双子の姉と友達を守るためだったら無機物だって殺して見せる! 作:ねふてぃー
小学校を卒業し、中学生になっていた。刀奈姉は楯無の名を受け継ぎ、インフィニット・ストラトスのロシアの国家代表にまでなっていたらしい。らしいというのも、そもそも興味がなかった為、就任していたことにも気が付かなかった。今のボクには簪姉さん以外にも大切だと思える人が出来た。簪姉さんの友達の本音姉さん。ボクと同じ年齢で、のほほんとしているけど、なぜかボクは姉さんと呼んでいた。実際に姉弟ではないけど、姉さんって呼んでも悪くはないよね。
「……簪姉さん、本音姉さん。一緒に遊ぼう‼」
「…うん、たまには一緒に遊ぼう」
「うんうん、一緒にあそぼー」
ボクとは別のクラスである簪姉さんと本音姉さんの下に行くと、放課後に遊ぼうと誘う。もはや日常になっている光景に気にする様子を見せない簪姉さんたちのクラスメイト達。中にはボクに殺意の籠った視線を向けるモノもいるが、そのモノたちにのみ、殺意を向ける。…気絶したね。ザマーミロ。
放課後になると、急いで帰りの支度をし、簪姉さんたちがいる教室へと向かう。一緒に遊ぶことはなくても、一緒に帰ってくれるはずの二人は教室にはいなかった。それどころか、ボクに殺意を向けていた男たちの姿もない。
「……ねぇ、簪姉さんたちを知らない」
「し、知らないよ」
近くできょろきょろとしている男子生徒に話しかける。ボクの質問に体をびくつかせ、質問に答える。返答するときに目を合わせないところを見ると嘘をついているのはすぐにわかる。…簪姉さんたちが危ない‼
「分かった。簪姉さんたち関係の話で嘘をついたお前も死刑な。今日の帰り道は気を付けることだね」
そう一言告げると誰もいない校舎裏に向かう。本来であればこんなことで使いたくはなかったけど、仕方がない。
「我が呼び出す。我が願いに耳を傾け、我がもとに姿を現せ」
―――――呼び出しに応じて、参上しました。我が名はチャミュエル。大天使チャミュエル。今回の目的は既に知りえております。ついでに言うのであれば、既に簪様たちは見つけております。
「あぁ、助かった。我に道をしるし、我を彼女らの下へと届けよ」
――――――仰せのままに。我が、主様。
指輪の中に戻ったチャミュエルは指輪から光が放たれ、ボクの行くべき道を知らせてくれる。指を一度鳴らし、意識を切り替える。
――――――頼んだよ、
――――――わかってるさ、
指輪を左手の中指に付け替える。いつも使っているナイフではなく、神様がくれた一振の刀と一本の短剣を腰に差す。これが特典の一つ目。私に特典をくれた神様は、これを
指輪に導かれるがままに歩いていくと、体育館倉庫に着いた。誘拐や監禁というものは、どうしてこんな場所によって連れてくるのか、私には理解できない。だか、簪姉さんと本音姉さんを拉致した罪は重い。
ドアを勢いよく開ける。案の定そこには簪姉さんと本音姉さん、そして彼にとって殺意を向けていた男たちの姿があった。一つだけ違う点を述べるのであれば、簪姉さんたちの服が破かれていたことだろう。
「…刈夜、逃げて!!」
簪姉さんのその言葉を聴くとともに、私の中で何かが弾け飛んでいったのだった。人前では決して使わない、彼らを呼び出す。
「二人は目を閉じていて下さいね。私達は貴女達にだけは嫌われたくないので」
「…刈夜、口調が、変」
「取りあえず目を閉じていて下さい」
二人が目を閉じたのを確認すると”眼”を開く。視界を埋め尽くす死が現れる。短剣を右手で逆手に持ち、刀を左手に持ち、自然体に戻る。
「ふ、ふん。こけおどしなんかに驚かねえよ!俺達にはこれがあるんだからな‼」
名前も知らないクラスメイトの少年が懐から三枚の紙を取り出す。魔法陣のようなものが掛かれたその紙は発光を始め、床にも同じような魔法陣が現れる。紙が消えると同時に、魔法陣から人が出現する。紅い髪をした女性と赤い籠手を着けた茶髪の青年、剣を腰に携えた金髪の青年だった。
「世界を超えて召喚されましたか。…悪魔、ですか。こうしてみると、本当に非現実的なことなのがよくわかります。…ここに簪姉さんたちを居させるのは危険ですね。告げる。我の呼びかけに応じ、姿を現せ」
――――――私はザフキエル。神の番人を務めるモノです。
「簪姉さんたちを家まで頼んだ」
――――――わかりました。任せてください。
ザフキエルは服の破かれた簪姉さんたちをつれ、どこかへと向かった。きっと今頃家まで運んでくれているに違いない。
「えーっと、あなたたちが私たちを呼んだのよね?私たちに何を願うのかしら?」
「あぁ、あの男を殺せ」
「分かったわ。先に対価を貰うわね。あなたに貰う対価は髪の毛全て。いいわね」
「あぁ」
「契約成立よ」
少年の髪が全て抜け落ちる。契約が成功したらしく、紅い髪をした悪魔と赤い籠手の青年と金髪の青年が襲い掛かる。
「……折角使おうと思ったけど、彼らも使ってあげないと可哀想だよ。両義、悪魔には悪魔をぶつけるのが一番だよね」
「人間を殺した方が楽なのは確か。悪魔には悪魔…悪くはないね」
「何をぶつぶつと言っているのかしら」
紅い髪の悪魔は私達の呟きに不審な視線を向ける。
「よろしくね、みんな」
――――――(ノ・ω・)ノオオオォォォ
――――――ようやく、我らが出番か。
――――――最初の殺しが
三体の悪魔たちが同族に向かっていく。その隙に私は簪姉さんたちを襲ったゴミの下へと歩く。私が一歩近づくごとに彼らは一歩下がる。なん歩か下がり、もう下がれないことを知ると、地面に座った。
「
鞘は消え、真っ黒な刀身が姿を現す。短剣を一人の少年の体の中心にある点に投げつけると同時に、二人の少年の下へと走り出す。四肢や首と言った場所に存在する線を刀で切り裂く。終えると同時に三人は崩れ落ちたのだった。
「……ありがとね、
「いつでも呼んでね、
意識をボクの方へと戻し、悪魔たちの方を見る。すると案の定、紅い髪の悪魔たちは彼らにやられていた。死体となった今でも殴り続ける彼ら…とても楽しそうだよ。
「……ほら、もう帰るよ」
――――――(´・ω・`)ショボーン
――――――もう少し殴りたかったけど、ま、いいだろう。
――――――楽しかった!
指輪の中に戻る彼らを見届けると、家に帰る。帰ると同時に涙を流しながら突撃してくれる簪姉さんたちが可愛いと思ったのはボクだけの秘密にしようかな。
ボクの本当の想いは誰にも気が付かれない。気づいてもらえると嬉しいけど、きっと、誰も気が付かない。言って鬱陶しいと思われる方が、ボクは悲しいから。