どうやらオレは巻き込まれ体質らしい 作:どらい
アリサは最強。
「おはよう、なのは」
「おはよ・・・って頭大丈夫!?」
(包帯巻いてる・・・)
今日は月曜日。いつも通り学校に登校するためにバス停に歩いて行ったのだが、なのはに頭の心配をされてしまった。アリサと違って真面目な顔で罵倒してきたよ!?
「・・・ついになのはにまで罵倒されるようになってしまった。オレは・・・悲しい」
「え!?・・・ち、違うよ!?頭に包帯巻いてるから心配になって・・・」
「あ、そういうことか。良かった・・・」
言葉って大切なんだね。勝手に省略しちゃだめだよ。お兄さんとの約束だ。
「家族内戦争(一方的)で負傷してしまってな。我が家のヒエラルキーが変化してしまった」
オレとタマ(仮称)の戦いである。ちなみに家庭内ヒエラルキーはオレがワーストである。タマ(仮称)がどう考えても猫外のスペックな件。なお、この負傷は、タマ(仮称)がオレの髪の毛をむしったことによるものであり、オレとタマ(仮称)の戦いには関係ない。
「家庭内戦争って・・・何があったの?」
「追いかけっこ」
「・・・・・へ?」
「だからオレとタマ(仮称)の追いかけっこだよ。あいつマジで捕まえられないし、逆にすぐ捕まる。すずかの家にいた頃のおどおどした姿は何処へ・・・」
「・・・何やってるの?」
「そんな目で見ないで!!オレも何やってるかわかんないんだもん!!」
お茶会のあった夜、タマ(仮称)が鼻で笑ったから、捕まえてよしよし(ムツゴロウさん方式)してやろうと思ったのに、逆に襲撃された。あの時母さんがオレの部屋に来なかったらどうなっていたか。今日もあいつオレの顔で寝てたし。苦しいよ!!
無事に学校も終わり、今は帰り道。アリサたちは用事があるため、なのはと帰っていたが、なのはも用事を思い出したらしく、今は一人で帰っている。小学生多忙過ぎませんかね?
「・・・ん?」
何か今、路地裏が青く光ったような気がする。私、気になります!!
光を確かめるために、路地裏に入ってみるとそこにはいつぞやの青い石が転がっていた。
「・・・これ、今ブーム来てるのかな」
確かなのはもフェイトも持っていた気がする。家で調べてみよう。
オレはその石を拾ってポケットに突っ込み、その場を後にした。家についていた頃には、石のことについてすっかり忘れていた。
「あれ?確かこのあたりだったはずなんだけど・・・」
「違うところ探してみようか」
数分後、一匹のフェレットと一人の少女のそんな会話があったそうな。
迎えた休日。両親が夫婦水入らずの旅行に行き、オレはこの2日間好きなことができる。今日はこの前士郎さんに連れていかれたせいでできなかったゲームをやるとしよう。
「る~るるるる~る~今日は平和だな~」
無事テレビにケーブルをつけセッティング完了!!いざ2日間のゲーム生活へ!!
≪ピーンポーン≫
「!?」
ゲーム機の電源をつけると同時にインターホンが鳴った。このタイミングでインターホンが鳴るか普通!?しかもこの出来すぎたタイミング、またオレのゲーム生活を邪魔される気がする!!・・・宅配便かもしれないから一応鍵穴から見ておこう。
(うんうん、どうやら宅配便ではなさそうだ。この勝気な瞳に輝く金髪、そしてこちらを睨む素晴らしい表情・・・・ってアリサじゃねーか!!)
咄嗟に顔をそらしてしまう。どうやら悪魔がオレを迎えに来たらしい。すまんなアリサ、オレはゲームをやりたいから居留守を使わせてもらうぜ!我ながら最低だと思うけどごめんアリサ。君の怒っている理由はわからないけど!
≪ピーンポーン≫
(フッ無駄無駄無駄無駄!!)
≪ピーンポーン≫
(早く帰ってください!!)
≪ピーンポーン≫
(・・・・・)
「ねえ、カイ。将来私のもとであなたをこき使うように手回ししてもいいのよ?」
怖っ!!怖いよこの子!!頼むから早く帰ってぇぇ!!・・・就職先という点ではいいかもしれないけども!!
≪ガチャ≫
(・・・ガチャ?)
玄関が空いた音がしてその方向を振り向く。そこにいたのは・・・
「覚悟はできてる?」
「イエス、マム」
修羅だった。
そんなこんなで車に乗せられたオレ。一体どこに連れていかれるというのか。
「どこに行くのか教えてもらってもよろしいでしょうか?」
「旅館よ」
ほほ~旅館とな。これはこれはリラックスできそうな所で・・・って
「旅館!?オレ何も支度してないんだけど!?・・・っていうかなんでオレの家の鍵持っていたのアリサ。怖いんだけど」
目的地などの疑問は解消したが、こればかりはさっきから考え続けているが一向に答えがわからない。
「ああ、カイの両親がねどうせゲームばかりするでしょうからよろしくお願いしますって鍵渡してくれたのよ」
「・・・・・」
思いっきり身内のせいだったんですけど!?何やってんの父さん、母さん!!
「まあまあカイ君、ゲームばかりするのはよくないと思うよ」
「そうだよカイ君、私はカイ君と一緒に行けて嬉しいよ」
「うっ」
そう言われてしまうと何も言い返せない。なのはたちは完全な善意でオレを誘ってくれたのだから。確かに士郎さんにもこの前言われた通り外に出ることは大切だし・・・。
「そうよカイ、こんな美少女たちと一緒に出掛けることができること自体ありがたいと思いなさい」
確かになのはたちは学校でも人気があるから、男子たちにばれたらどんな目に合うか。嫉妬という名の炎で燃やされてしまうかもしれないな。・・・ばれないことを祈ろう。特にアリサはからかい目的で「温泉旅行楽しかったわね~、ねえカイ?」などというに違いない。今のうちに機嫌を取らなければ。
「こんな私めをアリサさんたちのような美少女たちとの旅行に連れて行っていただいてありがとうございます」
「「「っ!!」」」
なんでそこで顔を赤くするのかね君たちは。特にアリサ、君はさっき自分で言っていたじゃないか。
「ははは、カイ君は女性を喜ばせる天才かもしれないな。だけど軽い男にはなっちゃ駄目だぞ?」
「な、なりませんよ!!」
士郎さんはオレが軽い男になるように見えるのだろうか。オレがチャラチャラしたような恰好をしても後ろ指をさされて笑いものにされる自信がある。
しばらくして温泉旅館に着いた。まずは旅館に荷物を置いて散歩でもしてくるか。
「士郎さん、オレはどの部屋に荷物を置けばいいですか?」
「ああ、カイ君は・・・」
「私たちと同じ部屋よ!」
「なんで!?」
いつの間にかアリサたちと同じ部屋に泊まることが決定していたらしい。それだけは何かまずいような気がするんですが。
「いや、オレは別の部屋でいいですよ。士郎さんの部屋とかで」
「子供同士同じ部屋で楽しく過ごせばいいじゃないか」
「それはそうなんですが・・・」
「ほら早く来る!」
「ぐえっ」
アリサがオレの襟をつかんで引きずっていく。ちょ、ちょっと待ってアリサさん首がしまってる!!しまってるから!!
「カイ君はそこに荷物置いてね」
「うっす」
「さて荷物も置いたことだし」
「じゃあ、オレ散歩してくるから」
「お風呂に行くわよ!!」≪ガシッ≫
「いや、アリサさん?今から私は散歩に行こうとしてましてですね?」
「何言ってんのよ、折角旅館に来たんだからお風呂に行くに決まってるじゃない」
「アリサたちで入ってくればいいじゃん」≪ズルズル≫
「アンタも行くの!!」
「そうだよカイ君!散歩なら後でにしようよ」
「一緒に背中流しっこしようね」
ちょっと待てい!!なんか聞き捨てならない言葉が聞こえて来たんだけど。
「すずかさん?それはなのはたちに言ってるんですよね?」≪ズルズル≫
「え?もちろんカイ君も一緒だよ?仲間外れなんてかわいそうだもん」
「それアウト!オレは男湯に入るから!すずかたちとは入らないから!!」≪ズルズル≫
「大丈夫だよカイ君。さっきフロントの人に聞いて来たけど小学3年生までなら一緒に入ってもいいんだって」
違うそうじゃない。なのは!君は一体何を聞いているんだ。おかげで逃げ道が無くなってしまったではないか。
「そうかもしれないけど!ほら、オレの精神年齢高めだからさ!小学3年生の域を超えちゃってるから!!」≪ズルズル≫
「何言ってんのよアンタが一番精神年齢低いじゃない」
「・・・・・」
くそっ!何も言い返せない。
「さあ、着いたわよ」
やっと引きずられるのが終わったと思ったら女湯の暖簾が見える位置まで来ていた。さっきからずっと抵抗していたのだがびくともしなかった。なんでオレは女の子に負けてしまうのか。・・・ひょっとしてアリサは怪力女だったのか!?
「いでででででで!!」
「なんか失礼なこと考えたでしょ」
「ご、ごめんなさい」
なんで考えていたことが分かったのか。さてはこいつ魔法使いか?
「あっなのはだ。なのはたちも今からお風呂に入るの?」
「お姉ちゃん!うんそうだよ」
ここで美由希さんたちがやってきた。良かった・・・救世主がやってきたぞ!!
「じゃあ、一緒に入ろっか。ここの温泉は美容にいいらしいからね」
「そうなんだ~楽しみだな」
・・・あれ?なんかオレいない子として会話が進んでいる気がする。
「いつまでもここにいるわけにもいかないし中に入ろう」
「うん!」
「ちょっと待って!!美由希さん、オレがここにいるという状況に疑問を抱きませんか!?」
「え?カイ君も一緒に入るってことじゃないの?」
この人も駄目だった!!これは最後の望みである忍さんに・・・
「オレ男湯に入りますよ、忍さんも男が一緒にいるのは嫌でしょうし!」
「私は別に気にしないわよ?カイ君面白い子だし入浴の時間が楽しくなりそうね」
・・・終わった。
「オレ、オトコユ、ハイリタイ」
「駄目」
「頼みますアリサさん、オレの襟をつかんでいるその手を離してはくれませんか?」
「あ~なんか口が滑って月曜日に教室でカイと一緒に温泉旅行に行ったって言っちゃいそうな気分だわ~」
「・・・・・」
こ・・・こいつ!!そんなこと言われたらオレがクラスの皆にフルボッコにされてしまうではないか!!ここでその手を使ってくるなんて・・・卑怯な!!
「さ、行くわよ」
「・・・・・」
アリサに襟を引かれ女湯の暖簾をくぐるオレ。シャイボーイなオレが女湯で平気な訳がなく、顔を真っ赤にしてのぼせてしまうのだった。
「うう~のぼせた」
「大丈夫?カイ君」
「いや、大丈夫じゃない」
「アンタって意外にシャイだったのね」
「・・・うん」
女湯でのぼせてしまったオレは今、なのはに肩を貸してもらいながら歩いている。だから、男湯に入ると言ったのに!!オレには刺激が強すぎるんだけど!
「カイ君、部屋で休む?」
「そうする・・・」
男であるオレが女の子に肩を貸してもらっているなんてなんか情けない。しかし1人だとふらついて歩けないから肩を借りざるを得ないというのが現状である。
「はあ~い、おチビちゃんたち」
オレがうなだれながら歩いていると前からオレンジ色の髪の毛のお姉さんが歩いてきた。外国の人かな?
「こんにちは、日本語お上手ですね」
話しかけられたので適当に返事をする。
「ありがとう。こっちのことは詳しいんだよ」
「それで、私たちになんか用ですか?」
なのはがお姉さんに話しかける。するとお姉さんの目つきが鋭くなったような気がした。
「ふ~ん、君がうちの子をあれしてくれちゃった子か。そんなにやり手には見えないけどね」
「え?」
お姉さんは何故かなのはのことをずっと見ている。なのはお前・・・。
「なのは・・・お前いつから選手になったんだ」
「え!?何でそうなったの!?私何もしてないよ!!」
どうやら違ったようだ。槍手じゃないらしい(すっとぼけ)。
「ちょっと!なのはになんか用ですか!?・・・なのは知り合い?」
「ううん、知らないと思うけど・・・」
アリサがなのはをかばうようにして前に出る。アリサ、今凄い格好いいよ!!普通はオレがやることなんだろうけども。・・・今はのぼせているので勘弁してください。
「っぷ、あはははははは。いや~ごめんごめん人違いだったようだね。知り合いによく似ていてね」
どうやら人違いだったらしい。なのはもほっとしているようだ。知らない人からいきなり睨まれたら確かに緊張しちゃうよね。
「じゃあね~」
おいどうしたなのは。コナン君が閃いたような顔して。あれ?ユーノも同じような顔してないか?似た者同士ってやつか。
部屋へと送ってもらった後、なのはたちは卓球をしに行ってしまった。オレはすることもないので散歩に出かけた。
食事も終わって後は寝るだけとなり、旅館の人に敷いてもらった布団の上で会話している。
「カイって格闘ゲームでなのはと対戦したことあるの?他のゲームは私たちもやっているから知ってるけど」
「あるよ。なのは凄く強くて今のところ負け星が勝ち星を上回っている状況。しかもクイズゲームだと勝った試しがない」
「にゃはは」
「なのはちゃんもゲーム得意だもんね」
「へ~そうなんだ。じゃあ今度私ともクイズゲームで対戦しましょうよ。今までカイとやったことないジャンルだから楽しみだわ」
「絶対ボロ負けだからソレ!!なのはより成績がいいアリサとやったらオレ泣いちゃうレベルまで追い詰められちゃうから!!」
すでに負けが確定している未来が見えるのが辛い。
「ふわあああ」
すずかがあくびをしている。眠そうだな。
「じゃあ、今日は寝ましょうか。明日もお風呂に入って散歩にでも行きましょう」
「絶対に男湯に入るからね!!」
「それはどうかしらね・・・じゃ、おやすみなさーい」
こ、こやつまたオレを女湯に入れるつもりか!!なんてドSなやつなんだ!!明日は絶対に逃げないと!!
読んでいただきありがとうございます。