慟哭の空   作:仙儒

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一時の平和

流石にずーっと帝国ホテルにいるのはまずいと思って思い切って家を建てて見た。

 舞鶴の端の方に。

 金はどうしたってか?

 セイバーが用意した。大元は世界銀行とかその辺じゃない?

 多分こっそりと転移魔法で持って来たんだと思うよ?

 

 え? 犯罪? ねぇ、知ってる? 犯罪ってバレなければ犯罪じゃないんだよ。って誰かから聞いた気がする。

 

 セイバーの事だから足が付くような事は絶対に無いしね。

 

 そう言えばこの世界、貨幣が統一されてんだよね。MPCっていう100円札みたいの。

 

 これ玩具じゃね? とか最初疑ってごめん。

 

 流石にこの時代の日本…扶桑国には俺が前の世界で杏子と住んでた屋敷は作れないと判断したので、記憶に残る衛宮亭をちょいと手を加えて、面積倍にして作った。

 我ながら何故こんな一等地にこんな豪邸建てちまったのか分かんねぇ。

 もっと田舎とかでも良かったやん、そう思うと同時に海軍基地があり、近代化した街によくこれだけの土地が確保できたなと呆れ半分、関心半分な気持ち。

 

「隙あり!」

 

「無い!」

 

 いきなり竹刀で斬りかかって来た北郷章香に竹刀でカウンターを入れる。

 

「ハハハハハ、流石は私の旦那だな!」

 

「お前と結婚した覚えはない」

 

 こいつは家ができた時に、半ば体育館みたいに大きくなった道場があるので道場やってます、的な看板出したら凄まじい勢いで道場に入ってくる入ってくる。

 そこの中の一人で、道場破りで訪ねて来た人物だ。

 

 本当は軍学校で噂になって、生徒が訓練そっちのけでこっちに来てしまい、退去無いし、立ち去りをさせに来たらしいのだが、そこでひと悶着あり、アスランに言ってはいけない一言が発されて、アスランの中に潜む野生を出してしまい、勝負して負ければ、看板を降ろせとのことで、それでも良いかとか思って居たら勝ってしまい、腕を見込まれて海軍兵学校の訓練の一部をこの新ザラ亭にて扱うようになった。

 

 それでいいのか、軍学校ぇ……。

 

 因みに、軍のお偉いさんからもお願いと言う名の圧力をかけられた。まぁ、駄目なら駄目で別に他に移るだけだから屈しなかったけど。

 代わりに交渉に来たお偉いさん、北郷章香の親族らしくってさ、事あるごとに北郷章香との見合い話を持ち出してくる。

 困った物だ。特にこの世界の女性の若い女性は全員水着でスカートなりなんなりをはいていない。目のやり場に困るんだが……。

 

「美緒は……いるな。ちょっと待ってろ」

 

 そういうと、立ち上がり、例の物を取りに行く。

 美緒はウィッチの中でも特殊な魔眼持ちで、その力を持て余していた。それに本人も苦労していた。

 しかも、その苦労や魔眼の使い手が居ないせいで、苦労を分かち合えない。

 これ程辛い事は無いだろうと思い、作っていたのだ。

 

 戻ってくる途中、美緒の事を考える。章香の事を師匠と言い、俺の事を大師匠と呼ぶ、内気で泣き虫な女の子だ。

 

 

 

 魔眼殺しの眼鏡をかけてやる。

 

「どうだ、美緒。これで大丈夫な筈だ」

 

 魔眼殺しの眼鏡のおかげで、散々悩まされて来た魔眼とは取り敢えずのお別れを告げた。そのことが余程嬉しかったのか涙を流し始めた。本当に泣き虫だな。キラに似ているよ、内気で、泣き虫で、それでも真っ直ぐな眼差しとか。

 

 

 

 

 

 

 

 戦いが続いている。

 

 人類も疲弊しきっていた。

 

 そこに頭を悩ませていた連合軍総司令部は各地で大活躍しているアンノウン戦闘機に何とか接触、対話を実現させようと焦っていた。

 何故対話なのかと言うと、ネウロイよりも高位の力を持ちながら人類側に攻撃を一度として行わなかったからだ。少なくともアンノウン戦闘機に攻撃を仕掛けた者は例外とする。

 それでも軍上層部が対話実現を強く推し進めている背景にはアンノウン戦闘機を狙った攻撃を行った人物たちが全員生還していることが大きな理由である。生還者全員の証言によると武器のみを破壊されたとの事だ。

 つまり、ネウロイよりも人類に対して友好的でいるのだ。そして、武器のみを破壊するという高等テクニックを持ち、人類とネウロイに対する態度の違いから少なからず、此方の安否を気遣うだけの知能は持ち合わせている。そう判断したからである。

 

 しかし、肝心な足取りがつかめないでいた。神出鬼没であり、ネウロイがいなければ出て来ない。

 そんな中、扶桑国近海にネウロイと共に頻繁に出現している事がわかった。

 無論、アンノウン戦闘機は出現したネウロイを叩く側だが。この頻度だともしかしたら扶桑国にアンノウン戦闘機が潜伏してる可能性は十分にある。

 

 その考えから今回の扶桑へのウィッチ派遣計画が立案された。

 




アスランは軍の圧力には屈していないが、別に断る理由もなかったので条件付きで了承しました。

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