蒼が導く幻想の旅路~東方蒼幻録~   作:wingurd

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更新完了です。
我ながら早めに仕上がりました。

前半は魔理沙サイド、後半は覚醒レミリア戦と異変導入部になります。
なお、レミリアとは異変終息後に再戦予定となります。
(不完全燃焼な戦いになるため)

異変は主に二分構成で、どちらも戦闘パートです。
オリ主後日覚醒能力は後半戦闘パートで覚醒予定となります。

では、第3話最終パートをお楽しみください。


幻の旅路 第3話 緋色の狂気 part6(終)

~時は少し戻り、紅魔館大図書館前~

 

魔理沙

「さてと、パチュリーなら動かない筈だし、間違いなくいるだろ。」

 

魔理沙が図書館への扉を開け、声をあげた。

 

魔理沙

「おーい!パチュリーいるかー!?」

 

魔理沙の声の後に直ぐに返事が返ってくる。

ただし、返ってきたのは言葉ではなかった。

無数の弾幕が魔理沙の元へ殺到、慌てて避ける魔理沙に対し雨のような追撃の弾幕が押し寄せてきた。

 

魔理沙

「どわあ!?あっぶねえ!?いきなりなんなんだ!?」

 

???

「また私の本を盗みに来たのね!今度こそ追い返してやるわ!」

 

魔理沙

「パチュリーか!?ま、待てって!?話を聞け!」

 

魔理沙の叫びは届かず、追加の弾幕が降り注ぐ。

これに対し魔理沙は回避に専念、箒を使い弾幕をやり過ごしつつ攻撃者に呼び掛けていたが、一向に収まる気配がない。

そして、ついに魔理沙がきれた。

 

魔理沙

「この・・・!いい加減に、しろ!魔符「スターダストレヴァリエ」!!」

 

魔理沙がスペルカードを取りだし発動、魔理沙の周囲から巨大な星形の弾幕が現れ弾幕を薙ぎ払いながら進んでいき・・・

 

???

「むきゅ!?」

 

魔理沙を攻撃していた人物に直撃した。

 

魔理沙

「やべ!?大丈夫か!?って、あちゃー。気失ってら・・・。やっぱパチュリーだったか。仕方ない、運ぶか・・・。」

 

パチュリー

「むきゅー・・・。」

 

魔理沙は気を失った状態の少女を抱え、図書館の奥へ進んでいった。

 

■■■■■■■■■■■■■■

 

パチュリー

「むきゅー・・・はっ!?」

 

魔理沙

「よお、起きたか?ったく、いきなりぶっぱなしてきやがって。話ぐらい聞けよ?」

 

パチュリー

「・・・魔理沙。今楽にしてあげ・・・」

 

魔理沙

「これ以上やるなら顔面にマスパかますぜ?」

 

パチュリー

「・・・・・・・・・話って何?」

 

起きた後も魔理沙に敵意を示した少女、パチュリーに対し顔面に八卦炉を構えて脅しを言った魔理沙。

これでようやくおとなしくなった。

 

魔理沙

「今日は本を借りに来た訳じゃないんだぜ。いろいろ聞きたい事があるんだ。レミリアの事に加えていくつかな。」

 

パチュリー

「そうゆうのは本を返してから言うのが普通じゃ・・・」

 

魔理沙

「そう言うと思って、まだ読んでない本以外は持ってきた。返すぜ。だから話を聞いてくれ。」

 

パチュリー

「・・・は?・・・ま、魔理沙が、本を返す・・・?何これ?異変?明日幻想郷滅ぶ?ヤバい!逃げなきゃ!?」

 

ドオオオオオン!!!

 

パチュリー

「・・・ごめんなさい。」

 

魔理沙

「分かればよし。今回は割りとマジだ。話が進まないから、ボケるのは無しにしてくれ。」

 

ボケ倒してくるパチュリーの顔横へマスパをぶっぱなし黙らせる。

 

パチュリー

「で、話って何よ?ここまでするなんて、はっきり言うけど異変クラスよ?余程大事な話みたいね?わかった。こあー?机に飲み物二つ用意して。」

 

パチュリーはこあと呼ばれる少女に飲み物を用意させ、魔理沙の向かい側に移動し腰掛けた。

 

魔理沙

「質問は幾つか有るけど、先ずはレミリアについてだ。一体何があった?戒厳令なんてよっぽどのことだろ?」

 

パチュリー

「ああ、レミィが出したあれね?悪いけど私も知らないわ。とにかくここから出るなとだけ。元々出る気もないけどね。ただ・・・」

 

魔理沙

「ただ・・・って何だよ?何かあるのか?」

 

パチュリー

「フランのいる地下から得体の知れない感覚があるんだけど・・・それが何なのかは分からないわ。ものすごく嫌な予感がするだけね。」

 

魔理沙のレミリアについての質問に対し、パチュリーは知らないと答えた後、続けて言った。

 

魔理沙

「嫌な予感か・・・。漠然とし過ぎだな。まあ良いや、次の質問だ。パチュリーは『魔素』って言葉を知ってるか?」

 

パチュリー

「え?魔素?魔素って、あの黒い霧みたいなあの魔素の事?」

 

魔理沙

「え!?知ってるのかパチュリー!?」

 

魔理沙の次の質問は、ショウが戦闘時に使う魔素についてだったが、この質問の答えは魔理沙の予想とは違っていた。

パチュリーは魔素について知っていたのだ。

 

パチュリー

「ええ。まあ・・・かなり古い文献で見ただけだけど。でも、幻想郷には存在しない物質よ?何で魔理沙が知ってるのよ?」

 

魔理沙

「本当に知りたいのはそこなんだ。悪いけど知ってる限りの事を教えてくれ。実は・・・《少女説明中》・・・って訳なんだ。」

 

魔理沙は外来人であるショウの事について説明し、パチュリーの意見を尋ねた。

 

パチュリー

「にわかには信じがたい話ね。体内に魔素を内包って、要は体内に猛毒を宿しているのと同義よ?本当に人間なの?そのショウって外来人は。まあ、結論から言うなら私にも詳しくはわからないから、ここで読んでいく事を約束してくれるなら、私が読んだ文献を読んでいって良いわよ?知りたいなら自分で調べなさい。」

 

魔理沙

「わかった!サンキュー、パチュリー!」

 

パチュリーの承諾を得たので早速文献を読もうとする魔理沙を見て、パチュリーは疑問を魔理沙に聞いた。

 

パチュリー

「・・・やけに真剣ね?ショウって外来人と何かあるの?魔理沙が男の事で一生懸命なんて。」

 

パチュリーの言った質問は本当に何となくだったが、魔理沙にとっては確信を貫く質問だった。

パチュリーの質問に、魔理沙はビシリと音をたてるように固まる。

 

パチュリー

「・・・?魔理沙・・・?」

 

魔理沙

(・・・そういえば、何でだ?私はショウとそんな長い間一緒にいた訳じゃない。だけど、あいつに協力したいと思ってる。さっき森でもキノコを探すよりショウの事を優先したし・・・何でなんだ?でも、あいつの事を考えるのは不思議と嫌じゃない・・・)

 

魔理沙

「・・・・・・・・・・・・・・・(ぽっ)」

 

僅かでは有るが魔理沙の顔は赤かった・・・

それを見たパチュリーは唖然とする。

 

パチュリー

(何で頬を染めてるのよ!?嘘でしよ!?あの魔理沙が!?ヤバい!マジで幻想郷滅ぶんじゃない!?)

 

パチュリーは脳内で3割ぐらい本気で異変を疑った。

その時、魔理沙とパチュリーの体に異変が起きる。

館全体から異様なプレッシャーを感じたのだ。

 

二人

「!?」

 

二人は突然の異常事態に顔を見合わせる。

しかし、そのプレッシャーはお互いが知っている人物の物だった。

 

魔理沙

(これって、ショウのプレッシャーか!?と、とんでもない強さだ!?ここまで届くなんて!?)

 

パチュリー

(これ・・・レミィ?嘘でしょ?これ・・・多分本気だ・・・。レミィ、まさかとは思うけど、殺す気なの?いくら貴方でもそれは不味い!これ程の威圧感、間違いなく紫に気付かれる!)

 

異常事態を感じた二人の行動は速かった。

 

パチュリー

「魔理沙!」

 

魔理沙

「ああ!明らかに普通じゃない!行くぜパチュリー!」

 

二人は慌てて図書館を飛び出した・・・

 

■■■■■■■■■■■■■■

 

~時は元に戻り、紅魔館メインホール内~

 

レミリア

「さあ・・・私を失望させてくれるなよ?」

 

ショウ

「フー・・・良し!行くぞ!最初から全開だ!喰らい尽くせ!術式・・・解放!黒獣解放『リベレイト・ザ・ビースト』!!」

 

ショウはオーバードライブを発動、変化した魔素を纏ってレミリアに向かって猛スピードで接近する。

対してレミリアはショウを待ち構えながら、右手を前に持っていき呟いた。

 

レミリア

「真名解放・・・神葬『スピア・ザ・グングニル』」

 

レミリアの言葉と共にレミリアの右手に朱色の槍が握られる。

しかし、それを見ていたアリスは驚きを隠せない。

レミリアが手にしている槍は普段彼女が使う槍とは全くの別物であり、内包している魔力は桁外れの代物だったのだから。

 

アリス

(う、嘘でしょ・・・?何よあれ!?内臓魔力が尋常じゃない!?不味い・・・あんなのまともに受けたら確実に死ぬ!・・・ショウ!)

 

アリス

「ショウ!その槍は絶対に食らってはダメ!受けたらただじゃすまないわ!絶対にかわして!」

 

アリスが叫ぶ。

あれは食らってはいけない、絶対に受けてはいけない槍だから。

ショウはアリスの言葉を受け、持っていた剣に変化した魔素の一つを纏わせるとそのままレミリアに斬りかかる。

レミリアは持っていた槍で受け止める。

剣と槍がぶつかり合ったとき、メインホール内には嵐のような衝撃波が広がった。

 

アリス

「キャアアア!」

 

衝撃波をまともに受けアリスは体勢を崩してしまう。

それほどの衝撃波がぶつかり合ったときに幾度となく発生しているのだからたまったものではない。

アリスは二人からできる限り離れた壁際に背を向け戦いを見守る。

幾度か切り結び、鍔競り合いになる二人。

互いの獲物を力の限り押し込んでいるだけだが、それだけで、周囲には轟音が響く。

 

レミリア

「ふ・・・さすがだな。余程強い力がなければこの槍に触れた瞬間砕け散るところだ・・・。そうでなくてはな。」

 

ショウ

(なんて力だ!?オーバードライブまで上乗せしたのにピクリともしない!?)

 

レミリア

「このまま気を緩めるなよ?少しでも緩めたら即座に殺すぞ?私を楽しませてくれ。」

 

ショウ

「なめるなよ・・・。まだまだぁ!」

 

体から爆発的に魔素を放出し力任せにレミリアを弾き飛ばす。

距離を開けた後、剣を使い自分の前の空間に術式陣を刻み、同時に身体中の魔素を左手に集める。

 

ショウ

「生半可な技は通用しない。ならば、最大火力を叩き込む!」

 

陣を刻み終わり、魔素も充分に集中出来ている。

少なくとも、前回美鈴に使用した時よりは高い威力が出せる筈だ。

 

ショウ

「受けてみろ!『バニッシュゲイザー』!!」

 

発動と同時にどす黒い波動がレミリアに迫る。

それを見たレミリアは槍を逆手に持ち、ゆっくりと振りかぶった。

 

レミリア

「フフフ・・・良いだろう。正面から叩き潰してやる。行け・・・神殺しの槍。」

 

レミリアが言葉を発した後、手にした槍をショウが放った波動に向かって投げた。

投げられた槍は波動と衝突し、強烈な炸裂音と共に波動をかき消した。

 

ショウ

「な!?」

 

レミリアが投げた槍は推進力を失い地面に落ちていき地面に刺さる。

ショウ自身これほどあっさりと破られるとは思っておらず、驚きを隠せない。

 

レミリア

「ハハハハハ!見事だ。並みの威力なら貫いた上でそのまま相手に突き刺さる威力であった筈だが、凌ぎきったか・・・。良いぞ!その調子だ!ここまでの高揚感は久方ぶりだ!」

 

ショウ

「くそったれ・・・化物かよ!だが・・・諦めるわけにはいかないんだ!」

 

空中の足場を蹴り猛スピードでレミリアに向かっていくショウ。

対してレミリアも刺さっていた槍を地面から引き抜き、ショウを迎え撃とうとする。

二人がぶつかり合う正にその時だった・・・

 

ギィィィィ・・・ザシュ!!

 

ショウ・レミリア

「!?」

 

二人の耳には、扉が開く音、そして、何かが突き刺さる音が響いた。

この時は何が起こったのかわからなかった二人だったが、次に聞こえた声で全てを理解する・・・

 

アリス

「ぐ・・・かはっ・・・。」

 

ショウの耳にアリスの悲痛な声が届く。

そして、レミリアから背を向けアリスがいた方向に視線を向けた時、ショウの理性は砕け散った。

 

???

「お姉様ばっかりズルいよ・・・私にも遊ばせて・・・フフフ・・・アハハハハハハハ!」

 

声を発した人物の姿は見えず、見えるのはアリスの背中とアリスの影から辛うじて見える三日月の笑み。

そして、見えてはいけないものが見えていた。

アリスの背中からは鈍く光る『紫色』の刀身、そして、その刀身を染め上げる朱色の液体、即ち・・・

 

体を剣で貫かれた、アリスの血だった・・・

 

ショウ

「・・・キ」

 

体を震わせるショウの口から溢れるように声が出る。

次の瞬間、怒号のような叫び、そして、絶対なる殺意が放たれた。

 

ショウ

「キサマァァァァァ!!!!!」

 

身を焦がす程の怒り、殺意を纏った刃を振りかざし、笑みを浮かべる『鬼』へと向かう。

激情に身をゆだね、大切な者を傷つけた敵を・・・

 

この手で・・・殺すために・・・

 

幻の旅路 第3話 緋色の狂気 完

 

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『幻蒼異変 第一章《conviction resonance》』

 

to be continue

 




第3話終了です。
資料集更新を挟んで、次回から異変パートに入ります。

異変名は全て英語表記、ブレイブルーのタイトルっぽい感じで題名を決めています。

今回のタイトルは《conviction resonance》
直訳で『信念の共鳴』
タイトルは異変パートの主なテーマを表す名前にしています。

次は資料集更新ですが、これはすぐ終わるので、あまり時間はかかりません。

では、次回更新までしばらくお待ちください。
ありがとうございました。


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