蒼が導く幻想の旅路~東方蒼幻録~   作:wingurd

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携帯がお亡くなりになりました・・・

大遅延更新でほんとすみません。
携帯が壊れてしまい、更新が超絶遅れました。

今回で第2話終了です。
弾幕ごっこの後半戦、対アリス戦ですが今回で決着です。

改めて思いますが、やっぱり弾幕ごっこの戦闘描写は難しいですね。
終わりまでに上手くなりたいところです。

では、第2話最終パートお楽しみください。


幻の旅路 第2話 メモリー・シーカー part5(終)

アリス

「出なさい!シャンハイ!ホウライ!」

 

アリスの周りに現れた2体の人形。

それは、先程アリスが使役していた人形とは明らかに違った。

細部まで作り込まれており、時間をかけて作られたことがわかる。

おそらく、この2体の人形がアリスの切り札であると直感した。

 

ショウ

「ずいぶんと丁寧に作られた人形だな。かなり細部までこだわってる。」

 

アリス

「この子達は特別製よ。さっきまでの人形とは似て非なる私の大切な子達なの。」

 

ショウ

「凄いな・・・それほどの完成度の人形とは。」

 

ショウは素直に称賛した。

先程までの人形もかなり精密な動きだったが、この2体の人形は格が違う。

まるで生きているような動きでアリスの周りを飛んでいる。

さらに・・・

 

「シャンハーイ」

「ホウラーイ」

 

まるで意思表示をするかのように喋っている・・・

 

先程までとは明らかに闘志の質が違う事が伺えるアリスに対し、警戒心をさらに高める。

 

アリス

「さあ、覚悟はいい?行くわよ!」

 

再びアリスは人形を展開し、弾幕を放つ。

しかし、先程とは違いアリスが先に出した『シャンハイ』『ホウライ』の2体の人形がアリスから離れ、別角度から弾幕を放ってきた。

 

ショウ

「な!?」

 

予想外の多角弾幕攻撃に反応が遅れ、場所を変えられずその場に釘付けにされてしまった。

 

アリス

「もらったわよ。踊り狂え。」

 

アリスは、この機を逃すまいと懐からスペルカードを取り出し、宣言した。

 

アリス

「戦操『ドールズウォー』!」

 

宣言と同時に複数の人形が現れ、ショウに向かって剣や槍を持って突撃してきた。

 

ショウ

「人形による直接攻撃か!」

 

人形を使った直接攻撃に加え、アリスと先程の『シャンハイ』『ホウライ』の2体による弾幕攻撃も雨のように降り注いでくる。

明らかに本気の攻撃だった。

人形の攻撃に加え、弾幕による多重攻撃。

手数が多過ぎて対応仕切れていないが、いくらなんでも弾幕の密度が高過ぎる。

これ程の数だといずれ、自身の人形も巻き込みかねないはずなのだが・・・

 

アリス

(これで・・・終わりよ・・・)

 

アリスの口元が怪しく歪み、妖艶な笑みが浮かぶ。

次の瞬間、アリス達が放った弾幕の一つがアリスの人形に直撃。

そして・・・

 

ショウ

「!?」

 

人形から一瞬火花が散った。

 

アリス

「消えなさい・・・」

 

弾幕が当たった人形が爆発し、それに連鎖するように他の人形も爆発。

かなりの規模の衝撃がショウの周りで発生した。

中心にいたショウは爆発をまともに受けてしまう結果となる。

 

アリス

「フフフ・・・アハハハハハ!」

 

アリスはショウが死んだと確信し高笑いする。

無理もない。

爆発の規模から考えても、中心にいたショウがただで済む筈もなかった。

 

アリス

「ごめんなさいね。でも、あなたが悪いのよ?魔理沙に近付かなければ死ぬこともなかったんだから。」

 

アリスの口からは罪悪感を感じさせる言葉が出ているものの、その顔は狂気の笑みで歪んでいた。

 

アリスが行った方法は、スペルカードの人形に爆弾を仕込む事だった。

人形に突撃させるスペルと弾幕でその場に釘付けにした後人形を起爆させる。

アリスはここまでを計算して実践して見せたのだ。

 

アリス

「フフフ・・・さてと。魔理沙のところに行かないとね。引き離すためとはいえ、嘘ついちゃったし。」

 

爆発の後の噴煙に背を向け魔理沙が飛んでいった方向へ向かおうとするアリス。

その時だった・・・

 

???

「何処に・・・行く気だ?まだ戦いは・・・終わってねえぞ!」

 

アリス

「!?」

 

怒号と共に噴煙の中から刃状の弾幕がアリスに飛来してきた。

 

アリス

「く!?ど、どうゆうことよ!?あれほどの爆発の衝撃を受けてるはずなのに!?」

 

飛来してきた弾幕を回避しつつ、アリスは未だに舞い上がる噴煙を見つめ、噴煙の中から見える影に向かって憎しみの感情を込めて叫んだ。

 

アリス

「何で・・・貴方は生きているのよ!?ショウ・・・ウィンガード!!」

 

ショウ

「・・・お前のおかげだよ・・・アリス。」

 

噴煙が晴れて映ったのは、体中に傷を負い全身から血を流しているショウだった。

アリスの問いに対し、自分が助かったのは他ならぬアリスのおかげだとショウは語る。

 

アリス

「わ、私のおかげ・・・?」

 

ショウ

「ああ・・・攻撃の仕方、そして殺気が教えてくれた。さっきの弾幕だが、いくらなんでも密度が高過ぎる。自身の人形に当たる可能性を全く考えてない。最後に君の表情、そして、闘志が殺気に変われば大方の予想はつく・・・」

 

アリス

「く・・・」

 

ショウ

「後は消去法だ。殺気に変わったのなら、目的は最初と同じく俺を殺すこと。表情が笑みに変わったのなら、殺す手段を既に実行済みと断定できる。ならば、その手段は人形か弾幕のどちらかだが、相手に覚られずに仕掛けが出来るのは・・人形しかない。」

 

ショウはアリスの仕掛けた手段をギリギリのタイミングで読んでいた。

しかし、手段が爆発であるとは読みきれず、咄嗟に魔素を硬質化させ身に纏い、防御を固めることで重傷ではあるものの致命傷だけは避けることが出来ていたのだ。

 

ショウ

(かろうじて致命傷は避けたが・・・不味いな・・・血を流しすぎている。もう猶予はないか・・・)

 

傷から流れる血を見ながらショウは思案していた。

ドライブによる魔素コントロールは自身の血を媒介にして行うため、今の状態では維持出来ても4、5分程度、それまでに決着を着けなければならない。

 

アリス

「貴方はもう瀕死の筈、ならもう一度当てれば助からない。これで・・・終わりよ!」

 

アリスはスペルカードを取り出し、ショウに止めを刺そうとする。

対するショウは、足元がおぼつかないものの剣を構えてアリスと対峙している。

 

アリス

「足軽『スーサイドスクワッド』!!」

 

アリスの宣言と同時にアリスの周りに無骨な人形が大量に展開される。

その人形は枯草のような材質で作られており、先程とは違い、丁寧に作られた人形ではなく使い捨てのような印象を受けた。

アリスが手を此方にかざすと、全ての人形が此方に向かって飛来してきた。

 

ショウ

(先程のアリスの言葉、目的から考えたら、まず間違いなく爆弾だな・・・当たるわけには!)

 

ショウはアリスの言葉、目的からこの人形は十中八九爆弾であると予想し、回避行動を取る。

案の定、人形が地面にぶつかると爆発を起こした。

次々と飛来する爆弾をかわしていたショウ。

この時、ふと足に当たる何かに気付く。

それは、先程アリスが爆発させた、丁寧に作られた人形の残骸だった。

人形達は粉々で、先程の綺麗な見た目とは違い見る影もない。

それを目にしたショウの頭の中に、不鮮明な映像が浮かぶ。

 

ショウ

(これは・・・?)

 

映像には、顔は不鮮明でわからないが、いくつもの同じ姿の人が、見るも無惨な姿で横たわっていた。

ショウはこの映像を見たとき、言い様のない怒りを覚えた。

そして、その映像と被る人形達の残骸を見つめ、ショウは決意する。

 

ショウ

(負けられない・・・)

 

《これ以上彼女たちを傷つけさせない!》

 

ショウ

(絶対に・・・負けるわけには行かない!!)

 

《彼女たちのような犠牲を、これ以上出させるわけには行かない!》

 

ショウは持っている剣を力強く握りしめる。

ショウの頭の中には、誰のものかわからない叫びが木霊する・・・

 

《これ以上・・・あんな悲劇を繰り返させる訳には行かないんだ!!》

 

ショウ

「これ以上・・・あんな悲劇を繰り返させる訳には行かないんだ!!」

 

頭の中の叫びと同じ言葉が、ショウの口から無意識に叫ばれる。

その時、ショウの体からかつてないほど大量の魔素が放たれた。

それらは次第に形を変え、まるで獣の頭のような異形の物へと姿を変える。

その異形な姿の魔素が、飛来してきたアリスの弾幕を余すことなく喰らい尽くした。

 

アリス

「な!?何なのよそれは!?」

 

アリスは動揺しながらも追加で人形を飛ばしてきたが、それらも全て異形の魔素に喰い尽くされる。

そして、異形の魔素はアリスに向かってその牙を剥いた。

 

ショウ

「ぐ!?抑えきれない!?何て力だ・・・駄目だ!このままじゃ!」

 

ショウ自身、全身が焼けるような痛みを感じていた。

感情の爆発からドライブに強化が加わり、術式強化『オーバードライブ』状態に陥ってしまったのだ。

眼前に迫る異形の頭に対し、アリスに打つ手はなく、その瞳に映るのは、自分が先程までショウに向けていた、絶対なる殺意だった。

それらを目の当たりにしたアリスは、自身の死を覚悟したが、その瞳は、死に対する恐怖に染まっていた。

 

アリス

(死にたくない・・・死にたくない・・・死にたくない!)

 

眼前に迫る死そのものに恐怖し、その目を閉じるアリス。

しかし、何時までたってもアリスにその牙は届かなかった。

 

アリス

「・・・?あ、あれ?」

 

アリスが目を開けると、異形の頭はアリスの眼前でその牙を止めていた。

だが、未だに牙を此方に向けて食らいつこうとしている。

それを止めていたのは、自分の前で背中を向け、異形の頭に手をかざしているショウだった。

 

ショウ

「ぐ、駄目だ・・・彼女を喰らわせるわけには・・・くそ!血を流し過ぎた・・・コントロールが効かない・・・!」

 

苦しい顔をしながら、アリスに食らいつこうとしている魔素を止めているショウを見て、アリスは疑問をぶつけた。

 

アリス

「な、何してるのよ!?そんな苦しそうな顔をしながら、何で・・・貴方を殺そうとした私を守ろうとしてるのよ!?」

 

ショウ

「最初に言ったろ・・・命を奪うのはなしだって・・・俺が出した条件を自分から破る真似はしない・・・あくまでもこの戦いは、決闘だからな・・・」

 

アリス

「!?」

 

アリスは、ショウの答えに言葉を失った。

アリスもかつて弾幕ごっこで霊夢や魔理沙と共に異変解決に尽力したことがあり、弾幕ごっこにはそれなりの自信があった。

弾幕ごっこには少なからずプライドがあったが、今回アリスは自分の都合のため、弾幕ごっこのルールを破った事になる。

それなのに、弾幕ごっこの素人であるショウが、ここまで弾幕ごっこに準ずるやり方を貫いていることに、アリスはある気持ちを抱いた。

 

アリス

「・・・フフッ。ほんと・・・貴方ってバカなのね・・・」

 

アリスの口から小さく呟かれた言葉は、ショウの耳には届かなかった。

 

ショウ

「くそ・・・もう持たない!アリス!逃げろ!俺ならこいつには喰われない・・・狙いは君だ。感知外に離れれば何とかなる!」

 

ショウはアリスを逃がそうとする。

その時、ショウの背中に何がが触れた。

 

アリス

「ショウ。・・・応急処置だけど、魔法で傷を治すわ。さっきの言葉通りなら、傷が治ればなんとかなるのよね?」

 

ショウ

「アリス!?逃げろっていっただろ!」

 

アリス

「良いから答える!」

 

ショウ

「え!?あ、ああ・・・能力制御には血を使う。傷さえ治れば多少はマシになる。」

 

アリス

「なら良し!そのまま押さえてて!直ぐに治療するから!」

 

ショウの背中にはアリスの手が添えられており、すぐに体から傷の痛みが消え始める。

アリスの治癒魔法により、瞬く間に傷が塞がっていった。

 

ショウ

「凄いな・・・」

 

アリス

「これが限界よ・・・いける!?」

 

ショウ

「ああ!充分だ!」

 

全身の傷はもう7割方塞がっている。

これなら充分に制御可能だ。

 

ショウ

「仕事は終わりだ!砕けろ!」

 

ショウの叫びと共に異形の頭が砕け散り、魔素の霧に戻る。

ショウは直ぐ様ドライブを使い、魔素を体内に戻した。

 

ショウ

「はあ、はあ・・・な、何とかなったか・・・」

 

アリス

「してくれなきゃ困るわよ・・・全く。自分の能力すらまともに制御できないの?」

 

アリスとショウはお互いに顔を見合わせ、その場に座り込んだ。

 

ショウ

「悪いな・・・こう言う能力なんだよ。・・・さて、続きやるか。」

 

ショウはアリスに先程の弾幕ごっこの続きをするかと聞いた。

しかし、アリスから返ってきた答えは意外な物だった。

 

アリス

「必要ないわ。私の・・・負けよ。」

 

決着の時は、唐突に訪れた。

 

ショウ

「え?」

 

アリス

「私は貴方との約束を破ったわ。更に、弾幕ごっこのルールも破った事になる。反則負けよ。」

 

ショウ

「だが、良いのか?アリスの目的は、俺と魔理沙を関わらないようにすることだろ?」

 

アリス

「厳密には違うわ。私の目的は魔理沙に悪い虫が近付かないようにすることよ。だけど・・・貴方なら問題なさそうだからもういいわ。疲れたし。あと、ショウの条件は確か、私に友達になってほしいだっけ?敗者は従う決まりだし、承ったわ。これからよろしく。困ったことがあったら頼りなさい?」

 

ショウ

「アリス・・・ああ!よろしく頼む。ありがとうアリス。」

 

アリスは弾幕ごっこの条件を承諾した。

ショウはアリスの答えに対して礼を述べる。

 

アリス

「どういたしまして。あと・・・」

 

アリスはショウの謝辞に答えたが、そのあとに一呼吸置いてこう続けて言った。

 

アリス

「さっきは助けてくれて・・・ありがとう。」

 

アリスの顔には、先程までとは違う、穏やかな笑顔が浮かんでいた。

ショウは、アリスのこの笑顔が見れただけでも、弾幕ごっこをやった価値はあったと素直に思った・・・

 

to be continue

 

 

 

 




第2話最終パート終了です。

長い・・・書きたいことぶちこんだら平均をかなりオーバーしてしまいました。
という訳で弾幕ごっこ終了です。
はい、アリスが墜ちました(フラグ的な意味で)
ショウの暴走の切っ掛けになった映像は、わかるとは思いますが、次元境界接触用素体群の残骸です。
今回のように、過去に類似する体験や人物との邂逅により、ショウの能力は覚醒していく仕様になっています。

次回は資料集です。
第2話で新たに加わった情報を纏めて載せます。
前にも言いましたが、資料集は新情報が加わった時、各話終了時に更新しますので、わからない場合は確認してください。

資料集の後は、いよいよ最初の目的地である紅魔館を訪れますが、紅魔館編の後は最初の異変パートになります。
なお、異変についてはブレイブルー関連の事項をねじ込んだ異変になる予定ですので、ここでこの作品のブレイブルー要素を回収してください。

では、次回更新までしばらくお待ち下さい。
ありがとうございました。

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