虚に転生したけど二番隊に入りました。   作:フル・フロンタル

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ルイスと流魂街

 

 

ふと俺は思った。俺って虚の中ではどのくらいの強さなのだろうか、と。

前々の任務で時は雑魚としか戦ってなかったし、それも喜助や夜一さんが倒した虚にかぶりついていただけだ。だから、タイマンなんて張る機会がなかった。みんな俺のことを恐れてるのか、手合わせすらしてくれないし、そもそも瀞霊廷内では俺は外に出れない。

つまり、BLEACHの世界において俺の強さは今の所未知数なのだ。27巻まで読んだが、喜助が二番隊にいるのは知らないし、俺の記憶が正しければ、喜助は元十二番隊隊長だったはずだ。こんなことならもう少し原作読んどきゃ良かった。

ま、考えたところで分からないなら、考えても仕方ない。今は、死神の信頼を得る事を考えないと。

そんな事を思いながら、俺は自室でゴロゴロしていた。やたらと広い部屋で、やることもなくなり、とりあえず斬魄刀と、外から喜助に拾って来てもらった丸い石で野球の練習をしていた。

 

「一番ショート、千田くん」

 

野球漫画はあだ○充しか読んだことがなかった。テキトーに野球っぽくスウィングして、石を打った。石は見事に右中間に飛んだ。

 

「………飽きた」

 

飽きた。斬魄刀をその辺に放って、ベッドの上に寝転がった。あーあ、マリオやりたい。

 

「この、バカモンがッ‼︎」

 

突然の怒鳴り声と背後からのゲンコツ。悲鳴をあげる前に頭を抑えながら涙目で何事かと辺りを見回した。

後ろには夜一さんがメチャクチャ怒った様子で立っている。

 

「よ、夜一さん?なんで怒って……」

 

「何しとるんじゃ!斬魄刀で石を打つだけじゃなくその辺に放るなんて!」

 

「え、な、なんで?」

 

「斬魄刀にはちゃんと自我があるというのにそんな真似するバカモンがおるか‼︎」

 

そ、そういえばそんな設定あったっけ……。

 

「そ、そか……すいません……」

 

「まったく……というか、良い加減斬魄刀の名前は聞けたのか?」

 

「いえ、それがまったく」

 

ほんとに。てか虚って斬魄刀使えんの?確か、破面の皆さんの斬魄刀は自分の力を解放するためのもので、斬魄刀に名前なんてなかったよね。

が、俺の返答に呆れたのか、夜一さんは苦虫を噛み潰したような表情で額に手を当てた。

 

「まったく……そんな扱いをしてるからじゃぞ」

 

「虚にも斬魄刀って扱えんの?」

 

「扱えんことないじゃろう。多分」

 

なーんだそりゃ。極めて曖昧じゃねぇか。実際、戦闘自体がほとんどないんだから仕方ないだろ。でも、一回でも良いから卍解してみたいなぁ。せっかく、BLEACHの世界に転生したんだし。

 

「でも、それなら戦闘させてくれよ。いつもいつも虚を食い尽くすしかなくて、俺のスタイルにあった戦闘もクソもないでしょうよ」

 

「ふむ、斬魄刀も何かを食べるような形になるのではないのか?」

 

なんだそりゃ、ゴッドイーターかよ。

 

「あーあ、やってらんねーよ。暇だよー。運動不足だよー。俺だよー、ワリオだよー」

 

「ほう?そんな態度を取っても良いのか?」

 

「あ?」

 

「喜助に頼んでおいたのじゃ。そしたら、1日だけ流魂街への外出許可が出てのう。けど、そのような態度を取るならこの話は……」

 

「超行く!夜一さん大好き!」

 

よっしゃ!俄然テンション上がって来た!

 

 

 

 

と、いうわけで、俺は夜一さんと喜助で流魂街に出向いた。うほー、買い物なんてほんと久しぶりだ。何買おうかなマジで。とりあえず美味いもん食べたい。虚が虚と人の魂以外食べれるか知らんけど。

 

「ラーメン、ラーメン食べたい!」

 

「コラコラ、走らないー」

 

走ると、後ろから喜助に手を掴まれた。

 

「まったく、やんちゃ坊主め……」

 

「坊主じゃないし」

 

「何のために儂や喜助が付いて来たと思っておる。名目上はお主の見張りじゃぞ」

 

「知らんよそんなこと。それよりラーメン!」

 

「ほう?そういう態度で来るなら……」

 

反対側から夜一さんに手を繋がれた。その反対には喜助、と、いうことは、両サイドから落ち着きのない子供の動きを封じに来てる両親みたいになってる。

それを自覚した直後、さすがにこの歳での恥ずかしさか、カァッと顔が熱くなるのを感じた。

 

「ちょっ、離して二人とも!」

 

「ダメっス。言うこと聞かなかった罰っス」

 

「俺が悪かったですからホント勘弁して下さい‼︎」

 

「少なくとも、ラーメン屋に着くまでの間はこのままじゃ」

 

「いやこの状態でラーメン屋とかなんの拷問⁉︎ていうか、あんたらはこの状態だと夫婦に見られるんだぞ⁉︎」

 

「アタシは構わないっスよ」

 

「儂も別に気にせん」

 

「畜生おおおおおおおおお‼︎」

 

ああああ!なんだこれ!

いっそ殺してくれとでも言いたくなるレベルで連行され、ようやく到着した。3分ほどしか歩いていないというのに、3時間くらいに感じました。

 

 

 

 

ラーメンを食べた。虚の体でも普通に飯は食えるんだな。

………あれ?じゃあ、なんで虚って人の魂とか虚を食うんだろう。自分の身体の栄養にする為だけではない?

 

「どうしました?なんか難しい顔して」

 

喜助に横から声をかけられた。

 

「えっ、あ、いや、何でもない」

 

「そうスか?‥……ああ、そういえば虚なのに普通にご飯食べれましたね」

 

おい、お前俺の思考読んでたろ。

 

「ふんっ」

 

「痛い!なんで蹴るんスか!」

 

「なんか腹立った」

 

「理不尽⁉︎」

 

そんな話をしながら、色んな店を見て回った。これが流魂街かぁ。なんか、おもしろい。買い物することが久し振りだからかもしれないけど、これか買い物かぁ、みたいな?沖縄人が雪に憧れてる感じ?

メチャクチャ色んなものを買い込んで、自室に帰宅した。

 

「あー。たっのしかったー!」

 

満足げにベッドにダイブし、夜一さんと喜助もあとから部屋に入ってくる。

 

「あ、あの……ルーたん……荷物は、どこにおけば……」

 

「ん、ああ。その辺置いといて。サンキュー」

 

喜助さんは言われるがまま、その辺に荷物を置いた。

俺の横に夜一さんが座った。

 

「良かったのう、ルイ」

 

「ああ。もう最高」

 

ベッドに転がりながら、夜一さんの腰に抱き着いた。

 

「夜一さん、喜助。……マジ、ありがとな」

 

なんとなく照れ臭かったので、夜一さんの腰に顔を埋めながらお礼を言った。なんか、二人がニヤニヤしてるのが顔を見なくても想像できたけど、自然と腹が立たなかった。

 

「……じゃ、アタシは大前田サンと溜まった書類片付けてくるっス。夜一さんもきてくださいよ」

 

「あ?あー、そうじゃな。たまには、」

 

そう言って、二人は部屋から出て行った。さて、けん玉でもマスターしますかね。

 

 

 

 

が、俺にけん玉をマスターする時間はなかった。

マスターする前に入浴して、風呂入って上がると、出て行ったはずの夜一さんが苦々しい顔で待っていた。

 

「? 夜一さん?どしたの?」

 

「ルイ」

 

重々しい口調で、夜一さんは俺に紙を渡して来た。

 

「任務じゃ」

 

 

 


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