※この話にはオリジナルサーヴァントが出てきます。
それでも良い方はどうぞ。
あらすじに書いたように誤字脱字があれば指摘をお願いします。
ネタを忘れないように投稿しましたが受験生なのでしばらく投稿できないでしょうがよろしくお願いします。
『…ふむ、君もダメか。』
…声が聞こえる。
口では残念そうな事を言っているが、なんの興味をもっていないような声が。
その声を聞いている間にも私の目は閉じられていく。今目を閉じてはいけないと思うが抗えず
遂に目は閉じら……
『そろそろ刻限だ。君を最後の候補者とし、その落選をもって今回の予選を終了しよう………さらばだ、安らかに“消滅”したまえ。』
その言葉に閉じられるはずだった目を見開いた。
--怖い。
ただそう思った。
痛みが怖い。
感覚の喪失が怖い。
他の死体と同じになるのが怖い。
--なにより
無意味に消える事が怖く、そして恐ろしく思った。
…立たないと。
そう思うが傷ついた体はほとんど動いてくれない。
それでも、今にも閉じそうな目を開き、爪を立てながら、歯を食いしばりながら、体に力を込める。
諦めない、絶対に諦めない。
だってこの手はまだ一度も、自分の意思で戦ってすらいないのだから--!!
『よく言いました!これまでの人達と違って、貴女の事は好きになれそうです!』
どこからともなく聞こえてきた、凛としていて、楽しげな誰かの声。
同時に群青色を基調とした一つのステンドグラスがパリンと割れた。
割れたガラスの破片がキラキラと舞うなか、私の前には一人の女性が立っていた。
「問います、貴女が私のマスターですか?」
青く長い髪に鮮やかな赤い瞳、露出の多い服に肌を這うように刻まれている、まるで血のように赤い紋様。
そしてその手には身の丈より長い槍が握られている
小首をかしげ楽しげに笑っている彼女に状況が理解できていない私はされど、確かな安堵から彼女の問いに頷いた
「此処に契約はなされました。これより我が槍は貴女の矛となり盾とになりましょう!」
その細い体からは想像出来ない力強さで手を引かれる。
そして引かれた手がまるで蒸発するように熱くなったかと思うと彼女の体に刻まれた紋様のように赤い模様が浮かび上がった。
私はあっけにとられ目の前の彼女といきなり浮かび上がった模様を見ていた。
カシャン
…と、後ろから鳴った音に我に返った。
反射的に振り返ると先程の人形がこちらに向かってきていた。
先程までの事を思い出し、思わず体が後ろに下がる。
と、それと反するように女性が前に出た。
「とりあえずはあの人形を壊しましょうか。大丈夫ですよマスター、貴女は私が護りますから!」
そう言って明るく笑った彼女は槍を構え人形へと突っ込んでいった。
-そこからは一瞬の事だった。
人形が振りかぶった腕を軽やかに躱した彼女は躱した勢いのまま槍を人形を貫いた。その槍を抜けば人形は倒れ伏し、そのまま動かなくなった。
先程まで脅威でしかなかった人形は彼女の前では無力に等しかった。
先程まで自分の命を脅かしていた存在が動かなくなったことで体から緊張が取れて、力が抜け、膝が崩れた。
倒れそうになった私を女性が片手で受け止める。
「お疲れ様です、マスター。後の事は私に任せて今は眠っていていいですよ。…おやすみなさい。」
優しい声でそう言われながら頭を撫でられる感触に自然と目が閉じていく。
彼女が何者かは全く分からない。それでも彼女の傍は大丈夫だと、謎の安心感と共に私の意識は途切れた。
-そしてこれが私と彼女との長いようで短い物語の始まりだった。