虚に転生したけど二番隊に入りました。   作:フル・フロンタル

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プロローグ

 

 

俺は今、ピンチである。

死んで、俺は転生した。それは別にいい。前の世界にそれほど思入れがあるわけじゃないからな。

問題はこの先だ。転生先の世界がBLEACHであることだ。よりにもよって原作を27巻までしか読んでない物語。藍染が敵ってことしか覚えてねえよ……。

さて、俺はどういう設定で転生されたのか。さっぱり分からない。さっき転生され、空から落ちてきたのだ。場所は森の中。で、なんとなく世界観を知るために森の中を出歩いてみたんですが、目の前に虚がいるんですよね……。

俺は今、ピンチである(2回目)。

直後、俺の真上に降ってくる、虚の足みたいな身体の一部………かと思ったら、その虚は俺の真横を通り過ぎて何処かへ移動し始めた。まるで俺のことを無視するかの如く。

どういうこっちゃ?などと思ってると、後ろからスパッと心地良い音がした。振り向くと、黒い女の人と軽薄そうな男が俺の横を通り過ぎた虚を斬り倒していた。いや、片方は蹴ってたけど。

 

「ふぅ、危なかったッスね」

 

「なんじゃ。すごい霊圧を感知したのじゃが……おるのは雑魚と子供だけか」

 

黒い方……確か夜一、だったか?元二番隊の隊長サンで、隣の男は浦原喜助かな?夜一さんの方が、俺に手を差し出してくる。ていうか、子供って言った?

……まぁいいや。とりあえずお礼言っておこうか。

 

「……アー……?」

 

おっと、言葉が口から出ませんよ?ガキって言われてたし、子供で転生されたってことなんですかねぇ。

 

「おっと、口が聞けん子供じゃったか」

 

すいませんね、何も言えなくて。何分、さっき落ちてきたばかりなんですよ。心の中で精一杯謝ってると、浦原喜助の方が俺の事をジッと見つめていた。そして、突然脇の下に手を入れて持ち上げられた。

 

「アウッ?」

 

変な声が漏れた。喜助は俺の事を真剣な目で見ていた。

 

「どうした?喜助」

 

俺の思った事を、夜一さんがそのまま言ってくれた。喜助の視線は俺の顔……より少し右に逸れた辺りを見ていた。

………俺の耳か?

 

「夜一サン、この子の耳に付いてるの……」

 

耳?耳垢いっぱいあった?なんかすいませんね、まだ生まれ変わってから耳掃除してないもんで。

喜助は俺の耳、というか耳たぶに手を当てた。そこで俺は初めて自分の耳たぶに何か付いてるのを知った。え、やだデキモノとかじゃないよね。

 

「これ……」

 

「このピアス……虚の顔にそっくりじゃな……」

 

ほえっ?虚?

 

「さっきから感じてるこの霊圧……もしかすると、」

 

「このガキからじゃと言いたいのか?」

 

おい、なんで子供からガキになった。どういう意味それ。

 

「……ハイ。調べてみないことには何も分かりませんが、もしかすると、虚かもしれません」

 

えっ?ほ、虚?

 

「……どうする?」

 

「ま、とりあえず持って帰ってみましょ」

 

と、いうわけで俺は虚になって死神に連行された。

 

 

 

 

数十年後。二番隊の地下室。喜助が虚を担いで俺の部屋に降りてきた。

 

「ほぉーら、ルーたん!ご飯ッスよー」

 

「ルーたんって呼ぶなクソボケ‼︎」

 

喜助をブン殴り、鹵獲してきてもらった虚にかぶりついた。うん、味は悪くない。

 

「大虚か。まぁまぁだな」

 

あれから、俺は喜助と夜一さんに上手いこと二番隊に入れてもらった。喜助曰く、「虚を殺して俺が食って糧になれば一石二鳥」との事だ。意味わかんねーよ。

まぁ、実際の所、当時俺はクソガキだったし、向こうはちゃんと教育すれば自分達の敵にはならないとでも考えたんだろう。当時から俺には自我があったから、その予想は正しくはないが、俺は別に謀反を起こすつもりなんてないし、結果オーライと言えるだろう。

名前はルイスと呼ばれてます。なんで和名にしてくれなかったんや……。

 

「おお……今日も虚の踊り食い……良い食べっぷりッスね!」

 

茶化してくる喜助を無視しながら虚を食べた。

無論、虚を仲間に入れるなんて条件を山本元柳斎重國が簡単に飲むはずもなく、瀞霊廷にいる間は二番隊の地下に俺は閉じ込められる事になっている。まぁ、それは仕方ないと思うけどね。

他にも喜助は俺に対してコソコソと何か細工をしていたみたいだが、俺が万が一暴れ出した時、封じるための細工だと思うので無視した。だって暴れなきゃ問題ないから。

 

「ふぅ……ご馳走様でした」

 

「元気っスか?ルーたん」

 

「だからルーたんって呼ぶなっつーの。マジブッ殺すぞ」

 

「えー、ルーたんの何がいけないんスかー」

 

「なんか気持ち悪い。夜一さんになら呼ばれてもイイけど」

 

「うう……最近、ルーたんが冷たい……反抗期という奴っスね……」

 

うるせーよ。

まぁ、確かに昔は世話になったし少しは素直になっておこうとか思ったが、最近こいつあからさまに俺の事からかって来てやがるので、普通に素を出してる。

そもそも、あの時は気づかなかったけど、まさか女の身体で転生されてたとは……。神様とかいうのがいたら、とりあえず絶対許さない。

 

「ふんっ」

 

「痛い⁉︎」

 

とりあえず、目の前の喜助を蹴った。

 

「ちょっ、なんで蹴るんスか⁉︎」

 

「うるせ。俺、風呂入ってくる。覗くなよ」

 

「一緒に入っ」

 

「殺すぞ」

 

一応、潜在的には女性になっているのか、夜一さんの裸を見ても何も思わなかったし、男性に裸を見られるのは恥ずかしい。

………だから、まったく成長してない自分の胸や身長が恨めしかったりする。

 

「………喜助、あと3秒以内に部屋から出て行かないと虚閃撃つよ」

 

「すいませんした!」

 

脅すと、喜助は逃げた。

 

 




ルイス
身長:138cm
水色髪のショートヘア

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