スキマ移動を終えた奴隷達は、小さな個室に入っていた。
「蓮子…」
声をかけずらかった。
目の前で友人を連れ去られてしまったのは大きいだろう。
「ここは安全よ。衣玖、それに蓮子もここで休んでなさい」
結界を張り終えた天子が言った。
しかし、蓮子は否定した。
「私もついて行きます。メリーを助けなきゃ…」
奴隷は言う。
「無理をしなくていいんだぞ?ここから先は守りきれる自身はない。…俺自身も死ぬかもしれない」
「それでもです。メリーは…私の大切な親友なんです」
「わかった」
衣玖を置いて先に進む。
道中は恐ろしいほど静かだった。
待ち伏せしている妖怪すらいない。
「舐められたもんね」
一つの大扉の前に立つ。
奴隷は大扉を開けた。
広い広間に出た。
その中央には正邪が座っている。
「ほう、異世界流しは失敗したらしい」
正邪は残念そうに言った。
「貴様らは不幸だなぁ。特に、そこの化け猫にとってはね」
「…?」
橙が眉を顰める。
奴隷は月傘を構えて言う。
「倒させてもらうぞ正邪」
「ほう!
正邪はヒュ…と口笛を吹いた。
「感動の再会を楽しめ」
そう言って、正邪は奥の扉へと消えた。
「待っ…メリーは!」
蓮子が奥の扉へと走ろうとし、天子がそれを止めた。
「離してください!」
「落ち着いて蓮子!正邪は何かを呼んだ。何かが来る」
奴隷達の耳に、こちらに近づいてくる音が聞こえた。
橙は鼻をひくつかせた。
「藍様…?」
橙の言った通り、現れたのは八雲藍だった。
「藍様!」
「待て橙!様子がおかしい」
藍はこちらを見た。
その目に感情が無い。
焦点すらあってないように見えた。
藍は震える手でスペルカードを取り出した。
「何を考えてる藍さん?」
スペルカードはこちらに向けられている。
そう気づいた時には、皆が行動を開始した。
「
先程までいた場所にレーザーが放射された。
「どうしたんですか藍様!」
歩み寄ろうとした橙を天子が止める。
「奴隷、この猫と蓮子を連れて先に進んで」
「一人で相手をするのか?」
天子は頷いた。
「平気よ。それに、ここにいたら見たくないものが見れるかもしれないわ」
橙は顔を上げた。
「藍様を…殺すってこと?」
「…行って!」
天子が緋想の剣を掲げるのを合図に、奴隷は橙と蓮子を連れて奥の部屋へと進んだ。
「さて、頭を弄られた狐」
天子は緋想の剣を回しながら言う。
「あんたを殺したら、紫から何されるかわかったもんじゃないわ。だから、半殺し程度に済ませてやるわ」
天子は悪い笑みを浮かべながら思う。
「(力加減がめんどくさいわね。正邪も、手駒に使うなら治療ぐらいしてあげなさいよ)」
天子は構え、藍は飛びかかった
二人の弾幕がぶつかり合い、戦場がそこに生まれる。
秘封活動記録第二話-祝-特報PVがYouTubeのオススメ欄にあって、久々に興奮しました。
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