仮面十二/五/二十一 三つの世界と九つの枢要大罪 聖と罪の戦い   作:OOSPH

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蝙蝠の偏福

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


6、哀愁曲~Conductor songs

「さあ・・・

 

 それではまいりましょう

 別の世界より来たれし哀れなる旅人よ

 

 これより奏でられし演奏は

 貴方方に送る私からのレクイエムです!!」

 

偏福の大公爵は

そう言って手に持った指揮刀を

 

指揮棒のように構えると

それを巧みに動かしていく

 

すると彼女の後ろから

水が噴き出してそこに浮かぶ波が

 

まるで楽譜の五線のようになっていき

 

彼女はそれを一同に向かって

放っていく

 

「ひぃ!」

 

だがそれは

一同にではなく

 

一同の頭上に

まるで天使の輪のように円となって

 

一同の頭上を回っていく

 

「まずい!

 

 みんな離れろ!!」

 

当夜の様子のおかしい

発言に一同はただならぬ様子を感じて

 

一斉にその輪の下から離れる

 

するとその輪から

一気に光が放出されて

 

一同がいたその場に降り注いだ

 

「な、何よこれ・・・」

 

「しゃれになんねーってこれ・・・・」

 

これには一同も

驚愕の色を隠せない

 

「どうしました?

 

 まだまだ前奏は

 終わっていませんよ!」

 

と大公爵はつぶやく

 

「いったい何なんだよアレ・・・・」

 

「あれはおそらく

 水をプラズマに変化させて

 

 地面にはなったんだ」

 

「そっか・・・

 

 水を電離させて

 陽イオンと電子に分けた・・・

 

 つまりプラズマに変化させたんだ・・・」

 

「と言うことはあいつは

 水と闇の力の使い手・・」

 

悠と雪子の分析に由奈は敵の属性を把握する

 

「あなた方をここから先に

 お通しするわけにはまいりません

 

 なぜならそれが私が

 この場所にて我らが王に与えられた

 

 使命なのですから!」

 

そう言って再び刀を指揮棒のように振るい

 

攻撃を仕掛けていく

 

「この・・・

 

 イオ!」

 

ゆかりがイオを召喚し

 

攻撃を仕掛けていく

 

すると偏福の大公爵は

そのイオの風による攻撃を翼で防ぐ

 

「あの翼硬い・・・

 

 風じゃ防がれちゃう・・・」

 

「だったら!」

 

千枝が飛び出して

トモエを召喚

 

その一撃を叩き込んでいく

 

「フハハハハ!

 

 無駄ですよ・・・・

 

 そんな程度では私の防御を

 打ち砕くことは無に等しい・・・・

 

 ですがこの私を前にそこまでけん制する姿・・・・

 

 実に見事ですね・・・・

 

 そんなあなた方に

 最高の音楽を提供して差し上げましょう」

 

そう言って刀を高く上げると

 

その刀から二対四枚の

翼のようなオーラが広がっていき

 

彼女はその刀を

ゆっくりと後ろにやっていく

 

「な、なにをする気だ・・・・?」

 

すると彼女は

 

その刀を勢いよく突き出すと

その翼がまるで大きくふるわれていく

 

「これはまずい!」

 

一同は慌てて

その場から離れていく

 

直撃こそ避けられたものの

その技による爆発が一同がいた場所を

 

大きくひび割れを起こすほどにうち砕いて見せた

 

「フフフフ・・・・

 

 貴方方はどうやら

 私たちのことについてはまだ

 

 無知に等しい・・・・

 

 と言うことですね」

 

大公爵はそう言って

自分の広げている自分の身長を

超えるほどに大きい翼を羽ばたかせていく

 

「くそ・・・

 

 思ったよりも

 敵はやる見てぇだな・・・

 

 水の属性には

 風による攻撃が効くけど・・・

 

 あいつには闇の属性もある・・・

 

 闇の属性を持ってるやつには

 四大属性の攻撃が効かねえ・・・

 

 直接以降にもあいつ以外にやる・・・

 

 どのみちまずはあの翼をどうにかしねえと」

 

当夜はじりじりと大公爵から距離を保ちつつ

対抗策を考えている

 

「はああああ!!!!」

 

大伯爵は再び

武器である刀から翼のようなオーラを

広げてまたそれを今度は横なぎに振るう

 

その攻撃があたりの景色を瞬く間に変えていく

 

「どうやら敵は

 私たちごとこのあたりを

 吹き飛ばすつもりらしいな・・・」

 

「どうするの・・

 

 攻撃してもあの翼に防がれちゃうし

 あの攻撃は食らうとまずいし

 

 反撃ができないよ・・」

 

「せめて何か

 決め手になるものがあれば

 

 いいのですが・・・」

 

敵の攻撃に警戒しつつ

反撃の好機をうかがう一同

 

「わかっていることは

 敵は水からプラズマを生み出して

 

 それを攻撃に使うこと・・・

 

 あの翼による防御・・・

 

 そして刀に翼のようなオーラを

 広げ振るってによる強力な一撃・・・

 

 武器解放を行っていないとなると

 まだ力を隠している可能性もありますね・・・」

 

直斗はおさらいする

 

「あの翼固いし・・・・

 

 どうしたら・・・・」

 

パンサーも試行錯誤するものの

いい案が思い浮かばない

 

「ヘルメス!」

 

ヘルメスが敵に突っ込んでいくが

再び敵の翼に防がれてしまう

 

すると

 

「そうだ!

 

 逆にあの防御の仕方を

 利用してやれば・・」

 

悠はふいに思いつき

由奈に話をする

 

「なるほど・・

 

 悪くはないと思いますが

 有効かどうかはわかりませんよ」

 

「今はとにかく

 奴からどうにかして

 

 反撃を与えないと・・」

 

由奈はやや渋ったがうなずく

 

「やってみましょう」

 

すると

 

「やられる順番の相談でも

 なさっていらっしゃるのですか?」

 

悠たちのもとに

偏福の大公爵がゆっくりと

迫っていく

 

「行きますよ・・」

 

「ああ・・

 

 イザナギ!」

 

悠はイザナギを繰り出して

敵に攻撃を仕掛けていく

 

だが当然その一撃は

敵の翼に阻まれてしまう

 

「往生際の悪いお人ですね・・・」

 

と再び刀からオーラを

翼のように広げて構える大公爵

 

すると

 

「クマ!」

 

悠が合図を送ると

 

「ガッテンクマセンセー!

 

 ぺルクマアア!!」

 

クマがキントキドウジを出すと

そこから冷気を勢いよく放出していく

 

「そんなもの・・・・っ!?」

 

大公爵はクマの攻撃を

翼で防ごうとするものの

 

そこでふいに違和感を覚える

 

翼から徐々に

身体が凍り付いていく

 

「・・・・っ」

 

自分の体が凍り付いていくのを見て

やられたといわんばかりの驚愕の表情を見せる

 

「ど、どうなってんだ!?」

 

「そうか

 

 彼は相手の防御を利用して

 あいつの動きを封じることを思いついたんだ

 

 あいつは防御するときに必ず

 翼を背中から体を覆いつくしてる

 

 それで奴の防御ごと奴を凍らせることを

 おもいついたのね」

 

スカルが驚く中

クイーンが冷静に分析する

 

「さっすがセンセー!

 

 見事な判断クマ」

 

「だがこれは一時しのぎだ

 

 奴の動きを封じている間に

 今度こそ本当に対抗策を練らないと

 

 まずい・・」

 

悠は体が凍り付いていくのを

何事もなくただ見つめるだけの大公爵を

 

じっと見つめていく

 

「あれ・・・?」

 

すると湊は

ふいに何かに気づく

 

「どうかした湊?」

 

「うん、ちょっと」

 

湊が説明をしようとすると

ふいに敵が笑みを浮かべたのが見える

 

すると

 

まだ氷が至っていなかった背中から

翼が二対四枚も生えてきたのだ

 

その翼が大公爵の体を凍りつかせていた氷を

 

自分に向かって放たれている冷気と

その冷気を放っているキントキドウジを吹っ飛ばす

 

「うおお!!」

 

ついでにクマも吹っ飛ばされる

 

「やってくれましたね・・・・

 

 どうやらまだまだ抗うおつもりのようで」

 

と自分にまとっている二つの翼も広げ

三対六枚の羽根を大きく広げていく

 

「ですが光栄に思いなさい

 

 私は強者と認めた相手にしか

 すべての翼を広げませんゆえに・・・・」

 

そう言って右手に持っている刀でヒュンと空を切るように降ろす

 

同時に背中に広げられている翼を動かす

 

「さあて・・・

 

 次はどのように攻めていきますかね?」

 

何やら面白い玩具を見つけた子供のように

一同の出方を今か今かと見据えている

 

「どうしたらいいの・・・」

 

ゆかりは大公爵を見てやや弱気になるが

隣にいた湊の様子を見て思わず見つめている

 

「有里君・・・?

 

 どうしたの?」

 

「うん・・・

 

 さっきクマ君が

 奴の体を凍りつかせていくのを見て

 

 気づいたことがあるんだ・・・」

 

湊は答える

 

「何を?」

 

「これからそれを確かめるんだ・・・

 

 もしかしたらそれが

 この戦いを決することになるかも!」

 

「ようし

 

 私も協力するよ!」

 

湊と真琴が前に立つ

 

偏福の大公爵もそれに気が付いた

 

「おや?

 

 どうやらまだ動ける

 方々がいるようですね・・・・

 

 いいでしょう・・・・

 

 この私の力を見せつけて

 己があがきは無駄であると

 思い知らせて差し上げましょう・・・・」

 

そう言って刀から再び

オーラが翼のように広がっていき

 

偏福の大公爵はそれを

勢いよく振るって

 

二人に攻撃を仕掛けていく

 

二人は二手に分かれて敵の注意を引き付けていく

 

「たあああ!!!」

 

真琴は武器である薙刀を

代行者に向かって勢いよく振るっていく

 

だが大公爵はその刃を

腕のみで受け止めてそこから

 

反対側の手で刀を突き出して

攻撃を仕掛けていく

 

「っ!?」

 

迫ってくる敵の刀に

しまったといわんばかりの

表情を見せていくが

 

「掃射!」

 

そこにアイギスが

大公爵に向かって銃撃を放っていき

 

そのおかげで敵の攻撃は中断される

 

「ぬう・・・・

 

 この鉄くずの人形が!」

 

そう言って背中から

広げている翼の内一対二枚を

 

突き出していく

 

「やっぱり・・・」

 

湊はふいに

大公爵の様子を見て

 

感じるのであった

 

「桐条先輩!

 

 あいつに冷気を!!」

 

湊は美鶴に指示する

 

「し、しかし・・・

 

 それではまた

 防がれて・・・」

 

「それでいいんです!

 

 とにかく早く!!」

 

美鶴はまだ理解しきっていないが

湊の言葉を信じてペルソナを召喚する

 

「ペンテシレア!」

 

再び冷気を放たれる

 

「ちょっと!

 

 そんなことしても・・」

 

千枝は慌てて叫ぶ

 

だが

 

「っ!?」

 

大公爵は自分の体の異変に気が付く

冷気をふさいでいる翼から段々と

 

感覚が薄れている

 

「こ、これは・・・・!?」

 

「やっぱりそうだ・・・」

 

湊のつぶやきに

美鶴はふいに聞いてきた

 

「どういうことだ?」

 

「さっきクマ君が

 あいつの体に冷気をあてた後

 

 翼を広げた際に

 その冷気を防いでいた翼の動きが

 

 どこが動きがおかしくなってると思ったんだ・・・

 

 最初の時より

 動きが遅くなっているようにね・・・」

 

「それで分かったの

 

 あいつはひょっとして

 低温に弱いんじゃないかって」

 

湊と真琴は言う

 

「でもどうして?

 

 あいつは水の属性を

 持ってるんだから低温には

 強いはずなのに・・・」

 

有紀は疑問を浮かべる

 

すると翼からだんだんと

緑やら赤やら青やらの液体が流れて

 

それが冷気に当てられて凍っていく

 

「つ、翼が動きにくくなっていく・・・・

 

 これはいったい・・・・」

 

「奴の動きが鈍くなったり理由は

 翼がダメージを受けたことが原因で

 出血してそれが凍って体内にわたっていき

 

 血液が凍り付いてそれが筋肉の活動を

 鈍らせていたからだったのか・・・」

 

当夜はそう分析する

 

「確かに属性には優劣はあります・・

 

 でもそれは属性同士の場合・・

 

 肉体に属性は関係ない!」

 

由奈はそう言って槍を構えると

そこに風を纏わせて向かっていく

 

美鶴、千枝、クマ、フォックスのペルソナが

一斉に向かっていき攻撃を仕掛けていき

 

そのあとに追撃するように

由奈の風を纏った槍の一撃が放たれる

 

「この程度の障害・・・・!」

 

だが偏福の大公爵は翼を振るって

冷気を霧散させて槍の一撃を翼で防いで見せた

 

「そんな!?」

 

「はああああ!!!!」

 

更にその一撃に

衝撃を与えて由奈を吹っ飛ばしてしまった

 

「ぐう・・」

 

「この程度の傷で

 この私を倒せると思っているなら

 

 それは実に愚かしい行為・・・・

 

 その愚行を

 後悔させてさしあげますよ・・・・」

 

と刀から再びオーラが翼のように広がっていく

 

すると

 

「たあああ!!!」

 

「っ!?」

 

そこに当夜がとびかかっていき

剣で翼に切りかかっていく

 

すると翼はずたずたに引き裂かれて行き

 

そこに湊と真琴の武器による突きが

大公爵の体に勢いよく突き刺さっていく

 

「があ・・・・」

 

刀から出ていたオーラは消滅すると

刀を持っている右手が力なく降ろされ

 

その手から武器が落とされる

 

「馬鹿な・・・・

 

 この私が人間なぞに・・・・」

 

「人間の力を・・・

 

 甘く見るな!」

 

湊は武器を突き刺したまま大公爵に言う

 

「フフフフ・・・・

 

 ハハハハ・・・・

 

 はーっはっはっはっはっ!!!!

 

 よくぞこの偏福の大公爵たる

 この私を倒しましたね・・・・

 

 いいでしょうお先に進みなさい・・・・

 

 本当の地獄はこの先のその先にて

 待ち受けているのですからね・・・・

 

 ぐう・・・・

 

 ぐああああ!!!!」

 

偏福の大伯爵はそこまで言って

膝をがくりと落として倒れこみ

 

爆発するように消滅するのであった

 

その地面に勲章を刻み込んで・・・

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

偏福の大公爵を倒した一同は

 

そこから目的地である

試練の迷宮を目指していた

 

「はあ・・・

 

 はあ・・・

 

 いきなりの襲撃で

 まさかここまで体力と気力を

 使うなんてね・・・」

 

「何とか倒したけど・・・・

 

 あんなのがまだいるのかって思うと

 何だか心が折れそ・・・・」

 

「まったくだらしないな

 

 この程度の事

 乗り越えられないでどうする」

 

「しかし

 

 確かに苦戦をしたのは事実だ・・・

 

 もしあの時彼が

 奴の異変に気が付かなければ・・・

 

 私たちは負けていたかもしれない・・・」

 

「敵の言葉から察するに

 この先にもまだ敵はいるように

 見受けられます・・・・」

 

アイギスは推測する

 

「きっとこの先にも

 さっきのと同じかそれ以上に

 強い奴がいるということですね・・」

 

「そうだな

 

 相手の能力もわからねえ以上は

 対策も練りようがねえ・・・・・

 

 俺達はとにかく目的地に行くしかねえ」

 

すると

 

『皆さん!

 

 いよいよ目的地が

 近づいてきました・・・

 

 きっとこれが

 敵の本拠地です』

 

風花の通信が入ってきた

 

一同の目の前に現れたのは

見るも異様な形のものであった

 

複数の木の根のようなものが

いくつにも絡み合って上の方で

一つになっていくようになっているのが分かる

 

「あれがマモノたちの巣にして

 罪徒の本拠地・・・

 

 迷宮だ・・・」

 

「なにこれ・・・

 

 よくわからないけど

 まるで異様な光景を見ているみたいね・・・」

 

ゆかりがつぶやく

 

「迷宮はそれそのものが

 複数の世界のようになってて

 

 その世界を統治してるのが

 王に仕えてる罪徒なんだ・・・

 

 その世界はラルヴァ空間になってて

 その中では本来私たちは力が使えない・・・」

 

有紀が説明していく

 

「それで迷宮と言う

 本拠地が見えているのに

 

 攻めていく人たちがいなかったわけですね・・・」

 

「ええ・・

 

 ですが彼がもしも

 この世界の希望だというのなら・・

 

 もしかしたら・・」

 

由奈は告げる

 

「・・・うーん・・・

 

 そういうのはよくわからねえけど・・・

 

 でももしもこの力で

 誰かの笑顔を守れるんなら・・・

 

 俺は絶対にやってみる

 

 きっとそれが俺にしかできないことだから」

 

「俺にしかできないこと、か・・・

 

 いいねそういうの」

 

そして一同は

目の前に移っている迷宮の方に

 

目を向けていく

 

「俺達の戦いはここから始まっていく・・・

 

 絶対に勝つ!」

 

当夜の言葉に

その場にいる一同はうなずき

 

湊と真琴、悠、暁の四人も

彼の横に立って目指すべき目的地である

 

試練の迷宮を見つめる

 

「僕たちは絶対に

 元の世界に戻る・・・」

 

「そのためにもこの戦いに勝たないといけない・・・」

 

「ああ・・」

 

「行こう!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この先で再びどのような戦いが待ち受けているのだろうか・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




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