仮面十二/五/二十一 三つの世界と九つの枢要大罪 聖と罪の戦い   作:OOSPH

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強敵の降臨

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


4、防衛線~Line of defense

炎を扱える者たちが

里に向かっていくマモノたちを

迎え撃つために出撃し

 

バックアップ組は

戦闘に入ったことを一同に伝える

 

残りの面々は

待機をしていた

 

「有里君、結城さん達

 

 先頭に入りました・・・」

 

「先輩たちの方も戦闘に入ったみたい」

 

「でも見た感じ

 アタシらの出番は

 なさそうだけどね・・」

 

ナビゲート組は状況を

待機組に伝えていく

 

「あれ?

 

 りせちゃんと双葉ちゃんって

 銃は使わないの?」

 

ゆかりはふいに聞く

 

「銃・・?」

 

「銃だったら

 ほかの奴はもってるぞ

 

 私は前線に出ないから

 持ってないけど・・」

 

りせと双葉、もといナビは答えた

 

「違う

 

 銃型の召喚器のことだ・・・」

 

「俺達は召喚器を突きつけて

 自分の意思で引き金を引くことによって

 

 ペルソナを引き出すことができる」

 

美鶴と明彦が説明していく

 

「なんだかこえーな・・・・」

 

「自分の死を

 強く意識するためだ

 

 そしてその死への恐怖に打ち克ち

 自分の意思で引き金を引くことで

 俺達は自分たちの内にいるペルソナを引きずり出すことが

 できるというわけだ」

 

「へ、へえ・・」

 

やや理解の追いつかない千枝は

やや間の抜けた返事で返す

 

「なんだかそれぞれのペルソナ能力って

 色々と変わってるのな・・」

 

「そういう双葉ちゃんこそ変わってるじゃん

 

 ほかの人たちもそうだけれど

 いつの間にか服装変わってるもん」

 

りせがナビの姿になった双葉を見て言う

 

「ワガハイたちのペルソナは

 いうなれば反逆の意思の表れだ

 

 ワガハイもこいつらもその意思を示して

 自分の意思で仮面をはがすことでペルソナの力を

 扱うことができる

 

 服装もその意思の表れってことさ」

 

モナがざっくりろ説明していく

 

「やっぱり私たちのペルソナ能力と

 それぞれ違うんだね・・・」

 

「でも今私たちはこうして

 力を合わせて戦おうとしている

 

 目的はともに同じなんだ

 

 いまするべきことは

 元の世界に戻ること

 

 そのことを踏まえて行動に移していこう」

 

美鶴の一言に

一同はうなづいた

 

「敵はそれぞれマモノが一体・・・

 

 いずれも巨大で

 里を襲えばひとたまりもないほどです

 

 ですがこの様子ならすぐにすみそうですね」

 

「こっちもね

 

 はっきり言って

 私たちの出番がない気がするな」

 

りせはそう言ってややぐだっと姿勢を崩す

 

「ね、ねえ・・」

 

だがナビのみは

何やら妙なことを口ずさむ

 

「どうしたナビ?」

 

「なんか里の下の方から

 感じるんだ・・

 

 大きくて・・

 

 そのうえとても強力な・・」

 

すると里から地響きが起こっていく

 

「な、なんだ!?」

 

「うおおお!?」

 

するとその地面から

何やら巨大な何かが伸びてきて

 

それが里の建物に複雑に絡み合っていき

瞬く間に包み込んでいく

 

「これは!?」

 

「っ!?

 

 皆さん気を付けてください!

 

 大きな力が姿を見せようとしています」

 

すると地面が大きく盛り上がり

そこから一人の少女が現れる

 

「フフフフ・・・」

 

だがその笑みは決して

優しいものではないことは

 

誰もが察した

 

「あれはもしや・・・」

 

「罪徒、か・・・・」

 

一同はその目の前の人物の身なりから

それが何なのかも予想していた

 

「まったく・・・

 

 いくら新人だからって

 こんな辺鄙な里に飛ばされるなんて

 

 私もついてないな・・・」

 

そう言って辺りを見回すと

待機組の方に気が付いた

 

「私は増殖の大伯爵・・・

 

 このエリアHは私たち

 試練の軍勢が制圧する・・・」

 

するとその少女は

何やら植物の蔓のようなものを

 

背中から広げるように伸ばしていく

 

するとその翼から

花が咲いていき

 

その花びらが散って

そこから実がなっていき

 

するとなんと

そこからたくさんの人型の怪物が

 

発生していく

 

「これはほんのご挨拶・・・

 

 行くがいい私の兵隊たち!」

 

その人型は目につく人々に

襲い掛かっていく

 

「どうなってんだこれ!?」

 

「なるほど!

 

 そういうことか・・・」

 

直斗が敵の思惑に気づく

 

「マモノを里に向かわせたのは

 この里にいる戦力を少しでも減らすための

 

 いわば陽動だったんです!

 

 本命はそのすきに里を襲って

 制圧することが狙い・・・」

 

「まずい・・・

 

 当夜達は討伐のために

 全員が向かっている!

 

 この場にいるのは私たちだけだ・・・」

 

「だったらやるしかない

 

 山岸たちはリーダーたちに

 このことを伝えてくれ・・・・」

 

明彦は出ていこうとすると

 

「待って!

 

 どうするつもり!?」

 

「決まっているだろう!

 

 あいつを倒す!!

 

 倒すことはできなくとも

 せめて当夜達が戻ってくるまでには

 食い止めるさ」

 

明彦は答える

 

「そうだな・・・

 

 どのみちこのまま

 黙ってみてんのは性に合わねえし・・・」

 

「せめてワガハイたちも

 できる限りのことをやろう」

 

「そうだな

 

 せめて被害を抑えよう!」

 

と怪盗団の面々は

敵のもとに向かっていく

 

「そうだな・・・・

 

 この里の人たちには

 世話になってるし」

 

「感じるままに行こう!」

 

「ここで黙ってみてるなんざ

 漢が廃るぜ!」

 

調査隊の面々も出撃する

 

「あいつらはもういったぞ・・・・

 

 お前はどうする?」

 

「・・・・そうだな

 

 確かに私たちにはやるべきことはある

 

 だがそれとこの里の襲撃を黙ってみているのは別問題だ!」

 

「だったら早速行くか・・・・・

 

 せめてあいつらが戻ってくるまでにはな」

 

SEESも出撃

 

こうしてペルソナ使いによる

防衛戦が展開されていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「行くよ、イオ!」

 

里に赴いた一同は

里に散らばっていく敵を一掃していく

 

「ポリデュークス!」

 

明彦はペルソナとともに

敵の大群の中に突っ込んでいき

 

得意のボクシングで

蹴散らしていく

 

「パラディオン!」

 

アイギスはパラディオンを

敵のん赤に突っ込ませていき

 

敵を次々と貫き倒していく

 

「ネメシス!」

 

天田はネメシスを出し

その光の力で敵を霧散していく

 

「カストール!」

 

荒垣もカストールを出し

攻撃で敵の大群を打ちのめしていく

 

「来い!

 

 ジライヤ!!」

 

陽介もジライヤ出して

敵を吹き飛ばしていく

 

「トモエ!」

 

トモエは敵の大群に

手に持った薙刀を勢いよく振るって

 

一掃していく

 

「タケミカヅチ!」

 

タケミカヅチ果ての大群に取り囲まれつつも

その力を振るって敵をけちらしていく

 

「キントキドウジ!」

 

クマの出したキントキドウジは

手に持っているトマホークミサイルを投げて

 

敵の軍団を一掃していく

 

「スクナヒコナ!」

 

スクナヒコナも手に持った剣で

敵を次々に一掃していく

 

「キャプテンキッド!」

 

スカルも自分のペルソナ

キッドを出して攻撃を繰り出す

 

「意を示せ、ゾロ!」

 

ゾロの繰り出す風が

敵の大群を吹き飛ばしていく

 

「ゴエモン!」

 

フォックスもゴエモンを呼び出して

物理攻撃で敵を蹴散らしていく

 

「ミラディ!」

 

ミラディの銃撃が

敵を一掃していく

 

そして一同は

敵の大群の中心にいる

 

いうなれば本体に当たる

増殖の大伯爵のもとに訪れる

 

増殖の大伯爵は

駆け付けた一同の姿を

確認すると不気味な笑みを浮かべる

 

「ふうん・・・

 

 あなたたちだね

 

 この世界とは

 別の次元の世界から

 現れたと先生の言っていた人間は・・・」

 

手に持っているバトンを

くるくると回しながら話しかける増殖の大伯爵

 

「私たちのこと知ってるの!?」

 

「ええ、あなた方が

 望まずしてこの世界にきたことも

 

 つい先日に命令の大総裁を倒したこともね・・・

 

 私驚いちゃった、伯爵クラスに

 昇格予定だった彼を倒してしまうなんてね・・・

 

 ましてやその得体のしれない力を扱うだけの

 タダの人間に負けるなんてね・・・

 

 ほかの罪徒の反応は

 それぞれだったけど

 

 私は興味を持ったわ・・・

 

 総裁クラスの罪徒を倒した

 その力をぜひとも見せてもらいたいわ」

 

そう言って大伯爵は

背中に広げている木の枝のようなものを広げて

 

そこに花のようなものを咲かせる

 

するとその花びらは散っていき

残った部分は大きく膨れ上がり

 

果実のようになっていく

 

するとそれは大伯爵と同じくらいに

大きくなってそこから突き破るように

 

先ほど自分たちの倒してきた敵が現れていく

 

「おいおいおいおい!?

 

 どういうことだよこれ・・・・」

 

「増殖・・・

 

 そういうことか!?」

 

美鶴は敵の、増殖の大伯爵と言う呼び方の意味に気づく

 

「なるほど・・・

 

 あなたの能力は

 あなた自身と言う存在を

 

 無限に増殖させることのできる能力・・・」

 

「そう・・・

 

 私の能力は無尽蔵・・・

 

 私はこの能力を使って・・・

 

 国を一つ落とした!」

 

と彼女は手に持った警棒を

指揮棒のように一同の方に向けると

 

増殖し現れた兵力は

さらに一同に向かっていく

 

「まずい・・・

 

 このままだと

 消耗戦になる」

 

「このまま長引かせれば

 里の人たちにも被害が出てしまいます・・・」

 

危機を覚える一同

 

「く・・・・

 

 このままだと不利だぜ」

 

「せめて先輩らが

 戻って聞いてくれれば・・・

 

 少しは楽になるかもしれねえけど・・・」

 

変わらず兵隊たちに

戦いを挑んでいくのだが

 

無限に増え続ける兵隊に

一同の気力はもう限界に近くなっていく

 

「悪ぃ・・・

 

 俺もう・・・」

 

「へばるな!

 

 ジョーカーたちも

 こっちに向かっている!!

 

 それまであきらめるな」

 

「だがこのままだと・・・・・

 

 いずれ限界が」

 

フォックスのつぶやき通り

もう一同の気力は限界に近くなっている

 

「くそ・・・・

 

 こんなとこであきらめて

 たまるか!」

 

「あきらめません・・・・

 

 最後まで!」

 

アイギスはそう言って

フルパワーで抵抗していく

 

すると

 

「人間と言うのは本当に

 諦めが悪いのね・・・

 

 さっさとあきらめてまえば

 楽に死ぬことができるのにね!」

 

地面の中から

気が早回しで生えてくるように

現れる増殖の大伯爵

 

「うおっ!?」

 

突然の出現に

驚愕する明彦

 

アイギスは

敵に向かって銃撃を掃射する

 

弾丸は被弾するが

まるで鉄にはじかれるように

弾丸は地面に落ちていく

 

それを見てアイギスは呆然とする

 

大伯爵はそんなアイギスの顔を

ひっぱたき、横に吹っ飛ばす

 

「アイギス!」

 

明彦はそのあとすぐに

首をつかまれて持ち上げられる

 

「お前たち人間など

 私たち人間にとっては

 

 お前たちが何気に殺している

 虫けらと何も変わらない下等生物・・・

 

 そんな下等生物が格下とはいえ

 罪徒を倒すとはね・・・」

 

大伯爵はそうつぶやいて首を絞める力を強める

 

「ぐう・・・・」

 

「だがどんなに

 特別な力を使おうと

 

 所詮は下等な人間・・・

 

 我ら罪徒にかなうはずもない」

 

更に首を締めあげる大伯爵

 

だが順平はそんな大伯爵の腕を

ふり絞った力でつかむ

 

「・・・悪いが・・・・

 

 俺達は元の世界で

 やらなきゃいけないことがあるんだ・・・・

 

 こんなとこで死ぬわけには・・・・」

 

と召喚器をこめかみに当て

 

「行かないんだぁ!」

 

引き金を引くと

ポリデュークスが現れて

 

増殖の大伯爵に向かっていく

 

だがポリデュークスは

大伯爵の背中から伸びた

枝のようなものに絡まれて

 

動きを封じられてしまう

 

「ポリデュ・・・ぐう・・・・!」

 

「真田先輩!」

 

ゆかりも召喚器を構えるが

 

地面から伸びた根のようなものが

ゆかりの足に絡みついて地面に引きずっていく

 

「きゃあああ!!!」

 

「岳羽!」

 

美鶴も召喚器を構え

引き金を引く

 

ペンテシレアが剣を振るって

冷気を発生させていく

 

すると

 

辺りに発生していた

枝や根のような物体が氷漬けにされていく

 

紫の足に絡みついていた根も

ヘルメスをとらえていた枝も氷におおわれていく

 

「ぐう・・・」

 

だが美鶴も

気力がぎりぎりだったので

 

つらそうに体をふらつかせた

 

「桐条先輩!」

 

「イオ!」

 

ゆかりはこの間に

召喚器を突きつけて引き金を引く

 

イオが現れ

 

イオの起こした風が

枝からポリデュークスを解放する

 

だがぽりでゅーくすはその場から消えてしまった

 

「真田先輩!」

 

明彦の方は

必死に抵抗するが

 

段々と意識が遠のいているのか

抵抗ができなくなってきているのが

 

見てわかる

 

「まずはこの小僧から

 見せしめにしてあげる・・・」

 

だがそこに

 

ジライヤとトモエが

増殖の大伯爵に突撃をする

 

「おおおお!?」

 

吹っ飛ばされる大伯爵

 

「悪いな

 

 俺達のことも

 忘れんなよ!」

 

「そういうこと!」

 

陽介と千枝も

息切れを起こしながら

 

反撃していくのだった

 

増殖の大伯爵は地面に接触すると

とてつもない砂煙を上げて姿をくらます

 

「気を付けろ!

 

 地面から来るぞ!!」

 

美鶴の言葉に

陽介と千枝は辺りを見回していく

 

「巽君!」

 

「え・・・?

 

 ぬおおお!?」

 

完二の足元が

勢いよく抜けて

 

彼は地面に引きずり込まれる

 

「人間というのは

 先入観をついていいけば

 

 たやすくふいをつくことができる

 

 まったくなんとももろい生き物だ!」

 

「くそ・・・

 

 姑息な真似

 しやがって・・・

 

 おりゃあああ!!!」

 

完二は手に持っていた楯を

下に勢いよく振るうが

 

どうやらそこに増殖の大伯爵の姿は

ないようであり手ごたえを感じない

 

するとあたりから

ごごごごと地響きが聞こえていく

 

「あわわ・・」

 

クマはどこから攻めてくるかわからない

その恐怖から辺りを見回しつつ体を震わせていく

 

すると少し離れていったところから

地面から生えてくる植物のようにその体を

地上に露出させていく増殖の大伯爵

 

「まったく

 

 どうしてそんなにまでして

 こんな無駄なことをしていくのかな?

 

 勝てないっていうのがわからないなんて

 本当に人間って愚かで弱い生き物だよね・・・」

 

めんどくさそうにつぶやく増殖の大伯爵

 

「おとなしく殺されれば

 無駄に苦しまずに済むというのに・・・」

 

「そんなの嫌クマ!

 

 クマたちは生きて

 元の世界に戻るんだクマ!!

 

 勝手に決めないでほしいクマ」

 

クマは驚きながらも

強気に出ていく

 

「だったら生きてみなさい!

 

 この私の力に少しでも

 抗えるというのならね!!」

 

と再び二体の兵隊を呼び出して

クマに向かわせていく

 

「キントキドウジ!」

 

クマは自身のペルソナを呼び出すが

 

気力が限界だったことも手伝って

キントキドウジにノイズが入るように

 

存在が不安定になっている

 

そこに突っ込む二体の兵隊

 

だがその二体の兵隊に

突っ込んでいく影が

 

二体一気に切り込んでいくのであった

 

その切り込んだ相手と言うのは

 

「クマ君!」

 

直斗のペルソナ

 

スクナヒコナであった

 

「まずい・・・

 

 せめて敵の能力を

 防ぐことができれば・・・」

 

直斗は増殖の大伯爵をじっと見る

 

「(普通に考えると

  あの翼をどうにかできれば

 

  おそらく奴はもう兵を呼び出せない・・・

 

  しかしそのためには

  もっと奴に接近しないと・・・)」

 

直斗は敵の広げている枝状のそれに注目する

 

敵の兵隊はその部分から

目が出て花が咲き果実となって

 

兵を生み出しているというもの

 

単純に考えれば

その部分を落とせばいい

 

「(やるしかない!)」

 

直斗は銃を手にもって

攻撃を仕掛けていく

 

だが直斗の持っている銃では

敵の枝に当てることはできても

 

落とすまでには至らない

 

「蚊がさした程度だね・・・

 

 そんなので私を討てると

 本気で思ってるのかな!?」

 

と手に持っているバトンを

警棒のように伸ばして振るう

 

「く・・・」

 

直斗はそれに気づくも

敵の動きの方が圧倒的に早い

 

「ミラディ!」

 

するとそこに

激しい銃撃が大伯爵の体に炸裂していく

 

「大丈夫!?」

 

ノワールがそう言って

直斗のもとに駆け寄ってきた

 

「この・・・・」

 

ノワールは手に持っている斧を

勢いよく増殖の大伯爵に向かって振り上げた

 

だが大伯爵はその斧を

バトンで何と斧の側面をあてて

 

何と軌道をそらしてしまう

 

「きゃ!」

 

その反動で体勢を崩してしまうノワール

そんな彼女に向かっていく増殖の大伯爵

 

「キッド!」

 

するとそこにキャプテンキッドが

大伯爵に突っ込んでいくが

 

大伯爵の広げた

枝状の物体に衝撃を止められてしまい

 

更にとらえられてしまう

 

「クソが・・・」

 

スカルは自身のペルソナの受けた

ダメージの反動で苦い顔をして膝をついた

 

「スカル!」

 

そこにゾロが現れて

剣の一振りで起こした風が

 

キッドをとらえていた枝状の物体を

切り裂いていき、キッドの解放に成功する

 

「助かったぜモナ」

 

「油断するな!

 

 敵はまだ健在だぞ」

 

モナはスカルに注意すると

大伯爵は再び兵隊を繰り出していく

 

だがその兵隊は氷に包まれて

動きを止めていく

 

「ジョーカーたちが

 戻ってくるまで・・・・・

 

 何としても持ちこたえるぞ!」

 

フォックスは言うが

やがて氷は破られて再び敵が繰り出されていく

 

「ダメ・・・・

 

 このままだと・・・・」

 

ノワールは後ろ向きな言葉をつぶやく

 

一同の様子から

疲れが見え隠れしていく

 

「皆さんの気力も体力も

 もう限界が近いです・・・」

 

「お願い先輩・・

 

 早く来て!」

 

「くっ・・」

 

ナビ組もその様子を見て

焦りが見えていく

 

「人間とはなんとも

 悲しいものだね・・・

 

 すぐ疲れるし

 すぐに倒れるし

 

 すぐに死ぬ・・・」

 

引き切れを起こして満身創痍の一同に

歩み寄ってくる増殖の大伯爵

 

まずはゆかりたちの方に向かっていく

 

「く・・・」

 

「まずは見せしめとして

 貴方をここで殺してあげるね・・・

 

 あなた一人でどうなるのか

 わからないけど死体でもさらしておけば

 ここで無様に倒れている子虫ちゃんたちも

 私たちに立ち向かっていく気力なんてなくして

 しまうでしょうね・・・」

 

とゆかりの服から

彼女をつかみあげては

 

壁にたたきつける

 

「ぐう・・・」

 

「私たち試練の軍勢・・・

 

 いいえ、我ら罪徒に歯向かった

 罪をその命をもって思い知りなさい・・・

 

 それじゃあ・・・」

 

と増殖の大伯爵は手に持ったバトンを

警棒のように伸ばしてそれを高く振り上げる

 

「(そんな・・・

 

  アタシは、こんなところで・・・)」

 

ゆかりは必死に抵抗するが

身体が思うように動かず

 

意識が遠のいていく

 

「(有里君・・・!)」

 

最後に思い浮かべたのは

自分たちのリーダーの顔であった

 

「はああああ!!!」

 

バトンを勢いよく振るう

 

ゆかりは思わず目をつぶる

 

すると

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「オルフェウス!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ!?」

 

その声が聞こえ

現れたオルフェウスが

 

増殖の大伯爵に激突する

 

「え・・・」

 

そこに駆けつけてきたのは

 

「ゆかり!」

 

「みんな大丈夫!?」

 

湊と真琴、さらに

 

「ヘルメス!」

 

順平はヘルメスを繰り出して

大伯爵に体当たりを仕掛けていく

 

「ヒーロー見参!」

 

「風花に言われて

 急いで駆け付けてきたんだ

 

 でも遠くて思った以上に

 時間がかかっちゃって・・・

 

 ごめん・・・」

 

座り込むように倒れるゆかりに

申し訳なさそうにつぶやく湊

 

「いいよ・・・

 

 君はちゃんと来てくれたから・・・」

 

ゆかりは力はないが

笑みを浮かべてかえした

 

「あとは私たちに任せて

 みんなは休んでて!」

 

真琴も続けて言う

 

「へっへー

 

 まあ無理しないで

 休んでなって

 

 行こうぜ二人とも!」

 

「うん!」

 

「おー!」

 

と三人は前に出ていく

 

「増援か・・・

 

 しかし子虫が

 三人増えたところで

 

 状況がひっくり返るものか・・・!」

 

すると

 

「三人だけじゃない!」

 

そこにさらに特攻で

突っ込んできたのは

 

イザナギであった

 

「俺達も来たぜ!」

 

「お待たせ!」

 

「待たせたな」

 

「ふう・・・・

 

 何とか間に合ったみたいね」

 

「あとは任せて!」

 

これで討伐に向かっていた一同が全員集まった

 

「フフフフ・・・

 

 ハハハハ・・・

 

 あーっはっはっはっはっ!!!

 

 子虫がいくら増えようと

 結果は同じ、それがわからずに

 

 喜んでる愚か者どもめ!」

 

そう言って増殖の大伯爵は

手に持ってるバトンを警棒のように伸ばして

 

それを上に突き上げると

 

「あれは・・・!?」

 

湊の言葉とともに

一同は構えていく

 

この動作には見覚えがあるからである

 

そうそれは

 

「フフフフ・・・

 

 ハハハハ・・・

 

 あーっはっはっはっはっ!!!」

 

バトンから黒いオーラが

翼を広げるように噴出していく

 

そのオーラに包み込まれていく増殖の大伯爵

 

そのオーラは放出されると

増殖の大伯爵は容姿を変えて現れる

 

頭部には植物の雌蕊のような角がが生え

背中からは枝のようなもののほかに植物の葉のような翼が

 

四対八枚広がっており

 

その手からは枝の先のような爪を携えていた

 

「おいおいおい

 

 なんかやばくねえか!?」

 

「姿が変わった・・・

 

 これって確か・・・」

 

「うん

 

 命令の大総裁が

 使ったのとおんなじ・・・・」

 

「く・・・

 

 まさかまだこの能力を

 残してるなんて・・・」

 

身構える一同

 

「フフフフ・・・

 

 似合うかしら?

 

 貴方達を絶望へといざなうに

 ふさわしい姿だと思わない?」

 

すると

 

増殖の大伯爵の背中から

何かがうごめいていく

 

「あれは・・」

 

それはまるで

植物の根のように

 

枝分かれしている形状の尾である

 

その内の一本を地面に突き刺すと

その一本から黒いオーラ状のエネルギーが

 

大伯爵のもとに吸い上げられていく

 

すると大伯爵の背中から

伸びている枝のようなそれから

 

またしても兵隊が生み出されていく

 

しかも今度は解放前の姿だが

増殖の大伯爵である

 

「うそでしょ・・・」

 

「まだこんな能力を持ってたなんて・・」

 

ゆかりと乾があまりの光景に思わずつぶやく

 

「まだだ

 

 あいつらを見ろ・・・・」

 

明彦はふいに

対峙している者たちの方を見る

 

「彼らはまだあきらめていない・・・

 

 私たちはまだここで

 あきらめるわけにはいかない

 

 今の彼らのようにな」

 

美鶴も続けて言う

 

彼らは増殖の大伯爵の更なる姿を前にしても

決して臆するようには見えない

 

「ほう

 

 人間のくせに

 この私の姿を前にして

 

 どうして変わらずに立ち続けるのか・・・・

 

 まったく力の差もわからぬほどの

 大バカ者だな」

 

「確かに君は強い

 

 でもそんなのは大したことじゃない」

 

「私たちはこんなところで

 立ち止まっているわけにはいかないの!」

 

湊と真琴が言う

 

「力の差がわからない大バカ者か・・

 

 確かにそうなのかもしれない・・

 

 でもだからってあきらめるわけにはいかない!」

 

悠も言う

 

「最後まであきらめずに向かっていく

 これもまた人間の力だ!」

 

暁の言葉を皮切りに

 

「「「「ペルソナ!!!!」」」」

 

四人のペルソナが

一斉に向かっていった

 

「ぬう!」

 

両腕の爪を

武器のバトンの時のように

警棒を伸ばすかのように伸縮させ

 

それで空を切ると

呼び出していた二体の分身が

 

四体のペルソナに向かっていく

 

その二体の分身を

イザナギとアルセーヌが引き受け

 

二体のオルフェウスが

一斉に増殖の大伯爵へと向かっていく

 

「この程度の力で

 この私を倒せるか!」

 

と爪を振るって応戦する増殖の大伯爵

 

二体のオルフェウスは

持っている竪琴で敵の一撃を受ける

 

「うおおおお!!!」

 

「はあああ!!!」

 

そこに湊と真琴が

突っ込んでいき

 

それぞれが手に持っている武器で

大伯爵の体に切り込んでいく

 

「この・・・

 

 子虫風情が生意気な真似を・・・」

 

攻撃をうけて

身体を抑えていた大伯爵

 

すると両手を広げ

蔓のようになった指を

 

伸ばしていき

巨大な爪を持った腕になる

 

「気を付けて!」

 

「湊の方もね!」

 

その巨大な腕を

大きくふるって向かっていく

増殖の大伯爵の猛攻を冷静に見切って

 

その猛攻をかわしていく

 

「はああああ!!!」

 

湊は大振りの一瞬の隙を狙って

そこに剣による一撃を振るっていく

 

だが敵の方も

その動きを予測し

 

湊の体をつかみかかる

 

「子虫は速さだけはあるようだが

 見切れぬほどではない」

 

「そうみたいだね・・・

 

 でも!」

 

すると後ろから

とてつもない衝撃が

 

増殖の大伯爵に加わり

大きくふっとばされていく

 

「へっへー

 

 俺っちらもいること

 忘れるなよ!」

 

攻撃を加えたのは

順平のペルソナのヘルメスであった

 

「ぬう・・・」

 

一方、分身と対峙していた悠とイザナギ

 

防戦一方の悠

 

だがその時

分身のもとから炎が突然

 

吹きあがっていく

 

「無茶をしないで!

 

 私たちもいるんだから」

 

「すまない雪子」

 

炎を繰り出したのは雪子のコノハナサクヤだった

 

雪子は炎を繰り出して

悠のサポートをしていく

 

一方のジョーカーとアルセーヌのほうも

同じように決定打を与えられるような

 

攻撃が与えられていない

 

そこに炎と熱による攻撃が放たれていく

 

「大丈夫!?」

 

「ここからは

 私たちも行くよ!」

 

クイーンとパンサーも

戦闘に加わり、ジョーカーのサポートを

 

行っていく

 

「子虫風情が・・・」

 

分身たちの方は

サポートが入ってきたことにより

 

形勢を逆転されて行っている

 

「イザナギ!」

 

イザナギは

手に持った武器をもって

 

分身を真っ二つに切り裂く

 

切り裂かれた分身は

熟した果物のようにつぶれてしまうのだった

 

「アルセーヌ!」

 

ジョーカーの方も

アルセーヌに攻撃を仕掛けさせて

 

自分は後ろに回っていく

 

分身はそれに気が付き

攻撃を繰り出そうとしたが

 

そこにパンサーの追撃が入って

行動を邪魔されてしまう

 

「はあ!」

 

ジョーカーは分身の上に

駆け上がって頭部にナイフを突き立てる

 

「ぐああああー!!!」

 

「はああーー!!!!!」

 

頭部を裂かれる分身

 

同じように熟した果物のように

つぶれ去ってしまうのであった

 

「どうやら

 分身の方はうまく倒したみたいだね」

 

「よし!

 

 湊!!

 

 私たちも本気で行かないと!!!」

 

と二人ももう一度構えていく

 

「調子に乗るなああああ!!!」

 

増殖の大伯爵は

背中に広げた翼とは別に

 

枝上の物を伸ばしていく

 

「この私に

 

 我らが罪徒に歯向かうものに

 私の恐ろしさをじっくりと味合わせてやる!」

 

増殖の大伯爵は怒りを表すように

枝をさらに伸ばしていく

 

その枝はまるで槍のように先がとがっていき

一同に向かって突き出されていく

 

「まずい・・・!」

 

「ぐう・・・」

 

その攻撃に

湊と真琴は武器を使って

 

いなしていきつつ猛攻をかわしていく

 

「忘れるなよ

 

 私の力がどのようなものなのかを!」

 

するとその枝からいくつもの

果実のようなものが付いて

 

そこからまた増殖の大伯爵そっくりの

分身が現れ襲い掛かっていく

 

「ぐう・・・」

 

現れた兵隊たちの猛攻に

押され始めていく二人

 

「我らに歯向かうことの愚かしさを

 思い知るがいい!

 

 消えろ・・・」

 

と分身は武器を高くにあげて

二人に振りかざそうとする

 

とそこに

 

分身が十字に

切り裂かれて熟した果実のように

 

つぶれてしまった

 

「うん!?」

 

驚愕する増殖の大伯爵

 

そこに立っていたのは

 

「やれやれ

 

 聖徒のいる場所に

 攻めてくるとは

 

 大胆なことしやがるな」

 

当夜であった

 

「聖徒!

 

 まさかこんなところに・・・」

 

「罪徒、増殖の大伯爵!

 

 悪いがこれ以上この里を

 襲わせたりなんてさせない!!」

 

当夜はそう言って宣言する

 

「子虫風情が大きな口をたたいて・・・

 

 そういう言葉はこの私を倒してから

 言いなさい!」

 

と植物の葉のような翼を広げて

ラルヴァフィールドを展開した

 

「おいおいおい、これって・・・・」

 

「ラルヴァフィールド・・・」

 

「ってことは・・・・

 

 って、やっぱペルソナが出せない」

 

「でもこの場合

 どうするのかは

 

 命令の大総裁の時に

 実践済みよね」

 

真の言葉に

一同はうなずく

 

「ああ・・・

 

 あの翼を落とす!」

 

と増殖の大伯爵の植物の葉のような翼に狙いをつける

 

「聖徒などこの空間に引き込めば

 子虫と同格・・・

 

 おそるるに足らん!」

 

と両手の枝で構成された

巨大な腕を振るっていく

 

「よっと!」

 

当夜はその一撃をかわし

その巨大な腕を切り裂いて攻撃を

無効化していく

 

「何!?

 

 どうなっている

 

 なぜこの空間で

 聖痕の力を!」

 

「さあな

 

 俺にもよくわかんねえけど・・・

 

 今はどうでもいい!」

 

とそのまま向かっていく当夜

 

「はあああ!!!」

 

当夜は敵が伸ばしていく

槍状にとがらせた枝を巧みにかわしていく

 

「ぬうううう・・・

 

 土よおおおお!!!」

 

地面の土が大きくせりあがっていき

それがとがってドリルのように回転して

 

当夜に向かっていく

 

当夜はその攻撃に圧倒されていく

 

「ぐう・・・」

 

当夜は攻撃をかわしていくものの

どうしても増殖の大伯爵のもとに

 

たどりつくことができない

 

「やはり所詮は子虫・・・

 

 近づけさせなければ

 どうと言うことはない」

 

増殖の大伯爵は

背中に広げた葉のような翼を羽ばたかせて

 

素早く飛び上がって

一気に距離を縮めていく

 

そして再び巨大な腕の

爪を振るって攻撃を仕掛けていく

 

「く・・・」

 

当夜も巨大な腕につかまれないように

素早く移動しつつ巨大な腕を切り裂いて

 

無効化していく

 

「当夜!」

 

「く・・・」

 

そこに由奈と有紀も合流する

 

「ぐう」

 

当夜は意を決して

増殖の大伯爵の懐に

 

入っていき

 

「てやあああ!!!」

 

彼女の胸部に二本合わせた聖剣を突き立てる

 

「この程度の攻撃ぃ!」

 

だが増殖の大伯爵は

その攻撃をはじいていく

 

「ぐう・・・」

 

はじかれて大きく後ろに下がって

体制を保ちつつ着地する

 

「ふはははは!!!

 

 このラルヴァフィールドの中で

 聖徒の力を使えることには驚いたけど

 

 所詮あんたなんて相手にならないということね・・・」

 

と笑みを浮かべて迫っていく

 

「私たちに歯向かったことが

 どれほど愚かしい真似か思い知らせてやる

 

 激しい絶望と後悔の中でな・・・」

 

と翼を通じて

 

枝のようなものを背中から

大きく網目状に広げていき

 

見せつけるようにする

 

だがそんな中でも当夜は

決して強いまなざしを落とすことはなく

変わらずに増殖の大伯爵をにらみつけていく

 

「貴様・・・

 

 私の力が恐ろしくないのか?」

 

「おあいにく

 

 こっちはあんたの力なんて

 目じゃないほどに罪徒の力には

 

 慣れているんだからな・・・」

 

当夜のその言葉に

更に機嫌の悪そうな表情を見せる

 

「お前たちがどれだけあがこうと

 私たち、罪徒にかなうとでも思ってるの?

 

 ちっぽけな子虫の力だけで!」

 

「かなう敵わないじゃねえ・・・

 

 絶対に勝つんだ!

 

 俺はそのためにここに来たんだからな!」

 

当夜はそう言って剣を二つに戻して

両手に構えて大きくふるう

 

すると当夜の体が

光を放ってそれがあたりに広がっていく

 

「こ、これは!?」

 

「エーテルエネルギー・・!?」

 

その様子に敵のみならず

有紀と由奈も驚愕していく

 

「ど、どうなってるの・・・?」

 

ゆかりが驚愕する二人に聞いた

 

「この世界を創造する力

 

 エーテルは本来は

 私たちは扱うことは

 できないけど・・・

 

 彼は自分で自分の

 エーテルを生み出してる・・・」

 

「つまりそれは・・・

 

 彼はこの世界の最後の希望・・・」

 

二人が話す中

 

「ま、まさか貴様は

 元徳神に選ばれしもの・・・」

 

増殖の大伯爵もともに叫ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「稀人!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「稀・・・人・・・・?」

 

「どういうことだよ・・・・」

 

順平も陽介も理解が追い付かなかったが

 

そこに一同に

一枚のカードが降ってくる

 

「こ、これは・・・?」

 

「ひょっとして

 

 ペルソナ・・!?」

 

するとそのカードは

自分たちの胸の中に

 

吸い込まれるように消えてしまった

 

「な、なんだ・・・

 

 何なのだ貴様は!?」

 

増殖の大伯爵はあまりの出来事に

大きくたじろいていく

 

「俺は何者でもない・・・

 

 おれは桐巣 当夜・・・

 

 この暗黒にまみれた世界を

 終わらせるのが俺の夢だ!」

 

当夜は宣言する

 

すると彼の体が光り始めていき

辺りの空間を光に包み込んでいく

 

「彼ってすごいね・・・

 

 こんな状況でもあきらめずに

 立ち向かっている・・・」

 

「私たちも負けてられないね!」

 

「ああ・・

 

 その通りだ!」

 

「俺達だって・・・

 

 まだまだやれる!」

 

とリーダーの四人が

立ち上がるとその体に光が

 

照らし出されていく

 

「く・・・」

 

「こ、これは・・・・」

 

その様子に思わず目を背けてしまう面々

 

「「「「ペルソナ!!!!」」」」

 

四人は叫んで

自分たちのペルソナを

 

それぞれ呼び出していき

 

その攻撃が増殖の大伯爵の枝を

吹っ飛ばして行く

 

「ぐう・・・・」

 

「一緒に行くぜみんな!」

 

当夜の言葉に四人もうなずき

 

自分のペルソナを再び戻す

 

四人のペルソナは大伯爵の四肢を抑える

 

「な、なんと・・・」

 

「お前の罪・・・

 

 俺達が断罪する!

 

 てやあああ!!!」

 

当夜は剣を構えてとびかかっていく

 

そしてその体が勢いよく切り付けられていく

 

「増殖の大伯爵が・・・

 

 この私が・・・

 

 こんな子虫共に・・・

 

 ぐああああ!!!」

 

空中において

大きな音とともに

 

大爆発を起こす

増殖の大伯爵

 

「やった・・・」

 

「おおー!

 

 やったー!!」

 

増殖の大伯爵が破れたことにより

里を包んでいた枝状の物質が

 

段々と枯れるようにして

消えていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

戦いの後

 

一同は宿屋のテラスにおいて介していた

 

「稀人・・・

 

 そんな名前の付いた

 特別な人がいるとは・・・」

 

直斗が当夜を見てまじまじと見つめる

 

「私たちも驚いています

 

 稀人がここに現れるのは

 暗黒の楽園が始まって180年間

 

 一度も確認されていませんから」

 

由奈は言う

 

「考えてみたら妙だったのよね・・・

 

 命令の大総裁の時、当夜

 聖痕開放の時の服装のままだったのに・・・」

 

「俺も気が付かなかったな・・」

 

「僕らはもともとこの世界の住人じゃないし・・・」

 

悠の言葉に、湊は突っ込みを入れる

 

「ですが・・

 

 もしかしたら

 突破口になるかもしれませんね・・」

 

「突破口って?

 

 一体どういうことだよ?」

 

由奈の言葉に陽介が疑問を述べる

 

「前に言ったでしょ?

 

 罪徒の住処である迷宮は

 中はラルヴァエネルギーに満ちてて

 

 中に入ってもエーテル濃度が低いせいで

 私たちは戦えないって・・・

 

 でもエーテルを体から生み出せる存在・・・

 

 稀人と一緒なら

 エーテルフィールドを広げて

 

 その中でなら

 私たちも貴方達も戦える

 

 迷宮を攻略する突破口に

 なるかもしれないってことなのよ・・・」

 

「つまり、当夜と一緒なら

 私たちも戦えるってこと!?」

 

ゆかりが言う

 

「ってことはどういうことなんだ?」

 

「要するにいまこのエリアHを攻略している迷宮はもちろん

 

 今後俺達が向かうべき大罪の迷宮でも

 俺達はペルソナの力を使える・・・・

 

 そういうことだろう」

 

順平の疑問に明彦が答えていく

 

「俺達が元の世界に戻るための鍵かもしれねえ

 罪徒の頂点に君臨する、王クラスの罪徒・・・・

 

 その頂点に立つのが

 六人の皇帝の爵位を持つ

 

 通称、六大皇帝か・・・・」

 

「ってことは

 

 当夜君が一緒だったら

 このエリアもほかの迷宮も

 

 攻略できるってことでしょ!?」

 

と千枝が興奮気味に言うが

 

「それは難しいだろう・・・」

 

それを美鶴がバッサリと切る

 

「確かに彼の近くにいれば

 私たちもペルソナの力を扱える

 

 だがそれはつまり

 彼が一緒でなくてはなりたてない

 

 さっき言っていたように

 迷宮の核である主・・・

 

 迷宮を支配に置いている王・・・

 

 この二つにそれぞれ向かうメンバーが必要だ・・・」

 

美鶴の言葉にはっとする一同

 

「そっか・・・

 

 当夜君は一人しか

 いないから・・・

 

 どっちかは戦えても

 どっちかは戦えなくなる・・・」

 

雪子がその問いに答えるのだった

 

「だったら先に主を攻略して

 次に王を討てば・・・」

 

真は提案するが

 

「難しいですね

 

 王や主にとって

 迷宮はいわば体の一部のようなもの

 

 どちらか一方に偏れば

 その分もう一方には余裕ができてしまう

 

 つまり一方がもう一方のサポートが

 できてしまうということなんです・・

 

 少なくともこの人数でも

 攻略は難しいでしょうね・・」

 

由奈がそう答えた

 

「それじゃあ結局

 振出しに戻っちまうぜ・・・」

 

「それじゃあどうしたらいいの・・・」

 

考える一同

 

すると

 

「・・・方法ならある

 

 俺は二つには分けられないけど

 代わりに二つに分けられるものがある・・・」

 

当夜が言う

 

「二つに分けられるもの?」

 

「それって一体・・」

 

陽介と千枝は恐る恐る聞いていく

 

そして当夜は口を開いていく

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

「なるほど・・

 

 確かにそれなら

 当夜がいなくとも

 

 同じ影響を受けられるかもしれませんね・・」

 

「そうね・・・

 

 そんな発想を考え付くなんて

 さすがは当夜よね・・・」

 

由奈と有紀は当夜の案に

感心している

 

「ようし・・・

 

 それではさっそく

 チーム分けをしていこう・・・」

 

「王のもとを目指すものと

 主のもとを目指すもの・・・

 

 二手に分かれないとなりませんからね・・・」

 

「それじゃあさっそく

 作戦会議を始めましょう」

 

と一同は一介に集まるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

果たして当夜の奇策とは・・・ ・・・・ ・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




少年の奇策

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・

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