どうやらオレは巻き込まれ体質らしい   作:どらい

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ドッ死ボール

時刻はおよそ20時、オレ羽島カイは絶賛逃走中です。

 

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

 

「グオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

何が悲しくて生物Aに追われなければならないのか。何故か通行人は1人もいないけどこのままスーパーまで逃げ切ってやるぜ!・・・ごめんやっぱ無理。小学生の体力なめんなよ、全っ然ないからな。とはいえこのままではまずい、追いつかれてしまう。どうにかして生物Aの進撃を止めなければ・・・

 

「ちょ、ちょっとタンマ。待つんだポチ(仮称)!!」

 

「グルルルル・・・」

 

何故かわからないけど止まってくれた。こいつ実はいいやつなんじゃ・・・?今のうちに膝に手を当てて体力を回復させる。・・・よしだいぶ回復してきた。

 

「落ち着くんだポチ(仮称)、そうそのまま座ってるんだ」

 

「グルルルル・・・」

 

言葉が通じているのかわからないけど律儀に待っていてくれている。オレは言葉を発しながらじりじりと後ろに後退していく。

 

「そうそう、その調子だ。偉いぞー、そのまま座ってるんだ」

 

「グルル」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「あばよっ!!」

 

そうしてオレは走り出した。今度はあの生物Aが待ってくれると信じて。さらばだ明智君、また会おう!

 

「グオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

・・・うん、待ってくれるなんてそんなことありえなかったね。さっき止まってくれたから大丈夫かと思っていたけど無理だった。

 

「ちょ・・・誰かーーーー!!か弱い男の子が襲われてるよーーー!!」

 

「グオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

オレと生物Aの鬼ごっこ(命がけ)は再開した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「早く思念体を見つけないと!」

 

「わかってる!どこに行ったんだろう?」

 

私高町なのはは今話しているフェレットさんの声に呼ばれてここに駆けつけた。そして何故か魔法少女に変身してしまっている。今はさっきまで戦っていた思念体と呼ばれるものを探しているの。

 

「なんでいきなり逃げ出したんだろう?」

 

「それはわからないですが早く封印しないと町に被害が!」

 

私たちと戦っていた思念体さんは急に方向転換して逃げてしまった。さっきから探してるんだけど一向に見つかる気配がない。だんだん焦ってきたその時声が聞こえた。

 

「ちょ・・・誰かーーーー!!か弱い男の子が襲われてるよーーー!!」

 

「今のは・・・!?」

 

「うん!急ごう!!」

 

しばらくして声が聞こえてきた方にたどり着くと、思念体さんに誰かが追いかけられているのが見えた。

 

「まずい、助けないと」

 

「フェレットさん!どうすればいいの?」

 

「あれを停止させるにはその杖で封印しないといけません。先の攻撃魔法や防御魔法は心に願うだけで発動させることができますが、より大きな魔力を必要とする魔法には呪文が必要なんです。」

 

「呪文?」

 

「心をすませて・・・心の中にあなたの呪文が浮かぶはずです」

 

「わかったの・・・・・」

 

「ちょ、ポチいいいいい頼むからストップ!待ってえええ!!」

 

「・・・思念体さんって名前があるの?」

 

「いえ、ないはずですが・・・。それよりも早く封印を!!」

 

「ご、ごめん・・・・・」

 

私が集中していると心に呪文が浮かんできた。

 

「リリカルマジカル・・・ジュエルシード封印!」

≪Sealing mode ・・・set up≫

 

杖からピンク色の光が出てきて思念体さんを包み込んだ。

 

「ジュエルシードシリアル21封印!」

≪Sealing≫

 

そして思念体さんは青い石へと姿を変えた。その後追われていた人を探そうと思ったけどもうその場には誰もいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、あったぞスーパーだ!!これでオレの勝ちだ!!」

 

周りの人が不思議そうな目でオレを見ているが知ったこっちゃない。オレはポチ(仮称)との勝負に勝ったんだ!さっき後ろでピンク色の光が発生したけど怖くて見てない。

 

「どうだポチ(仮称)!オレの勝ちだー!」

 

そう宣言して後ろを振り向いてみたが、さっきまで命がけの鬼ごっこをしていた生物Aはどこにもいなかった。代わりにオレの方を向いてくすくす笑っている奥様方が目に入った。・・・凄い恥ずかしいんだけど!まさかさっきまで見てたのは幻覚!?ということはオレは1人で叫んでいた悲しい子と言うことに・・・うわあああああ(泣)!!

 

「オレ幻覚見るなんて疲れてんのかなあ・・・」

 

肩を落としながらオレは買い物を済ませた。帰りは念のため違う道を通って帰りました。なんか警察が行ったり来たりしてたからね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、アリサ達がフェレットのことで話をしていた。オレもその話に加わってみる。

 

「フェレットがどうかしたのか?」

 

「昨日フェレットを助けて動物病院に預けたんだけどその動物病院で車の事故かなんかがあったらしいの。そのフェレットは病院から逃げていて、なのはちゃんが引き取ったって聞いたから安心したんだけど」

 

「そうなのか。そういえば昨日動物病院の前の道通ったんだけどその時に、見たことない生物の幻覚を見たんだよな」

 

「!?」

 

なのはが驚いたような顔をしている。なんでだろう?

 

「アンタ頭だけじゃなく目もおかしくなっちゃったのね」

 

「もともと頭おかしいみたいに言うのやめてくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今日は体育の授業があり外でドッジボールをやるらしい。着替えて外に向かうために下駄箱で靴を履き替えてるとなのはが話しかけてきた。

 

「あの、カイ君。昨日見たことない生物見たって本当?」

 

「うん。そいつに何故か追いかけられてさ大変だったんだよ。何故か急にいなくなちゃったから幻覚だったって思ってるんだけどな」

 

「ポチって呼んでなかった?」

 

「ああ、よく知ってるなってそういえばなのはもあの辺にいたんだよな」

 

「う、うん。そうなの」

 

≪ユーノ君!昨日の人が凄い身近にいたんだけど≫

 

≪え?本当かいなのは!?怪我してないか聞いてくれない?≫

 

≪わかったの≫

 

「怪我しなかった?」

 

「ん?大丈夫だったよ。しいて言うならオレの心が傷ついたくらいかな」

 

「え?どうしたの?」

 

「いやー、昨日スーパーでさっき言ったポチのことを叫んじゃってそこにいた人たちにくすくす笑われちゃったんだよね」

 

「あはは」

 

≪ユーノ君、怪我はないって≫

 

≪そっか、よかった。ありがとうなのは≫

 

≪うん≫

 

なのはと談笑しながらグランドに行き、そして授業が始まった。地獄のドッジボールが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「すずか!」

 

「うん、任せて」

 

男子対女子に分かれて始まったドッジボール。アリサから受け取ったボールをすずかが投げる。字面だけだと女子がただボールを投げているだけだと感じるかもしれないが現実は違う。

 

「オレが止める・・・ぐはっ」

 

空気を割く音と共に迫ってきたボールがチームメイトの命を散らせた。

 

「アウト。外野に行ってね」

 

審判の先生が普通に試合を見守っている。・・・おかしくない?あの子1人でオレ以外の男子外野に送り込んだよ!?

 

「後はカイ君だけだね」

 

「やめて!」

 

怖っ!すずかの目がオレをロックオンしてるんだけど!いや、マジで誰か助けて。

 

「覚悟しなさい、カイ!」

 

相手チームの内野にいるアリサが話しかけてくる。ちなみになのはは外野にいるよ。開始早々当たって外野に行きました。・・・まあ、当てた男子はそのあとすぐにすずかの餌食となったんだけどな。

 

オレは散っていった仲間が残してくれた(ボール)を手に取りアリサに向かって投げる。オレの投げたボールは真っ直ぐアリサのもとに進み・・・・・

 

「よっと」

 

軽~くかわされた。

 

「ちゃんと当てろー!」

 

前田の声が聞こえてくるが気にしない。オレはバウンドしたボールを捕球したすずかに集中する。あれが当たっても無事だろうか、いや無事なはずがない(反語)。オレの作戦は授業が終わるまで避け続けるというもの。とにかく当たらないように気を付けないと。

 

「すずかやっちゃいなさい」

 

「うん!」

 

いや、やらなくていいから。なんでアリサさんあなたはそんなに偉そうなんですか。

 

「えいっ」

 

かわいい掛け声とは裏腹にとんでもない速さのボールがオレのもとに迫ってくる。

 

「うおっ!!」≪ブオン!!≫

 

なんとか体を横にずらして避けることに成功した。

 

「ねえ、今ブオンって音が聞こえたんだけど!!先生危険なのでもう授業を終わりにしましょう!」

 

外野の男子なんて顔が青くなってるじゃないか!オレは先生に助けを求めた。

 

「駄目ですよ、ちゃんとやらなきゃ。しかも授業時間はあと30分残ってますからね」

 

現実は非常なり。どうやら先生にはすずかの投げるボールがキャッチできるものだと思われているようだ。くそっそれなら・・・

 

「なのは、オレを当ててくれ」

 

ちょうど外野にいったボールを持っているなのはにオレは話しかける。

 

「え?」

 

「駄目ですよ羽島君、真面目にやらないと授業後の片づけをやってもらうことになりますよ」

 

もうこの際それでもいい。さあ、早くオレをアウトにするんだなのは!

 

「なのはちゃん!こっち」

 

「!・・・うん!」

 

その時死神(すずか)がなのはにボールを要求し、なのはは山なりにボールを投げそれが死神(すずか)の手に渡ってしまった。なぜ普段はかわいい女の子なのにドッチボールになると全く別の存在に見えてしまうのだろうか。

 

「な、なのは!なんで!?」

 

「ごめんね、カイ君」

 

今ほしいのは謝罪の言葉じゃなく自分の身の回りの安全だというのに!!

 

「えい!!」

 

「ふぐあっ」≪ボゴッ!!≫

 

またもや掛け声とは似つかない速さのボールはオレの腹部を直撃して地面に落ちた。結局2回戦目も同じように最後まで残ったオレが当てられ、オレたち男子は敗北感と共に痛みを与えられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日のすずかは凄かったわね~」

 

「うん、格好良かったよ!すずかちゃん」

 

「そんなことないよ」

 

今オレはなのはたちと一緒に帰っている。話題は体育の授業のドッジボールである。

 

「すずかが怖い」

 

「何言ってんのよカイ。ちゃんとボール取ればよかったじゃない」

 

「無理だから!か弱い男の子であるオレにはあの速さのボールは取れないから」

 

「ふっ」

 

「今鼻で笑っただろアリサ」

 

「か弱い男の子ってどこにいるのよ」

 

「いるだろ、ここに。今アリサが話してる目の前のやつがそうなの!!」

 

「いや、あんたはか弱くないわよ」

 

「なんですと!?」

 

「あははは」

 

そんな感じの会話をしながらアリサやすずかの家に着き、2人と別れオレとなのはが一緒に歩いている。オレの家はなのはの家とそんなに離れていないため自然と帰りは一緒になるのだ。

 

「!?」

 

「どうしたんだ?」

 

いきなりなのはが立ち止まったので不思議に思って声をかける。

 

「忘れ物しちゃったから先に行ってて」

 

「一緒に行かなくて大丈夫?」

 

「大丈夫なの」

 

そう言ってなのはは走っていってしまった。仕方がないのでオレは1人で家に向かった。




読んでいただきありがとうございます。

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