”とばされ”日記   作:一般通行人

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御久し振りです。
遅れてスミマセンでした。


四冊目 SCP
一日目~三日目 いきなり


『一日目 不明

 

 前回の世界から消え去り、次なる世界へ来たわけだが、実に面倒なことになった。今回は命の危険がどんな所よりも付きまとう世界だ。

 

 どこかって?地球だよ。俺がもともと生活していた、と書いたら少し語弊はあるが、確かに懐かしさが違和感とともに・・・・・・・ある地球だ。

 

 

 

 転移してきて、まずはポケットをまさぐってみたら今回は何故だか手紙がない。それを不思議に思いつつもあたりを見てみたら、それはもうあたり一面…というわけでもないが360°全方位鉄に囲まれていた。というより壁か?そんなところで警戒しつつうろついて居たら、何かが足元に当たった。見てみれば、一体の一つ目の雫を形度った生物がいた。どっかで見たことあるなー…と思っていたら白衣を着た男がいたので話しかけてみた。

 

 そしたら拳銃を向けられた。悲しい。いや、俺が怪しいだけか。

 

 

 

 とりあえず会話を試みたのだが、駄目だった。言語が違った。

 

 相手が話す言葉は英語だった。残念ながら俺は中学で習った英語がギリギリ出来る範囲なんだ…。リスニングは毎回満点だったが。(どうも文法は苦手だ)

 

 そこで、とりあえず一旦武器を消し、手を挙げて敵意がないことを示しつつ、エクスキューズミー。と、思い出した英単語で話しかけてみた。

 

 返答として、機動部隊が銃を向けてきたが。

 

 

 

 一旦拘束され、なんか取調室のような場所に連れて行かれ、事情聴取?が行われた。

 

 聞かれたことは主に三つ。まず、何者なのか。次に、目的は何なのか。最後に、何か要求はあるか。

 

 一つ目には「神様のおもちゃ」と答え、二つ目には「生き延びること」と答え、三つ目には「毎日日記を書くことと、日時が確認できるデジタル時計が欲しい、あと新聞を貰いたい」と答えておいた。

 

 一応身の上についても詳しく話しておいたので、訳は分からないだろうが何故あの場に居たのか納得はしてもらえたらしい。

 

 そんなこんなで聴取は終わり、要求については"倫理委員会"というところに通すらしい。が、日記自体に異常性はないことが確認してもらえたみたいなので、すぐに要求は通るらしい。助かるね。

 

 そして、俺にはサイト███の、人型収容エリアというところにある部屋が与えられた。結構広い。前に住んでいたマンションの一室より広い。窓はないが。

 

 

 

 …上記のことで気づいた奴もいるかもしれないが、ここはSCPという究極生命体が実在する、俺が元居た場所の並行世界だ。並行世界についてだが、そもそも俺らの世界にはこんな地獄SCP財団は実在しない。あと、聴取中に調べてもらったが、日本には確かに俺がいた。いたって平凡で、まったくもって普通な俺がいた。

 

 まったくもって頭が痛い。この後また聴取をされるらしい。自分が並行世界の人間であることは話した方が良いのだろうか?そして、今回はどれほどの期間ここにいなければならないのだろうか?

 

 そして胃も痛い。何せ、化け物どもがはびこるこの場にいなければならないのだから。さて、今日の分は今から聴取があるので終わりにする。それでは、また明日。

 

 

 

memo

 

・頼むから俺がいる間だけでもSCP‐682不死身の爬虫類が脱走しないと良いんだけど…

 

・P.S. 脱走したSCPの収容を手伝うことになった。畜生。』

 

 

 

 ♦

 

 

 

『二日目 雨らしい

 

 仕事ばっかでやってられんわ。

 

 なんだよこの職場……元の世界で見てたのよりもっとひどいじゃねぇか!俺はDクラスじゃねえんだぞ…?どうしてしょっぱなから訓練場でSCP-076アベルと全力鬼ごっこをしなくちゃならんのだ?死ぬかと思ったぞ……。

 

 いくらあっちを殺してもいいと言われても、あんな奴相手に挑ませるなよ。あいつ自体にも、遠隔爆弾の爆発にも殺されかけたぞ…

 

 

 

 愚痴を書いてみたが、実際は後もう二つほど思うことがある。それは博士たちだ。

 

 俺を道具としてしか認識していないように思えてくる。あいつら冷酷なだけで無情ではなかったんじゃなかったのか?特にブライト博士はまずい。あいつは何一つとして俺の知っているブライト博士から変わっていない。いきなり訓練場にSCP-076アベルと一緒にぶち込んだのも彼だ。しかもそれが終わった後俺をSCP-682クソトカゲと会わせようとした。末恐ろしい。

 

 SCPでも"ブライト博士が財団で二度としてはいけないこと"に書き加えられるだろうか……?

 

 

 

 ブライト博士の件はもう良い。次から俺が気をつける。

 

 しかし、博士たちよ、SCP-106オールドマンが脱走したときになぜ俺の元へと連れてきたんだよ?一応SRのトリガー引きっぱにしてたらひるんで、その隙に収容するための手順は踏めたから良いものの、流石に怖い。

 

 そしてその功績と実力?が認められたのかエージェントになった。不幸だ。

 

 

 

 エージェントになってからは早かった。その日のうちにチームに組み込まれ、一緒に短時間の訓練を受けさせられ明日には対SCP-682クソトカゲ用の訓練が始まるらしい。それが終わったらKeterクラスのSCPについての座学と来た。まさかこの年になって勉強するとはな…。

 

 でもまぁ、SCPは一部しか知らなかったので正直助かる。生き残るのに情報は不可欠だ。

 

 

 

 そろそろ疲れが溜まって眠気が酷いので終わる。

 

 

 

memo

 

・アニソンの「ライオン」を思い出した。

 

・ここはクソトカゲとかの例外以外、殺す(壊す)のは駄目らしいのが辛いな』

 

 

 

 ♦

 

 

 

『三日目 晴れたみたいだ

 

 今日から本格的にエージェントとしての活動が始まった。

 

 まず一番初めの仕事はDクラス職員の引率だ。今回はどうやらSCP-173の居る施設に連れて行った。皆覚悟を決めた顔だったのが印象的だ。しかし、幸いなことに全員生還し、彼らは仕事をこなしていた。俺もちょっとホッとした。掃除をするだけのお仕事がこんなに大変な職場ってあんのかね?

 

 Dクラス職員たちをそれぞれの寄宿舎に戻して、ゆっくりするか。と思った矢先に、今度はSCP-2662クトゥルフ、ふ「ざげんな!」のところへ信者がやってきた。すぐに現場に急行したが、ひどい有様だった。そこらじゅうに血だとか肉片だとかで、なんだかもう見てるだけで気持ち悪くなるような状況になっていた。生で見ると吐き気を感じるな。

 

 一応、鎮圧はした。後のことは、チームメンバーが信者たちを片づけて、通訳が当てられ俺がSCP-2662のちょっとしたメンタルケアをしていた。最初は愚痴を聞き、途中から俺からも話を吹っかけてみる。そんな風に話していたら、なんだかしらないが結構仲良くなっていた。もともと彼が常識人(人?)なこともあってだろうが、結構楽しい会話だった。終始通訳さんは疲れた顔をしていたが。というか最後らへん信者と似た感じになっていた気が…

 

 仕事が終わり、部屋へと戻った。今度はゆっくりと休めたためホッとした。

 

 休むついでにタブレット端末にダウンロードされている新聞を読むと、なんだか安心した。芸能人が結婚しただとか、サッカーで何位になっただとか、どこかの議員が不祥事を起こしただとかetc……

 

 俺がまだ普通の人間だったころの記憶がよみがえってきて、少しだがホームシック気味になった。

 

 

 

 休憩が終わり、いざ仕事だ。となった時に事件は起こった。

 

 悪夢かと思った。実際悪夢のような出来事だった。例のトカゲSCP-682が脱走しやがった。ついでにやべぇおじいちゃんSCP-106も。

 

 とりあえずクソトカゲの収容区画近くまで急行し、捜索(といってもでかいので速攻見つかったが)。見つけてSRとハンドガンをだいたい20秒ほどぶっ放し続ける。ひるんだすきに特殊部隊に再確保してもらい、なんとか再収用に成功した。途中真っ先に殺しに掛られたので真面目に死ぬかと思った。そして何より瀕死には至ったものの、殺せなかった。さすが不死身。

 

 歓声を背にSCP-106オールドマンの元へ。そこへは少し時間がかかってしまい、ついたころには被害は甚大だった。床にはポケットディメンションがいくらかあり、床には腐敗した跡が道になっている。

 

 床の上には体の一部が腐食していて苦しみながら生きていた人が数人。もう原形を留めていない"人"だったナニカが6個ほど。

 

 生存者が応急手当てをしてもらっているところへ情報を聞きに行き、奴の向かった方向を聞く。そして追っかける。二つほど扉をくぐったところに奴はいたので、とりあえずハンドガンを一発ぶち込む。が、当たった瞬間腐敗したであろう音がしたのでSRを撃ちこむ。するとなんとか効いたようで苦しむSCP-106オールドマン。

 

 怯んでいる隙に専用の収容区画の部分に居る職員に特別収容プロトコルの実行をさせる。スピーカーから流れ出ていたあの悲鳴は聞いているこっちが少し辛くなった。が、SCP-106オールドマンはそれで収容できたので良し。それに、今回の生贄は元々死刑囚だったDクラスらしいので気に病む必要は特にないと思う。

 

 

 

 この2体のSCPを収容し、改めて区画内を見て回ると被害は酷いものだった。

 

床は腐り果て、所々にひび割れや無理に破壊された跡がある。それと、今回の件でエージェントも一人死んでしまったらしい。貴重な戦力が……

 

 やはりあの2体は中々に厄介である……が、ここにはそれ以上の化け物がウヨウヨいるのが恐ろしいところだ。ほんとなんなんだよこの世界。

 

 

 

 その後は仕事どころではなかったので休みが言い渡されて、部屋に帰った。

 

 疲れ果ててもう体力はこれを書くぐらいしか残っていないので正直書いている今もとにかく眠い。ので、そろそろ寝る。

 

 

 

memo

 

・この施設を直している人々はエージェントになれるのではないのだろうか。とにかく大変そうだった。』




SCP‐682不死身の爬虫類
http://ja.scp-wiki.net/scp-682

SCP-076アベル
http://ja.scp-wiki.net/scp-076

SCP-106オールドマン
http://ja.scp-wiki.net/scp-106

SCP-2662クトゥルフ、ふ「ざげんな!」
http://ja.scp-wiki.net/scp-2662

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