ぐだ子と付き合い始めて一月が経ったマシュ。

「先輩? せんぱ~い?」

なんだかぐだ子の様子がいつもと違います。
その理由とは……?


ぐだマシュの日常編です。





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初めての二次創作です。
宜しくお願い致します。


占いは当たる

「きゃっ! 先輩…………んむぐっ!?」

 

 夕食を食べ終えて、自分の部屋に戻ろうと廊下を歩いていると、急に物陰から飛び出してきた先輩に抱き付かれてキスされました。

 

「……ぷはっ♪ ふふっ、21回目~♪」

「あっ! 先輩、待っ――――。……はぁ。また逃げられてしまいましたか」

 

 今日起きてから、今まで20回、たった今されたものを含めると、実に21回ものキスを先輩にされました。

 

「何の説明も無しに不意討ちだなんて……」

 

 そう。普段から先輩にキスをされることは慣れっこなのですが、今日みたいに何度も何度も繰り返しキスされる事は初めてなのです。

 それも、何の説明もしてくれず、毎回いきなり現れては、キスをするとすぐに消えてしまいます。

 追いかけても、まるでレイシフトしたかの様に、忽然と消えてしまいます。

 

「先輩ー? どうせまたそこに居るんでしょう? 分かってますよー?」

 

 今、私の目の前には、廊下が交差していて、姿を隠すのにはもってこいの場所があります。

 私の部屋はこの先。何が目的なのかは分かりませんが、絶対にここに先輩が隠れている筈。

 

「ちゃんと事情を説明してください。……先輩?」

 

 恐る恐る、1歩を踏み出して廊下を進む。

 いよいよ交差のポイントに差し掛かり――――

 

「…………あれ?」

 

 ――――何事もなく通りすぎる事が出来ました。

 

「やっと諦めてくれたのでしょうか? ふぅ。」

 

 首を傾げつつも、先輩の猛攻から逃れられた事への安心感から、私はホッと一息ついて気を取り直すと、自室へ足を進みました。

 

 …………結論から言えば、私はすっかり油断をしていたと言えます。

 

 部屋のドアが開いた瞬間、目の前に先輩の顔が見えたかと思えば、部屋に引きずり込まれて、再び唇を奪われました。

 

「!? はむっ♪ ちゅぅぅ……、くちゅっ、むちゅっ♪」

「ふはぁ、マシュぅ♪ ちゅっ♪ ちゅっ♪」

「んむー! んぅっ、はぁっ、はぁっ、……んんっ♪」

「ちゅぅぅっ♪ ……ぷはぁ。22回目♪」

 

 まるで離れたくないと言うかの様に、キラキラとした糸を引きながら、長い長いキスを終え、寂しさを残して唇と唇が離れました。

 

 また逃げられるのではないかという不安と、なんでこんなキスをしてくるのかが気になったので、逃げられない様、咄嗟に先輩の背中に腕を回し、きゅっと抱き締めると、先輩に問いかけます。

 

「先輩っ、今度こそちゃんと説明してくれますよね?」

「……ん? 何が?」

「惚けないでください!」

「あはは、ごめんね? 嫌だった?」

「嫌じゃ……ないですけど、説明をしてください! 何故今日はこんなに沢山キスをしてくるんですか?」

 

 朝、モーニングキスから始まった、先輩のキスの嵐。

 着替えの時も、ご飯を食べている時も、フォウさんを探している時も、仕事をしている時も、突如現れてはキスをし、去ってゆく。

 いつもなら、おはよう、おやすみ、大好き、の何回かしかキスをされなかったのに、何故か今日だけ、22回ものキスをされたのか、私は気になって仕方がありません。

 

 何も答えてくれない先輩。私は先輩に抱き付いたまま、頭が先輩の胸元に来るようにし、その状態で上目遣いをしながら先輩にもう一度聞く。

 

「先輩……。おしえて?」

「はうぁっ! 教える! 教えるっ!」

 

 作戦通り。先輩は上目遣いに弱い、と言うことを、少し前に発見していたのです。

 いつか、何度やっても同じ効果が得られるのかを試そうと思っていましたが、本当に効くとは……。

 

「あのね、マシュ。私たちが付き合い初めてからもうすぐ一月でしょう?」

「は、はい……。そうですね」

 

 私は、一月前に先輩から告白された事をきっかけに、お付き合いをさせて頂いています。でも…………

 

「……でもさ、私たち……キス以上の事をしてないでしょう?」

 

 そう。

 先輩は、いえ、きっと私も心の奥ではもっと沢山の経験をしたいと思っています。私たちの絆は最高レベル。先輩は私が好きで、私も先輩が好きで……。

 なのに、越えられない壁がありました。

 

 私は先輩に迫られたら、もちろん受け入れるつもりですが、どこかに怖がってしまっています。

 それを感じてか、先輩はキス以上の事をして来ません。いえ、したそうにはしているのですが、踏み止まっている、という言い方が正しいのではないでしょうか。

 

「だからね、占いをしてもらったの。どうしたらマシュともっとイロイロな事を出来ますかって」

「そ、そんなことをしたんですか!?」

「うん。そうしたら、その日の日付の数だけ、起床から就寝の間にキスをすれば、願いは叶うって」

「だからあんなに沢山キスをしてきたんですか?」

「うん」

 

 …………先輩。

 

「先輩、こっちを向いてください」

「ん? ……ふむっ!?」

「ん……っ♪ くちゅくちゅ、ぷはっ」

「ま、ま、マシュ!?」

「……23回目、ですよ。日付の数だけキスをするんでしょう?」

「マシュぅ~!!」

 

 あうっ。

 

 ……先輩にベッドに押し倒されました。

 全く。もう少し優しくしてほしいですけれど、今日くらいは…………。

 

「……先輩、大好きですよ♪」

「うん! 私もマシュが大好き♪」

 

 ちゅっ♪




お読み頂き、ありがとうございました!


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