ゆうさんがバトルリングに現れると、会場は盛り上がった。かなり有名人らしい。一応仮面で顔を隠しているが全身の装備と比べると、かなり
「第八回戦はァァ!!乱入参戦で惜しくもシード権を使えなかったァ!双剣使い!ブレイドォォ!!対するは、今回も圧勝を見せるのかァ?不敗の英雄!謎の仮面の男ォ!!グレイモアァ!!」
とてつもなく熱い実況が始まった。グレイモアというのがゆうさんだろう。あのゆうさんが不敗の英雄なんて呼ばれてると笑いが止まらない。それにしても、対戦相手の方も剣を使うからブレイドって正直かっこ悪い。
「秒で終わらせる」
仮面をつけた勇はブレイドに向かって言い放つ。
「お前とは一度戦ってみたかったんだ」
ブレイドの口調はどこか好奇心と歓喜を含んでいた。
「いいのか?ここで戦ったら二度目はないぞ?」
「優勝候補と戦って死ねるなら光栄さ!さぁ、始めよう!」
ブレイドは言葉とともに両腰の剣を腕を交差させて抜くと、少し前かがみになって勇ことグレイモアに向かって走った。
「すまないな、今回の目的はお前じゃないんだ」
勇は静かに言うと右腰に手を当て、四角形のコンパクトな
そのスキルを外して持つと走ってくるブレイドめがけて軽く一振りした。
走ってくるブレイドは腰のあたりを境に少しずつずれ、それでも下半身は上半身を置いて動き続け、やがて膝をつき、完全に動かなくなった。
遠くから見ていた奈々にも何が起こったのかすぐにわかった。
ゆうさんが剣型スキルを振ると、走っていた対戦相手が上下真っ二つになったのだ。体のあちこちについている四角形のスキルは全て十分な殺傷能力があるに違いない。そう考えると、あの部活の裏の姿を知ってしまった自分が、まだ生きていることが奇跡のようだ。きっと入部試験で認められたのだろう、そう思うことにした。
実況がグレイモアの勝利をハイテンションで知らせているのを確認すると、私はゆうさんの次の相手を確認するためにリーグ表なるものを探しに行った。
「ふぅ、お疲れさんっと」
初戦を終えた俺はリングを出て、奈々を探しに行った。
剣の達人を剣で倒してしまったが、まぁ盛り上がっただろう。
この無法地帯、タルタロスにはいくつかの隠された賞が存在する。その一つが『会場を一番盛り上げた者には景品が貰える』というものだ。決勝が終わると係員に声をかけられて、日時と場所を書いたメモを渡される。その場所に行けば特別賞が貰えるのだ。
他にもいくつかの特別賞があるのだろうが、俺が見つけたのは今のところ4つだ。前に特別賞を受け取った時、大会主催者にそれとなく聞いてみたら、かるく10個以上はあるそうだ。
全てが良い景品である保証はないが、情報屋に売るとなかなかいい値段になるので依頼のついでに探している。
とりあえず俺は、次の対戦相手を確認するために受付横のリーグ表を見に行った。
奈々は受付横で口を開いて立っていた。目線の先にはリーグ表がある。恐怖に満ちた顔で奈々は表に記載されている名前の一つを読んだ。
「
こんにちわ、ぺんたこーです!
今回は勇が圧倒的な力を見せる話でした。はい、ブレイドさんはお気の毒です。
できれば挿絵とかも入れたいと思っております。
それではまた、次のあとがきで!