「我が名はむきむき。紅魔族随一の筋肉を持つ者!」   作:ルシエド

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 ガルパンの話を「金を掘り尽くしてしまい廃坑の危機に陥っていた大洗掘削学校の少女達の奮闘記」とかに改変して再構成するとするじゃないですか
 それを変化球にして、廃坑おじさん視点の物語とかにするとするじゃないですか
 どう転がすにしろ、少女達が金鉱脈を掘って先に金を掘り出した方が勝ちの戦いにするとするじゃないですか
 その裏で西住家の末弟・西住ほもが廃校おじさんを掘るとするじゃないですか

 あ、この前書きに特に意味は無いです


2-8-4 この素晴らしい物語に始まりを

 むきむきの左腕は綺麗にバッサリやられていた。

 ベルディアクラスの剣技でもなければ、耐久力でダクネスの比較対象に置かれるレベルのむきむきの腕を切り落とすことは容易ではない。

 結果、むきむきの腕は最高の技で切断された。

 幸か不幸か、そのおかげで切断面はとても綺麗なものだった。

 

 ここで魔王軍の兵糧を強奪して悠々自適にアクシズ教徒が王都に到着。

 アルカンレティアの一件で、むきむき達紅魔族チームはアクシズ教徒の何割かに恩人であると認識されていた。

 急ぐ旅の途中にアクシズ教徒が少女のパンチラと困ったむきむき達を見かけたなら、足を止めてパンチラをじっと見て、十分堪能してからむきむき達を助けに行くくらいには恩を感じている。

 

 やって来たアクシズ教徒達が、彼の腕を繋げようとしてくれたのは、当然の成り行きだった。

 

「アクシズ教団のシスター、セシリーと申します。お任せ下さい!」

 

「セシリーさん!?」

 

「違うでしょ、めぐみんさん。お姉ちゃん……でしょ?」

 

「そんな呼び方で呼んだこと一度も無いですからね?」

 

 何でもありで難がある、能力はあれど常識がない、それがアクシズ教徒だ。

 彼らをオ○ム真○教を見る一般人のような目で見て不安がる者も居たが、アクシズ教徒はベルゼルグのバックアップもあって、拍子抜けするくらいにさくっと彼の腕を繋げてくれていた。

 

「元に戻りそうですか?」

 

「はい、この分なら問題なく繋がりそうです。

 流石に、我々の中にも自分の力だけで腕を繋げられる者はいませんが……

 幸い王国が魔道具を幾つか貸してくれた上に、魔法陣の敷設も手伝ってくれましたから」

 

「……そうですか。よかったぁ……」

 

 男性のアクシズ教徒曰く、腕は問題なく繋がるようだ。

 心底安堵した様子で、めぐみんが大きく息を吐く。

 ほのかに嬉しそうに、かすかに幸せそうに、少女は口元を動かす。

 アクシズ教徒のセシリーは、そんなめぐみんが猛烈に愛おしかった。

 

「あんもう可愛いわ可愛すぎるわめぐみんさーん!」

 

「ふわっ!?」

 

 セシリーがめぐみんに抱きついて、その脇で左手の調子を確かめていたむきむきが、男性のアクシズ教徒に感謝を述べる。

 

「ありがとうございました、アクシズ教の皆さん」

 

「いえいえ、私達こそ礼を言わなければならない立場ですから。

 感謝の言葉などいりません。ただ、この入信書にサインしていただければ」

 

「な、流れるように勧誘に移行した……!」

 

 アクシズ教徒は、いつでもブレない。

 

「あとですね、戦勝祝いということでこの後大規模な宴会するらしいじゃないですか。

 怪我人沢山助けましたし、私達も参加してもいいですよね? 最高に盛り上げてみせますよ!」

 

「そのどんちゃん騒ぎを嗅ぎつける嗅覚はどこから来るんですか?」

 

 本当にブレない。

 

 

 

 

 

 アクシズ教徒がウキウキして楽しみにしていた宴会――規模からしてもう祭りに近い――は無事行われ、むきむきもまた、冒険者ギルドで様々な冒険者に囲まれていた。

 もうすっかり日も暮れている。

 むきむきはやや生真面目だったが、そこはギルドの先輩達がフォローを入れ、ギルドでの宴会は概ね楽しく進んでいった。

 

「勇敢な少年に、乾杯!」

「乾杯!」

 

「や、やめて下さい! 恥ずかしいですから!」

 

 有名冒険者もむきむきのガタイと筋力に大いに興味を持っていたようだが、それにも増して興味津々だったのが勇者(てんせいしゃ)達だった。

 日本人的な感覚で見ると、"本の中から跳び出して来た人物"にも見えるむきむきの肉体。

 ミツルギ同様、その筋肉に興味を持つ者が多かった。

 

 勇者達に囲まれて色々と話をするむきむきだが、エルロードで戦ったイエローのことを話していると、勇者の一人が聞いたことのない名前を出してきた。

 

「それってスプリット太田じゃね?」

 

 変な名前だ。紅魔族の人名くらいには変な響きがある。

 

「スプリット・オオタ?」

 

「俺達がここに来る前に居た場所で、芸人やってた人だよ」

「あーいたなそんな奴」

「語尾にゲスゲス付けてて、ゲス野郎みたいなキャラ付けしてたやつな」

「子役上がりの芸人だから、確かまだ十代だったはずだ」

 

 すると、ぽつぽつ勇者(てんせいしゃ)達から声が上がる。

 

「なんだろうなあれ?

 ものまね芸ってわけでも一発芸でもないし。

 ゲスのロールプレイしてツッコミ待ちしてたのか?」

「アイーンとかゲッツとか、そういう一発芸ネタではないな」

「オリエンタルラジオとかインパルスみたいに台本作っとくタイプでもないな」

「タイプとしてはカンニング竹山が近い? いや結構遠いな」

「え? ゲッツとかオリエンタルラジオとかって何?」

「……しまった! 世代が違うやつが居るぞ!」

 

 専門用語が入って来ると、むきむきが一気に蚊帳の外になる。

 アンジャッシュだの桜塚やっくんだの小梅太夫だの言われても、むきむきには何を言っているのかてんで分からないのだ。

 ちなみに今ここに居るメンツだと一番人気はアンジャッシュである模様。

 

「テレビだと扱い酷かったな、スプリット太田」

「そういう扱いされたいっていうキャラ付けなんだろ?」

「俺そもそもいじり芸好きくない。いじめに見える時もあるし」

「大御所にバカにされるためにキャスティングされてる感はあったな」

 

 ただ、言葉の意味全てを理解できないままでも、"イエローがまっとうな人間で居られなかった理由"はぼんやりと察せた。

 むきむきがイエローの能力を話すと、これまた勇者達の中から情報が出て来る。

 

「それってあれか。無敵系特典のページにあったやつか」

「え、そんなのあったのか。もっとよく見ておけばよかった」

「俺も見たな。でも俺結局超魔力の方が欲しかったから……」

「こういう知識集めてメモっておけばDT戦隊の能力すぐに分かるんじゃないですか?」

「ちょっとやってみるか? 時間かかるだろうけど、集合知のメリットってデカいぜ」

「だな。いつの間にかゲームの攻略本が死んで、攻略wikiが天下取ってたもんなあ」

 

 むきむきは知る由もなかったが、『転生者の能力』は転生前に特典一覧から選んだものであるがために、『他の転生者が知っている可能性がある』能力でもあった。

 それは、集合知を用いることで付け入る隙となる。

 

「ええと、魔剣の勇者様、これは一体……」

 

「DT戦隊の能力、全部丸裸にできるかもしれません。そういうことです」

 

「! 本当!? 勇者様達がそこまで博識だなんて……」

 

「いや、博識というわけでは……とりあえず今は、放置しておいて大丈夫ですよ」

 

 ワイワイ盛り上がる転生者集団から離れ、むきむきとミツルギはギルドのカウンターに移動していった。

 カウンターの向こうに並ぶ酒と、酒を飲んで盛り上がる冒険者を交互に見て、むきむきはちょっとした罪悪感と背徳感を感じながら、興味本位で一計を案じる。

 

 自分の見かけならバレないかもしれない、皆と同じものを飲んで同じように盛り上がりたい、といった思考が頭の中を駆け巡る。

 子供が大人の真似をして初めてビールを呑み「にげっ」となる時と、同じような気持ちで、むきむきはカウンターのバーテンダーに酒を注文した。

 

「皆が飲んでるのと同じのを一つ」

 

 そんな子供の背伸びを、注文を受けたバーテンダーのオッサンが止める。

 

「待ちな」

 

 止めて、たしなめる。

 

「お前の歳は知ってる。だが、ここには酒しか無いわけじゃないんだ」

 

 バーテンダーは酒――シャワシャワ――を下げて、未成年でも飲めるものが並べられた棚を、コツンと叩いて示す。

 

「背伸びする必要はない。皆と同じにする必要もない。

 俺達は、お前がちゃんと大人になってから一緒に酒を飲める日を、楽しみにしてるんだぜ」

 

「おじさん……はい! ええと、こういう時は……ミルクでも貰おうか!」

 

「おう、飲め飲め!」

 

「男、むきむき! 牛乳10リットル一気飲みします!」

 

「「「おおおおおおおおおっ!!」」」

 

 むきむきの牛乳一気飲み芸で、ギルド内部が一気に盛り上がる。

 ここは冒険者ギルド。

 今の世の中で、もっとも安酒と馬鹿笑いが満ちている場所だ。

 

 やんややんやと盛り上がる皆の中で、ミツルギは苦笑する。

 

「雰囲気に酔うとは言うが、雰囲気のアルコール度数は酒よりも高いのか……」

 

 そんなことを言っているが、実はミツルギもこういう雰囲気が嫌いではない。

 むしろ好きだった。

 だからか、どこか不思議な居心地の良さを感じながら、ミツルギはアルカンレティアで別れてからの旅の話で、むきむきと盛り上がるのであった。

 

 

 

 

 

 翌日。

 すっかり陽も昇り、戦いの終わりが皆に実感として染み込んでいく。

 今は王都での戦いが終わってから、そろそろ丸一日が経とうかという時間帯だ。

 王都内部の安全確認も終わり、家が壊されていない者の一時帰宅も段階的に始められている。

 

 むきむき達は王城の一室を与えられていたが、そこから何をしろ、どこに行け、といった話は一切されていなかった。

 王族の公務がわんさか積み上げられていて、緊急の案件にランク付けをして、より緊急な案件を先に処理し、一部は翌日に回すということさえしているらしい。

 

「アイリスと一緒にご飯くらい食べたいのにね」

 

「むきむきはそうかもしれませんが、王族は今いくらなんでも忙しすぎですよ」

 

「ああ、でも私本当に疲れた……まだゴロゴロしてたいくらい」

 

 街のベンチで、三人が並んで座っている。

 が、ゆんゆんだけがぐでっとしていた。

 

 根本的に肉体疲労に強いむきむきや、爆裂魔法ドーンで魔力消費だけして倒れるめぐみんとは違い、魔法も撃ちつつ走り回ったりもしたゆんゆんはそこそこ疲れが残っているようだ。

 めぐみんの視線がゆんゆんの体の数カ所に向けられ、最後にゆんゆんの腹に向けられる。

 

「ゴロゴロしてると、腹にも肉が付きますよ」

 

「つ、付かないわよ! そんなすぐには付かないわ!」

 

「どうだか。むきむき、そのスーパーアイでゆんゆんの腹を見てやって下さい」

 

「? ええっと……」

 

「やめて、そのウエストの数字を可視化してそうな目で見ないで……!」

 

「大丈夫だよゆんゆん、里を出る前より脂肪は付いてないけど、腹筋は付いてると思う!」

 

「いやああああああっ!!」

 

 ゆんゆん、轟沈。

 めぐみんの誘導で彼がゆんゆんの腹を見た時点で、『太ったね』『美人だね』『くさそう』『柔らかそう』と何を言われたとしても、ゆんゆんの轟沈は決まりきっていた。

 今日も今日とて、ゆんゆんはめぐみんに負けている。

 

 多少筋肉が付いていた方がスタイルは良くなる、美しい体型になる、とは言うが。

 それを口にしてゆんゆんに助け舟を出す気など、めぐみんにはさらさらなかった。

 

「……あっ、しまった、またデリカシーのないことを……ごめん、ゆんゆん」

 

「いいの、私がめぐみんより肉が付きやすいってことは、知ってたから……」

 

「こ、この切り返し……! ゆんゆん、あなた日々精神的にタフになってません?」

 

 三人が街に出ている理由は一つ。

 破壊された王都の復興に、紅魔族が来ているという話を耳にしたからだ。

 紅魔族は建築の魔法等を持つ者も居る。なので、こうした有事にはテレポート担当の紅魔族達と建築担当の紅魔族達が、セットでやって来ることがあるのだ。

 

「あ、居た居た見つけた。あの髪の色はまさしく紅魔族……って」

 

 なのだが、『その人物』に、むきむきは見覚えがあった。

 

「そけっとさん!? って、アイリスも居る!?」

 

「あ、むきむき君! よかった、元気そうで。活躍の話は聞いたわよ?」

 

「こんにちは、むきむきさん、めぐみんさん、ゆんゆんさん」

 

 紅魔の占い師、そけっと。

 里一番の美人で里随一の占いである彼女が、何故か今日は王都に居た。

 

「何故ここに? 王都の再生作業ですか?」

 

「それもあるけど、占いを頼まれたの。里の外はよっぽど大変な事態になってるみたいね」

 

「……はい、とても」

 

 魔王軍が去り際に残していったワードが、あまりにも物騒すぎた。

 あれを無視することは流石に無理だ。

 そう考えてみると、そけっとがここに呼ばれ、アイリスがその隣に居たのも納得ではある。

 

 そけっとは有能な占い師だ。この世界の占いは一種の未来視や因果視に近い。

 ベルゼルグの王は王都の復興のため、そして未来のことを知るために、彼女らをここに呼び寄せたというわけだ。

 アイリスは忙しい王の代わりに占いの内容を聞く役目を与えられている、といったところか。

 

「背、また伸びたみたいね」

 

「え? 目に見えては伸びてないですよ?」

 

「あれ? そう言われてみればそんな気も……

 むきむき君が大きくなったような気がしたのは、気のせいかしら」

 

 そけっとは首を傾げる。

 はてさて、そけっとが"大きくなった"と思った理由はなんなのか。

 めぐみんとゆんゆんがしれっとしているので、この二人は分かっているのかもしれない。

 親しい距離感で話している二人の間に割って入れなくて、ちょっとしょぼんとするアイリス。そんなアイリスにめぐみんが寄り添う。

 

「アイリス、そけっとはむきむきと仲が良かった大人なんですよ」

 

「そうなんですか? それより、びっくりしました。

 今日来てくれた紅魔族の方達は、皆器用に魔法を使っていて……

 紅魔族の魔法使いは、小器用とは無縁の人型爆弾のイメージが強かったので……」

 

「アイリス、それはもしかして私のことですか? ん?」

 

「めぐみんは人型爆弾でいいんだよ。少なくとも僕はそう思う」

 

「そこであなたに包容力発揮されると、なんというか私が乙女として終わっていく気が……」

 

 女ばくだんいわにも、甘やかされて堕落してしまうことへの危機感はある。

 

「むきむき君、日記はつけてる?」

 

「はい、毎日」

 

「よろしい。……うん、いい旅ができてるみたいで、安心したわ」

 

 そけっとはこの少年が里を出る時も、里を出た後も、随分と心配していたようだ。

 だが、その心配ももう消えてなくなっている。

 里を出てから二週間と少し。

 たったそれだけの時間で、少年は随分といい顔をするようになっていた。

 

「そけっとさん、ここの街の再建の件なのですが……」

 

「どうしましたか、王女様……ああ、瓦礫が沢山詰まれていて邪魔なんですね」

 

「よろしい、私の爆裂魔法で」

 

「「 ストップ 」」

 

 街の再建の話にめぐみんがぐいぐい踏み込んでいって、それをアイリスとそけっとが押し留めている。

 先を行く三人の背中をゆっくり置いながら、むきむきとゆんゆんは並んで瓦礫の街を歩いて行く。

 凄惨に壊された町並みがあった。

 無残に壊された建物があった。

 醜悪に刻まれた戦いの跡があった。

 それでも、たくましい人達の手によって、街は早くも急速に復興を始めていた。

 

「むきむき、そけっとさんに会えて嬉しい?」

 

「うん、とっても」

 

 嘘偽りなどどこにも見当たらない少年の笑顔。

 子供だなあ、とゆんゆんは思い、時々顔を出す持ち前のどんくささで瓦礫につまづいてしまう。

 

「うわととっ」

 

「あ」

 

 咄嗟にむきむきが肩を掴んで、ゆんゆんは転ばずに済んだ。

 ゆんゆんの頬に赤みが差す。どんくさいことをしてしまったことが恥ずかしいのだろう。

 むきむきはそんな彼女の心情を知ってか知らずか、ゆんゆんが転ばないようにと、彼女に左手を差し出した。

 

「大丈夫?」

 

 差し出されたエスコートの手。

 少年の顔には純粋な心配があって、ゆんゆんがまた転んで怪我でもしてしまったらどうしよう、という不安も見える。

 

「うん、大丈夫。ありがとう」

 

 少しだけ躊躇って、ゆんゆんは差し出された彼の手の上に、自分の手を乗せた。

 むきむきの左手。

 繋がった左手。

 あの時切り落とされていた左手。

 問題なく動いている、暖かく優しい手つきのその手に触れて、ゆんゆんは心底「よかった」と思うのだった。

 

 

 

 

 

 昼食の時間だ。

 それも、かなりの量を食らうむきむきの食事の時間だ。

 アイリスとそけっとを王城まで送り届け、紅魔族は王城近くの食事処に足を運んでいた。

 

「私も同席していいだろうか?」

 

「どうぞどうぞ、歓迎しますよダクネスさん」

 

 アイリスを陰ながら護衛していたダクネスが、そこに加わる。

 ダクネス曰く、クレアも陰ながらの護衛に付いていたそうなのだが、クレアはアイリスにしか興味が無いため、屋外警護の任を終えてもこちらにはこなかったとのこと。

 しぶとく元気で常に平常運転のロリコンレズ。戦争で死ななかったのも納得か。

 

「ああ、そうだ。王城にエルロードからお前達に贈り物が届いているぞ」

 

「エルロードから? テレポートでですか?」

 

「そうだ。戦争にテレポーターを全投入しないといけない状況も終わった。

 今はもう、各国とのやり取りにテレポーターを使える状態になったのだ」

 

「国の状態の立て直し、凄い速いですね……」

 

「ベルゼルグは慣れているからな。

 エルロードからは、お前達への感謝が綴られた王子の手紙が一つ。

 それと、魔法の氷で品質を保たれた高級食材が沢山だ」

 

「……あの素直じゃない王子様、別れ際の会話を気にしてたんですかね」

 

 ベルゼルグ襲撃で有耶無耶になっていたが、レヴィはむきむき達をゆっくり休ませたがっていたし、美味しいご飯を食べさせてやろうとしていた。

 そうして、恩を返そうとしていた。

 

「レヴィ……レヴィらしいというか、なんというか」

 

「でも嬉しいんでしょう?」

 

「うん、そうなんだけど」

 

「相手が喜ぶ物を贈れるのは、いい友人関係の証です。

 相手のことをよく理解していて、相手の気持ちが分かるってことですから」

 

 レヴィはちゃんと、むきむき達のことを理解していたようだ。

 

 めぐみんの言葉を受けて、ゆんゆんの視線がむきむきとめぐみんの方に向く。

 何かを期待しているような眼差しだ。

 むきむきは近くの皿からゆんゆんが好きなものを取り、ゆんゆんの小皿に置く。

 めぐみんは近くの皿からゆんゆんが嫌いなものを取り、ゆんゆんの小皿に置く。

 

「なんでよ!」

 

「理解してあげてるだけ感謝して欲しいんですが」

 

 ライバルもある意味、互いを理解している関係なのかもしれない。

 むきむきは店員にライスのおかわりを頼んで、戦いが終わってから"偉い貴族なのだろうか?"と思われるフシがチラチラ見えてきたダクネスに話しかけてみた。

 

「ダクネスさんって偉い人だったんですね」

 

「そうでもない。この髪と目がある限り誤魔化せないことではあるが……

 私もこのベルゼルグの貴族の一人、ただそれだけだ。先人の立場を継承したにすぎない」

 

「そう言えばアイリスがララティー……」

 

「むきむき」

 

「……あ、はい、なんでもないです」

 

 あっちの方の呼称は使っちゃ駄目なんだな、と察するむきむき。

 

 ダクネスは貴族なのに気安く、話しやすい。

 むきむきは王都で色んな貴族と顔を合わせる機会が増えたので、ダクネスが貴族の中でも格段に話しやすい部類の人であると認識している。

 なのだが、"じゃあどれ位の貴族なのかな?"とは思わない。

 ダクネスとアイリスがツートップで偉そうに感じなかったので、"もしやこの人も偉いのでは"と思っていたりした。

 隣国の王子レヴィが対等な友人として接した影響、とも言う。

 

「今ではお前達の方が有名で偉いかもしれないぞ?

 元々『凸』という通称で冒険者間では評価されていたようだがな」

 

「凸?」

 

 むきむき、めぐみん、ゆんゆんが意味を理解できず首を傾げる。

 

「前から見ると、身長が一人だけ飛び抜けている。

 横から見ると、胸の出っ張りが一人だけ飛び抜けている。

 頭のおかしさで見ると、一人だけ飛び抜けている。

 二人が低くて一人が飛び抜け、故に凸、だそうだ。ギルドで聞いた」

 

「なぁんですかそれは!」

 

「落ち着いてめぐみん! 私に唾飛んで来てる!」

 

「男なんて皆そうなんですか! 皆胸ですか! この! この!」

 

「わ、私に当たらないでよ!」

 

 そんな通称が周知されてると聞けば、そりゃ怒る。

 騒いでいる二人をよそに、ダクネスはふふふと微笑んだ。

 

「ゆんゆんから聞いたぞ。

 君は昔から進んで人の盾となるという。

 そしてその昔は、自分からあの爆裂魔法を受けに行ったこともあったとか……」

 

「恥ずかしい話です。実力が行動に伴わないんですよ」

 

「分かる、分かるとも。君も私と同じ……Mの道を進む者なのだろう?」

 

(M? マッスルかな?)「ええと、そんな感じですね」

 

「そうか! うむ、そうか!

 いやあ、この広い世界に同好の士が居ることは理解していたが!

 実際にこうして会える日が来ようとは!

 夜中ふとした時に自分を振り返って、自分の生まれつきのサガに死にたくなったりするが……」

 

「あ、分かります」

 

「それでも自分は変えられないし、変える気もない。

 自分らしく生きていたい。そう思えば生きていけるものだ」

 

「自分はそう思えるようになったのは最近です。ダクネスさんは凄いですね」

 

「ふふ……私は私だ。この自分に胸を張って生きていこうと思っている」

 

 "お前らバカじゃねえの!?"と言ってくれそうな人が居ない。

 めぐみんとゆんゆんは彼女らだけで言葉の応酬で殴り合っている。

 ツッコミ不在の勘違いループだ。

 

「馬鹿みたいな……げふんげふん、楽しそうな話してる君達」

 

「クリス先輩!」

「おや、クリスじゃないか」

 

「私も混ぜてくれない?」

 

 そこにクリスがやって来て、同時に反応したむきむきとダクネスが顔を見合わせる。

 奇縁ここに極まれり。冒険者をしているダクネスは、クリスとパーティなのだそうだ。

 様々な場所を行き来し、多くの人と出会う冒険者をしていれば、こういう風に色んなところで奇妙な繋がりを目にするものなのかもしれない。

 

「ダクネスさんの仲間……じゃあクリス先輩も、王都のために頑張ってたんですね」

 

「いやあ、あたしはそんなに活躍しなかったよ。

 活躍したのはあたし以外の皆。

 皆が頑張ったから、皆が生きてるこの場所を守れたんだよ」

 

「クリスは責任感が強い。そんなことを言っても、クリスなりに頑張っていたのだろう?」

「ですね。クリス先輩はそういう人です」

 

「たはは、変に持ち上げられると困っちゃうよ」

 

 クリスが頬を掻く。

 ダクネスやむきむきは、クリスがサボったり臆病風に吹かれたりしない性格であることを見抜いていて、あるいは知っていて、クリスが頑張っていたのだろうと思っている。

 クリスが実際にどう動いていたかなど、彼らは何も知らないというのに。

 

「あたしは主役ってガラじゃないから。

 主役になる気もないし、主役は他の人に任せるよ。

 この世界の主役は君達だ! って言ってる方が性に合ってるしね?」

 

 クリスはそんなことを、この場の人間の皆に向けて言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 女神はこの世界の主役が人間だと信じていて、魔王軍は自分達がこの世界の主役だと信じていた。

 

 魔王軍幹部として、魔王軍工作員を束ねる女・セレスディナは、タバコを灰皿に押し付ける。

 対面には部下。テーブルに足を乗っけてタバコを吸う姿は行儀の悪いヤンキーそのもので、スタイルのいい巨乳美人な容姿が台無しだ。

 悪の組織の女幹部感は僅かにあるが、それ以上に"女性らしく振る舞うことに手段以上の価値を見ていない"感じが、印象の逆転で凄まじい女ヤンキー感を醸し出している。

 

「ドッペルゲンガーどもと連絡がつかねえ」

 

 セレスディナは吐き捨てるように言った。

 部下は無表情に答える。

 

「今回の侵攻で全員を動かしたのが裏目に出たのでは?」

 

「んなわけあるか。人間どもはドッペルゲンガーの存在を感づいてもなかったってのに」

 

 セレスディナが工作で使う『人間』は三種類居る。

 一つは、ドッペルゲンガーというモンスターを変化させた人間。

 おそらく全滅しているだろう、とセレスディナがあたりをつけている者達。

 一つは、セレスディナが色気で惑わしたただの人間。

 典型的なハニートラップで、発覚に気を付けつつ仕掛ける相手を選べば、最高の費用対効果が得られる。

 

 そして最後の一つが、彼女のある能力を使い洗脳した人間だ。

 洗脳した人間は人格を残したままセレスディナの命令に忠実な人形となる。

 "セレスディナ様が言ったことは真実に違いない"と、真実とは違うことを思い込ませることで、洗脳強度次第では『嘘を判別する魔道具』さえ無効化する。

 何せその人間は、自分が嘘を言っていると認識することさえできないのだから。

 

「今回は不思議な不運も重なりましたね。まずは天候操作の魔法部隊」

 

「どっかから襲撃食らってやられてたな。

 そこそこの強さの悪魔でメンバーを統一してたはずなんだが……」

 

「おかげで戦場の優位性が崩れ、戦線のバランスが完全に崩れました。

 内通者の情報も途中からは来ませんでしたし……

 姫様が幹部の皆様の強化を続けたまま、質と数で圧殺するならまた違ったかもしれませんが」

 

「その話はもう聞いてる。魔王からもあの姫様には一言何か言うだろうよ。

 何か謎の女が一発かまして、その後も散発的に現れたんだっけか?」

 

「そうですね。

 ただの盗賊職かと思いきや、アンデッドや悪魔のことも熟知している様子でした。

 目撃証言をまとめると、どうやら神器の類も所持・使用していたようで……」

 

「だから魔王の娘は念押しして王都の外を潰してたってわけだ。

 じっくり進めんのは悪くねえが、あの時は誰も知らないタイムリミットがあったからな。

 時間をかけて逆転の目を残さないよう、きっちり詰みに持ってこうとしたのがアダになった」

 

 王都の外で魔王の娘が結果的に足止めされる形となった。

 天候操作担当の魔法使いが、一軍相応の分用意されていたのに、レインに押し切られた。

 ドッペルゲンガーが全員消息不明。

 別々の場所で、別々の事象として起きた、小さいけれども大きな結果に繋がった歪み。

 

「ん? いや待て、つまりそれは結果的にとはいえ魔王の娘から逃げ切れたってわけで……

 結果論の視点で見れば、そいつ一人が魔王の娘を足止めしてたようにも見えなくはない……?」

 

 普通は繋がらない『それら』を、魔王軍の人間筆頭であったセレスディナは、"人間だからこそ"それを繋げて考えることが出来た。

 疑い深く、邪推で他人を疑うことができ、連想ゲームでケチ付けのような因縁付けをする人間だったからこそ。そこから可能性を絞り込める賢い人間だったからこそ。

 その可能性に、手を届かせていた。

 

「―――エリスか」

 

「え?」

 

「エリスだ。居たのか、あの売女」

 

「まさか、国教クラスの神が暗躍していたと? そんな馬鹿な……」

 

「ありえない話じゃねえよ」

 

 "誰がやったか?"ではなく、"誰ならできたか?"という思考。

 "全てを同一の人物がしたとすれば"という妄想のような前提に従った、"そんなことをやらかせるのは誰か"という結論に至る推測。

 すなわち、むきむき達が生き残った『幸運』は、あの神気降臨の瞬間にまで彼らを生かした『幸運』は、なんだったのかという理解。

 

「あいつの厄介な点は二つ。

 一つはあいつが幸運の女神だってことだ。

 あいつの行動は幸運な結果に終わることが多い。

 エリスにスキルを教わったやつは、どっかで魔王軍の邪魔か人類の後押しになったりする。

 あいつが助けたやつは、どっかで魔王軍の敵か人の強力な戦力になったりする」

 

 エリスの行動は計算づくでなくとも、計算づくの行動以上の結果を出すことがある。

 幸運の女神の行動が不運な結果に終わるのは、短期間を切り取って見るからだ。

 長期で見れば、それらの多くが幸運に繋がる。

 

 それは、サイコロのようなもの。

 サイコロで6が出る確率は1/6。だが、直前に6が十回連続で出たという前提を付け加えてみればどうだろうか?

 "次に6が出る確率は低いんじゃないか?"と思わないだろうか?

 サイコロを振るのには変わらないのに、前提を付け足すだけで確率が一気に歪んでしまう。

 この一つのサイコロこそが、『幸運に恵まれた者』を理解する第一歩だ。

 「永遠に6が出続けるはずがない、確率は常に収束する」と思うもよし。

 「常に1/6であることに変わりはない」と思うもよし。

 この世界の幸運への理解は、こういう考察から始まる。

 

 短いワンシーンだけを見ても、幸運な者の幸運は実感できない。

 セレスディナが何の証拠も根拠もないのに、全体を見てエリスの干渉を九割九分確信しているように、それは物語の一章だけを見る者には見えず、物語全体を見る者にのみ見えるもの。

 

「もう一つの厄介な点は、あいつの幸運はあいつだけの幸運じゃない。

 あいつにとっては人類の幸福も自分の幸福だ。

 あいつの幸運は、全体で見れば、人類の幸運として還元されることが多い」

 

 幸運であるということは、やることなすこと全て上手くいくということではない。

 その人が最終的に幸せになるということだ。

 

「幸運だっていうことは、()()()()()()ってことだ。

 過程がどうだったとしても結果を引き寄せるってことだ。

 エリスの行為は最終的に、あいつにとっての幸運な結末に繋がる要素になる」

 

 幸運は絶対ではなく、誰かの行動の結果を無理矢理に捻じ曲げるものではないが、少しづつ、少しづつ、未来は幸運な者の方へと寄っていく。

 勝率0%が1%に。生還率99%が100%に。それこそが幸いであるということ。

 

「あのガキども。

 あいつらが生き残ったのは、二つの意味で『幸運』だったってわけだ……」

 

 不運な奴が不運不運の連続を諦めずに突破して、その先で掴んだ幸運。

 幸運の女神様の行動の結果が回り回って来た幸運。

 己が内の幸運に、天から降って湧いた幸運。二つ重なれば、奇跡も起きるのかもしれない。

 

「魔王の娘。

 魔王軍に有利な戦場。

 ドッペルゲンガー。

 有能な駒と有利な戦場、その内いくつかにこっそり手を回してた、と」

 

 この世界では幸運も数値化できるもの。人によっては、運良く勝った結果でさえも必然の結果と言うかもしれない。

 だからか、セレスディナの部下は、セレスディナの主張を自然と受け入れていた。

 

 ドッペルゲンガーに至っては、神が多くの力を残してこの地上に降りたとしても、多少違和感を感じるだけで終わってしまう完璧な偽装能力を持っている。

 その正体を突き止めるなら、行動からドッペルゲンガーの位置を見極めること……つまり、地道な調査と考察が必要になる。

 その上で『運良く』ドッペルゲンガーが見つかることに賭けるしかない。

 そういうものなのだ。

 

 様々な要因が絡んで、この世界においてはエリスの存在と干渉が幹部にも知られている。

 それが良い方向にも悪い方向にも作用している。

 人間にも、魔王軍にも。

 

「ったく、やってらんねえな。さっさとぶっ殺しておきたいもんだ」

 

「タバコは控えた方が」

 

「魔法でどうとでもなんだろ。病死さえしなけりゃ」

 

 セレスディナはバルコニーに出て、タバコの煙を空に浮かべる。

 済んだ空気の中を、濃いタバコの煙が上がっていった。

 上を見ていたセレスディナだが、ふと下を見て、そこで剣を振っているベルディアを見つける。

 動きからして、"何らかの敵"を想定した鍛錬のようだった。

 

「ベルディアか。あいつ何やってんだ」

 

「先日の戦いは実質自分の負けであった、と思っているようです」

 

「クソ真面目なこった。エロオヤジだが、仕事に関しては信用できんだよな」

 

 セレスディナからのベルディアの評価は、日本的な評価をすれば、仕事は真面目で有能だが職場の同僚にセクハラをするエロオヤジである。

 女性陣からの評価は低値。男性同僚・上司からの評価はそれなりに高い。

 何故そんな評価をされているのか、その証明を彼は現在進行形で行っていた。

 

「ん? あいつこっち見て何を……」

 

「セレスディナ様がバルコニーに居るのに気付いて、パンツを見ようとしているのでは?」

 

「……おい、お前あの魔道具持ってたろ貸せ。『ヒール』」

 

 この距離ならへーきへーき、と思っているベルディアに、セレスディナは部下の魔法を遠くに飛ばす魔道具でヒールを飛ばす。

 アンデッドの肌を焼くヒール。むきむきに粉砕された鎧がまだ直っていないベルディアは、セレナのヒールに猛烈な勢いで焼かれていた。

 

 王都戦、及びその後のめぐみんの爆裂魔法で幹部の中に死者は出なかった。

 だが、すぐさま全員が戦線に復帰できない程度には、大きなダメージを刻み込まれていた。

 すぐに戦争が再開されるということは、まずないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから日が経ち、ベルゼルグも無事復興。

 むきむきの腕も以前と同じように動くくらいに回復し、彼らがこの街に留まる理由も消え、彼らが旅立つ日がやって来た。

 その日、彼らは王城の謁見の間に招かれる。

 アイリス、クレア、レイン、そして紅魔族しか居ない慎ましい謁見。

 

「改めて、ありがとうございます。

 あなた達が来てくれなければ、この国は大変なことになっていました」

 

「僕らはこの国のために戻って来たわけじゃないよ?」

 

「……ふふ、そうでしたね」

 

 国のためになんていう大義で、死地に赴いたわけではない。

 最悪友人だけさらって逃げるつもりで、彼らはアイリスのためにここに来たのだ。

 

「褒賞金は後でクレアから受け取って下さい。

 話したいのは、あの日魔王軍が言っていた『光』のことです」

 

 彼らの功績に対し支払われる金額は莫大なものとなるだろうが、彼らは金が欲しくてやったわけではなく、ましてや今は金よりも重要なことがある。

 

「魔王軍はアクセルの方角を見ていました。

 全員が見ていた方角は同じだったため、まず間違いはないでしょう」

 

「始まりの街、アクセル」

 

「むきむきさん、めぐみんさん、ゆんゆんさん。

 私は王族の一人として、クエストを発令します。

 期限は無期限。未達成罰則はなし。クエスト内容は、その『光』が何かの特定」

 

「それは……」

 

 どこを探してもいい、いくら時間をかけてもいい、見つからなくてもいい、でも見つけてくれると信じている。そう言わんばかりの、アイリスによるクエストの発令。

 めぐみんはむきむきを見た。

 彼は頷く。

 めぐみんはゆんゆんを見た。

 彼女も頷く。

 

 チームを代表して、めぐみんはそのクエストを受領する。

 

「分かりました。私達にお任せ下さい」

 

 物語の舞台は、アクセルへ。

 

 

 

 

 

 何故か、胸が小さく高鳴る音が聞こえる。

 何故か、ワクワクしている自分がいる。

 何故か、形にならない何かを心待ちにしている自分が居る。

 

 むきむきは、よく分からない気持ちに胸踊らせていた。

 

「むきむき、上機嫌ね。アクセルの街に行くのが楽しみ?」

 

 ゆんゆんが問うて、めぐみんが彼の肩に乗る。

 むきむきはいい笑顔で笑って、自分でもよく分からないその気持ちを口にした。

 

「『いいこと』がある気がするんだ。なんでだろうね?」

 

 アクセルの街の物語が、始まる。

 

 

 




 カズマさんが転生特典で南斗水鳥拳をゲットして「南斗水鳥拳奥義―――卑小白麗!」とかやるSSくーださい

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