仮面十二/五/二十一 三つの世界と九つの枢要大罪 聖と罪の戦い   作:OOSPH

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王との戦い

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


20、試練の王 ~ordeal of Tortur

試練の迷宮

 

そこに一介する一同

 

その目の前には

蝶の翼を広げて

 

そこに大きな威圧感を

放つ一つの影があった

 

「私は試練の王

 

 この試練の迷宮を支配せし王にして

 この世界の人間たちに絶望を味合わせるもの

 

 その私をここまで怒らせた

 お前たちの行いは万死に値する

 

 ゆえにこの私がお前たちに

 直々に裁きの時を与えてくれる」

 

そういって両手の

蝶の翅のような装飾の布をなびかせて

 

手を大きく広げていく

 

すると背中の蝶の翅のような翼を大きく広げていく

 

「これが・・・

 

 王の爵位の罪徒の武器解放・・・

 

 俺もこれを見るのは初めてだぜ」

 

当夜も初めて味わうその違和感に押され気味であった

 

「でも僕たちはもう後には退けない・・・」

 

「そうだね・・・

 

 もうここまで来たんだから!」

 

湊と真琴はそう言って

それぞれの武器を構える

 

「それに俺たちはこうして全員集まったんだ・・」

 

悠も力強く剣を握りしめる

 

「絶対に勝つ!」

 

ジョーカーはナイフを構える

 

それを見た試練の王は

呆れと苛立ちの入り混じった表情を見せる

 

「まったく

 

 聖徒である者には愚か

 たかだか未知の力を扱うというだけの

 ただの人間にまでそういわれるとは・・・・・・・・・

 

 王たる私にそのようなことがあってはならぬこと!

 

 お前たちに絶対に越えられない存在の格の違いをその命を

 もって思い知らせてくれよう!」

 

そういって翼をはためかせる試練の王

 

「来るぞ!」

 

「先手必勝!」

 

すると順平が

ヘルメスを向かわせる

 

「体の重さもましになってきた・・・・

 

 俺も行くぜ!」

 

陽介もジライヤを向かわせると

試練の王は翼を使って受け止め

 

さらにそこに衝撃のようなものを浴びせて

 

二体を瞬く間に消滅させてしまう

 

「んな!?」

 

「おわっ!?」

 

それには二人も驚愕する

するとそのダメージは二人に

 

フィードバックして

二人は思わず後ろに倒れこんだ

 

「順平!」

 

「このぉ!」

 

真田と千枝が

今度は生身で向かっていくが

 

それすらも後ろを向けたままで

二人を吹っ飛ばしてしまうのだった

 

「ペンテシレア!」

 

「ゴエモン!」

 

美鶴とフォックスが

冷気による攻撃を放っていく

 

すると試練の王は左手を横に突き出す

 

すると二人の攻撃が

その左手に吸い寄せられていくかの如く

 

集められていき

 

「フフフ・・・・・・・・・

 

 はあああ!!!!!!!!!」

 

それをそのまま

二人のもとに投げつけるように放っていく

 

「く・・・」

 

「っ!」

 

美鶴とフォックスは

ともに冷気を浴びてしまうが

 

二人はもともとその攻撃に

耐性を持っていたので押されていくだけで済んだものの

 

やはり対抗先はないのには変わらないこと

 

「人間がまさかここまで

 どうしてもこの私に歯向かうということか

 

 どうしてもそこまで歯向かうつもりなら」

 

と両腕を蝶の翅のように広げ

背中の翼もそれに合わせて広がっていく

 

すると後ろからさらに広がっていくのが見える

 

「さすがに王と名乗ってるだけ

 あってすごい力を感じるね・・・」

 

「確かにあの姉妹や

 いろんな罪徒を率いていただけあって

 

 伊達じゃないね・・・」

 

湊と真琴は

ともに試練の王の威圧感に対し

 

そのように表していく

 

だがそれでも二人は

武器を下ろさずに構えを崩さない

 

すると試練の王の翼から

粉のようなものが降り注いでいく

 

「なんだこれ・・・・」

 

「これって・・・

 

 鱗粉?」

 

ゆかりは思わずそれを

手で受けるようにして見つめると

 

それは自分の体を黒く染めていく

 

「っ!?

 

 何よこれ!」

 

紫は思わず手を引っ込める

 

「これって・・・

 

 みんなこの粉、絶対に浴びないで!」

 

「んなこと言われても

 

 こんなに降り注いでっと

 全部はかわし切れねえよ」

 

完二は楯をかさ代わりに

粉をやり過ごしていこうと試みる

 

「これはおそらくラルヴァエネルギーを

 凝縮させたものを粉上にしてふるまってるのよ

 

 本来ラルヴァエネルギーは人間には有毒だから

 

 これは実質毒鱗粉であるようなものね」

 

有紀はそう言って

銃弾を空のほうに撃ち込んでいく

 

すると銃弾は爆発し

あたりの粉を焼失させていく

 

「一時しのぎだけど

 これで一気に攻撃を当てられる・・・」

 

有紀はそう言って銃弾を試練の王に向けて放った

 

「いっけええ!!!」

 

すると試練の王は

それに気が付いて

 

それをたやすくかわしてしまう

 

「そんな・・・!?」

 

驚きを隠せない有紀

 

「私の試練・・・・・・・・・

 

 ゆっくりと受けていくがいい」

 

試練の王はそう言って

またあたりに鱗粉を降り注がせていく

 

「これだと奴に近づくこともできない・・・」

 

「じゃあどうしたらいいんだよ」

 

「こうなったら

 自分の身を犠牲にしても

 

 奴に向かっていくしかない!」

 

「馬鹿!

 

 無駄に体に

 負担がかかるだけだぞ

 

 しかしこのままだと

 反撃ができないのも事実だ・・・」

 

悩む一同

 

『そういえばこの鱗粉を

 有紀さんは銃を使って

 

 焼失させることで

 攻撃を通していきましたよね・・・

 

 それを使えばもしかしたら

 攻撃の道筋は見えるのではないでしょうか』

 

「そういやあいつ

 やってたよな・・・・・」

 

「そういうことなら私に任せてください!」

 

アイギスはそう言って

銃弾を装填して構えると

 

それを一気に放っていく

 

「浅知恵ね・・・・・・・・・」

 

そういうと試練の王は

両腕の翅を大きくふるう

 

すると降っていた粉が

突然まるで生き物のように

 

一つになって向かっていくのであった

 

「そんな!?」

 

そしてそれは一同に一気にふるわれていく

 

「「「「「「「「「「うわああああああああああ!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」

 

それを受けて吹っ飛ばされてしまう一同

 

「貴方達人間にできる

 工夫や対策を私ができないと

 本気で思っているのかしら」

 

そういって空を飛んで

ゆっくりと一同のほうに滑空していく

 

「っ!」

 

ゆかりはそこに矢を放つが

それを試練の王の体にはじかれてしまう

 

「・・・・・・」

 

「この程度の武器が

 私に通じるとでも・・・・・・・・・」

 

とそこに

 

「ヘルメス!」

 

順平のヘルメスが

試練の王に向かっていった

 

「所詮は弱い動物が生き残るための知恵でしかないのね・・・・・・・・・」

 

そういって

ヘルメスをなんとつかんで

 

それを振りまわしていくと

 

ヘルメスは炎を噴き出していく

 

「へっへー!

 

 俺っちのヘルメスは

 突っ込んでくだけが取り柄じゃないんだよ!!」

 

順平はそれ見たことかと言わんばかりに言う

 

「それで一矢報いたと

 考えているのなら浅はか千万ね・・・・・・・・・」

 

「ええ!?」

 

すると試練の王は

自分にまとわりついていた炎を

 

翼を広げたまま

体を回転させることで

 

炎を霧散していく

 

「やはり一筋縄では

 行かないようだな・・・・」

 

「同時に仕掛けるぞ!」

 

「今はそれしかねえしな・・・・・」

 

SEESの三年生組は

それぞれのペルソナを出して

 

攻撃を仕掛けていく

 

ポリデュークスとカストールで

試練の王の両側をとっていく

 

「この程度・・・・・・・・・」

 

だが試練の王はそれでも余裕を見せて

二体の間を通ってかわしていく

 

そこに

 

「ペンテシレア!」

 

美鶴のペンテシレアが

手に持っている武器をふるう

 

だが試練の王はまるで

予想していたのかあるいは拍子抜けしたのか

 

特に気にすることなく

そのまま突っ込んでいく

 

「まったく

 

 猿のほうが

 まだ賢いわよ!」

 

と背中から蝶の腹のようなものを伸ばし

そこから翅のようなひれを広げてそこから

 

攻撃を仕掛けていく試練の王

 

「がぁ!」

 

ペンテシレアが連続して受けたダメージが

美鶴の体に次々とフィードバックされていく

 

『あれが・・・

 

 試練の王の尾・・・!?』

 

その後ろに伸びたそれを見る一同

 

「まったく

 

 どうして人間というのは

 ここまで愚かにあがき続けていくのやら・・・・・・・・・」

 

そういって翼をさらに広げていく

 

「この感じ・・・・

 

 敵のエネルギーが異様に

 上がってきているであります!」

 

「これってまさか

 

 ラルヴァフィールドを!?」

 

アイギスの言葉に天田はそう告げた

 

コロマルはそれを見て

低くうなり始めていく

 

「見るがいい!

 

 お前たちが挑む相手が

 どれほどの相手なのかを

 

 そして思い知るがいい!!

 

 お前たちがどれほど無力で下等な存在なのかを!!!」

 

するとあたりの空間が変わっていく

 

その空間はどこかの花畑のようで

あたりに花びらのようなものが舞っている

 

「これって本当に

 ラルヴァ空間か・・・・?」

 

思わずつぶやく陽介

 

「そうだよね・・

 

 お花畑みたいだよね」

 

「そうだね・・・」

 

思わず手を伸ばすが

その手が鼻に触れたと同時に

 

その部分が黒く変色していく

 

「っ!?」

 

それを見て思わず

手を引いてしまう雪子

 

「これってまさか

 

 さっき撒いてたあの

 粉とおんなじじゃ・・・」

 

「なるほど

 

 この世界の空間は

 この一面の花畑が

 

 あの粉のようなものであるということですね」

 

すると一同の後ろに

試練の王がゆっくりと降り立っていく

 

「私は試練の王

 

 お前たちに試練を与えて

 その果てに死を与えるものなり」

 

するとまたあたりに

例の粉が舞っていく

 

「この粉をどうにかするっきゃねえ

 

 ジライヤ!」

 

陽介は自分のペルソナを呼び出し

それで舞っている粉を吹き飛ばしていく

 

「さすがに全部は難しいか・・・・」

 

「でもおかげで攻撃は

 仕掛けられるね

 

 行け、トモエ!」

 

陽介がジライヤで風を吹き飛ばしたおかげで

どうにか攻撃の道筋ができてそこにトモエが通っていく

 

トモエは持っている武器を手に

体を回転させていき粉を振り切っていき

 

そのまま試練の王に攻撃を仕掛けていく

 

だが試練の王は

それを何の疑いもなく

 

腕のみで受け止めてしまう

 

「同じ攻撃が効くとでも?」

 

「まだまだぁ!」

 

するとトモエは

さらにそこに追撃を繰り返していく

 

「っ!?」

 

試練の王は

思わぬ追撃を受けて

 

後ろに下がっていく

 

だがそれでも試練の王は

退くことはなく布で包まれたその腕で

 

攻撃をはじいていくのであった

 

「フン

 

 猿程度の浅知恵と

 見くびっていたけど

 

 所詮はそれに毛が生えた程度」

 

「うう・・」

 

攻撃をことごとくはじかれて

千枝の気力は消費されて行き

 

息切れを起こし始めていく

 

「千枝!」

 

するとそこに

雪子がコノハナサクヤを繰り出し

 

攻撃を仕掛けていく

 

試練の王より

トモエを解放し

 

千枝を離脱させることに成功する

 

「千枝!

 

 大丈夫!?」

 

「ありがと雪子」

 

だがそこに

 

「逃がすか!」

 

試練の王が両腕の翅をふるって

千枝と雪子に襲い掛かっていく

 

そこに

 

「タケミカヅチ!」

 

タケミカヅチが前に出て

その攻撃から二人をかばった

 

「があ・・・」

 

タケミカヅチを出した完二は

あまりの衝撃に思わず体を抑え込んでしまう

 

「完二君!」

 

「先輩ら・・・

 

 俺のことよりも

 あいつに気を付け・・・」

 

すると試練の王は

タケミカヅチにさらに攻撃を仕掛けていく

 

するとタケミカヅチは

あまりの攻撃にその場に倒れこんでいく

 

「うおおお!!!」

 

倒れてきたタケミカヅチの衝撃に

さらにダメージのフィードバックを受けて

 

大きく吹っ飛ばされる完二

 

「巽君!」

 

「カンジ!」

 

地面にたたきつけられる完二

 

「他人のことを心配して

 いられる立場だとでも思っているのかしら?

 

 人間風情がどこまで思い上がっているつもりなの!」

 

そういって両腕を

勢いよく翅のようにふるっていく

 

するとあたりに強風が起こり始め

思わず吹き飛ばされそうになっていく

 

「ぬおお!?」

 

クマはそれを受けて

大きく吹っ飛ばされていく

 

すると試練の王は

さらにそこに翅のような翼をふるって

 

鱗粉を振りまいていく

 

すると今度は

鱗粉自体が鋭い刃のような形状になり

 

まるで弾丸のように放たれていく

 

それは一同に向かって放たれていく

 

「この鱗粉は

 自由に形状を変えていくことが

 できるみたいですね・・・」

 

直斗は分析する

 

試練の王はさらに大きく飛び上がっていき

 

さらに翼を広げて

粉をまとった突風を放っていく

 

「うわっと!」

 

それを受けて一同は

かわしていくのであった

 

直撃は避けたものの

粉の影響で一同に黒い痕が付いていく

 

「はああああ!!」

 

由奈は手に持ってる槍を

構えて突風をはなっていく

 

それを受けて

大きく下がっていく試練の王

 

だがそれでも

攻撃の手を緩めていくことはなく

 

それどころか逆に押し返していく

 

「くっ・・」

 

由奈はそれを見て

だめだと思ったのか

 

一度攻撃を解除し

攻撃をかわしていくことに

専念していくのであった

 

「人間風情がよくぞここまで

 抗ってきたものだな

 

 だが私にも王としての意地もあるのでね

 

 そのためにもここで貴様らに侮られるなど

 

 あってはならぬこと

 

 もうここで遊びは終わらせてもらう!」

 

そういって両手を合わせて

そこから黒い粉状のものを

 

一同に向けて放出する

 

「くっ!」

 

当夜はそれを見て

異様なものを感じたのか

 

そばにいた暁をかばいつつ

攻撃をかわしていくのであった

 

だがほかの面々は

それをまともに受けてしまう

 

「な、なんだよ今の・・・」

 

「ってちょっと待って!?

 

 なんか様子おかしくない!?」

 

見ると怪盗団の面々の服装が

元に戻ってしまっている

 

「ワガハイだけいつも通りだけど・・」

 

さらにそれだけではない

 

「なんだこれは・・・・

 

 ペルソナが召喚

 できなくなっている!」

 

フォックスから元の姿になった祐介

 

その言葉に一同は慌てて召喚を試みるが

 

「確かに出なくなってる・・・・」

 

「そんな・・・・

 

 どうして!?」

 

試練の王は混乱する一同に

説明するように語り掛けていく

 

「やはりな

 

 お前たちの力の源は

 聖徒どもと同様エーテルのようだ

 

 エーテルというのは

 濃度が高ければ高いほどに

 その力を増していくことができる

 

 いうならば濃度が低ければその力は受け付けなくなる・・・・・・・・・

 

 だからこそお前たちに

 ラルヴァエネルギーを直接ぶつけた

 

 お前たちの力は未知数だったがゆえに

 使うのに少々迷いがあったが

 

 これでもうお前たちは

 その能力を扱うことはできない」

 

「まじかよ・・・・」

 

順平は召喚器を当てて

ヘルメスを出そうとするが

 

反応はない

 

「ってことはこれって・・・・」

 

「まずい・・・・よね・・」

 

陽介と千枝がつぶやく

 

「われら罪徒に歯向かうことが

 どれほど愚かしいのかを思い知るがいい

 

 罪兵たちよ!」

 

するとその地面から

何やら異様な液体が形作るように

 

複数の人型の怪物たちが現れる

 

「まずい・・・

 

 今ここで敵の襲撃に

 あったらひとたまりもねえぞ!」

 

すると一同のもとに

罪兵の大群が一斉に向かっていく

 

一同はそれぞれの獲物で立ち向かっていく

 

罪兵の力はマモノ達よりも劣るために

一体一体に苦戦することはないが

 

数においては圧倒的に不利に陥っている

 

「さすがにこれだと・・・」

 

「一体一体は大したことなくっても・・・」

 

その不安はだんだんと的中していく

 

「く・・・」

 

ゆかりは

なるべく複数に当たるように

修正しつつ矢を放っていく

 

だが敵の数はあまりにも多く

 

「やばい・・・

 

 もう矢がないよ」

 

「どっせえええ!!!!」

 

順平のほうも両手剣を

勢いよく振り回すが

 

それでも倒せるのはほんの数匹だ

 

「これはいいトレーニングになるな」

 

「そんなことを言っている場合か!」

 

「おりゃああああ!!!!!」

 

三年生組は一丸になって

敵の大群に背中合わせに向かっていく

 

「掃射!」

 

アイギスも指先から

弾丸を次々と放って敵を一掃していく

 

「やあ!」

 

天田も槍を手に

敵に向かっていくが

 

そこに不意を突いた敵が

天田に襲い掛かっていく

 

だがその敵に

一つの影が飛び込んでいく

 

それはコロマルであった

 

「ありがとうコロマル」

 

天田の言葉に

コロマルは一声鳴いた

 

「く・・

 

 これでは体力が・・」

 

悠のほうも両手剣をふるって

どうにか敵の攻撃に立ち向かっていく

 

「くっそ

 

 どうしたらいいんだよ・・・・」

 

「もう!

 

 何よこいつら・・

 

 まるで鼠!!」

 

「そうだね

 

 この数は確かに反則かも・・・」

 

雪子はそう言って

扇を敵に投げ飛ばしていく

 

だがそれは叩き落とされ

雪子は無防備になってしまう

 

「あ・・・」

 

雪子は得物を失って

徐々に敵の大群に詰め寄られていく

 

「雪子!」

 

そこに千枝が駆けつけて

雪子にやってくる敵の一団を

 

蹴り飛ばしていく

 

「雪子には指一本触れさせない!」

 

「ありがと千枝」

 

雪子は落とされた得物を拾い

 

もう一度攻撃を仕掛けていく

 

「おりゃあああ!!!」

 

完二は持ち前の豪快さで

盾をふるって敵の一団をぶっ潰していく

 

「しっかし数が多いクマよ・・

 

 このままだとまずいクマ・・」

 

「確かに・・・

 

 ペルソナ能力が

 使えれば・・・」

 

直斗は銃を使って

敵の軍団に攻撃を仕掛けていく

 

「くそ!

 

 これじゃきりがないぜ・・・」

 

スカルこと竜司は

鈍器で敵を討ち伏せていく

 

「一応武器があってよかったけど・・

 

 このままだと私たちの体力が持たないよ」

 

「く・・

 

 せめて回復ができれば・・」

 

もう一同の表情からは

疲れの色が見え始めていく

 

「それに・・・・

 

 力を封じられたからか

 体がだんだんと重く感じていく・・・・」

 

祐介は言う

 

「そういえば本来ラルヴァ空間は

 人間にとっていい環境じゃないって

 

 言ってたものね・・・

 

 今の私たちは武器を持ってるだけで

 ただの人間とおんなじだからね」

 

真が分析していく

 

「うう・・・・

 

 このままだと・・・・」

 

ノワールに至っては

重い武器を持っているためか

 

やはりほかの一同よりも

疲れのほうが濃くなっている

 

「奴にこんな隠し玉があったなんて・・・」

 

「やはり・・

 

 王に立ち向かっていくのは

 無茶だったのでしょうか・・」

 

追い詰められていきだんだんと弱気の虫に

蝕まれていきネガティブな言葉が飛び交っていく

 

「このままだとまずい・・・・

 

 どうしたら・・・・」

 

ジョーカーもその様子に焦りを見せていく

 

だが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あきらめんなっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこに一つの声が響き渡っていく

 

その主は

 

「せっかくここまで来たんだ

 

 最後までやっていこうぜ

 

 だって俺たちにはまだやらなきゃ

 行けないことが山ほどあるんだ!

 

 こんなところでくじけてたら

 それでこそ何もかも終わりだ!!

 

 だからせめて最後まであがいてやろうぜ!!!」

 

当夜であった

 

すると当夜の見た目は

なんと変わっていない

 

「ええ!?

 

 なんであいつだけ

 元の姿に戻って・・・・」

 

「そうか!

 

 一人だけあの攻撃を

 直撃しなかったから・・・・

 

 でもそれだったら・・・・」

 

ジョーカーは自分の顔につけられている仮面に手をかける

 

するとアルセーヌの姿が現れる

 

「俺はあの時

 当夜に助け出されてたからな

 

 賭けだったけど使えるみたいでよかったぜ」

 

そういってナイフを手に

アルセーヌとともに身構える

 

「フン

 

 貴方達二人だけで

 いったい何ができるっていうの?」

 

試練の王はそう言って

あざ笑う様子を見せていく

 

「二人だけじゃない・・・

 

 まだ二人いるんだ!」

 

「俺たちだけでも

 戦えるんなら・・・・

 

 まだ打つ手はある!」

 

当夜は聖剣を両手に

ジョーカーはナイフを片手に

 

一気に向かっていく

 

試練の王は布に包まれた両腕を

ふるって二人に対抗していく

 

「人間はおとなしく

 私たち罪徒の力にひれ伏していればいいの!

 

 それなのになぜお前達は無様な姿をさらすのかしら!!」

 

「人間としての心を失ったまま死んだように

 生きるくらいなら精一杯抗って立ち向かって死ぬ方がましだ

 

 もっとも死ぬつもりもないがな!」

 

「その通り!

 

 俺たちはお前たちの支配は

 受けるつもりはない・・・

 

 だからあがいていくそれだけだ!」

 

そういって二人は猛攻を示していく

 

試練の王はやや動揺するそぶりを

見せるがそれでも引けを取らない

 

「ならばここで

 滅んでしまいなさい!」

 

そういって布に包まれた両手を

勢いよくふるっていく試練の王

 

巻き起こされた突風に二人は大きく後ろに下がっていく

 

「なんて風だ・・・」

 

さらに試練の王は

背中の蝶の翅のような翼を広げる

 

その翅から放たれてくるのは

粉状のものを固めた弾丸のようなもの

 

それを風と共に放って攻撃を仕掛けていく

 

「っ!」

 

当夜は一瞬こっちとは

別に飛んでいく弾丸を見つけた

 

「あれは・・・」

 

当夜は何かに気が付いたのか

取り出し聖骸布をマントのように羽織って

 

「どうしたんだ?」

 

「一か八か・・・

 

 試してみたいことがある」

 

当夜はそう言って

体を捻じるように少しひねって

 

それをほどくようにして

体を回転させていきつつ突っ込んでいく

 

「馬鹿め!

 

 吹き飛ばしてやる!!」

 

と翼を大きくふるい

それを当夜に放っていく

 

すると

 

当夜は吹き飛ばないどころか

逆に勢いよく試練の王に向かっていく

 

「はあああ!!!」

 

そして聖剣でドリルのように

試練の王の体に突き立てていく

 

「ぐあああ!!!!!!!!!」

 

それを受けて

大きく後ろに吹っ飛ばされる試練の王

 

だがそれでも体制は崩さなかったが

 

「私の風を

 逆に利用するなんてね・・・・・・・・・」

 

「最初は賭けだったけど

 どうにかなったみたいだな

 

 うまく風の動きを読んで

 風が引き込まれてる部分に突っ込んだ・・・

 

 どうにかして一撃与えられたな」

 

当夜は語るが

攻撃を受けた試練の王の体に

 

傷などは一切ついていない

 

「今のには驚かされたけど

 

 私の体を傷つけるまでには

 行かなかったみたいね」

 

「そうみたいだな・・・」

 

試練の王の言葉にも

当夜は特に慌てる様子は見せない

 

「でも・・・

 

 それでも一手にはつながった!」

 

「うん?」

 

すると試練の王の肩に

ジョーカーが足をかけて

 

その頭にナイフを突き立てていく

 

「はああーーーー!!」

 

だがナイフの刃は

試練の王の頭部に突き刺さることなく

 

はじかれる

 

するとジョーカーは

そのナイフに向かって勢いよく

 

踏みつけるように蹴りつける

 

「っ!」

 

切っ先部分だけだが

それでも試練の王に突き刺さった

 

「人間風情がぁ!」

 

試練の王は体を大きくふるって

ジョーカーを振り落としていく

 

ジョーカーは振り落とされるものの

体を回転させて体制を立て直す

 

試練の王は

頭部についた傷の部分に手を当てる

 

「どうやらよっぽど

 この私を怒らせたいようだな

 

 この私の試練は

 まだまだ破られたわけではない!」

 

そういってまた翼をふるっていく

 

今度は鱗粉は

刃のような形になっていき

 

それが一気にふるわれていく

 

「く・・・

 

 このまま僕達は

 見ているだけなのか・・・」

 

「そんなの嫌だ

 

 でも・・・」

 

真琴は召喚器を突き付けて

引き金を引くのだが何も起こらない

 

「くそ!

 

 俺たちはどうしたら・・・・」

 

「こんなの・・・

 

 絶対に嫌!」

 

ゆかりは叫ぶが

やはり何もできないのはもどかしいよう

 

「くそ・・・・

 

 あの時敵の攻撃を受けなかったら」

 

「仕方がない・・・

 

 あの場の大半の者は

 対応できなかったし

 

 当夜だって全員を

 かばうのは無理があったのだ」

 

「俺たち自身の能力は

 封じられていないが・・・・・

 

 ペルソナが使えてもあの

 試練の王にはてこずっちまう

 

 くそ!」

 

「ここにいるほぼ全員の能力が

 敵の能力によって封じ込められているようですね

 

 当夜さんの言葉から察するに

 もともと私たちはエーテルの力で

 この世界からペルソナを発揮していました

 

 しかしそこにラルヴァエネルギーをじかに

 受けてしまってせいでエーテルが抑えられてしまい

 

 そのせいで能力が使えなくなってしまったのでしょう」

 

「冷静に分析しなくていいです」

 

天田が冷静に推測を述べるアイギスに突っ込みを入れる

 

「くっ・・

 

 俺たちは見ているだけしかできないのか・・

 

 何にもできないのか・・」

 

「くそ・・・・

 

 ペルソナ使えないってだけで

 こんなにも俺たちが無力だって

 思い知らされるなんて・・・・」

 

「こんなの・・

 

 こんなの嫌だ!」

 

「私だって・・・」

 

当夜とジョーカーの様子を見ている面々

 

その表情は打ちひしがれているようだった

 

「こんなところで・・・

 

 見ているだけなのを

 我慢できるほど俺は図太くなんてねえ!」

 

「そうだ!

 

 僕たちだってまだ・・・」

 

と一同はそれぞれの武器を構えていくが

 

またそこに

 

「ええい!

 

 小癪な人間が

 いつまでも粋がるなあああ!!!!!!!!!」

 

と両腕を合わせて

そこからラルヴァエネルギーを放っていく

 

するとそれは

ジョーカーと当夜にも炸裂してしまう

 

「しまった!」

 

「ぐうっ!」

 

すると召喚されていたアルセーヌが

そのまま光とともに仮面のようになり消滅

 

ジョーカーも暁の姿に戻ってしまう

 

「そんな・・」

 

「くそっ!」

 

杏と竜司もその様子に力が抜けてしまう

 

「これでもうお前たち全員が

 ただの人間と同格になった

 

 もうお前たちに私に抗うすべなどない

 

 おとなしく滅びを受け入れるがいい・・・・・・・・・」

 

笑みを浮かべて言う試練の王

 

「これはまずいぞ・・・・」

 

モルガナは迫りくる

試練の王に大きく警戒を覚えていく

 

「あきらめるがいい

 

 聖徒も人間もいずれは私たち

 罪徒の手によって滅ぼされる

 

 それがお前たちの運命なんだからね」

 

「どうしてお前たちは

 この世界の人間を滅ぼそうとするのだ・・・・」

 

祐介が試練の王に問いかける

 

「言ったはずだ

 

 害虫を踏み潰すのと

 大差ない他愛のないことだとね

 

 そこにいるだけで不快、だから滅ぼす

 

 それ以外にも以上にも意味はない」

 

そういって布のようなものに包まれた

両腕を前にやや突き出しつつ答える試練の王

 

「そんな理由で・・・

 

 そんな理由で人々を苦しめて

 罪のない人々の命を奪ってるっていうの!?」

 

真は言う

 

「私たち罪徒はあくまでスタンドプレイだからね・・・・・・・・・

 

 ほかの奴らがどんな理由で人間たちを

 苦しめているのかなど私にとってはどうでもいいことだ

 

 少なくとも私はそうだって言うだけのことよ・・・・・・・・・

 

 どんな動機であれ人間たちを苦しめさえすればいいのよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私たちの創造神のためにもね・・・・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「創造神・・?」

 

春は不意につぶやく

 

「なるほどな・・・

 

 罪徒の上にそんなのがいるのか・・・

 

 でもおかげでこの暗黒の楽園を

 終わらせるための光が見えてきたぜ!」

 

当夜は言う

 

「光・・・・・・・・・?」

 

「つまりお前ら罪徒の創造神を倒せばいいんだからな!」

 

そう言い放つ当夜

 

「フフフ・・・・・・・・・

 

 この状況でなぜそんなことが言えるの!

 

 お前たちはもうこの私の手によって倒される運命なのに!!」

 

「勝手に決めるんじゃねえよ!

 

 俺はまだあきらめてなんてない!!

 

 なぜなら俺は暗黒の楽園を

 終わらせる男なんだからな!!!」

 

すると

 

「暗黒の楽園は終わらん!

 

 この私がこのエリアHを征服した暁に

 人間たちにとっての楽園はもうなくなる

 

 それがいまだ!!」

 

「うあああ!!!」

 

試練の王が両腕を翼のように仰ぐと

当夜は大きく吹っ飛ばされていく

 

「当夜!」

 

「まあいい

 

 お前たちはそこで見ているがいい!

 

 この人間たちの楽園としての

 エリアHが滅びゆくその瞬間をな!!」

 

試練の王はそう言って

一同に背を向けて玉座のほうに行く

 

だが

 

「っ!?」

 

試練の王の背中に

何かが刺さる感触が文字通り突き刺さる

 

「ん・・・・・・・・・」

 

試練の王の背中に

刃物を突き立てたのは

 

当夜であった

 

「黙って滅ぼされていくのを

 見ていられるかってんだよ・・・」

 

すると当夜の体に

どす黒いエネルギーが電気のように

 

当夜の体に流れ込んでいく

 

「「当夜君!!」」

 

湊と真琴がそれを見て叫ぶ

 

「うあああ!!!」

 

当夜の叫び声があたりに響いていく

 

当夜の体にどす黒いエネルギーが

電気のように当夜の体を巡っていく

 

「おとなしくその時を待っていればいいのに

 

 どうしてこうもお前は自分を苦しめる選択ばかりをするのかしら?」

 

「ぐううう・・・

 

 ん・・・なの・・・

 

 決まって・・・るだろ・・・

 

 ・・・俺は・・・

 

 俺には・・・やらないと・・・

 ・・・いけないことが・・・

 

 山ほど・・・あるんだよ・・・

 

 ・・・お前なんかに・・・

 躓いてる・・・場合じゃ・・・

 

 ねえっだよおおお!!!」

 

当夜はそう言って

試練の王に突き立てている剣を

 

さらに深く突き刺していく

 

するとその体から

まばゆい光が照らし出していく

 

「な、なんだこれは!?

 

 私のラルヴァを押しやるほどの

 エーテルが貴方にあるというの・・・・・・・・・

 

 まさかそれが・・・稀人の・・・・・・・・・」

 

「うあああ!!!」

 

するとその剣の一突きは

試練の王の体を突き抜けるのだった

 

「ぐあああ!!!!!!!!!」

 

「どうだあああ!!!」

 

試練の王の体から

おびただしいほどに黒いエネルギーが

放電されていくようにあたりに放出されていく

 

「ぐう・・・」

 

「おっと!」

 

二人は互い器距離を取り

試練の王は体を抑えつつ向き直り

 

当夜はそのまま着地する

 

「おのれぇ・・・・・・・・・」

 

「言ったはずだぜ・・・

 

 俺は暗黒の楽園を終わらせるってな」

 

当夜はそう言って剣で空を切る

 

「お前らもいつまでそうやって

 地面に伏せてるつもりだよ!」

 

と当夜は一同に背中を

向けたまま一同に言い放っていく

 

「お前らにはやらなきゃいけないことがあんだろ!?

 

 元の世界に帰るんだろ?

 

 だったら戦えよ!

 

 その時が来るまで!!

 

 俺が一緒に戦ってやるから

 お前らはお前らのやりたいように戦えよ!!!」

 

当夜は激高する

 

「当夜君・・・」

 

「そうだね・・・

 

 私たちにはまだ

 やらないといけないことがあるんだものね!」

 

「まったく・・・

 

 なにをやってたのかしらね・・・」

 

「俺っちのことを待ってくれてる

 チドリンのためにもこんなところで

 たおれるわけにはいかねえよな」

 

「そうだ

 

 勝負はまだ終わっていない」

 

「私たちは必ず戻る・・・

 

 そう決めたのだ!」

 

「私たちの使命は・・・・

 

 まだ終わってなどいません!」

 

「僕だって・・

 

 やるときにはやるんですから!」

 

「ったく

 

 こんなところで立ち止まるなんざ

 柄にもねえことしちまうなんてな」

 

SEESの面々は立ち上がっていく

 

「当夜の言うとおりだ・・」

 

「だな

 

 俺らはこんなところで

 立ち止まってなんていられねえんだ」

 

「アタシらだって

 こんなとこで倒れてるわけにいかない」

 

「その通りだね・・・」

 

「こんなところで

 倒れてるなんざ漢が廃るぜ」

 

「クマだってあきらめるのは嫌クマ」

 

「たとえ能力を封じられたとしても

 

 僕たちにがまだできることがある!」

 

捜査隊メンバーも士気を挙げていく

 

「そうだ・・・

 

 俺たちはこの力を得たときに決めたんだ・・・」

 

「おう・・・

 

 俺たちは絶対に縛られないし

 屈するつもりだってねえ・・・

 

 最後まであがいてやるってな!」

 

「そうよ

 

 私達はもうどうするつもりもない」

 

「ワガハイ達だって

 もう腹は決めてるんだ」

 

「俺ももう

 

 権力なんてものに

 流されていくつもりはない!」

 

「私も最後まで

 

 突っ走るって決めたんだから・・・・

 

 こんなところまで立ち止まってなんていられないわ」

 

「あなたがどんなに強大な力を持っていたとしても

 私たちは貴方達なんかにはもう絶対に折れたりなんてしない!」

 

怪盗団も立ち上がっていく

 

『皆さん・・・』

 

『私達だって・・

 

 戦えないけれど

 気持ちは先輩やみんなにも

 負けてないんだから!』

 

『私たちにできることで

 

 お前たちにほえ面かかせてやるよ!』

 

ナビゲート組も

その士気に触れて

 

決意を新たにしていく

 

「すごい・・・

 

 これほどまでに

 多くの人が立ち上がった・・・」

 

「これが人の力・・

 

 いいえ、人だからこそ持てる力です!」

 

有紀と由奈もその様子を見届ける

 

すると

 

「こ、これは・・・」

 

「な、なんだか体が光って・・・」

 

「でも確か能力は使えないはずじゃ・・」

 

「もしかして!」

 

リーダーたち四人の体から

光が解き放たれていくのだった

 

「な、なんだ

 

 何なのだそれは!?

 

 この私のラルヴァの力を

 押しのけるこの輝きは

 

 いったいこれは何だというのよ!」

 

その現象には試練の王も驚きを隠せない

 

すると四人はゆっくりと口を開く

 

「「ぺ・・」」

 

「ル・・」

 

「ソ・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「「ナ!!!!」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう告げる

 

すると四人の体から現れたのは

 

それぞれのペルソナだった

 

だがそのペルソナは

それぞれの主の中へと

 

もぐりこんでいくように

体の中に入っていく

 

「これもペルソナ能力なの・・・?

 

 いいえこれはまるで

 私達聖徒の聖痕解放のような・・・」

 

すると四人の姿は

変わっていった

 

まるでそれぞれが

ペルソナの姿かたちを

 

持ったかのように

 

「何あれ・・・」

 

「桐条先輩!

 

 あいつらに一体何が・・・・」

 

「わからない・・・

 

 どうなっているんだ!?」

 

美鶴は混乱していた

 

彼女のみならずその場にいた

全員が四人の身に起こった出来事を見て

 

同じような反応を見せていた

 

だがそれは一同のみではない

 

「な、なんなのそれ

 

 お前たちの力はエーテルに

 よってなされていたもの

 

 ゆえにお前たちに強いラルヴァエネルギーを

 浴びせてやることでその能力は封じられるはず

 

 それなのに・・・・・・・・・

 

 そのはずなのに・・・・・・・・・

 

 何なのよその力はぁあああ!!!!!!!!!」

 

試練の王のほうも

その出来事に一番動揺を見せていた

 

「僕たちにもよくわからないけど・・・

 

 これでうまく戦えるはずだ!」

 

「でもどうやって戦えばいいんだろ・・・」

 

その力をまとっている本人の湊と真琴も

一番勝手が理解できていないようすを見せている

 

「深く考える必要はないんじゃないか?」

 

すると悠は言う

 

「ペルソナは俺たちの中にある

 いわばもう一人の自分自身

 

 今まで通りで戦っていけばいい」

 

「・・・・それもそうだね」

 

「そうだね

 

 なんだかんだ言っても

 根本的な部分は変わってないもんね・・・

 

 ようし」

 

三人は持っている武器を手に向かっていく

 

「ならばもう一度

 食らうがいい!

 

 はあああ!!!!!!!!!」

 

と再びエネルギーを放っていく

 

三人はその攻撃を

三方に分かれて動いて

 

かわすのだった

 

「おおっと!?

 

 体が軽くなった

 みたいに動ける・・・」

 

「よっと!

 

 いくらなんでも

 強化されすぎじゃ・・・」

 

すると悠はそのまま

両手剣を手に向かっていく

 

「みなぎってきたぜ!」

 

それを腕をクロスさせるようにして

剣を受け止めて押さえつける試練の王

 

「人間風情の力で

 

 王である私に

 勝てるとでも思っているのか!」

 

試練の王は蝶の翅のような翼を広げる

 

悠はそこに両手剣を

勢いよく突きつけていき

 

それは試練の王の体に突き刺さると

 

「ぐおおお!!!!!!!!!」

 

試練の王は大きく吹っ飛ばされ

地面を大きく吹っ飛ばされた

 

「おお!

 

 本当にみなぎってるぜ・・」

 

「なんだこの力

 

 ただの人間の力に

 この私がここまで・・・・・・・・・」

 

試練の王は自分の身に起こったことが

信じられないのか動揺している様子を見せ

 

よろよろと立ち上がっていく

 

「ようし

 

 それじゃあ僕たちも行こう!」

 

「うん!」

 

と二人も武器を手に

試練の王に向かっていく

 

すると試練の王は

向かってきた二人に

 

腕を覆っている

翅のような布をふるって

 

応戦していく

 

「「はああ!!」」

 

二人の突きが

試練の王の体に炸裂する

 

「よし!

 

 これだったら行ける!!」

 

「これだったら試練の王を倒せるかも」

 

だが

 

「どうやら侮っていたようだな

 

 まさか皇帝の爵位を持つこの私が

 お前たち相手にこの力を使うことになろうとは

 

 罪徒の中でも王となったものにしか扱えぬ力を見るがいい

 

 はあああ・・・・・・・・・」

 

試練の王はそう言って

空にゆっくりと浮かび上がり

 

背中の蝶や蛾のような翼を開き

蝶や蛾の腹のような尾を大きく伸ばしていく

 

すると試練の王の後ろから何やら黒い何かが

迫ってきたかのように大きく広がっていった

 

「なんだこれ・・・」

 

「これってラルヴァ空間?

 

 でもさっき見たのは

 お花畑のようだって思ったけど・・・」

 

「どういうことだ?」

 

構える三人だが

すると突然三人に

これまでにない重量が押し付けられるような

 

感覚に陥った

 

「「「うあああ!!!」」」

 

一同もそれに押しつぶされて

地面にそれぞれ臥せっていく

 

「っ!

 

 何をしやがったんだ・・・」

 

「大したことではない

 

 世界の均衡を崩し

 そこに私の力を流しただけのこと

 

 世界に存在するお前たちにこの力は

 想像だにもしないほどの苦痛だろう

 

 これが私のような王にしか使えぬ力だ」

 

一人だけ平然と立っている試練の王は

ゆっくりと倒れている三人に歩み寄っていく

 

「こんな隠し玉を持っていたなんて・・・」

 

「この力をもってしても立ってるのがやっとなんて・・・」

 

三人はかろうじて立っているが

今はもはや体を動かすことも難しい

 

「これが・・

 

 王の爵位を持つ罪徒の力・・」

 

刀を杖代わりにして

必死に立ち上がっている悠

 

「人間ごときに

 私の力を図ることなどできはしないわ

 

 世界の理すらも凌駕する

 この私の力を存分に味合わせてやろう」

 

そういって蝶や蛾の翅のような翼を

ゆっくりと広げていく試練の王

 

「確かにすごいね・・・

 

 まさかここまでの力を持つなんてね・・・」

 

「でもね・・・

 

 だからってあなたたちに

 黙ってやられてあげるほど

 

 私も湊も根性なしじゃないのよ・・・」

 

立つのがやっとながら

それでも闘志を失わない湊と真琴

 

「力におぼれているお前たちに・・

 

 力を合わせることの素晴らしさを理解なんてできない!」

 

悠も負けじと言い放つ

 

「する必要もない

 

 これがお前たちの運命だ!」

 

と翼を大きく羽ばたかせる試練の王

 

三人はそこから放たれた衝撃風を受けて吹っ飛ばされていく

 

「があ・・・」

 

「ぐう・・・」

 

周りに重圧のせいで立ち上がることもできない

 

「これで終わらせてやろう」

 

試練の王はそう言って攻撃の態勢に入っていく

 

「おいおいおい・・・

 

 何勝手に勝ち誇ったつもりでいるんだ?」

 

そこに声が聞こえた

 

「「「っ!?」」」

 

それにはその場にいた一同は大きく驚いた

 

「んな!?」

 

試練の王もそれには驚きを隠せない

 

なぜならそこに立っていたのは

 

「この場には俺がまだいる

 

 目の前の出来事に集中しすぎだ!」

 

剣を持った当夜だったからだ

 

「どういうこと!?

 

 どうしてこの空間で歩いているのよ!」

 

「一か八かのかけさ・・・

 

 この件を出してるときは

 俺はいつも以上の速さを繰り出せた

 

 だからこいつを出せば多少は動けるんじゃないかと

 おもって聖剣を出したらどうにか動けたんだ

 

 いつも通りの動きしか

 出せねえけどこれでも充分は動けるぜ!」

 

と剣の切っ先を

試練の王に向ける当夜

 

「貴様・・・・・・・・・

 

 いったい何者だ!

 

 この空間で動くことができるなど

 人間はおろか同じ罪徒ですらもままならないのに・・・・・・・・・」

 

「言ったろ!

 

 俺は暗黒の楽園を

 終わらせる男だってな!!」

 

そういって剣を両手に携えて

試練の王に向かっていく

 

試練の王は

布に包まれた両手を使って

 

攻撃に応戦していく

 

当夜の予想外の異変に

動揺しきってしまった試練の王は

 

そのせいで対応力が失われ

次第に劣勢になっていく

 

「たあああ!!!」

 

「ぐあああ!!!!!!!!!」

 

切っ先を突き付けられ

玉座に押し付けられる試練の王

 

「一気に決める!」

 

「人間のくせに

 この私と見事ここまで

 やるなんて不服だけどほめてあげる

 

 でもいいのかしら?

 

 ここで私を倒しちゃったら

 この迷宮とともに崩壊するわよ」

 

「だったら巻き込まれる前に

 逃げればいいだけの話だろ?

 

 そういうの愚問っていうんだぜ・・・?」

 

当夜はあっさりと答えて見せるのであった

 

「何それ・・・

 

 そっちこそ愚問じゃないか?」

 

「でも確かにそれがいいかもね・・・」

 

湊と真琴もあきれながら答える

 

「勝負だ試練の王・・・

 

 俺とあいつら・・・

 

 どっちが生き残るのか!」

 

当夜はそう言って剣を握る

 

「だったらこの勝負は

 私の勝ちね人間

 

 なぜならほかの奴はともかく

 貴方はここで確実に死ぬ

 

 ここにいるうち一人が欠ければ

 貴方の言うあいつらという概念は

 

 不完全なものとなる

 

 完全でなければ完璧な勝利は得られない

 

 とどのつまりこの戦いで私が

 滅んでも貴方は私に敗北する!」

 

宣言する試練の王

 

だが

 

「いいや!」

 

当夜は言う

 

「勝負も賭けもどっちも

 お前の負けだぜ

 

 俺は死なねえ・・・

 

 なぜなら俺は

 暗黒の楽園を終わらせるんだからな!」

 

「っ!」

 

そして

 

「みんな!

 

 俺が攻撃したら

 すぐに逃げろ!!

 

 絶対に振り返えるなよ!!!」

 

「わかった・・・・」

 

それをリーダーたちが答える

 

「いくぜ試練の王・・・

 

 これで最期だ!」

 

「よもやこの私が人間ごときに倒されるとは・・・・・・・・・

 

 だが私の最期をもって

 お前を巻き込むのも悪くはない

 

 そしてもしも生き残れるというの

 ならば生き残って見せるがいい

 

 そのような方法があるのならばな!」

 

そして

 

「お前の罪・・・

 

 俺が断罪する!」

 

と剣を勢いよくふるい

試練の王を勢いよく切り裂く

 

「があああ!!!!!!!!!」

 

試練の王は絶叫を上げつつ

体からどす黒いエネルギーを放出し始める

 

すると一同の体にかかっていた重圧がほぐれていく

 

「・・・・みんな

 

 走るよ!」

 

「で、でも・・・」

 

「当夜君が言ってたでしょ!

 

 攻撃をしたらにげてって

 

 試練の王が倒されたら

 この迷宮は崩壊する

 

 そうしたらここにいる全員が

 無事じゃ済まない」

 

「そうはいってても体が・・・・」

 

だが見ると迷宮は大きく音を立てている

 

「当夜は言ってた

 

 当夜は絶対に死なないって・・・

 

 それを信じよう・・・」

 

「っ・・・・

 

 悪い」

 

と一同は立ち上がって

その場から離れていく

 

「人間は・・・・・・・・・

 

 まったくもってわからないわね・・・・・・・・・」

 

「それがお前の敗因さ・・・」

 

そして二人を閃光が包み込んでいき

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

迷宮は音を立てて崩れ去っていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・  ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「あ・・・」

 

見事に脱出した一同

 

だがその後ろでは

迷宮が音を立てて崩れていくのであった

 

「当夜・・・」

 

「当夜さん・・」

 

二人のつぶやきは

静かにかき消されていく

 

だがそんな二人の声を

かき消していくほどに

 

迷宮は崩れていくのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こうして試練の軍勢との戦いは幕を閉じたのであった・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




戦いは終わった

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・

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