

「………私も………」

 

 小さい頃、幼稚園児からの幼なじみ、お風呂もその時入っているから、分かってるんだけど………

 

「そう言えば響、リディアン音楽院で、最近噂になってる話知ってる?」

「あああの?」

 

 最近、ピンク色の髪をした、女子生徒が姿をたびたび見せると言う、謎の噂。

 曰く、かなり可愛いらしい。

 同姓の中で見た人も、恋しそうになるくらいに可愛いらしい。

 

「だけど、ピンク色の髪って珍しいから、分かるよね?」

「うん、アスカとおばさんもピンクだけど、あれならね………」

 

 そう言いながら、最近バイトが忙しい幼なじみの顔を思い出す。

 

 

 

 ――???

 

 私立リディアン音楽院、その地下施設。

 

 ここは日本政府のとある特別な組織、特異災厄対策機動部の本拠地である。

 

「お、来たかアスカ」

「ごめんなさい、後れた」

「いや、君の場合構わない。着替えるのにもな………」

 

 風鳴弦十郎、この組織を纏める司令官。何故かYシャツネクタイで、いつもこの姿に心痛めてくれている人だ。

 

「龍崎アスカ、二課に着任しました。連絡では、ノイズ反応が僅かにあったそうですね」

「ああ、だから念のため、装者は待機だアスカ」

 

 そう言いながら、アスカの姿をよく見ている女性。19歳で、主にアスカのサポートとして活躍する、元装者。天羽奏。

 

「奏、見るのはやめてやれ。龍崎は着たくて着ている訳じゃないんだ」

 

 そう言ったのは、天羽々斬の装者、風鳴翼。国民アイドルでありながら、装者として二課に所属する先輩。

 

 アスカのことを鋭い目で見るが、悪気が無いのは分かっているので黙り込む。

 

「ところで、アスカちゃんは下どうしてるの? 結構短いのだけど」

「ひゃうっ!?」

 

 スカートの中に手を入れられ、スカートを抑えるアスカ。彼はいま、リディアン音楽院の女生徒の服、これなら見られてもおかしくないとなり、着る羽目になっていた。

 

 その悲鳴に、唇を舐め、獲物を狙う目になるのは、とある専門学者、櫻井了子。本人曰くできる女。

 

「本当に女の子かどうか、やっぱり調べないといけないわね………」

「なんでだよ!? オレがここに来たとき、さんざん見たじゃないか!?」

 

 涙目で緒川さんの後ろに隠れるが、同じ目つきなのは奏もであり、二人の様子にため息をつく翼。

 司令官である弦十郎も、少し目頭を押さえる。

 

「ま、この調子で今日終わってくれればいいがな」

「それはそうですけど………」

「その時、アスカのファッションショーやろうか」

「なんでだよ!?」

 

 そう言いながら、ソファに座るアスカ。オペレーターの友里あおいさんが苦笑しながら飲み物を渡してくれたりする。

 藤崇もモニタリングしながらその様子を見て、

 

「正直、アスカくんここに来て、女性仕草が自然に出来るようになりましたよね」

 

 ソファに座る際など、短いスカートでの対処は、嫌でも身に付く。軽い肌のケア(周りがうるさい)もできる。

 飲み物の受け取りも、男子と言うより、女子だ。

 

「………殴るよ」

「藤尭さん、セクハラです」

 

 そんな事を話しながら、本当に何もないことを祈る。

 

「そう言えば、今日翼さんの新曲発売日だな………」

 

 

 

 ――龍崎アスカ

 

 その時は唐突だった。アラームが鳴り響き、バカなことをしていた面々も真面目になる。

 

「状況は」

「ノイズ多数反応あり、現在避難警報発令。装者の方はすぐに出れます。陸路をお願いします」

「アスカ、翼両名はただちに各自の移動、ただちに現場へ急げっ」

「「了解っ」」

 

 車の中に急いで乗り込む、翼さんが隣にいるが、いまはいい。ペンダントと、周りの地形の把握を、奏さんが始める。

 パソコンを操作しながら、ああくそと呟く。

 

「ヒポグリフは狭いから使いそうにない、翼、お前が前で。アスカは翼の援護」

「大群なら槍でバランスを崩します、翼さんは」

「任せろ」

 

 車が急いで走る中、インカムから藤崇さんの悲鳴が聞こえる。

 

「? おいどうした!?」

 

『聖遺物っ、フォニックゲインの反応………これは、ガングニール!?』

 

「は、はあ!?」

「!」

「ガングニールって、確か、オレが奏さんの素質と共に」

 

 そう、オレが持つ力の一つ。その力で、彼女の力その物である、素質を代償に、彼女の一命を取り留めた。

 

 その所為で、彼女は少なくとも、前のように戦える事が出来なくなった。それ自体、ガングニールと言う聖遺物が無いのだから当たり前だ。

 

 それが、

 

「これって」

「ともかく現場へ急ぐぞ」

 

『お願いしますっ、いまモニターでノイズ他、数名の避難民もいます』

 

「一番の急がなきゃいけない情報じゃないかっ」

「ちっ、ここからヒポグリフは!? こいつだけでも行かせるっ」

 

『少し………問題ないですっ、ヒポグリフ使用可能!!』

 

「よし、行けアスカっ」

「ああっ」

 

 窓を開け、走行する車から身を乗り出し、スカートを気にせず、車の上に移動する。

 

「って、短パンか!?」

「どこを見てるんだよぉぉぉぉぉぉっ」

 

 短めの短パンだよ、悪いか!?

 

 ともかく、静かにペンダントを掴み、そして、

 

「~~~~~♪」

 

 歌を歌う、それは聖詠。

 

 その瞬間、光が自分を包み込み、身体に機械を纏い、そして相棒と共に飛翔する。

 

 

 

 ――立花響

 

 訳が分からない、突然身体が光ったと思ったら、姿が変わっている。

 ノイズに触れても平気で、戦えると思ったけど、重くなって、動けない。

 

「!?」

 

 そんな私に、ノイズが向かってくる。

 だけど、

 

「させないっ」

 

 一本の槍、それが地面に刺さると共に、周りにいるノイズは消し飛び、何体か転倒した。その槍に立つ後ろ姿に、私の胸が鼓動する。

 

 あの人は………

 

「あのと………って」

 

 よく見る、見た、その時、翼さんも空から現れた。

 

「アスカ!?」

「いまは何も聞くなっ、こっちも聞きたいことが山盛りだっ」

「行くぞアスカっ、貴方はその子を守りなさい!!」

 

 後ろに乗せていた翼さんもシンフォギアを纏い、オレ達は戦場を駆ける。

 

 

 

『~~~♪』

 

 

 

 ――立花響

 

 アスカがあの少女のような格好、ってかアスカだ。アスカだった。

 いまはスカートのようなフリフリを腰に巻き付け、左右にリボンのようなメカっぽい物をつけている。

 

 ピンクと深紅色の紅、それと黒が混じった自分に似たような服?を着ている。

 

 いまは両刃の剣を握って、槍と二刀流でノイズを倒していた。

 

『~~~♪』

 

 身体をスケートのように回ると、スカートとマントが刃のようにノイズを切り裂き、滑るように地面を移動する。

 

 槍も、剣も振るいながら、ノイズが凄い数で迫るけど、本を取りだし、それを広げたら、ページの紙が舞って、ノイズを包んで吹き飛ばした。

 

 翼さんも同じように、歌いながらノイズを倒す。

 

「………すごい………」

 

 最後にアスカが槍を地面に刺すと、衝撃波のようなものが広がり、ノイズが体勢を崩すと共に、翼さんがフュニッシュを決めた………

 

 

 

「大丈夫?」

 

 そう言って、私の側の女の子に話しかける。

 

 胸の辺りに、紅い色の宝石を輝かせた、スーツの、可憐な戦士がいた。

 

「うん、このお姉ちゃんが守ってくれたの♪」

「………」

 

 私はその言葉を聞いて、少し驚く。私はそんなに凄いことは、

 

「そうか、凄いね。よくやった響、諦めずにいてくれて」

 

「アスカ………」

 

 そう言い、アスカも微笑む。

 

「うん、ありがと、お姉ちゃん、ピンクのお姉ちゃん♪」

 

 そして固まった。

 さすがに少女の前にいつものように文句もなにも言わず、可憐な少女は、

 

「うん、ありがとね♪」

 

 必死にウインクして、女の子のフリをしていた………




龍崎アスカ、現在アストルフォと見た目変わらないです。

ただアストルフォよりも武の才能があり、すぐにシンフォギアを纏い、ただ身体が動くままに動いて戦えました。その時、自分が歌っていたことにも気づかずに。

足は空気のようなエネルギーで地面などを滑ることが可能、空を飛ぶことはできない。せいぜい少し浮く程度。

ポンチョのようなマント、手を覆うグローブに、所々に色の違う宝石が埋め込まれている。そこから複数のアームドギアが出てくる。

スカートでありふりふり、ポンチョらは伸び縮みして、刃になる。その際、スケートのように回るから、『スピニングダンサー』と名付けられた。

胸のふくらみは無いはずだが、宝石と装甲の所為で、微妙にあるように見える。

スパッツのようなものがスカートの中にあるため、気にせず大立ち回りする。

お読みいただき、ありがとうございます。

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