どうやらオレは巻き込まれ体質らしい   作:どらい

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サッカー

今日は休日で学校もない。昨日買ったゲームをやろうと思ってゲーム機の準備をしていると電話がかかってきた。

 

「もしもし、羽島ですけど」

 

「あ、カイ?アンタ今日暇?私たち士郎さんのチームのサッカーの試合を見に行くんだけどアンタも来なさい」

 

「あ~ごめん、今日はやることがあるんだ」

 

我ながらなかなか最低な理由だと思うが、今日は譲れない。それでも最新ゲームをやりたいんだ!

 

「わかったわ。時間が空いたら来なさいよ」

 

「おっす」

 

アリサからの誘いを断って、ゲームの準備を再開する。しばらくしてケーブルとかも全てつなぎ終えた。後はゲームを始める≪ピーンポーン≫だけだ。・・・どうやら来客らしい。母さんが玄関に向かったから大丈夫だと思うけど。

 

「おはようカイ君」

 

「あ、おはようございます」

 

オレはゲームをしながらリビングへと上がってきたお客さんに挨拶する。

 

「今日は用事があるんじゃなかったのかい?」

 

「あ~用事はこれですね」

 

「じゃあ、サッカーの試合に出てくれるかい?」

 

「なんで・・・・って・・・え?」

 

聞き覚えのある声に、ギギギという音が今にも聞こえてきそうな感じで首を横に動かすとそこにはなのはの父さんである高町士郎さんがいた。なんで!?アリサには断っておいたはずなんだけど!?

 

「カイ君、休日は家にこもってばかりじゃだめだぞ。今日のメンバーが足りないから試合に出てほしいんだけど」

 

「そうよ、カイ。行ってきなさい」

 

ここで母さんも参戦。2人の大人を前にゲームをやりたいから無理なんて言えるはずもなく行くことになってしまった。ちくせう・・・。

 

「オレ、サッカーとか体育とかでしかやったことないんですけど・・・」

 

「大丈夫だよ。思い切りプレーしてくれればいいから」

 

何が大丈夫なのか。オレは士郎さんの運転している車内でとてもナーバスな気分になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、試合が始まるみたい」

 

「楽しみだね」

 

「うん」

 

いま私たちは河川敷の芝生の部分に座りながらお父さんのチームが監督をやっている翠屋JFCの応援に来ています。お父さんが朝メンバーが足りないって言っていたけど大丈夫かな?カイ君も来れればよかったんだけど・・・。

 

「あれ?あそこにいるのってカイじゃない?」

 

「え?・・・そうだね。なんでお父さんのチームにいるんだろう」

 

「士郎さんが言ってた助っ人ってカイ君のことだったんだ」

 

なんでカイ君がいるの?アリサちゃんが今日は用事があるって言ってたと教えてくれたんだけど。

 

「あいつ・・・もしかしなくても私たちに嘘ついてたわね!」

 

「それってどういうことアリサちゃん?」

 

「普通に考えて士郎さんが用事のある子を助っ人として連れてくるわけないじゃない。多分士郎さんがあいつの両親に電話でもして聞いたんじゃないの?」

 

「確かにそうだね・・・」

 

「あはは・・・」

 

なんかアリサちゃんが怒ってるような気がするよ・・・。

 

「あいつ、私に嘘をつくとか言い度胸じゃない!試合が終わったらとっちめてやるわ!」

 

今カイ君の体が震えたように見えたの。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんだこの全身を駆け巡る悪寒は・・・。思わずブルっちまったぜ。それはそうと試合が始まってしまった。オレのポジションはフォワード。本当に嘆きたい!なんで初心者が最前線で戦わなければばらないのか。・・・あれか攻撃の生贄になれってことか、そういうことなら任せとけ!立派な特攻隊として諸君らを勝利に導いてあげようではないか!

 

「パスいったぞ!」

 

「おい、マジか」

 

オレにボールが回ってきてしまった。試合終了までステルス発動して勝利に貢献するつもりだったのに!今は前に敵が2人、味方へのパスコースは全てふさがれているという状況である。・・・詰んでね?コレ。このオレにドリブルをしろということかララァ・・・。しょうがない、見せてもらおうか君たちのDF力とやらを。

 

「おりゃ」

 

「スライディングゥゥ!?」

 

ドリブル開始1秒でボールを取られオレは頭から地面に激突してしまった。・・・めっちゃ痛い。思わず叫びそうになったが我慢だ、男だからな!・・・あれ、目から汗が。そのまま敵に攻め込まれシュートを打たれたが、キーパーがナイスプレーを見せてシュートを止めた。あのキーパー普通に凄い、なんだかオレが情けなくなってくるよ。よし!今からさっきの汚名返上と行こうじゃないか!(キリッ

 

「ピーー。前半終了」

 

・・・うん、汚名返上は後半からだ。運が良かったな相手チーム。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「後半開始!」

 

笛の音と共に後半が始まった。しばらくは動きがなかったが10分後くらいにチームメイトがゴールを決めた。・・・やっぱオレ要らないよね。1人で勝手に傷ついているのとは裏腹に試合は進み、残り後1分となった時に再びオレにボールが回ってきた。しかもさっきと全く同じ状況で味方にパスを出すことができない。ドリブルもすぐ取られてしまう・・・ここはシュートしかないか。まだゴールからは離れているがここで決めなきゃ今日の見せ場が全くない!オレは足を振り上げる・・・うおおお燃えろオレの小宇宙よ!

 

「無回転!?」

 

≪バサッ≫

 

オレの蹴ったボールは不規則な動きをしながら進みゴールネットを揺らした。それと同時に試合終了の笛が鳴りチームは2対0で勝利した。おお、やったぞシュートが決まったぞ!!

 

「お前凄いな!どうやって蹴ったんだ?」

 

「格好良かったぜ」

 

チームメイトが駆け寄ってくる。適当に蹴ったとはとても言えないが、チームメイトに褒められるというのはとても嬉しいものだ。これだけで今日来てよかったと思った。

 

「カイ君今日は助かったよ。最後のシュート格好良かったよ」

 

「ありがとうございます」

 

士郎さんもこっちに駆け寄ってきて褒めてくれた。・・・なぜかアリサもこちらに走ってくるのが視界に入ったけど無視しよう。

 

「アンタなんで嘘ついたのよ!」

 

やっぱり無視できなかった・・・というかラリアットの体制になってるんだけど!?

 

「ちょっと待つんだアリサさん。これには海よりも浅く山よりも低い理由が・・・」

 

「つまり特に理由はないってことね?これでも食らいなさい!」

 

アリサが追ってきたので逃げる。

 

「ちょっと!なんで逃げるのよ!」

 

「自分の体制をよく見てから言ってよ!君オレをぶっ飛ばす気だよね!?」

 

「当たり前じゃない。嘘ついたアンタが悪いんだからね!」

 

「確かにそれは悪いと思っ・・・・うおっ!!今完全に首取りに来てたよね!?」

 

「待ちなさい!」

 

「誰が待つか!首と体がバイバイしちゃうわ!!」

 

アリサと追いかけっこしてると綺麗な石を発見した。青色で中に番号が書いてある。

 

「アリサ!これを渡すから許してくれ」

 

「綺麗な石・・・。ま、まあ許してあげるわ。これからは嘘をつかないでよね!」

 

「ありがとうございます、アリサ様」

 

どうにか許してもらえたようだ。・・・でもあの石発見した時と渡すときで色が変わってたような気がするんだけど・・・まあいっか。

 

「アリサちゃん、カイ君」

 

「2人とも今から翠屋で祝勝会をするんだって」

 

すずかとなのはがオレとアリサを呼びに来た。どうやら翠屋に集まるらしい。特にこの後することもないのでお邪魔させてもらうことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今オレとなのはとアリサとすずかの4人は翠屋の外の席に座っている。

 

「それにしてもこのフェレット改めて見るとちょっと違わない?」

 

「そういえば病院の先生も変わった子だねって言ってたし」

 

「ユ、ユーノ君はちょっと変わったフェレットだから」

 

「これがフェレットか~かわいいね」

 

オレはフェレットを見たことがなかったから違いとかはよく分からないけど、かわいいってことはよくわかった。撫でようとしたら一瞬びくっとなったけどその後は普通に撫でさせてくれた。アリサとすずかも加わって一緒に撫でているとアリサがさっきオレが渡した石をポケットから出して話し始めた。

 

「そういえばこの石って綺麗だけど宝石でできてるのかしら?」

 

「うわあ本当に綺麗だね!この石どうしたの?」

 

「!?」

 

なのはが飲んでたジュースを吹き出した。なのはさんや、オレのシュークリームにかかったんだけど・・・まあ、もうおなか一杯だったからいいけど。

 

「なのはちゃんどうしたの!?」

 

「大丈夫?」

 

「大丈夫?なのは」

 

「う、うん大丈夫・・・ってその石どうしたの!?」

 

なのはが凄く驚いてる。気のせいかフェレットも驚いているように見える。やっぱり石の色が変わってた。青色から透明に近い青色になっている。

 

「ああ、これ?カイがくれたのよ」

 

「河川敷で拾ったやつだけどね」

 

「いいな~私も欲しい」

 

「ん~じゃあすずかにも今度何か渡すね」

 

「いいの?ありがとう」

 

「カ、カイ君!何か変わったことない?体調とか大丈夫?」

 

「いや、体調とかは問題ないけどどうしたんだなのは?」

 

「な、なんでもないの」

 

なのはが石を見てから慌てだした。もしかしてこの石はなのはの物だったのかもしれない。

 

「もしかしてこの石ってなのはの物だった?」

 

「!?う、うんそうなの。無くして困ってたんだ」

 

「そうだったの、じゃあはい。見つかってよかったわねなのは」

 

「あ、ありがとうアリサちゃん。ごめんね」

 

「全然気にしてないわよ。誰かの持ち物だったのならその綺麗な石にも説明がつくしね」

 

やはりなのはの持ち物だったようだ。よく見つけられたな、オレ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくしてアリサとすずかの2人この後用事があるということで解散になった。サッカーチームの人たちはとっくに解散していたらしい。ついでにオレも帰ることにした。

 

「じゃあね、なのは」

 

「なのはちゃん、またね」

 

「また月曜日な」

 

「うん、じゃあね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その後お父さんと一緒に家に帰った私はユーノ君と一緒にアリサちゃんから貰った石について話していた。

 

「やっぱりさっきアリサちゃんにもらった石ってジュエルシードだよね?」

 

「うん、多分そうだと思う」

 

「なんであの2人には影響がなかったのかな?色が違ったのと何か関係があったりして」

 

「詳しいことはわからないけど、カイって子に関係があるかもしれない」

 

「カイ君が!?どうして?」

 

「さっき気が付いたんだけどあの子も魔力を持っているんだ」

 

「カイ君も私と同じ魔法使いってこと?」

 

「いや、あの様子じゃまだ気が付いてないと思うけど・・・」

 

「そうなんだ・・・」

 

(カイ君大丈夫かな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そのころカイは・・・

 

「カイ!汚れたままでゲームやっちゃ駄目でしょ!早くお風呂に入ってきなさい」

 

「ご、ごめんなさい母さん。だからゲーム機のコードを抜こうとしているその手を止めてくれ」

 

元気そうだった。




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