慟哭の空   作:仙儒

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独立の兆し

 レコードが馬鹿みたいに売れているらしい。

 出す曲、出す曲レコード大賞にノミネートされて、賞を受賞している。こうも売れるとお兄さん少し怖いです。

 いつの間にか映画も上映されているし。

 

 映画見たけど、orzってなった。この時代にしては頑張った方だと分かっているんだけど、どうもこの時代からしたら70年以上前の物と比べるとどうしても、クオリティーの低さを感じてしまう。CGとか無いからね。

 

 取材取材ラジオ取材ラジオ仕事…、なんか歌にできそうだな。

 

 軍の仕事の殆どは、章香に押し付けている形になっているけど、後で腹いせで常備している日本と…、扶桑刀で切られないかね? 怖いわ。

 

 そう言えば取材の中で、やたら海軍を盛り上げる風潮があったから、それとなく陸軍もよろしくしてやってくれと言っといた。俺の部隊、半分は海軍だけど、もう半分は陸軍だったというのもある。

 それに俺、陸軍の開発チームとも面識があって、仲良くさせてもらっている。

 この前のふざけた反抗戦に頭にきて新型ストライカーユニットの定理と設計図をそっと陸軍に手渡した。それぐらい頭に来た作戦だったのだ。

 だから、ある程度陸軍とは仲が良い方かな? と思って居たら大本営に呼び出された。

 あれ? 気が付かないうちにやっちまったかと思って居たら、陸軍のお偉いさんが涙流しながらお礼言ってきた。

 何があったし。

 不思議に思いながらいたら、北郷大将が出てきてなんか話し始めた。

 その話の途中に、部屋を追い出されて、違う部屋に呼ばれて何事だと思ったら、ウラル山脈攻略作戦の功で少将になれとの事だった。

 断ろうと思ったんだけど、少将と言えば多少の無茶でも通るだろう。そう考えて、本来断るところだが、素直に受け取った。っというのも、俺の目的はネウロイの殲滅、或は和解にあった。そのためには扶桑海軍として各地を転々としているよりは、扶桑、連合の優秀なのを集め、どこにも属さない特殊遊撃部隊ないし、独立部隊と言うのを持つべきだと考えたからだ。

 本音を言うとそう言う部隊を持ってみたかったからである。

 

 その思想の元、赤枝ウィッチ…、後の統合戦闘航空団、通称500部隊が設立された。

 

 しかし、各国でネウロイとの戦闘が激化する中、優秀なウィッチを確保することは至難の業であった。

 

 軍が、政治が認めなかったからである。

 

 設立した500統合戦闘航空団はその存在を隠されてしまったのだ。

 

 世界にとどろく大英雄アスラン・ザラ。彼の存在が動けば世界が動く。扶桑国、連合国はそれを恐れたのである。

 

 だが、時の流れは、彼を味方した。各地で有能なウィッチ達の小隊、ないし、中隊がネウロイ相手に頭角を現し始めていたのである。これを好機ととらえた連合軍はこれらを独立特殊部隊と定め、人類の行く末を若きウィッチ達に託したのである。

 

 時を経て幻の部隊があると嗅ぎつけた人物がいた。カールスラント軍所属のアドルフィーネ・ガランド少将である。

それは第四次カールスラント防衛戦の折、アスラン・ザラの口から出た言葉であった。

 

 くしくも、時を同じくして、同じことを考えて居た人物がいた。ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケであった。

 これをアドルフィーネ・ガランド少将は互いに利用。此処に新たに独立部隊が生まれようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 第五次カールスラント防衛戦。

 

 燃え盛る炎の仲、逃げ回っている少女が居た。

 

 その者の近くにはミーナ・ディートリンデ・ヴィルケの姿があった。

 

 この戦いでミーナ・ディートリンデ・ヴィルケは運命的な出会いをする。

 

 紅羽の英雄。アスラン・ザラと。

 

 

「クリスちゃんダメよ! 危ないわ!」

 

 逃げ回る二人の近くの建物にネウロイの攻撃が直撃する。

 

「クリス! ミーナ!」

 

 建物が傾き、その、圧倒的質量が二人を襲う。

 

「クリスちゃん!」

 

 強くクリスを抱きしめ、自身が展開できる最大のシールドを展開した。

 しかし、そのシールドでもあの圧倒的な質量は耐え切れない。

 せめてと、クリスを強く抱きしめる。

 

 

 だが、衝撃は何時までも来ることは無かった。

 恐る恐る上を見上げると紅い輪っかが建物を囲んでいた。

 それがどういった物なのか理解できないミーナは小さく

 

「助かった…、の?」

 

 そう呟いた。

 

「良かった。まだ居たのか」

 

 その声に反応する。

 紅い羽根、騎士のような甲冑。

 ゆっくり降りて来ると泣いているクリスちゃんの頭を優しく撫でて口を開く。

 

「よく頑張ったな、偉いぞ、後は安全な場所まで一直線だから」

 

 そう言うと紅い魔法陣が足元に展開され、膜のような物が展開される。

 

 そこにネウロイの攻撃が直撃するが、びくともしない。

 

 今度こそ助かった。その事から腰が抜けてしまう。

 

「君も」

 

 そう言って撫でられたのは何年ぶりだろうか? 何て場違いな事を思ってしまう。

 戦場に在りながら、これだけの安心感を抱いた事なんて無かった。

 

 そして、歌が響く。戦場に響く勝利の歌。もう大丈夫。カールスラントは大丈夫…。

 

 一方的にかつ、街を壊さないように、一撃で的確に敵コアを撃ち抜いて行く紅い英雄。

 

「流石は、紅羽の英雄だな、ミーナも聞いたことくらいあるんじゃないのか?」

 

「ええ、確か扶桑の鬼神とか言われているわね…、世界初の男軍人にして男ウィッチ…、本当だったのね」

 

 別にミーナとて、疑っていたわけでは無い。だが、噂とは尾ひれがつくものだ。

 ましては男のウィッチ何て。

 そこで、思考が止まる。まて、男だと! 確かに体つきは私達とは違っていた。

 男性には一度あったことがあるが、余りにも印象が違い過ぎた。

 

「どうした、ミーナ、顔が真っ赤だぞ」

 

「もう、トゥルーデ! 貴方だってそうじゃない」

 

「な、私は赤くなんかなってない、あかくなんか…、」

 

「お姉ちゃんも私もあのお兄ちゃんのこと大好きなんだ!」

 

「クリス!」

 

 勝利の歌が流れているからこその余裕。

 そして、居なくなっていた紅き英雄が戻って来る。

 

「すまない、少してこずった。怪我は無いか?」

 

 そう言うが緊張から言葉を発せない三人。

 だが、尊敬と、女全開の目でアスランを見てしまい、空気が気まずくなる中、通信が入る

 

『おい、バルクホルン、応答しろ。近くにアスランが居るだろう。死んでも連れてこい。後、変な目で見るんじゃないぞ』

 

 それは現場に自分の物に手を出したら…、わかってるよなと釘を刺す言葉だったが、アスランは気が付くことは無かった。


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