紅魔館の奴隷   作:ハクキョミ

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月からの流れ星

紅魔館。

今なお依姫と美鈴が激戦を繰り広げでいた。

「『大鵬拳(たいほうけん)』!」

愛宕様(あたごさま)の火」

全てを焼き尽くす神の火を発生させる。

しかし、美鈴は怖気づかずに突っ込んだ。

虹色の気が爆発する。

「くっ…うぅ…」

依姫に直撃させたのはいいのだが、自身の右腕が焼けてしまった。

「(使い物にならないか)」

美鈴は正面を見る。

「…倒せませんか」

「あの妖怪より無駄がない。動きもいい。でも、一撃が弱い」

「はは…ご指摘どうも」

一撃が弱いことを気にしていたのに、容赦なく言われて心のダメージを受ける美鈴。

焼けた右腕を気にしながら、再び構える。

「まだ私は死んでいませんよ」

「そのようですね。…次の攻撃を、今の貴女に耐えられる?」

依姫は天に手を伸ばす。

その直後に大雨が降ってきた。

「『火雷神(ほのいかづちのかみ)』よ。七柱の兄弟を従え、私に勝負を挑んだことを後悔させ…」

「依姫様!」

言い終わる前に、玉兎兵が慌てて呼んだ。

「何か?」

「月夜見様から緊急の呼び出しです!」

「…月詠様から?」

月夜見様(・・・・)です」

わずかな沈黙の後、依姫は攻撃を止めて美鈴に背を向けた。

「貴女、命拾いしましたね」

「どうでしょう?最後までやらないと分かりませんよ」

依姫は呆れた顔で、玉兎兵と共に飛行物体まで戻っていった。

「(まぁ、あのまま戦っていたら…間違いなく死んでましたね)」

美鈴はふらつく体を引きずりながら、紅魔館に戻った。

 

 

遥か上空から、一つの流れ星が降ってきた。

それは紅魔館の時計塔に直撃した。

「痛ったぁ!着陸失敗だこの野郎!」

涙目になりながら奴隷が現れた。

証拠を手放してないか確認し、紅魔館内に戻る。

「ただいま」

「奴隷!?今までどこにいたの!?」

ボロボロのレミリアに叱られた。

それもそのはず、何日も紅魔館にいなかったからだ。

素直に反省する。

「申し訳ない…。ちょっと野暮用があって」

「野暮用?…はぁ、まぁいいわ。無事でよかったわ」

「そういうレミリアもな。依姫に倒されたって書いてあって心配してたんだぞ」

「うー…」

あまり掘り起こされたくない事だったのか、レミリアは返答を濁らせた。

「あー…とりあえず、今の状況を教えてくれないか?」

「見ての通りよ。私と咲夜、それに美鈴も依姫に負けた。でも、パチェのおかげで紅魔館の被害は少ないわ」

「良かった」

「でも、他の場所は酷いわ」

「そうなのか…」

今は月の者が全員引き返したのか、幻想郷は静かだ

「それより、その手元の紙は何かしら?」

「あっそうだ!レミリア、紫さんの居場所知らないか?」

レミリアに証拠の事を言われて思い出す。

「紫?知らないけど」

「えー…困ったな」

この広い幻想郷から探すのは骨が折れる。

まだ幻想郷の全貌を知らない奴隷にとっては、見つかる確率などゼロに等しい。

うんうん唸っていると、一つの部屋の扉が開いた。

「八雲紫なら、今は霧の湖にいますよ」

右腕に包帯を巻いた美鈴がそう言った。

「本当か!ありがとう美鈴!」

奴隷は急いで霧の湖に向かった。

「よく分かったわね美鈴。それとも適当?」

「適当なことを言うわけないじゃないですか。戦友の気は忘れたくても忘れられませんよ」

「?」

メイド妖精に安静に、と言われて美鈴は部屋の中に戻る。


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