吸血鬼
その名を知らぬ者はほとんどいないであろう生き血を啜る怪物。
古くは、1800年代に吸血鬼を貴族的な外見と定番化させたルスヴン卿、言わずと知れたドラキュラ伯爵、女吸血鬼カーミラや不死者ノスフェラトゥ、ヨーロッパにおいてその強大な力と数々の伝承によって恐れられ、日本にさえ
「まぁ本題に入らせて貰うが、今日ここに泊めてもらえないだろうか?つい数時間前にこの土地に来たばかりなもんでな」
「あらそう、好きにすればいいわ。不愉快だから出来れば今すぐ勝手に寝て、朝一番で出て行って欲しいものね。」
欠伸をしてながらそう答えたレミリアは最早雅の事など眼中に無いようだが
なぜ。何故彼女から焦りを感じるのだろうか?
「何をそんなに焦ってる?さっきのメイドもそうだが、何か見られたら困るものでもあるのか?」
「どう言う事よ?」
レミリアが更に不愉快そうな顔をする。
「そりゃあえて遠回りしてここへ案内したメイドに、俺には長くいて欲しくない素振りを見せる君の態度で大まかにはわかるよ」
ゆっくりと目を閉じナノマシンを放出しゆっくり目を開く。
【観測者の千里眼】
体内のナノマシンの半数を周囲に展開、もう半数が空間認知能力を強化、リンクし壁の向こう側などを視ることが出来る。今雅は、文字通り千里眼の様にこの館全体を見ていた。
「ふむ食堂の反対側のドアは図書館のドアだったのか、凄まじい数の本だな、2人ほど人がいるのか。外は美鈴ちゃんが1人で門番かい?」
唖然とした表情でレミリアは雅を見つめていた。あの間抜けな顔っと心の中でほくそ笑み再び館へ意識を向ける。
「ん?地下か・・・外側から鍵、かなり分厚い扉だな。中には1人か?女の子・・・」
「口を慎め。お前が踏み込んでいい話では無いのよ」
雅の言葉を遮ってレミリアが言い放つ。唸り声を上げる怒気。あまりの殺気に燭台の蝋燭が消え窓が軋む。心なしかレミリアの深紅の瞳が輝きを増した様な気がする。よほど触れて欲しく無い者らしい。一体誰なんだ?
「済まなかった。だが一体誰なんだ?その子は」
しばらくの静寂の後レミリアが静かに語り始めた。
「妹よ。たった1人の肉親なのよ。それなのに私は、あの子が内に秘める狂気を怖れ400年以上もの間あの子を幽閉して来た。わかっていたのよ、こんな事じゃ何も解決しないのは、けど怖かった。あの子が何かを壊すのがそしていずれあの子を私が殺さなくてはならなくなるのが怖かった。」
「・・・姉としてそれはどうなんだよ。向き合わないお前がその子の狂気を・・・」
「黙れ‼︎お前に・・・お前に何がわかる。この400年以上をあの子の為に捧げてきた私の何がわかる‼︎」
言うや否やレミリアは雅の眼前に迫り鋭爪を振るう。腕を交差させガードするが窓を突き破り外へ放り出される。受け身を取りレミリアと対峙する。鮮血に染まる腕に深紅に煌めく瞳。そこにはあの我が儘なお嬢様の姿は無く、ただその力においてヨーロッパ社会で恐れられた夜の王の姿があった。
王は、その無慈悲な鋭爪を雅の首に向けて振るう。そして・・・
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幻想郷の何処かにある廃屋《マヨヒガ》
薄暗い部屋の中に2人の女性。
「さてどっちが勝つかしらあの勝負、吸血鬼とあの男との戦い。けど本当にこれど良かったのかしらねぇ?紫」
純白と漆黒の法衣を纏う天狗の頂点、幻想郷創造の関係者、その気になれば鬼の長とも対等に渡り合う怪物。天魔
「えぇアレでいいのよアレは未来から来た技術の渡来者。新しい物が幻想郷を平らにして行くのよ。天魔ちゃん」
紫を基調とした中華風ドレスを纏う妖怪の賢者であり最強妖怪の1人。紫
鬼のいなくなった幻想郷において実質トップの2人だがその仲はけして険悪なものでは無い
1000年を超える時を過ごして来た2人は時に姉妹の様な姿をも見せる。
「けど紫?あの男は危険よ。この土地を変えすぎる。ヘタしたら幻想郷が消えるわよ。あの吸血鬼も鬼の力に天狗クラスのスピードを兼ね備えたかいぶつよ?」
「けど今は彼に頼るほか無いわ。それにもう時間が無いのよ。」
長い沈黙が訪れる。紫は立ち上がり障子を開け放つ。
東の空が明るくなり始めていた。いつの間にか異様な妖気は感じなくなっていた。
「もう直ぐ夜が明けるは、向こうの方も終わったみたいだし帰るわね。」
バイバイと手を振りながら空間を引き裂いて現れた異様な隙間へ消えて行く。取り残された天魔は、懐から一枚の写真を取り出した。
天魔と紫のそしてその間の少女の3人が写る写真。天魔は、ゆっくり写真を撫で
「霊夢。あともう少しだけ頑張ってね」
一言を残し韋駄天の如く東の空へ翔けて行った。
戦闘描写のコツをください・・・