Fate/どうでしょう?   作:頭が米騒動

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お遍路いこう。


気後れするのやめてくれよ…

  ───How do you like fate?───

 

 

 

 

雪がしとしとと降っているカルデア。そこにいるのは藤丸とカメラを構えたゲオルギウス。

 

「さぁ、今夜も始まりました、バイクでアメリカ横断の旅。前回はポートランドまでの強行軍。今回はサンフランシスコまでの旅となります」

 

藤丸の後ろの建物の影には何故か着ぐるみを着たマシュ。顔が出るタイプの着ぐるみ。モチーフは何だろうか?

 

「……………マシュ?」

 

不意に後ろを見た藤丸。マシュはサッと身を隠すが着ぐるみの一部が見えてて隠れていない。

プルプルと着ぐるみの一部が震えているのを見ると恥ずかしいのだろうか。

 

「……………えーっと、始まりまーす」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サンドイッチを食べ進める四人。数多くあったサンドイッチは少なくなり、残るは具が形容し難い赤く染まったサンドイッチを残すのみとなった。車組は自分で弁当を持ってきて食べていた。

 

「「「「…………………………………」」」」

 

全員は無言となる。

明らかに異彩を放つサンドイッチ。メディアリリィのサンドイッチは見た目とのギャップで甘くはあったが不味くはなかった。だが、これは…………

マシュに至ってはお腹が一杯ということで途中でパス。

三人は最後の一個になるまで食べた。そして最後の一個のサンドイッチに三人の直感は告げる。これは死人がでる、と。

 

「………どうする、大将。食わねぇって判断もありだと思うぜ?」

 

金時が重い口を開く。確かにそうだろう。別に無理に食べる必要はないのだ。だが、藤丸の思いは決まっていた。

 

「………オレが食べよう…」

 

「正気かっ!マスターっ!これはサンドイッチじゃねぇっ!形容しがたい何かだぞっ!」

 

ああ、モードレットの言う通りだろう。クトゥルーでもここまでのものは見ることは出来ないだろう。食べればSAN値チェック1d100は確実、藤丸は思った。

だが、しかし、エリザが一生懸命に作ったのだ、マスターとしてその気持ちに報いなければ。藤丸は腹を括る。

 

「………ゴールデン、後は……頼むっ……」

 

涙を堪える金時。

 

「……ああ!任せとけ。大将、アンタ男だったぜ……」

 

「「ま、マスター…………」」

 

マシュとモードレットはポロポロ涙を流している。

藤丸はサンドイッチを持つ。臭いはしない。だが、それゆえに具の赤さが際立っていた。

一体、何を入れたのだろう?キムチ以上に赤く染まった具とは。魔神柱を凌駕するほど藤丸の脳裏に浮かぶ死の恐怖。

成る程、と藤丸は理解した。これが「人類悪」、「この世すべての悪」かと。

だが、これを食わねばならぬ、人類救済を目指したカルデアのマスターならば。

 

「…………この世すべての食材に感謝を込めて」

 

食材と作ってくれたエリザに感謝を込めてサンドイッチを口に近づける藤丸。

 

「いただきます」

 

藤丸はサンドイッチを口にした。ただ無言。音がするのは藤丸の咀嚼する音のみ。

藤丸は食べていく。あの形容しがたいサンドイッチを。それを見ている三人はマスターである藤丸を息子を戦場に送り出す母親のように慈愛の目で見ていた。

 

「…………ご馳走さま、でした」

 

藤丸は食べきる。だがその顔色は真っ青を通り越していた。藤丸の足が震えているのを三人は見逃さない。

 

「ど、どうだった?」

 

モードレットが声を震わせて聞く。藤丸はモードレットを見るがモードレットはビクッとする。目が死んでいる。いや、焦点さえ合ってないのだ、これには歴戦のサーヴァントもビビる。

 

「美味しくいただけごふぁぁっ!!」

 

「「「ま、マスターぁぁぁっ!!」」」

 

藤丸が口から赤い何かを吹き出し、映像が途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━すまない、映像に不備があったようだ。今しばらく待ってくれ━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、あれは強敵でしたね……」

 

開口一番の台詞がこれの藤丸。テンションだだ下がりである。マシュとモードレットが水と胃薬を渡している。

 

「い、行けそうか、大将?」

 

「すっげぇ、帰りたい」

 

水を飲みながら、顔色が真っ青の藤丸。胃を押さえながら地面を見ている姿はサラリーマンのような哀愁が漂う。

 

「ダメだよ、藤丸くん。人理救済をしなければこの旅は終わらないんだっ!というか面白いから途中退場はダメ」

 

「ダヴィンチちゃん、バカじゃねぇの?!」

 

ダヴィンチちゃんの最後の言葉に藤丸がキレた。ダヴィンチちゃんはそれにテヘペロで返す。

 

「まぁまぁ、次はナーサリーとジャックが楽しみにしてるベリーと蜂蜜取りだ。我慢してくれよ?」

 

「しょうがないなぁ……でも、この時代にベリーはともかく養蜂なんかしてないだろ?自生しているの探すの?」

 

何だかんだでサーヴァント付き合いのいい藤丸であった。

 

「まぁ、任せたまえ。キミ達が来る前に私が作っておいたよっ!T〇KIOばりにねっ!!」

 

「伏せ字になってねぇっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お母さん(マスター)、おそいおそーい!!」

 

「ホントにおそーい!!」

 

ダヴィンチちゃんの指示に従い、目的地に向かうとそこにはナーサリーライムとジャック・ザ・リッパーの2名が手を振って待っていた。

 

「悪い悪い、色々あってね……イガイタイ」

 

まだ顔色の悪い藤丸はバイクを降りる。すると二人が抱きついてくる。

 

「おっとっと」

 

「二人でマスターのこと待ってたのよっ!」

 

「でもね、黒猫さんがいて寂しくなかったよ?」

 

三人で和気あいあいと話をするのを他のサーヴァントはほのぼのと見ていた。

 

「ん?黒猫さん?」

 

「ええ、野球帽を被った変わった猫さんだったの。今度は野球をしましょうって言ってたのよ?」

 

藤丸は思った。それって高野〇ン……やめておこう、下手な勘繰りは。下手したら彼女に打たれる。

 

蜂蜜取りから始める藤丸とナーサリーとジャックは蜂に刺されるのを防ぐために専用の服を着て、養蜂箱から蜂の巣を取り出していく。

他のサーヴァントはバイクの点検、お茶、金時に至っては山にいたグリズリーと相撲を取っていた。

 

「うっわ、すげぇ。蜂がたくさん出てきた」

 

お母さん(マスター)、これが蜂蜜なの?」

 

ジャックがカサリと蜂の巣を採る。

 

「そうだぞー、これを絞ったら蜂蜜が出るんだ。蜂のために少し残すのも忘れずになー」

 

「「はーい」」

 

藤丸はエミヤの事をカルデアに保母さんと言ったが、この男も大概である。

二人の無茶ぶりにも答えるお兄ちゃんぶりにカルデアで映像を見ていたアタランテがいいなぁと見ていた。

「幼女キタコレ」と言っていた黒髭はルーラーたちに連行されていたが。

 

 

三人はダヴィンチちゃん製の蜂蜜絞り機で蜂蜜を絞っていく。グリズリーに勝った金時はモードレットと一緒に蜂の子を焼いて食べていた。

 

「あっちはハチの芋虫食べてるわ………」

 

「ちょっとエビに近いというか、見た目になれたら美味しいんだけどなぁ……」

 

ナーサリーライムはそれを見て少し引いていた。

 

お母さん(マスター)、ビンを持ってきたよ?」

 

「ありがとう、ジャック」

 

ジャックがビンを持って走ってくる。藤丸はビンを受け取り、絞り機の蜂蜜の出し口にビンを当てて取っ手を回していく。

すると出し口から金色に輝く蜂蜜が出てくる。ジャックが舐めたそうに指を出してくる。

 

「舐めてもいいよ?ジャック。ただちゃんと指は後で拭くこと」

 

「はーい、お母さん(マスター)

 

ジャックが人差し指に蜂蜜を着け、口に入れて舐める。ナーサリーライムも同じようにして舐めている。

 

「あまーいっ!」

 

「甘い、甘いのよ!マスター」

 

二人が喜ぶのを微笑ましく見る藤丸。藤丸はビンに蜂蜜を摘めていく。ビン一杯に蜂蜜が溜まれば蓋を締める。

 

何個かビンに摘めていけば、次は自生しているベリーを摘みに三人は行く。ベリー摘みに関しては時間はかかったがジャムに出来るぐらいは取れた。

 

「じゃあ、ジャムを作っていこうか」

 

「「はーい」」

 

テーブルにガスコンロをおいて、鍋一杯に入れたベリーを火にかけて、砂糖とペクチンを入れていく。

焦げないように掻き回していく中、バイクの音が聞こえた。あれはトライアンフかな、と藤丸が考えていると。

 

 

 

 

 

「待たせたな」

 

 

 

 

 

皮のジャケット 。特注品であろうジーンズ。口元には葉巻をくわえたスn………イスカンダルがやって来た。

ああ、成る程。と全員が思った。エルメロイⅡ世がどう来るのか気になってはいたがサイドカーか。イスカンダルのバイクのサイドカーにちょこんと若かりし頃のウェイバー・ベルベットが乗っていた。

 

「遅かったじゃないか、イスカンダル」

 

「いやぁ、すまんすまん。小僧が部屋から出るのを渋ってのぅ。しかし、ブケファラスほどではないが、このバイクというのも良いなぁ。なかなか走り心地がいいではないかっ!」

 

「ボクは出たくないって言ったんだ。種火集めで疲れてるのに休ませてくれよ……」

 

ホントにごめんね?全員の気持ちが一つになった。でも、また酷使しちゃうんだ。

 

「後はメドゥーサかぁ」

 

「あ奴は姉たちに捕まっておったぞ?」

 

「あ、やっぱり?」

 

イスカンダルと藤丸が話している中、ジャックとナーサリーライムと藤丸の代わりにマシュがジャムを作っていく。

 

「孔明、お茶飲む?何がいい?」

 

「………貰う。胃に優しいのをくれ」

 

ウェイバーの言葉に藤丸は少し泣きそうになる。ホントにごめんね?マーリンが来たらローテーション制にするから。

 

「よぉ、イスカンダルの大将。酒じゃねぇが駆けつけ一杯どうよ?」

 

「おお、いただこうか。ゴールデンよ」

 

金時はイスカンダルにコーヒーを渡す。飲酒運転はダメ絶対。子供のヒーロー、坂田金時はそれを守る。イスカンダルもそれを知っているために酒を飲むのを自粛している。

 

「……で、これからどうするんだよ?」

 

お茶を飲みながらウェイバーが藤丸に聞く。コーヒーを飲んでる藤丸は地図を出してサンフランシスコを指差す。

 

「ここから、サンフランシスコ目指してアルカトラズに行こうかなと」

 

「へぇ、あの有名なアルカトラズか。もしかしたら、あの暗黒街の帝王とか呼ばれてたりしてな」

 

「ああ、アル・カポネも下手したら英霊になるのかな。確かに映画とかあるし、逸話も多いしなぁ」

 

少しばかり二人でダベっているとジャムが出来たのか三人がビンにジャムを摘めて藤丸を呼んでいた。

 

「お、出来たのかな?」

 

「ってことは片付けて出発か、やれやれだよ」

 

藤丸は手を振ってマシュ達の方に行く。

ジャムが出来て、全員片付けを終える。出発の準備が出来たマシュが藤丸の後ろに乗ろうとすると年少組が文句を言ってきた。

 

「マシュばっかりずーるーいっ!」

 

「わたしたちも乗りたーいっ!」

 

マシュも困惑する。藤丸は苦笑しながら二人をあやしていく。

後ろでモードレットが「オレも……」と言いながら自分のバイクを見ている。

 

「じゃあ、交代制で乗る?」

 

藤丸の提案に喜ぶ二人。マシュは少し不満そうだ。

先ずはジャックにヘルメットを渡し、途中からナーサリーライムと交代という形にした。マシュはダヴィンチちゃんの車に乗る。

 

「じゃ、行こうか、しゅっぱーつっ!」

 

全員がバイクを走らせる。ダヴィンチちゃんがバイクにジャックを乗せてる藤丸を見て。

 

 

 

 

 

 

 

『マスター、事案発生』

 

「ダヴィンチちゃん、後で説教な」

 

 

 

 

 

 




ちょっとこれから更新遅れるかも。

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