虚に転生したけど二番隊に入りました。   作:フル・フロンタル

8 / 11
どうしようか悩んだ挙句、結局何もできませんでした。


ルイスと胸

はぐれた理由はわからない。気付けば、俺は夜一さんと別々になっていた。が、これは不自然だ。俺と夜一さんが二人で探索しててはぐれるなんてことはない。と、なると、誰かが意図的に仕組んだことになる。多分、鏡花水月だろう。

そんなこと出来るやつは俺の知ってる中で一人しかいない。

 

「やぁ、ルイスくん」

 

藍染惣右介。………落ち着け、俺。ここでは藍染の正体は分かってないことにしないといけないんだ。

 

「藍染副隊長?何してるんですかこんな所で」

 

「君に用があってね。いいかな」

 

「……………」

 

マズイ。ここでこいつとかち合うのは。捕まって研究されるのは目に見えている。それどころか、解剖までされるかもしれない。

 

「どうしたんだい?ルイス。何を警戒している?」

 

警戒してることが一発でバレた。だめだ、どう足掻いても俺はこいつから逃げられそうにない。………なら、やるべきことは一つだ。

空に向かって大きな欠伸をしながら口を開いた。

 

「………なんの真似だい?」

 

「全力虚閃」

 

空中に向かって、極太い虚閃をぶっ放した。

 

「なっ……⁉︎」

 

鏡花水月の能力は完全催眠だが、霊圧までは誤魔化せないだろう。空中に放出した最強の虚閃の霊圧を夜一さん、或いは尸魂界が感知すれば、藍染は俺に何もできない。いや、むしろここにいる事自体が不自然だから、さっさと去るべきだろう。

そして、俺の狙い通りに藍染はいつのまにか退却していた。さて、夜一さんと合流しないと……と、思ったのだが、今の虚閃に虚がワラワラと集まって来ました。さて、食事の時間だ。

 

 

 

 

「………で、さっきの虚閃は何の真似だったんじゃ?」

 

「いえ、あのっ……ふわーっと欠伸したらぽえーっと出ちゃったんです……」

 

夜一さんに正座させられて怒られていた。最近、怒られ過ぎでしょ俺。まぁ、今回は仕方ないんだけどさ。

 

「前も言ったが、何度も何度も主レベルの虚閃をポンポン撃つな!一発ごとに大騒ぎになるんだぞ‼︎」

 

「はい、ごめんなさい……」

 

「お陰で、お前の規制はより厳しくなったぞ」

 

夜一さんは懐から眼帯を取り出した。それを俺に手渡してくる。

 

「? これは?」

 

「主の霊圧を食う眼帯じゃ。瀞霊廷どころか、任務中もそれを付けること、良いな?」

 

「い、良いけど……よく作ったなこんなもん」

 

「………喜助が作らされてたものじゃよ」

 

なるほど。しかし、眼帯か。………悪くないな。早速装着して見た。

 

「どお?夜一さん、似合う?」

 

「遊びやオシャレで付けるわけとるわけじゃないぞ」

 

「えー、似合わない?」

 

「…………似合っているが」

 

「えへへっ、やったね」

 

俺もなんか「俺強すぎかなー」って思ってたし、丁度いいや。あれ、でも待てよ?

 

「………ね、これお風呂や寝るときも着けなきゃダメ?」

 

「当然」

 

「……………」

 

マッッッジかよ………。

 

 

 

 

ある日、眼帯をもらっても部屋から出られないので、眼帯を披露する相手もない俺はゴロゴロしながら、砕蜂と将棋をしていた。喜助と夜一さんは、喜助の十二番隊隊長の就任の儀に出ている。だから、砕蜂が遊んでくれていた。

 

「飛車金取り」

 

飛車と金の斜め後ろに銀を置いた。

 

「げっ……!」

 

ヤッベー、みたいな表情を浮かべる砕蜂。てかこの人、将棋ホント弱いのな。

 

「ぐぬぬっ……意外とやるな、ルイス……」

 

「いやいや、砕蜂が弱ぇんだよ。最初から思い付きで駒を動かしてたっしょ」

 

「………ふむ、思い付きはダメか」

 

「将棋でも何でも、思い付きはあんま良くないよ。ちゃんと戦術を考えながら、相手をどうやって追い込むかを考えながら駒を置かないと」

 

まぁ、俺も正直半分くらい思いつきでしたけどね。

 

「そういえば、今日は浦原喜助が隊長に就任するんだったな」

 

「そーだね。おかげで夜一さんも大変だろーなー」

 

「? なんでだ?」

 

「だって、俺の面倒を一人で見なきゃいけないんだから」

 

「いや、私もいる、二人だ」

 

「あー、そだったね。……ま、俺としては気が楽だけどな。あの変態エロ覗き魔、いつも俺の風呂とか着替え覗いてくるんだぜ?マージで考えらんない」

 

「まぁ、それだけ可愛がられているのだろう」

 

「限度があるでしょ。………せめて、夜一さんくらい胸があったりすればまだ見られてもいいんだけど……」

 

「そういう問題か?……まぁ、確かに夜一様の胸は羨ましいのは分かる」

 

俺と砕蜂の視線が、お互いの胸に向かって交差した。

 

「「………はぁ」」

 

二人揃ってため息を漏らした。

 

「……でも、砕蜂はいいじゃん。死神なんだから、まだ育つ余地あるでしょ?」

 

「そうか……虚は育たないのか」

 

「そうっぽいんだよねー。………生まれてから胸どころか身長も伸びてない……」

 

「いや、でも逆に諦めがつくだろう。私は育つ種族なのに未だに育ってないんだぞ……」

 

「………確かにそれはそれで残酷だな」

 

そんな話をしてると、扉が開いた。夜一さんが帰って来た。

 

「ただいまー」

 

「……………」

 

「……………」

 

「む、どうした二人とも?」

 

「「…………はぁ」」

 

「人の胸を見てため息をつくな‼︎」

 

砕蜂と、仲良くなれた気がしました。

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。