仮面十二/五/二十一 三つの世界と九つの枢要大罪 聖と罪の戦い   作:OOSPH

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戦いの後のひと時

・・・ ・・・・ ・・・・・

・・・・・・・ ・・・・・・・・・


15、ビギニング

とある人里にやってきた一同

 

「お疲れさまでした

 

 何とか全員無事に帰ってこれましたね・・・」

 

「お疲れ様でーす

 

 悠先輩、みんなも無事に帰ってこれて

 よかったね・・」

 

「やれやれ・・・

 

 一時はどうなるのかと・・・」

 

三人の少女が最初に声を上げる

 

「やっべ美少女が三人も並んで・・・・」

 

「むほほーこれまた華ですのう」

 

「まったくだな・・・・」

 

反応する三人

 

「どうやら無事についた見てぇだな

 

 そんであんたたちは

 この世界とは別の世界から来た・・・

 

 そういうことでいいのか?」

 

「道中で話を聞いていたが

 

 まさか俺達と同じ境遇だとはな・・・・」

 

「もう話についていけないよ・・」

 

「まあようするに

 ここにいる全員が

 

 この世界に迷い込んだ

 

 そういうことでしょ?」

 

明彦と千枝の会話を

杏がざっくりと切り込んだ

 

「しっかし驚いたよね・・

 

 まさか私たちとおんなじ

 ペルソナ使いがほかにもいるなんて・・」

 

「ここで出会ったのも何かの縁だ・・・

 

 まずはお互いのことを

 紹介していこうじゃないか・・・

 

 私は桐条 美鶴

 

 我々はシャドウ殲滅を

 目的としている・・・

 

 特別課外活動部、通称’SEES‘として

 活動している・・・

 

 そして彼と彼女は

 有里 湊と結城 真琴

 

 私たちの前線に立つ

 リーダーを務めている」

 

「まじで!?

 

 相棒と一緒じゃん!」

 

「よろしく・・・」

 

「よろしくお願いします!」

 

静かに答える港と

明るく答える真琴

 

「こちらこそ・・」

 

「ど、どうも・・・」

 

悠と暁も軽く言葉を交わす

 

「まあ別々に紹介していくよりは

 ここはそれぞれのメンバーから紹介していこう

 

 まずは私たちの方からだ

 

 私の方はもう済ませたから

 次はほかの三年生から紹介していこう

 

 三年は私のほかに二人いる」

 

「真田 明彦だ

 

 ボクシング部の主将を

 勤めている

 

 好きなものはプロテインだ!」

 

「俺は荒垣 真次郎

 

 一応三年、になるのか・・・・・」

 

美鶴に続いて

二人の男子が紹介する

 

「次は二年組かな

 

 私は岳羽 ゆかり

 

 えーっと、弓道部です」

 

「俺は伊織 順平

 

 平和をこよなく愛する

 ヒーローでーす!」

 

「ええっと、次は私、かな?

 

 あの、や、山岸 風花です

 

 SEESではバックアップを担当しています」

 

「私も月光館学園では

 二年に当たり

 

 アイギスと申します

 

 湊さんと真琴さんのそばにいることが

 私の大切であります」

 

二年組も手短に済ませていく

 

「次は僕ですね

 

 天田 乾です

 

 乾くと書いて

 けんって言います

 

 僕はほかの皆さんと違って

 月光館学園の初等部の五年生です」

 

天田が言い終えると

彼らのそばにいた白色の柴犬が

 

ワンと一声鳴く

 

「コロマルさんです

 

 満を治しての

 最後の自己紹介に大変な意気込み用です」

 

「犬、ですか・・

 

 私は平気ですが

 この世界の人間には

 合わせられないかもしれませんね・・」

 

由奈の一言にコロマルは元気のないように小さく鳴くのであった

 

「こいつも一緒に戦うのか・・・」

 

「我々は以上だ

 

 君たちの事も

 教えてくれないか・・・」

 

美鶴は言う

 

「じゃあ次は俺達が

 

 俺は鳴上 悠

 八十神高校の二年です」

 

「俺は花村 陽介

 

 同じく高二で

 こいつの相棒ってとこだ」

 

「ええと、里中 千枝です

 

 同じ高二で・・」

 

やや口ごもる千枝

 

「うう、キンチョーする・・」

 

「好きな物はプディングでーす」

 

「本当は肉だ」

 

「花村、戻ったら

 靴跡の刑だからね

 

 鳴上君も悪乗りしないの・・」

 

そんな漫才が繰り広げられていた

 

「ええっと、次は私かな?

 

 天城 雪子、高校二年です

 

 千枝、鳴上君とは同じクラスなの」

 

「ちなみに俺もクラスメートね・・・・」

 

陽介が付け足す

 

「こっからは一年だね

 

 私は久慈川 りせ

 

 先輩たちのバックアップを

 担当してます

 

 よろしくね」

 

「あー俺は、巽 完二っす」

 

「僕は白鐘 直斗

 

 よろしくお願いいたします」

 

一年組も紹介をしていき

 

「最後はクマの番ね!

 

 八十稲葉の誇る地元デパート

 ’ジュネス‘の愛されゆるふわ

 マスコット、クマクマー!!

 

 そしてこのクマ

 このキュートなクマ皮を

 大胆不敵に脱ぎ捨てると・・」

 

と自分の着ている着ぐるみを脱ぎ捨てる

 

「中からドレッシーで可憐な

 美青年が生まれるクマ~」

 

「着ぐるみいつも着てて熱くないのかな・・・」

 

「とりあえず里に入るときは

 それ脱いでくださいね・・

 

 そのままで入って

 前にいた里、実質追い出されたものですから・・」

 

由奈に言われてガビーンと

言わんばかりの反応を見せるクマであった

 

「それじゃあ最後は

 ワガハイたちだな

 

 ワガハイはモルガナ

 まあこいつらの指南役のようなものだ

 

 そしてこいつが

 われらがリーダーの来栖 暁だ」

 

「よろしく」

 

「それじゃあこっちも

 三年から紹介していくね

 

 私は新島 真

 

 秀尽高校の三年で生徒会長を務めてるわ」

 

「俺達の参謀役も兼任してる」

 

「さんぼー?」

 

「作戦を立てたりする人のことだね」

 

クマの疑問に雪子が答える

 

「次は私だね

 

 奥村 春です

 

 不束者ですが

 よろしくお願いいたします」

 

「おお

 

 桐条先輩とは違う意味で

 お嬢様っぽい!」

 

「本当にお嬢様だけどね・・・」

 

順平の一言に真が言う

 

「じゃあ次はアタシらね

 

 私は高巻 杏

 

 来栖君とはクラスメートで

 前の席なんだ」

 

「俺は坂本 竜司

 同じく二年だ

 

 クラスは違うけどな」

 

「俺は喜多川 祐介

 高校二年だ」

 

「あれ?

 

 どうして制服が違うの?」

 

千枝が聞く

 

「俺は洸星高校で

 暁たちとは高校が違うんだ

 

 あるきっかけで出会った

 そう、これぞまささに・・・・」

 

「はいはい

 

 おイナリはもう

 引っ込んでろって

 

 あ、えっと・・

 

 佐倉 双葉・・・です・・・

 

 ええっと・・・」

 

「すまない・・・

 

 双葉は人づきあいが苦手でね

 

 俺達のバックアップを担当している」

 

「私と風花ちゃんと一緒だ」

 

「あれ?

 

 でもどうして

 制服とか着てないの?」

 

風花はふいに聞いた

 

「・・・アタシ、その・・・

 

 中学卒業してから

 学校とか通ってないから・・・」

 

「そうなの!?」

 

「登校拒否って奴!?」

 

順平は言う

 

「と言うより

 高校に入学してもいないしな

 

 年齢的には高一なんだけどな・・・」

 

「高一・・・タメか」

 

「何か事情がありそうだな・・・

 

 とにかくこれで

 全員の自己紹介が終わったな」

 

すると

 

「あ、あの~

 

 あの後色々

 ごたごたしてたから

 仕方ないけど

 

 私たちも自己紹介した方が・・・

 

 初めましての人たちもいるんだし」

 

「む、そうだった・・・

 

 すまない」

 

美鶴は懸念していたと

いわんばかりに頭を構える

 

「改めましてと初めまして

 

 小野 有紀です

 

 この世界で聖徒として

 活躍しています」

 

「私は樋長 由奈と申します

 

 有紀さんとは昔一緒に

 戦ったことがあって面識があります

 

 よろしくお願いします」

 

二人は自己紹介を務めていく

 

「お、次は俺か

 

 俺は当夜

 

 桐巣 当夜!

 

 俺の夢は

 この暗黒の楽園を

 終わらせることだ!!」

 

と言い放つ

 

「おお!

 

 すっげえ」

 

「なんかかっこいいなお前」

 

「暗黒の楽園って・・・

 

 この世界のことだよね?」

 

ゆかりが聞く

 

「ああ・・・

 

 俺の夢は

 この世界の人々を

 苦しめる罪徒を倒して

 

 この世界を笑顔であふれる世界に

 するのが夢なんだ・・・」

 

当夜は力強く言う

 

「あんたは相変わらずね・・・

 

 そんなこと本当にできると

 思ってんの?」

 

「私は素敵だと思いますよ

 

 もしもそんな世界が来るのなら

 とても素敵なことだと思いますし・・」

 

有紀と由奈はそれぞれの意見を言う

 

「ともかく自己紹介は

 これで終わったな・・・

 

 とにかく今考えることは

 これからどうすればいいのか・・・

 

 私たちも君たちも

 元いた世界からここに落ちてきた・・・

 

 要は当面の目的は同じと言うことだ

 

 どうだ?

 

 ここは力を合わせて元の世界に

 戻る方法を探し出そうじゃないか・・・」

 

「確かに目的は同じだ

 

 それに戦力は多いに

 越したこともねえしな」

 

「私もそうね・・・

 

 少なくとも

 この世界にはさっき戦った

 命令の大総裁のような強敵もいるしね・・・

 

 ここは協力をした方がいいと思うけれど」

 

美鶴、陽介、真は

それぞれのリーダーに言う

 

「確かにそうだね・・・

 

 あの時の戦いで

 お互いに助け合った仲だし・・・」

 

「そうだね

 

 袖振り合うのも多生の縁っていうしね」

 

「目的が一致してるなら

 断る理由にもならないしな」

 

「どのみちこの世界で生き残るには

 あんな強敵と戦わないとならないかも

 しれないからな・・・」

 

リーダーたちはそう決定するのであった

 

「よっしゃ!

 

 それじゃあ意見が

 まとまったところで

 

 さっそく里に入るクマ

 

 もうクマは疲れたクマよ・・」

 

「確かに息抜きは必要かもね・・・

 

 それに私もあの時の戦いで

 武器を壊されちゃったし・・・」

 

雪子は右手を開いたり閉じたりして

自分は手持無沙汰だとアピールする

 

「そうですね・・

 

 そろそろ中に入った方がいいですね」

 

「さあて・・・

 

 それじゃあ入りますか」

 

と人里に入っていく一同

 

「あ、それと・・・

 

 コロちゃんとモナちゃんは

 博麗神社でおとなしくしててね」

 

「・・・・なっ!?

 

 なんでだ!」

 

「あなたのその姿は

 人々に恐怖を与えてしまうのですよ

 

 猫は嫉妬を象徴する動物ですから・・」

 

「猫じゃねえよ!

 

 モルガナだっての!!」

 

「それ俺ら以外

 たぶん理解できねえと思う・・・」

 

モルガナの言葉は

竜司の言葉とともに

 

却下されるのであった

 

「と言うことで

 コロちゃんとモナちゃんは

 神社で休んでてね・・」

 

「あとでちゃんと迎えに行ってあげるからね・・」

 

クゥーンと寂しそうに声を上げるコロマル

 

「ちょっと待て!

 

 それだったらそっちのクマは

 どうなんだよ!?」

 

「クマの場合は

 熊田の姿で行くから

 

 問題ないクマよ

 

 ムフフ~・・

 

 うらやましいぞよ?」

 

「くう~・・・・

 

 ワガハイもせめて

 人間の姿になれたら・・・・」

 

悔しがるモルガナであった

 

「とにかく入っていこう・・・」

 

と一同は里に入っていき

コロマルとモルガナを神社に預けて

 

宿に向かっていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

宿に戻った一同

 

その大半は

先の戦いでの疲れが出たのか

 

それぞれの部屋で伏せっている

 

起きているのは

怪盗団以外の

それぞれのリーダーと

バックアップ組

 

SEESの三年生組と

捜査隊の直斗

 

怪盗団の真

 

以上、十一人

 

由奈もその場にいる

 

「これまでわれわれが得た確証をまとめていこう

 

 私と鳴上、来栖達は謎の少女の手引きによって

 この世界に落とされた

 

 どういう意図があるのかまではわからないが

 先ほど戦った相手は人間ではなく

 

 罪徒と呼ばれている存在で

 この世界の人間たちを苦しめているということだな」

 

「罪徒は姿かたちが人間と何も変わらなかった・・・・

 

 とすると俺達を

 ここに連れてきたのは奴らである可能性が高いということだ」

 

「まあそうだろうな・・・・・

 

 タダの人間にこんなことができるとは

 おもえねえし、俺達のようなペルソナ使いが

 関係している可能性も低い

 

 当夜達はペルソナを知らなかったからな・・・・・」

 

SEESはそう結論していく

 

「かもしれません

 

 手掛かりとなるのは

 先生と言う存在・・・」

 

「先生・・?」

 

直斗が言う

 

「先ほどの命令の大総裁が言っていました

 

 先生と呼ばれるものから僕たちのことを

 聞いたと・・・

 

 もしかしたらその先生と言う謎の存在が

 僕たちをここに呼んだのかもしれません」

 

「ひょっとしてそれが・・・

 

 僕たちの前に現れたあの

 フードの人物・・・」

 

「そういえば自分のこと先生って言ってた・・・」

 

湊と真琴もうなづくが

 

「・・・・・・・」

 

真のみはやや疑問符を浮かべるように首をかしげる

 

「新島さん?

 

 どうかしたのですか?」

 

「ううん・・・

 

 私たちの方だけ

 何だか違うような気がして・・・

 

 私たちの目の前に現れたフードの女の子・・・

 

 もしかしたら私たちが出会ったのと

 貴方達が出会った先生とは別の存在なのかもしれない・・・」

 

「なんだと・・・!?

 

 一体どういうことだ?」

 

真の言葉に美鶴は

やや驚愕する

 

「その女の子とは

 どのような・・・?」

 

「赤いフードを羽織ってて

 緑色の短い髪・・・

 

 後は歯のある翼と

 口のある尾があって・・・

 

 それと・・・

 

 ・・・・・・・

 

 それと・・・」

 

真はそこまで言うと

口ごもった

 

「それとなんだ?

 

 何か言えないことがあるのか?」

 

明彦がやや詰め寄るように問いただす

 

「・・・・うちのリーダーのことを・・・

 

 先輩って読んでて・・・

 

 彼もその子のことを知ってるみたいだった」

 

それを聞いて一同は驚愕する

 

「それってつまり・・・

 

 来栖君とその赤いフードの

 女の子は顔見知りってことですか!?」

 

「いやいやいやいや

 

 牙のある翼とか

 口のある尾があるとかって

 

 人間じゃないでしょ・・

 

 どう考えても」

 

「それに

 

 もしも罪徒だとするなら

 なんで暁のこと先輩っていうんだ?

 

 だって罪徒はこの世界の敵だろ?」

 

ナビゲート組はそれぞれつぶやく

 

「君たちの方は

 その少女のことについて

 

 彼から何も聞いていないのか?」

 

美鶴は真と双葉に尋ねる

 

「ごめんなさい・・・

 

 彼って自分の昔のことは

 あまり話したがらないし

 

 口も堅いから・・・」

 

「まあ早い話

 アタシらも知らないってこった」

 

「そうですか・・・

 

 では今はとりあえず

 その疑問はおいておきましょう・・・

 

 問題はこれからどうすればいいのか・・・」

 

直斗が議題を口にする

 

「先生と呼ばれる存在も

 来栖さん達のであった赤いフードの女性の方は

 どこにいるのか今は見当が付きませんが・・・

 

 この世界から元の世界に戻る鍵であることには

 間違いはありません・・・

 

 そして皆さんもご存知の通り

 罪徒には爵位と呼ばれる階級があり

 

 その頂点である皇帝の爵位に君臨する

 六人の罪徒がこの世界にいます・・・」

 

「確か、六大皇帝と

 呼ばれているんだったな・・・」

 

「そいつらがどうかしたの?」

 

直斗の言葉の意味を聞く真

 

「僕たちがもしも

 元の世界に戻る鍵が

 あるとするのなら

 

 シンプルに考えると

 その六人の皇帝以外に

 いないと考えるのが自然です・・・

 

 先生と呼ばれている人物は

 どのような意図で僕たちをここに

 呼んだのかは現時点で分からない以上

 

 僕たちはまず目指すべき場所を

 見据えないといけない

 

 先ほど神社の巫女さんから聞きました・・・

 

 皇帝をはじめとする王の爵位を持つ

 罪徒はそれぞれ自らの巣である迷宮を中心に

 それぞれの領域、エリアを確定して

 

 この世界の大半を制圧しています

 

 逆を言えばその場所に行けば

 皇帝におのずとたどりつけます」

 

「なるほどな・・・・

 

 要はその迷宮に突入して

 そこの皇帝をたたいていけばいい

 

 と言うことか」

 

明彦が言う

 

「しかし一筋縄ではいかないでしょう・・・

 

 何せ罪徒の爵位の中では

 下から数えた方の早い

 

 大総裁クラスでも

 僕たち全員でかかっても

 

 勝てたのはやっとでした

 

 はっきり言ってその頂点である

 皇帝の力ははかり知れません・・・」

 

「だがほかに手がかりもない以上

 向かっていくほかねえと思うが・・・・・」

 

「私たちの今の力で

 どこまでやれるのか・・・

 

 やはり今後の課題は

 罪徒とどこまでやりあえるのかに

 かかっている・・・

 

 そういうことだな」

 

「当面の問題だった

 ラルヴァフィールドも

 

 当夜が攻略の鍵をつかんでくれました・・」

 

由奈は言う

 

「そういえばその当夜君は

 どこにいるんだろ」

 

「部屋で寝てるんじゃないかな・・・?」

 

湊はふいに当夜の安否を聞く

 

「彼ならば今外に出ていますよ

 

 少し夜風に当たっていきたいとのことです・・」

 

由奈が答える

 

「そうか・・」

 

「そういえばうちのリーダーも

 姿が見えないんだけど・・・

 

 どうしたのかね?」

 

「え?

 

 部屋に戻ってるんじゃないの?」

 

双葉の言葉に真はそう返す

 

「とにかく朝起きたら

 今後どうするのかを

 

 話し合っていこう

 

 こういうのは全員で話した方が

 いいと思うしな・・・」

 

美鶴の提案に一同はうなずくのであった

 

「しかし・・・

 

 先生はいったい・・・

 

 何のために僕たちを

 この世界に集めて・・・

 

 そこに一体何の意味が・・・」

 

直斗はそんな疑問を浮かべながら

部屋に戻っていくのであった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

宿屋 テラス

 

そこで一人の少年が

空を見上げていた

 

「・・・・・・」

 

怪盗団のリーダーの

来栖 暁であった

 

彼はテラスから

ぼっと景色を見ていると

 

ふいにそこに

顔見知りが下の方を

 

歩いているのが見えた

 

「あれは・・・

 

 当夜?」

 

ふいに当夜の姿を見て

気になった彼はそれを見て

 

ふいに下を降りてみることにした

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

当夜は一人

誰もいない場所にて

 

静かに剣に手を添えていた

 

そっと目を閉じて

次に備える戦いのために

 

すべてを見据えるように

 

するとふいに

何かを感じた当夜は

 

剣を鞘から抜いて振るう

 

そこにいたのは

 

「うわっと!?」

 

暁であった

 

「おおっ!?

 

 暁・・・!?

 

 びっくりしたな」

 

「びっくりしたのはこっちだよ・・・

 

 いきなり剣振るってくるんだからさ・・・」

 

ふうっとあきれるように

一息つく暁

 

「悪い悪い・・・

 

 ちょっと集中してたからさ」

 

「こんな夜遅くまで

 鍛錬していたっていうのか?」

 

暁はふいに聞く

 

「まあな・・・

 

 俺はちょっと

 特別だから・・・

 

 それよりも暁こそ

 寝なくていいのか?」

 

「ああ、ちょっと

 寝付けなくってな・・・」

 

暁はやや口ごもりながら答えていく

 

「それにしても

 当夜はどうして

 

 聖徒になろうと思ったんだ?」

 

「実は聖徒には自分から

 なれるわけじゃないんだ・・・

 

 聖徒はこの世界で信仰されている

 元徳神っていうのが特定の人間に

 聖痕を与えていくんだ

 

 そして聖痕を与えられたときに

 そいつは聖徒になれるんだ・・・」

 

当夜は説明していく

 

「そういえば当夜は

 自己紹介の時に

 

 暗黒の楽園を終わらせるのが夢だって

 言ってたよな・・・

 

 すごい夢だけど

 どうしてそこまで?」

 

「実は俺は・・・

 

 ガキの頃に

 罪徒に家族や友達を

 殺されちまったんだ・・・

 

 そこを聖徒協会に

 保護されたんだよ・・・

 

 ガキの頃だったから

 家族の顔もそこにいた

 人々のことも覚えてなくて・・・

 

 俺自身のこともよく知らねえんだ・・・

 

 桐巣 当夜って名前も教会で俺の

 世話をしてくれた人がつけていくれた名前さ・・・」

 

「そんなことが・・・

 

 何だかすまない・・・

 

 興味半分で聞いてしまって」

 

暁は申し訳なさそうに言う

 

「いいって

 

 だからこそ俺は

 俺みたいなやつを

 出したくないって

 

 聖徒として戦うことを

 決めたんだからな・・・

 

 過去は気にしないことにしたんだ

 

 前に進むには今を受け入れるしかない・・・

 

 だから俺は前に進むって決めたんだ」

 

「前に進むには

 今を受け入れる、か・・・

 

 確かにそうかもしれないな・・・」

 

暁は少し笑みを浮かべて

ふいに横の方を向いて

 

空に映し出される月を見つめるのだった

 

「さてと・・・

 

 それじゃあそろそろ

 戻っていこうか・・・

 

 俺達にはまだやるべきことが

 山ほどあるんだからな・・・」

 

「そうだな・・・」

 

当夜に言われて

暁は宿屋に戻っていこうとした

 

その時

 

「っ!?」

 

当夜は何かを

察知したように

 

里の外の方を見ていく

 

「どうかしたのか・・・?」

 

暁もそれに気づいて

ふいに当夜に聞く

 

「何かが来る・・・

 

 とてつもない力を

 持った何かが・・・」

 

「っ!?」

 

当夜の言葉に

ただならない雰囲気を

感じる暁であった

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

エリアH

 

暗黒の楽園にて

唯一罪徒の進攻を受けておらず

 

それゆえにこの世界の

大半の者たちはこの場所にて

 

平穏に過ごしている

 

その中心には

聖徒協会の中心

 

聖徒協会本部があり

 

支部やエリアのところどころにある

人々の居住区、里の平穏と管理に

 

務めているのであった

 

聖徒が多く訪れる

この場所に罪徒たちが

 

攻めてくることはなかった

 

この時までは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・ ・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・‣・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・・ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ある場所

 

そこに一人の場所が

歩いていくのであった

 

体の中のような

その場所をゆっくりと

歩いていくその人物は

 

ある場所にたどり着く

 

そこにいたのは

複数人の人物であった

 

「陛下・・・・・・

 

 試練の迷宮

 見事にエリアHに

 進攻完了いたしました・・・・・・」

 

その人物は

目の前で座っている

 

一人の人物に

報告をするのであった

 

すると

 

「ご苦労・・・・・・・

 

 われら試練の軍勢

 長き時をかけて

 

 ついにこの暗黒の楽園に

 さらなる歴史を残す時が

 

 ついに来たのだ・・・・・・・」

 

そう言って立ち上がる人物

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その背中から蝶の羽のような翼を広げて宣言するのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   




更なる出来事が

・・・ ・・・・・・・・・

・・・・ ・・・・・・・・

・・・・・ ・・・・・・・・

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